ISACfA《インフィニット・ストラトスAnd Counting for Answer》   作:傭兵No41

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お気に入り件数が徐々に増えていってる事に驚きを隠せない作者です。

さて、今回も織歌と絆の過去になります。
もう1・2話挟んでから本編に帰れると思います。


mission3 どうしてこうなった?~微笑ましい過去~

さて、それから数ヵ月の月日が流れ――

 

 

俺達は小学校に入学した。

 

新たな年、新たな環境。

学校なんて言う初めて経験する集団生活。心のなかは期待と不安で半々…いや、不安の方が大きかった。

だって、考えても見てほしい。回りは同年代の子供ばかり――対して、こっちは見た目は同年齢だが、精神年齢はそろそろ二十歳になってても不思議じゃない。

何より俺の場合、俺の人生、生前合わせても学校生活どころか、学生であった試しもない。

それで不安と期待、どちらが大きいか聞かれたら、誰だって不安に思うはずだ。

 

だが――

実際に入学してみたらなんて事なく、クラスとも早々に打ち解けて友達も増えた。

 

織斑一夏とは入学初日に意気投合し、俺もオルカもすぐに仲良くなれた。一夏に両親は居ないが、そんな現実をものともせず、真っ直ぐで裏表の無い良いヤツだ。実質、クラスでの一夏の受けは悪くない。

これには一夏の姉――千冬さんの影響が大きいだろう。

 

千冬さんは唯一の肉親である一夏を、学生の身でありながら引き取り、一夏が曲がらない様にその細腕で懸命に育てている。

その姿に俺も素直に尊敬している。

……まぁ、千冬さんの私生活は別として。

ただ、気になったのは千冬さんを見る時のオルカの『眼』。

まるで…獰猛な、肉食獣が獲物を見つめる時の様な――そんな殺気を孕んだ好戦的な色を浮かべている気がする。

しかも、その殺気が――俺も、昔どこかで感じたような気がするから不思議だ。

現に、一夏が篠ノ之道場に通うようになってからは、ちょくちょく千冬さんに挑んでは、オルカは返り討ちにあっている。

年齢差も考えず、何度も懲りずによくやると思う。その癖、俺の眼から見ても挑む度に、オルカの動きはその切れ味と鋭さを増していく。

いつの間にオルカはこんな狂暴になったのか…不思議でしょうがない。

 

まぁ、二人の立ち会いを見ていると、結局俺も対抗心と言うか…闘争本能を掻き立てられて千冬さんに挑んでしまうんだが。

ただ、対峙すると千冬さんの凄さが良く分かる。現役の頃には未だに劣るが、それでも俺は生前培った技術(我流と言うか、戦場で培った格闘術などだが)を総動員して、本気で打ち込んでいるが、裁かれ流され、あるいは防がれて的確に一本返される。全く、とんでもない人も居たものだ。

因みに、オルカの動きは――何て言うか獣だ。技術とかが無いわけではないが、スピードで翻弄して鋭い一撃を叩き込み、離脱、あるいは追撃といった感じだ。…あの動きも何処かで見た気がするんだけど――一体あんな動きをどこで見たんだか…まるで思い出せない。ただ、見ていると背中に妙な汗が――うん、考えるのをやめよう。

 

ああ、ところでひとつ断っておくと、決して千冬さんとオルカの仲は険悪じゃない。むしろ良好だ。千冬さんは妹でも見るような…――そんな目でオルカを見ているし、オルカはオルカで『ちーちゃん』とか呼んで非常になついている。

そんなところも微笑ましくて、可愛らしいと思う…が、そんなオルカを、最近では素直に可愛らしいと思えなくなってきた自分がいる…何でだ?

 

まぁ、そんな訳で最近ではほぼ毎日、今日も俺達は織斑姉弟にくっついて篠ノ之道場に来ている。

 

「お前たち、今日も来たのか…門下生でもないのに物好きなヤツだな」

 

そうだ。篠ノ之道場と言えば、忘れちゃいけない子が居たな。

 

 

 

 

 

 

「お前たち、今日も来たのか。全く、門下生でもないのに物好きなヤツだな。ま、まぁ、お前たちの立ち会いは私も勉強になるし…無下にはできん。ゆっくりしていけ」

 

この娘の名前は篠ノ之箒。この道場の先生の娘で、私と同じクラスの同級生。ぶっきらぼうだけど、中々可愛い所のある私の友達だ。素直じゃ無いところなんか特に良い。

何て言うか、見ていて面白い。今だって本当は嬉しいだろうに。

…可愛いヤツよ。ただ、惜しむらしくはもう少し一夏に対しては素直になれたら良いのにね。

しかし…一夏も情けないヤツだな。剣道とは言え、箒に押されてるじゃん。

 

「チーちゃーーーん! いっくぅーーーーん! おーちゃーーーん! きっくぅーーーーん! 束さん会いたかったよーーーー!」

 

「おおぅ? 束? 珍しいね、道場来るなんて?」

 

「やだなー、おーちゃん。そんな余所余所しく呼ばないで、束さんはたっちゃんって呼んで欲しいな~!」

 

「や、アンタ羞恥心とかなんも無いし、つまらないし、何より鬱陶しいし! 誰が呼ぶか!」

 

珍しい奴が来たな。今私に抱き着いてるこの騒がしいヤツは篠ノ之束、箒の姉だ。なんと言うか、俗に言う天才…と言うらしい。今は確か…ちーちゃんとなんか企んで、ISとか言う『宇宙』での活動を目的とした、ハイスペックパワードスーツの開発をしているらしい。

何でそんなものを作ってるのか聞いた事がある。そうしたら、

 

 

『束さんはね、宇宙に行ってみたいんだよ! 』

 

 

と、私とキズナに目をガキのように輝かせながら語っていた。……まぁ、普段からガキっぽいけど。けれど、その理由は私が応援する(・・・・・・)には充分すぎる。

私個人としては、その夢に向かって闘う姿には好意を覚える。

そして、何よりも――

 

最後の、ORCAとして。

 

 

まぁ、束なら大丈夫でしょ。ちょっと常識はずれな天才だし。ネクストとかアンサラーとか作り出さない限りは、私も邪魔するつもりはない。あの辺りを作り出したら…私は躊躇なく、全力で束を潰すだろう。コジマは…不味い。

ああ。ネクストとかアンサラーって言うのはあくまで一例。正確に言えば、致命的な汚染(・・・・・)を巻き起こすもの全て、と言い換えた方が正しいかな。

まぁ、何だかんだ良いながら束なら心配ないと思うけど。

 

 

しかし、こう…抱き付いて頭を撫で回したり頬擦りしてくる過剰なスキンシップはなんとかならないかなぁ?

これでも精神的には束より歳上なんだけど…ああ、何で千冬はちーちゃんで、束は束なのかって?

初めて会ったときにたっちゃんって呼んだよ?

けど呼んだら…顔真っ赤にして興奮して今以上に過剰なって言うか、もはやセクハラに近い事かましてきやがったので、もう絶対たっちゃんとは呼ばない。絶対に。

今だって振りほどけないから、されるがままにされている訳で…早く大きくなりたい。今だって隠れてコソコソ鍛えているけどどうしても…ちーちゃんと本気で()りたいなぁ。

 

「……ふむ。織歌は束に捕まってるのか。絆、私が相手をしてやる。来い」

 

「わかりました。よろしくお願いします、千冬さん」

 

 

お? キズナがちーちゃんと()るみたいだ。今日はどれだけ闘れるか見ものだな。

 

二人が木刀を持って対峙する。…二人とも防具は着けてない。

ちーちゃんは普通の木刀を。キズナは短い木刀を二本、右手は順手、左手は逆手にもって構える。

ちーちゃんの構えは剣道で言う…正眼ってヤツかな? 正直、剣道の事は良くわからないけど。

対して、キズナは体を半身にして右肘を降り立たんで、木刀をもった右手を顔の左横に。左腕は右腕の下を通って、右肘の先に左手が来るように軽く伸ばす。

おーおー、目を鋭くして殺る気満々って感じじゃないの…なーんか、何処かで感じたような気配だけど…何処だったかなー?

キズナがあんな顔ができるのを知ったのは、ここに通うようになってからだけど。初めて見たときは驚いたっけなぁ。あの優しいお人好しがあんな顔できるなんて。

けれど、あんまり気にしなかった。だって、私なんかあの位の時分には毎日あんな顔してたからなー。うん。普通、普通。

 

ダンッ

 

お、動き出したね。やっぱり最初に攻めるのはキズナか。どれどれ…右手を胸の前に置いて、左腕をしならせる様に振って斬りかかって…外し…いや、避けられたか。けど、キズナの攻めはそれで終らず、左腕を戻す動きで突きを繰り出して――あ、ちーちゃんのカウンターが胴に…お、胸の前に置いてた右手にもった木刀で防いだ…ひゅー、やるじゃんキズナ。ちょっと見直したよ。でも、キズナも多分気付いてる(・・・・・・・)よね?

ちーちゃんが本気だったら、それ、木刀ごとぶった斬られて死んでるからね?

バックステップで距離を離そうとするちーちゃんに対し、キズナはちーちゃんの木刀を防いだ木刀を宛てたまま、滑らせる様に木刀の切っ先を滑らせながら、距離を離すまいとちーちゃんに追いすがり――右手に持った木刀での連撃。腕と手首のスナップを聞かせて、突く、切るを繰り返す。

 

突く、切る、切る突く、切る切る切る切る切る切る切る突く突く切る切る切る切る…。

 

右腕だけで良くもまぁ、あれだけの手数を。あの技術は凄いなぁ、と素直に私でも思う。私には無いものだし、格好いい…と思う。思うんだけど…何でかな、素直に手放しで賞賛できないのは?

 

まぁ、あれって軽すぎる(・・・・)んだよね。だからかな?

 

けど、いくら軽すぎるって言っても…それを木刀一本で捌ききるちーちゃんもよっぽどだよねー。まぁ、年齢差があるし、しょうがないか。キズナって細いし。

と、ちーちゃんの下から斬り上げた一刀で、右手に持った木刀が弾かれて…これで終わりかな。返す刀でキズナの首筋に木刀を宛てて…全く、ちーちゃんったらやりきったって感じのイイ顔しちゃって、まぁ…。うん、気持ちは分かるけどね。

キズナの将来も楽しみ…うん、楽しみだよ…ね?

 

 

「うーん、やっぱり凄いねー。きっくん。おーちゃんもだけど」

 

「うーん、そうかなー? 私もキズナもちーちゃんに負け越してるし」

 

「いや、十分すごいと思うぞ」

 

「キズナとオルカが凄くなかったら、同年代の俺と箒はどうなるんだよ」

 

会話に一夏と箒も混ざってきた。

 

「えーと……ザk、ゲフンゲフン。いや、二人とも見込みはあるよ? 順当に強くなればちーちゃん並も夢じゃないんじゃない? ただ、今は訓練不足で弱過ぎるだけで」

 

「ふむふむ。そうか、私も一夏もまだ強くなれる可能性はあるのか…って、おい! 今貴様、ザコって言いかけただろう!?」

 

「しかも最終的に弱すぎるって言ったよな、な!? オルカはオブラートに包んだつもりかも知れないけど、まるで言い直した意味ねぇから、それ!」

 

「てへペロッ♪」

 

「「こ、コイツムカつく…!」」

 

「本当の事を言われて怒るのは、修行の足りない証拠だぞ、二人とも」

 

「一夏も箒も落ち着きなよ。オルカも僕も、なんだかんだ言って大したことは無いんだから」

 

お、汗を吹きながらちーちゃんとキズナも来たね。

 

「しかし、あんな動き…お前達は何処で覚えたんだ? 私が言うのも何だが、あんな動きは一朝一夕で出来るものでは無いぞ?」

 

え?そうなの…私にしたらできない方が可笑しいんだけどな、あれくらい。

 

「「え? 普通でしょ、あれくらい?」」

 

お、キズナとハモった。うんうん、やっぱりそうだよねぇ。あれくらい動けないと生き残れない…って言うか話にならないし。むしろ、私に言わせれば、一夏も箒も平和だからって、体を鍛えなさすぎ。

 

「「「「いや、流石にお前らそれはおかしい(束さんもおかしいと思う)」」」」

 

え? 皆気持ち悪いくらいハモって…って、束。アンタまでそれを言うか。アンタにだけは言われたく無かった。見れば、キズナだって笑ってるけど微妙に引きつってるしし。きっと、今同じような事考えてるんだろうなぁ…。

 

「まぁ、それで…二人とも独特な動きをするが、何処で身に付けたんだ?」

 

「それ、俺も気になるな。なぁ、教えてくれよ」

 

「うむ…是非教えてくれないか?」

 

「束さんも、束さんも気になるなー!」

 

い、言えない。流石に前世で身に付けました…とか言えない。

 

「えーと…見よう見まねって言うか…」

 

見れば、キズナも言いよどんでる。私としてもキズナが何を参考に身に付けたかは気になるが…それどころじゃない。

 

「え、えーと。私はスシ! スキヤキ! フジヤマゲイシャ! サムラーイ! な忍者とか、アイヌ民族の巫女っぽいのに憧れて…」

 

う、うわー…自分で言っておいて言うのもなんだけど、流石にこれは無い。恥ずかしすぎる。

隣からブッ!とか吹き出す音が聞こえた。

 

…よし、良い度胸だ。覚えておけよ、キズナ。これでオマエの答えが大したこと無かったら、笑ってやる。盛・大・に・な!

 

「えと、僕は…その。沈黙する中年親父とか、段ボールを愛用する蛇をリスペクトして…」

 

「ブハッ! 下らねーーーーーーーーーwwww」

 

「僕はオリカにだけはそんな事は言われたくない! そっちも僕と似たり寄ったりだろう!」

 

「…なぁ、箒」

 

「……なんだ、一夏」

 

「こんなのより弱い俺達って…」

 

「………」

 

ん?

一夏と箒で話こんで…どうしたの?

箒がプルプル震えてるけど…なに、どうしたの?

 

「織歌、 出ろ! 私と一夏でお前のその不純な発想を叩き直してくれる!」

 

ああ…なるほど。そう言うこと…確かに剣道馬鹿な箒じゃ気に食わないか。

まぁ、でもたまには良いか。

 

二人に戦場の闘い方ってのを教えてやる…!

 

「良いよ…二人まとめて遊んであげる。殺す気で掛かってこいっ!」

 

「その言葉…そっくりそのまま返す! 今日こそはお前から一本貰うぞ!」

 

「やっぱりかぁーーーー! やっぱり二人とも俺の意思は無視なのかー!?」

 

「一夏! 侮られた上に臆するとは何事か!」

 

「そうそう。男児たるもの行動で語れ♪」

 

「ええい! 分かったよ! やってやる、やれば良いんだろ! 織歌、お前は俺が討つ、今日ここでぇっ!」

 

うーん、良いね。二人とも目に闘志が漲ってて。そうじゃなきゃ面白く無い。

だから私も真面目に相手をしよう。

 

「アアァン!? やってみろよぉ!」

 

世界は、今日も平和だ。

 

 

 

 

絆と織歌の仲は変わらず、新しく出来た友人達と平穏な時を過ごしていた。

世は何も変わらず、なべて世は事もなし。

 

 

 

 

 

 

…とは行かなかった。

 

 

そう、起こってしまったのだ。

 

 

世界を揺るがした、『白騎士事件』と『篠ノ之束博士によるIS発表』が。

 

 

 




没案

「一夏! 侮られた上に臆するとは何事か!」

「そうそう。男児たるもの行動で語れ♪」

「OK。分かった。なら、俺は二人に行動で語る事にする」

そう言うと、一夏は私達に背を向けて…あれ?
…オイ。なにする気だ?

「逃げるンだよぉぉぉおおおお!」

オイ。コラ、一夏。
逃げ出した一夏の後を追って私も駆け出し、追い抜いて前に立ちはだかる。

「一夏…知らなかった?」

一夏の後ろを見ると、陽炎の様に怒気を立ち上らさせる箒の姿が。前髪で良い具合に顔が影になって、その目だけがギラギラ光ってるのが分かる。

「な、なにがだよ…?」

一夏もそれが分かってるのか…汗をだらだら流してイイ表情をしている。
アハァ…そんな表情されると余計に可愛がってあげたくなるじゃない。
予定を変更して…二人がかり(・・・・・)でさぁ!

「「私達からは、逃げられない」」

「ちょ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんn…ぎゃあああああああああああああっ!」

世界は…今日も平和だ…?
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