ISACfA《インフィニット・ストラトスAnd Counting for Answer》 作:傭兵No41
mission1 どうしてこうなった?~IS学園初日~
…何でこんなことになった。
ああ、正直に言おう。最初は男の俺がISを動かせるって聞いて心踊ったさ。だって、この世界で最高の兵器――要はあっちで言うネクスト見たいなものに乗れるって聞いて、心が踊らないわけない。
二つ前の席でキョドってる一夏も最初はそうだった筈だ。
ところが、今はあたふたオドオドして気が気じゃないって感じだ。
そうなるのも無理は無い。だって、クラスどころか全校探したって男は一夏と俺だけだ。
なんつーか、もう視線が痛い。動物園のパンダってのはこんな気分なのか…。ああ、ちなみに俺は動物園に行った時、パンダ以外にも色んな動物をジロジロ穴が開くくらい見たさ。だって、生前は生きた動物とかあんまり居なかったし。
「織斑くん。織斑一夏くんっ!」
「は、はいっ!?」
おいおい…確かにこの状況はキツいだろうが、先生の話くらいちゃんと聞けよ…涙目になってるじゃないか。ここに
「あっ、あのっ! 大声出してご免なさい。お、怒ってる?怒ってるかな? ゴメンね、ゴメンね! でもね、あのね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、ご、ゴメンね? 自己紹介してくれるかな? だ、ダメかな?」
この人、本当に教師…てか、年上なんだろうか。やけに腰が低い…と言うか、弱気なだけなんだろうか?
まぁ、素晴らしいモノをお持ちなのは認めるが。確かにあれは同年代には…って、考えてると目の前に座ってる女の子がこっちをイイ笑顔で振り返った…止めてくれ。その笑顔が怖くて堪らない。てか、心でも読んだのかオマエ。
「いや、あの、そんなに謝らなくても……っていうか自己紹介しますから、先生落ち着いて下さい」
「ほ、本当? 本当ですか? 本当ですね? や、約束ですよ。絶対ですよ!」
そこまで念を押さなくても…手まで取っちゃって、まぁ…。しかし、一夏も良く悪目立ちするよなぁ。そういう星の元にでも産まれたのか、コイツ。
お、一夏が立ってようやく自己紹介するみたいだな。…目が合ったが、俺は助けてやれないぞ。自己紹介くらい自力でどうにかしてくれ。頼むからそんな捨てられた子犬みたいな目でこっちを見るな。オマエのせいでまたこっちにも視線が戻ってきただろうが!
しかも…なんか、さっきより視線が熱い気がするのは気のせいか?
「えーー……、えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」
いや、流石にそれはないだろ。うん、無い。
クラス中から『え? それで終わりじゃないよね?』とか『もっと色々喋ってよ』的な視線が集中してるぞ、オマエに。俺の前に座ってるヤツなんかプルプル震えて笑いを堪えてるぞ。せめて趣味くらい言え。
お? いきなり深呼吸してどうした? やる気になったか?
「以上です」
ガタッ! うわぁ…クラスの殆どのやつがずっこけてるじゃねぇか。
……いや、凄いな。やっぱオマエ大物だわ。感動した。前の奴なんか体が痙攣してるぞ。笑いこらえるの必死で。そのうち、笑い死ぬんじゃないかって位震えてるぞ。やっぱスゲーわ。オマエ。コイツをここまで追い詰めるとは。
「あ、あの…」
あーあ、なんかさっきより涙声になってるじゃないか…可哀想に。
と、思ってると目の前を高速で通りすぎる影が…って、あれ? あの人は?
パァン! 良い音がなったなぁ。いや、それよりも。
「げぇっ! 信長!?」
「ちーちゃん!」
「千冬さん!」
パァン!スカッ!スカッ!
「誰が弟六天魔王か! あと烏丸、学校では織斑先生と呼べ…良いな?」
いや、避けられたからってそんなに殺意剥き出しにしなくても…まわりの子が脅えてますよ?
あー、しかし失敗したなぁ。まわりからヒソヒソ『あの子たち…千冬様とどういう関係なのかしら?』とか何とか聞こえてくるし…災難だなぁ。
「あ、織斑先生。もう、会議は終わられたんですか?」
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」
おー、珍しく優しい声だ。あの半分でも一夏に向けてやったら良いのに。出来が悪い子ほど可愛いってヤツなんだろうか。しかし、一夏の奴も運が良いやら悪いやら。これで千冬さんと毎日会えるぞ。良かったな。
「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと……」
えーと、山田先生の態度が…さっきと全然…いや、まさかね。はにかんだけど。
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことは良く聴き、良く理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
うん、千冬さんが教えてくれるなら不安は無いな。何に関して教えるのかってを理解してる。しかし…だ。
「キャーーーーーー! 千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」
「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!」
「私、お姉様のためなら死ねます!」
おい…こんな生徒ばっかで大丈夫なのか、IS学園…自分たちが何を扱うかちゃんと分かってるのかね…?
見れば、千冬さんも鬱陶しそうだ。まぁ、無理もない。
「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か? 私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」
流石千冬さんだ。歯に衣着せぬ物言い、こう言う時は率直に言った方がいい。後で何か起こっては遅いわけだし。これだけ言われれば、流石に――と、思っていた時期が俺にもありました。
「きゃああああああっ! お姉様! もっと叱って! 罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけあがらないように躾をして~ー!」
いや、もう色々とダメかも知れない、このクラス。
あと、最後の娘。悪い事は言わない。病院言ってこい。
しかし、まぁ…ここまで周りがアレだと逆に落ち着いてくる。いや、もう呆れてモノも言えない的な意味で。
「で? 挨拶もろくに出来ないのか、お前は?」
「いや、千冬姉。俺は――」
おい、まて一夏。それはさっき俺達が――。
と、考えている間に千冬さんの手は既に動いていた。痛そうだな、アレ。
パァン!
「織斑先生と呼べ」
「…はい、織斑先生」
見るからにションボリしてるな、一夏の奴。まぁ、些か理不尽に思えなくもないが…。
「え………? 織斑くんって、あの千冬様の弟……?」
「ああっ、いいなぁっ。代わってほしいなぁっ」
この状況を見ると…千冬さんの気持ちも解らないでもない。人気だなぁ…千冬さん。恐らく、みんな千冬さんの勇姿に憧れているんだろうが…千冬さんはアイドルとかじゃ無いんだが。まぁ、千冬さんだし、皆の認識の甘さもおいおい改善していってくれるだろう。そうじゃなと身が持たない。…主に俺と一夏の身が。
「はぁ…まぁ良い。時間もあまり無い。自己紹介を続ける。次…烏丸」
俺の苗字が呼ばれたが…立たずに座っている。確かに俺の名字が呼ばれたが、呼ばれたのは
このクラスには俺以外にも、烏丸と言う名字のヤツは
…しかし、千冬さん。気持ちは分かるけど、俺の名字をそんなに嫌そうな顔で呼ばないで下さい。
目の前の席のソイツは、立ち上がるとゆっくりと一度教室を見回して、ニィッっと好戦的な笑顔を浮かべた。
「
クラス一同唖然としている。それはそうだろう…こんな自己紹介じゃ。ある意味、一夏以上にインパクトがある。てか、本当にオマエは
「ああ、そうだ。烏丸はこのクラスにもう一人居るから、織歌って呼んで」
言い残した事を言い終わると、どかっと言う音を立てて織歌は席についた。
あーあ…山田先生がまたおろおろしてるよ。無理もないか。千冬さんも頭を押さえてるし。呼ばれて無いが…仕方ない。時間も押してるみたいだし、手早く俺の自己紹介を終わらせて次に回してしまおう。
「えー…。今の自己紹介にあった、もう一人の烏丸です。名前は
拝啓。カラードに所属するリンクスと仲介人の皆様、お元気でしょうか?
私は、ネクストのコクピットで蒸発したと思ったら、気がついたらこの世界で第二の人生を得ることとなりました。挙げ句、よりにもよって…ええ、よりにもよって、私を殺した張本人である、ORCAのリンクスが双子の妹です。何を言っているか理解に苦しむ事と思いますが、私はこちらでも元気に暮らしております――。
捕捉
アライアンス
織歌がテストパイロットをつとめる、巨大軍事産業企業集合体。信頼のおけるモノから、ロマンを原動力とした変態兵器まで何でもござれ。
もしかしたら皆の知ってる企業の名前が出るかもね!
感想、意見など御座いましたらお待ちしております。