筆頭艦加賀 (旧タイトル:もしも艦これ筆頭が加賀ならば)   作:セマフォ

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初投稿、執筆経験ほぼなしです。今はVer.1として完結後に大改造する予定です。


筆頭艦娘現る!(前編)

1300、呉鎮守府・演習海域にてー

呉第三鎮守府と佐世保第二鎮守府の演習は佐世保側が勝利しつつあった。

 

旗艦・扶桑ー小破判定

衣笠ー大破判定

瑞鳳ー中破判定

天龍ー小破判定

白雪ー大破判定

綾波ー大破判定

 

 

扶桑は逆転を狙い、相手旗艦・武蔵に肉薄する。

お互いの距離はすぐに縮まり、激しく砲弾がやりとりされた。

扶桑の被弾は急激に増え、ついには跳ね飛ばされた。

 

「グゥ!」

 

頭がひどく痛み、立つことはできない。

海面に倒れこんだまま、妖精の報告を聞く。

いま被弾した弾が実弾ならば、右脳がえぐり取られていたそうだ。

艤装のヴァイタル・パートにも被弾があり、航行も不可能。

撃沈判定だ。

扶桑は意を決して、通信で全艦に告げた。

 

「ごめんなさい。扶桑は撃破されました。規則通り、我々の敗北です。

各艦は帰還してください」

 

それぞれが了解の返信を伝え、残りは衣笠と武蔵となった。

 

「衣笠了解。正直助かったわー」

 

衣笠は相手の那智に比べ明らかに被害が多い。

 

「大丈夫か?調子が悪いなら曳航するが・・・」

 

心配する那智の声を衣笠ははっきり聞いた。

 

「航行に支障はないわ。ちょっと顔を切って喋りにくかっただけ。」

 

大破でも艦娘の装甲は服が破ける程度に抑えられる。

しかし、完全に身体を守るわけでもなく稀にこの様なことは起きる。

衣笠は那智に申し出に晴れやかな気持ちとなり、フォローを入れて那智との交信を終えた。

 

「それより、武蔵?勝ったでしょ。潔く終わらせてよ」

 

衣笠の声色が急に冷えきったものとなる。

誰よりも早く応答するべき旗艦が無反応だからだ。

 

「・・・まだ天龍と私の決着がついていない」

 

やや不穏な沈黙が流れる。旗艦撃沈の艦隊は敗北で両方の提督は合意していた。

武蔵の言う様に続行すれば、どちらの顔も潰すことになる。

それでも武蔵は続けた。

 

「天龍と私はまだ中破にもなっていない。

艦隊での勝敗は決したが、どうだ、1対1だぞ?」

 

青ざめた天龍は呻いた。軽巡と戦艦が1対1で戦えばどうなるかは明らかだ。

 

「俺は武蔵の恨みを買うようなことをしたか?」

「・・・そうではない。より演習を意義のあるものにしたいだけだ」

 

扶桑は”うそね”と心の中でつぶやく。

この武蔵は戦意にあふれ、無茶をする様な個体ではない。

扶桑にも自負があり、仮にも自分に勝った武蔵を信じたい。

故に扶桑は端正な顔を歪めるも、静観を続ける。

天龍が必死に説得を続けるが、武蔵は一向に意思を曲げない。

 

「そうだ、将棋ならどうだ?俺は強いぜ。

提督から巻き上げた酒はものすごい数だ」

 

「・・・」

 

天龍は明らかに混乱していた。

扶桑はついに厳しい口調で武蔵に告げる。

 

「武蔵、旗艦の扶桑です!演習は終了したました!おとなしく撤収しなさい!」

 

返答はない。

天龍は通信を切られ、説得の機会が無くなった。

正面から正論を通されて、衝動的に拒絶したのだろう。

 

「何やってんだ扶桑ぅ!」

「仕方のない子ね」

「扶桑!助けてくれ」

 

止められないなら増援を、天龍は必死だ。

鎮守府からの支援はまず間に合わない。

 

「さっき負けたのよ。これ以上は私の美学に反するわ」

 

天龍はあっさりと見放した扶桑に言い返そうとした。

しかし、直後に轟音が声を遮る。

天龍は、今のは夾叉でもう捕捉されていることを実感した。

回避する間に、扶桑から最後の通信が聞こえた。

 

「うるさくなってきたし、切るわよ」

 

「この薄情者!」

 

扶桑はこの、不当で不利な戦闘に加わるにはプライドが高すぎたようだ。

天龍は理不尽に怒りを感じるが、まだ増援を諦めない。

 

「衣笠、お前、中破だろ!まだやれる!」

 

戦艦の装甲を破る方法の一つは、夜戦のように接近して初速のまま砲撃を当てることだ。

昼戦での接近は非常に困難だが重巡がいれば可能性がある。

 

「衣笠はすでに鎮守府に着いてます〜。高速艦だから仕方ないね」

「そうだったのか!海藻にぶつかって沈め!」

 

あてがなくなり、天龍のテンションが一気に落ちる。

棒立ちになって被弾し終わらせれば楽に済む。

しかし、あんまりな状況とはいえ落胆されかねない行動となる。

武蔵自体も問題だ。このような強引な手段を取るようならば、

この演習以降も衝突してくる可能性が高い。

 

天龍はこの際と武蔵側の艦娘にも助けを求めようとしたが、

刹那、胸の前を風を切る物体が通過した。

天龍の右側に水柱が上がり、砲弾が当たったのかととっさに胸を抑える。

 

「うぉ!とれてない?とれてないよな?」

 

胸部は無事だったが、動揺はある。

しかし、天龍は並みの練度の艦娘でもない。

驚きに開かれた目が、すぐに鋭く一方向を見据える。

 

「近い!」

 

天龍の黄眼は、小指程度の大きさに武蔵を捉えていた。

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