東方氷異伝   作:城が猫

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どうも、城が猫です。
今日も今日とて、好き勝手、自由気ままに駄文を重ねようと思います。
心の広い方、若しくは、案外こういうのも嫌いじゃなかったりする方はしばらくお付き合いいただきたく思います。あ、あと余談ですが、この作品で出てくる影は、ホリックで出てくる、泥のような煙のようなアヤカシが真っ黒に塗りつぶされて影が動いているような外見をイメージしています。

※第十話の「氷路」はひょうじと読みます。


第十一話 氷稀

霊「ふぇい・・・わん・・・・?」

魔「リード?」

大「・・・・・・って誰ですか?」

藍「?」

紫「・・・・・・・」

橙「ほぇ?」

チ「・・・・・・・」

 

 飛王(フェイワン)・リード・・・その名を聞いて、首

を傾げないものは誰もいなかった。

それが全く知らない人物だったからだ。

だが、これでこの異変を、いや、侵略を仕掛

けているのが外の世界どころか、別の次元か

らの人間によるものであるということが確実

のものになった。

そのことを、理解したからなのか紫はその名

を聞いて驚いた表情を見せたあと、いつもの

、不敵な笑みに戻っていたが。

 

侑「知らないのも無理はないわ……本来なら、

関わり合いにすらならないはずの相手……そ

して、この男は世界を自らの目的のために

歪めようとする、(ことわり)の敵……いえ、世界の

敵といってもいいかも知れない」

 

 侑子がしばらく語っていると、紫が口を開

いた。

 

紫「それで?その情報の対価は何なのかしら

?」

 

 ここで、また知らない単語が出てきてしま

った。

(↑意味を知らないという事ではない)

対価だと!?そんなものが必要など初耳だ。

 

霊「・・・・対価って、ちょっと、あんた!

!うちにそんなもの払えるだけのお金あると

思ってんの?」

 

 確かに、霊夢の懐では話にならないだろう

……が、そういう事ではなかった。

 

紫「違うわよ・・・・・お金なんてそんなも

のを払う必要はない……でも、まぁ場合によ

ってはそれが対価になることもあったかしら

・・・兎に角、そんな金銭的なものではなく

て、その人にとって価値のあるものや、その

ネガイに見合っただけの価値が同じモノを要

求されるのよ・・・・・・例えば、私だった

らこの幻想郷を手放せだとか、そんな感じ…

…だから、ロクなことにならないって言った

のよ」

 

 !!・・・・・・それが本当なら、話を聞

いたのはまずかったかも知れない。

いや、必ずしもそうではないんだったか。

 

霊「そ、そうか~~そう言うこと・・・・・

それじゃあ、良かっ・・・・・・・て、良く

な~~~い!!! それって!!私の場合、

お金を要求されるってことじゃない!!」

 

 霊夢の神社は貧乏なので、いつもお金に困

っているが故に、本人も金銭に対して執着が

強い。確かにそれでは金銭を要求されかねな

い。

でもだからってそっちに食いつくのか? 幻

想郷を手放せの方じゃなくて?

その今にも泣きだしそうな切ない顔で悲痛な

叫びをあげる霊夢の方に呆れを含んだ遠い目

をむけていた。

しかし、侑子からの返答は意外なものだった。

 

侑「いいえ。今回に限り、対価は発生しない

わ。こちら側に落ち度があるものに対価をも

とめることはできない」

 

 その言葉に飛びついたのは霊夢である。

その様子をその場の誰もが何か哀れなものを

見るような目で見ていたのは言うまでもない。

 

霊「そ、そう!………ほんとに?・・・・・

はぁ~~~~よかった・・・・でもそうよね

……勝手にそっちから話しておいてそれで何

かを寄越せだなんて・・・・・」

藍「ならば何故、この話を我々に?」

侑「そうね、さっきも言ったけれど謝りたい

の……こちらの不注意のせいでアナタたちの

幻想郷(せかい)に亀裂を生じさせてしまったことを」

紫「どういうことかしら?」

侑「わたしの認識が甘かったということ……

まさか、飛王(フェイワン)が博麗大結界と紫の概念の境

界、それと幾重にも重ねられた結界で隔絶さ

れたアナタたちの幻想郷(せかい)に手を出そうとする

とは……完全に想定外だったわ。

でも、それだけのことをする価値が、この幻

想郷にはある。彼が求める膨大な力がここに

は溢れ、そして眠っている」

 

 そう話す侑子の顔はそこに悔しさを滲ませ

ていた。

  

侑「精神的に発達した人々、妖怪という種族

、忘れられた神々、もし、それらを手にする

ことができれば得られる力は絶大なもの……

でも、まさかそこまでできる力があっただな

んて……」

紫「それで?話はもう終わりなの?」

 

 その侑子の罪悪感と対価が発生しないとい

うところに目を付けたのか、紫が更にその先

をそれとなく促す。

こういう足元を見るみたいなことは好きじゃ

ないが今は仕方がないように思えた。

 

侑「いいえ、これからコへの完全な対処法を

教えるわ。それと力のある法具をそちらに送

らせてもらうわ」

紫「なら、法具だけでいいわ。()への対処は

もう分かっているから」

侑「言ったでしょ?()()()、よ……確かに、

今の対処の仕方で間違ってはいない……とい

うより、それしか方法が無いわ……でも、そ

れだけでは不完全」

 

 これからの()の動きへの対処?ここから先

にまだ、なにかあるというのか?

紫はその侑子の言葉を聞いて、不安要素が現

実になったことに顔を顰めた。

 

紫「成程・・・・・で、その対処法とは?」

 

侑「・・・・・・あなたのところに蟲を操る

ことのできるものがいるわよね……その彼女、

リグル・ナイトバグに会って、彼女の能力を

『コ』にも通じるように紫、あなたの能力で

作り変えなさい……そして協力を求め、『コ』

を一か所に集める」

 

 なるほど、と思わずにはいられなかった。

確かにそれならこの世界から消えた()飛王(フェイワン)

とかいう奴のところに行くことはできない。

何せ、ここに止められるのだから。

しかし、そのことに対して疑問を口にする者

がいた。

 

霊「でも、それ何の意味があるの?その方法

なら確かにそいつのところには影はいかない

でしょうけど、留めておくのも限界があるで

しょうし、第一、影から吸収された力は結局

そいつのところに行くんでしょう?」

侑「そこはアナタの出番……霊夢、アナタは

捕らえた『コ』、一匹一匹に結界を施しなさ

い……そうすれば、何処にも逃げられないし、

力も供給されないわ」

霊「でもそれにも限界が来ると思うのよねぇ

……ねぇ、影共を一つにまとめて結界で縛る

んじゃダメなの?その方が遥かに負担が少な

いんだけど……」

侑「それはダメ・・・・・・あのタイプの『

()』は、集まると形を持って更に強力になる

し、より命令に忠実に動くから、彼からの指

示で突破されてしまうわ」

藍「ですが、そこはリグルが押さえれば良い

のでは?」

侑「それもダメね……能力を拡大させて『コ』

を操れるといっても、元々は彼が作ったもの

……彼の方が影響力が強い、小さい一つ一つ

だからこちらが操れるのであって、寄り集ま

られると飛王(フェイワン)との結びつきが強固になって

  影響力において負けてしまうわ」

大「……なら、どうすればいいんですか?」

 

 とここまで、静かに聞いていた大ちゃんが

質問を投げかける。

集めた()を一体どうするというのだろう…

…あたいはそこで一つの答えを閃いたので声

を上げた。

 

チ「……そうか、法具だね」

 

 あたいのその声に頬を緩めたのは侑子だけ

でなく、紫もだった。

すでに気付いていたらしい。

 

侑「正解よ・・・・・でも、それの出番はも

う少し先だから、その時に説明するわ」

霊「もう、今言っときなさいよ・・・・・面

倒くさいわね・・・・・」

魔「そうだぜ!!出し惜しみはよくないのぜ」

侑「こういうのは最後の楽しみにとっておく

ものよ?それに、今説明してもややこしくな

るだけだし、無事に全部の『コ』を集められ

るかも分からないしね。だから、今のところ

は回収にだけ専念しなさい」

霊「えぇ、何が何でも集めてやるわよ!!博

麗の巫女を舐めないことね!!」

魔「私もいるぜ!!なんといっても異変の解

決者は霊夢と、この()!だからな!!」

 

 何気に魔理沙が自分の名前だけを強調した

のが気になるが・・・

しかし、その二人の威勢の良さは次の一言で

打ち砕かれた。

 

侑「いいわね~~!そのやる気、活気。うち

のバイトくんにも見習わせいわ……でも、ま

ぁアレを集めるのはアナタたちじゃないんだ

けどね……」

 

 侑子の最後の台詞にどこぞの漫画のような

盛大なズッコケを披露する二人。

 

霊「ちょ、ちょっと!!・・・・・どうゆう

事よ!!」

魔「そうだぜ!!私達じゃないなら一体だれ

が・・・・・・」

 

 そこでふと紫を見るともうすでに気付いて

居るようだった。

侑子も霊夢と魔理沙に別の仕事を振ってから

、こちらの方に視線をやる。

 

侑「その代わりにアナタたちには別の仕事を

お願いするわ。だから、集めてもらうのは…

………チルノ、そして大妖精……アナタたちよ」

チ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・」

大「わっわわわわわわ・・・わっ・・・・わ

たっ・・・私ですかぁぁぁっーーーっ!?」

 

 あたいは抗議の目で侑子を見つめ、大ちゃ

んは……可哀そうに、取り乱してしまっている

それに心なしか顔が赤いような気がする。

今にも泣きだしたいのではないだろうか。

 

チ「なんでだよ……大ちゃんは関係ないだろ…

……あたいだけでいいはずじゃないか……大ち

ゃんを危険に巻き込むなよ……!!あたいの

親友を危険に晒そうって言うならあたいは…」

 

 この話を降りる、と言いかけたところで…

……………

 

大「関係なくなんかないよっっ!!!!」

チ「!!!!っ・・・・・大ちゃん・・・・」

大「チルノちゃんの気持ちは嬉しいよ・・・

?私のことを思って言ってくれてるんでしょ?

でもだからって一人で背負い込まないで!!

・・・・・友達として、一緒に背負わせてよ

!私はチルノちゃんが一人で頑張ってる時に

自分は何もしないなんて耐えられないよ…そ

れなら、チルノちゃんの側で一緒に戦いたい

!!辛いことや苦しいことも、二人でいれば

半分にできる……」

 

 大ちゃんの言葉は素直に嬉しい・・・・・

・・・だが、あたいはまだ迷っていた。

大ちゃんに重荷を背負わせたくない、大ちゃ

んには辛い目に遭って欲しくない。

 

チ「でも……二人でいるから、辛いことや苦

しいことも二倍になるかもしれないよ?」

大「それなら!!その分、楽しいことや、嬉

しいことを私が頑張って二倍にするよ!!チ

ルノちゃんとだったらどんなことでも分かち

合いたい!!!私はどんな時だって、いつで

もチルノちゃんの友達だから!!!!」

 

 その言葉を聞いた時、あたいは目から涙が

溢れそうだった。

溢れて凍った涙が

宝石みたいになりそうだった。

でも、飲み込んだ。

宝石は心の中だけで充分だ。

代わりにあたいは笑顔を大ちゃんに向けた。

 

チ「うん……ありがとう……大ちゃん……一

緒に背負ってくれて……一緒に戦おう……

そして、絶対に勝とう!!!」

魔「ふふふっっ………………………

……ったく…チートカップルが……

霊「こりゃ、負けたわ……主役を取られるわけ

ね……」

藍「まぁ、なんというか・・・・・・おめで

とう」

橙「何だかわからないけど・・・・・おめで

とう!!」

紫「うふふふふ・・・・・・・」

侑「・・・・・・・ふ~~~ん……

ニヤニヤッ……」

 

 ん?何故か皆の様子がおかしかった。

まず魔理沙は最後のところがよく聞こえなか

ったし、霊夢はとりあえず、お株を奪われた

からだとしても、藍の祝いの言葉だったり(

橙も一緒)紫の含み笑いが、いつもの意味深

なものに若干微笑ましいものを見るような、

いや喜ぶところではあるんだけど、なんかそ

ういう意味合いではないような、そして侑子

の方を見ても、また顔を綻ばせていて、今度

はその中に悪戯っぽさも入っている。

一体なんなんだ・・・・・・? だがこれで

、一つの役が決まった。

となると後は必然的に

…‥‥

 

侑「さて、とても目に好いものも見れたとこ

ろで、霊夢、魔理沙アナタたちにやって欲し

いことを言うわ」

霊「やってやろうじゃない!!!」

 

 と意気込む霊夢。

 

魔「おうっ!!どんとこいっっ!!!」

 

 それに続くように威勢よく、二ッと笑い、

次の言葉を待ち受ける魔理沙。

 

侑「二人には博麗神社で、捕まえた『コ』を

見張っておいて欲しいの」

 

 その、なんというかあれだけ威勢よく出た

割に地味だったことが衝撃的

だったのか、一瞬言葉を失う二人。

 

霊「ま、まぁ?・・・神社の境内ならホーム

グラウンドだし?」

  (いつも縁側でまったりしている)

魔「……じゅ、じゅうようなのは……内容の方

……だぜ? 案外これが重要な役だったりし

てだな・・・・・・・・・別にこれが、只

の留守番なんじゃないかとかは……ぜんっぜ

ん!!………思ってないぜ?(汗)」

  (かなり思っている)

  

 そして、その反応を見て(かなり分かりや

すい)、説明に入る侑子

 

侑「たしかに、一見只のお留守番みたく見え

るけれど、これはさっき魔理沙が言った通り

、かなり重要な役……ある意味最も辛いかもし

れないわ。主に持久力的な意味で」

 

 その言葉にほっとしたように魔理沙と霊夢

が順に口走る。

 

魔「ホ、ホラッ!!……いった通りだっただ

ろ・・・・・?」

霊「まぁそうよね!!当たり前よ当たり前!」

 

 それには構わず、侑子は先を続ける。

 

侑「まず、これのキツいところの一つ目、霊

夢、アナタは蟲籠としての結界の維持に集中

しなければならないということ、『コ』は常

に結界から出ようとするから、それにも注意

を払わないといけない」

霊「……分かったわ、任せなさい!!」

侑「そして二つ目、魔理沙、あなたはその霊

夢を守らなければならない。その結界に近づ

くモノから…霊夢に仇なすモノから…でなけ

れば、結界を維持できない」

魔「……合点承知だぜ!!!」

侑「……以上よ」

 

 ん?二つだけ?そんな空気がこの場に流れ

始め、二人にも若干の気の緩みが出たところ

で、

 

侑「あと、この言葉を覚えておいて。霊夢、

アナタは魔理沙がアナタを守るためにどれほ

どボロボロになろうとその場を離れることは

できない・・・・・・逆に、魔理沙。アナタ

はその身がどれほど傷つこうと、霊夢を守る

ことをやめてはならないし、守り切らなけれ

ばならない」

 

 それは、その言葉はあたいたちにすら、変

えようのない現実、揺ぎ無い流れであるとい

う事をまざまざと見せられたかのような…こ

の後に起こる未来を宣告されたかのような……

それでいて、そのことに負けないで欲しいと

いうネガイも添えられたような…そんな印象

を与えた。

そして、霊夢と魔理沙に告げられたことの通

りならば、あたいと大ちゃんは……

 

侑「そして、もしかしたら気付いているかも

しれないけれど……チルノ、大妖精……アナタ

たちは一刻も早く、できるだけ早く、この異

変を収束に導かなければならない……そうで

なければ……わかるわね?」

 

 あたいの頬を、本当に久し振りに汗が流れ

て、頬にある間に小さい結晶になって床?に

落ちた……。

途端に呼吸が早くなり、息が上がってくる。

ハァッ!ハァッ!という自分の荒い息遣いが

聞こえる。

侑子の言う意味、あたいと大ちゃんは……霊夢

と魔理沙が体力を削られて力尽きる前に、()

を全て集めなければならないということだ。

それは、つまり、霊夢達の命は……あたいたち

が握って………!

 

チ「はは………まったく、ハードだよね……」

大「大丈夫だよ……チルノちゃん……」

 

 その時、あたいはいつの間にか親友に抱き

締められていた。

なんだか…とても温かくて、安心する。

 

大「私たちは負けないよ……絶対に負けたり

なんかしない!!!だから、こんな異変(こと)

く終わらせよう!! それで、みんなでまた

一緒に遊ぼう!!」

 

 その言葉に何回救われたか、その笑顔に何

回力をもらったか、もう数えてないけれど、

でも何回でもあたいはこう返すだろう。

 

チ「ありがとう……あたいと、友達になって

くれて、ありがとう。支えてくれて……あり

がとう」

大「もう、チルノちゃん?そういうのは全部

終わってから言うんだよ?」

チ「うん・・・・・・!!・・・・ゔんっ…

……!!!」

 

 あたいは気付くと目から、大粒の涙の宝石

を落としていた。

ああ……とうとう堪え切れなかったか。

泣かないと決めていたのに。

 

霊「まったく……ちょっとちょっと~~~!!

なんて顔してんのよ……まるで、私たちが少し

も持たずに負けるみたいじゃない!!!」

魔「そうだそうだ!!何てったって、あの霊

夢とこの私がやるんだぜ?向かってくる奴な

んざ、全部まとめてぶっ飛ばしてやるよ!!

主に私が!大丈夫だ!!大船に乗った気でい

ろ!!!……じゃないと逆に失礼ってもんだ

ぜ?」

 

 全く、泣くなと言いながら更に泣かすよう

なこと言うなよ……そんなことを想いながら、

あたいは目の涙を拭い、霊夢と魔理沙に心か

ら感謝した。その時あたいは気付かなかった

けど、藍や紫、橙も温かい視線を送っていた。

 

侑「やっぱり、アナタたちで良かった。アタ

シの目に狂いはなかった。 最強のコンビと

()()のペア……アナタたちのカクゴ……確かに受

け取ったわ。そして、行きなさい。過酷な試

練の先にある楽園に……そして、本当にごめ

んなさい。私にできることは…ここまでが限

界……」

 

 そして、侑子も最初の憂いを帯びた表情に

戻り、その中に罪悪感が見て取れた。

そこで、霊夢が、それに続いて魔理沙、藍、

橙、大ちゃん、紫、そしてあたいもそれに続

いた。

 

霊「そんなに謝るようなことじゃないでしょ

?……まぁ、確かにあんたにも落ち度がある

んだろうけど、それを言うならそこのスキマ

妖怪だって…なんなら 私だって、幻想郷に

侵入を許すようなヤワな結界を張って満足し

ていたのもたちの落ち度ってもんじゃない?

………っていうか、異変の元凶とかじゃないな

ら私はぶっちゃけどうでも良いわ」

魔「まぁ、何せそこのスキマの謳い文句は、

『幻想郷は全てを受け入れる…それはそれは

残酷な話ですわ…』だもんな~~~!! そ

の結果、害あるモノを受け入れてりゃ世話ね

ぇぜ!!」

藍「私は紫様の式ですが、これだけは言わせ

て頂きます。これを機にたまにはご自分で

結界をご確認されては如何ですか?」

橙「私も藍様の式として、まだまだ修行が足

りません!!こういう時にお役に立てるよう

、足を引っ張らぬように精進します!!」

大「何も、侑子さんだけが悪いわけありませ

ん。というか別に、私には悪いとも思えませ

ん。相手の方が予想を超えてくることだって

当然あるでしょうし、それが起きたからって

侑子さんが責められるべきとは思え無いです。

確かに、ルールはルールなんでしょうけど、

それでも私は侑子さんを責められません。そ

れどころか、感謝してもし足りないくらいで

す。見ず知らずの私たちのためにここまでし

てくださって……本当にありがとうございます」

 

 そう言って深々と頭を下げる、大ちゃん。

それを見る侑子の顔は先ほどまでの憂いの表

情に少しの嬉しさと苦しさが混ざったようだ

った。

 

紫「まぁ、霊夢の言う事にも一理あったり、

無かったりよ(霊「いや、あるでしょ」)あ

なたは世の理に従って行動してきた。今回も

それに準じて貰うので十分。別にあなたから

の謝罪は必要ないわ。まぁ、その気持ちは頂

いておくけれど」

チ「あたいも……侑子が悪いとは思えない。あ

たいも大ちゃんと同じだ………一応、感謝はし

てる……ありがとう」

 

 各々、思いのたけを述べる。それらを聞き

ながら、少しだけ微笑み、感謝の言葉を侑子

は口にした。

……と、そこで紫が皆の斜め前方を扇子で指

しながら話す。

 

紫「それじゃ、皆……お互い、頑張りましょ

う? そこに出口を作るから先に行っていて

頂戴」

霊「……あんたはどうするのよ」

紫「私はまだやる事があるから……大丈夫、

そんなにかからないし、私なら終わってすぐ

スキマ(これ)で移動できるから」

霊「まっ、それもそうね………じゃ、できる

だけ早く来なさいよね!」

紫「言われなくてもそのつもりよ」

魔「そう言えば霊夢……おまえ、かなりのダ

メージ負ってたはずじゃないか?実は私もや

ばかったんだけど、私は回復薬を持ってきて

たから何とかなったんだ。でもお前はどうな

んだ? いざことに当るって時にへばられち

ゃ、たまったもんじゃないぜ?」

霊「私を誰だと思ってんのよ……確かに能力

の影響下にあった時はやばかったけど、外れ

て少しすれば元に戻るし、戦闘の疲労もこの

空間は立ったままに見えて横になっているの

と全く変わらないくらい楽だったから、その

状態で何時間も過ごせば流石に全快するわよ」

 

 そして、紫、藍、橙の八雲一家以外の全員

が出口に向かって歩き始めた。

その時、最後尾を歩いていたあたいはふと紫

とすれ違い様、ふと疑問が浮かんだので問い

かけることにした。

それに伴い皆も足を止める。

 

チ「ねぇ、紫……一つ聞いてもいいかな?」

紫「なにかしら?」

チ「紫たちがあたいたちを助けてくれた時、

スキマの中に引っ張り込む直前のあんたの顔

が気になって……あの時、なんで焦ってたの?」

紫「何でって……それは、あなたたちが影に飲

まれる寸前だったからとは思わなかったの?」

チ「最初はそうなのかとも思ったけど、それ

にしては……」

紫「切り替わりが早かった?……それとも若干

嬉しそうなのが顔に出てたかしら?」

 

 やはり、何か様子がおかしかったと思った

から質問してみれば案の定、()()()()()()()()

 

チ「どっちもかな………で、それはどうして?」

紫「本当に知りたい?」

チ「うん、まぁ……ちょっと引っかかるって

くらいには気になってるからね」

紫「・・・まぁ、良いでしょう……戦いには

万全を期して貰いたいものね……気になって

いたことが原因で負けられても困るもの……」

チ「いや、そこはもう戦いにの方に集中する

けど………」

紫「実はね、あなたに憑いていた()なのだけ

れど、とんでもなく大きなモノだったのよ」

チ「・・・・・・・・・・・・」

紫「大きなモノというのは、この場合、見た

目のことじゃなく、途轍もなく強力なものと

いう意味よ」

 

 紫の言わんとしていること、それはつまり

…………

 

紫「そう……最初に見たときは驚いたわ……あ

なた、あんなに強力なモノで押さえつけられ

てるのに、()()()()()()()()いるのだもの」

 

 とても愉快そうな笑みを湛えながら紫はそ

う続けた。そうか、助けたときとその直後の

表情の理由(わけ)はそういう事か・・・・・・

 

チ「つまり、焦っていたのはあたいの妖力(ちから)

予想以上に強くて、それを影に取られそうに

なっていたからで、そして嬉しそうだったの

は、奪われる前に救い出せたからか……」

紫「ええ、その通りよ♪ あの時は流石に肝

が冷えたわ……所で、氷精さん?あなた……そ

の力の貯蔵の為に何回死んだか覚えてる?」

チ「そんなもの、覚えていられるわけないし

………覚えたくもない」

 

 あたいは心底忌々しそうにそう言い放った。

 

紫「そう………」

チ「でも………一分間にどのくらい死んだかな

ら……印象深かったから覚えてるよ」

 

 あたいの一言で、また場が騒然となる。

 

霊「ええっ!!?」

魔「マジか………」

大「チルノちゃん……………」

藍「………凄まじいものだな」

橙「へぇ~~~~~~……」

侑「・・・・・・・・・・・」

紫「で、何回?」

チ「……大体五秒に一回死んでたと思うから、

十二回くらいかな」

 

 周りから息をのむ気配が伝わる。

うん、まぁ……そりゃ、引くよね。

一分間に十二回も死ぬような行為を時間の続

く限り、それも途方もなく長い時間(とき)を使って

やってたんだから。

 

紫「ありがと♡・・・・・・それで、もう質

問は終わりかしら?」

チ「うん、あたいからは以上だよ……こっち

こそ、答えてくれてありがとう」

 

 そして、大ちゃんから順に、侑子と紫らに

向けて出発する旨を伝える。

 

大「それでは、行ってきます!!!」

チ「まぁ……そこそこ期待してまっててよ」

霊「紫!!あんた、この異変が解決したらあ

んたの奢りで宴会しなさいよね!!

わかった!?」

魔「まっそのくらいは当然なんじゃないか?

何せ幻想郷の危機を()()()()()()()()救うん

だからな……それ相応のリスクに対するリタ

ーンってやつだぜ!!」

紫「わかったから!!……早く行きなさい! 

まったくもう、気が早いことだわ……」

 

 紫にそう促され、次々と、じゃーな!、や

、頑張ります!!、宴会でまた会いましょう

!!などの台詞を口にしながら次々にスキマ

の外に消えていく今回の立役者たち。

そしてあたいも、その一人だった。

最後にあたいも、それじゃ、また……とスキ

マの外に消えた。

 

 

 

紫side

 

 

 

 

 

 自身の支配する空間であるここで、私と私

従者(しき)とその式が、目だけの暗い空間に浮か

ぶ映像の中の友人と向かい合っていた。

 

侑「・・・・・・それで?私に何か聞きたい

ことがあるんでしょう?紫……」

紫「先ほど、あなたはこれは自分の落ち度だ

から対価は発生しないと言っていたけれど…

ある意味の対価はちゃんと発生しているわよ

ね?」

藍「!?……どういう事ですか紫様……まさか

この者が嘘をついていると?そんなようには

見受けられませんでしたが……」

紫「……ええ、別に嘘を吐いていたというわ

けではないわ……現に、こちらからは何も渡

していないのだから……そうよね侑子」

侑「ええそうね・・・いつも、というか大

抵はアタシに何かを渡して貰う必要がある

んだけど、今回はそれに当てはまらない…

…何かを行動するときにはその行動に対す

る責任が伴う。その行動を選択するときに

同時についてくる結果……そういうものも

対価には含まれる……それを貰ったのよ」

紫「今回でいえば、先ほど侑子が霊夢に対し

て宣告した、行動に対する結果……自身は結

界の維持に集中し、なにがあっても動いては

ならない。魔理沙に対しては何が何でも霊夢

のことを脅威から守らなければならない……

とかそんな感じ」

藍「?・・・しかしそれは、そう教えられて

そう行動するのですから当然というか……」

紫「そうね、例えば、目的地に向かうのに徒

歩で向かうとして、そのために足を痛めるか

疲れさせるといった具合に……切っても切り

離せない関係にある、ということよ」

侑「その通り、その行動の代償として支払う

もの……それが今回の対価ということになる

わ」

 

 その言葉を発するときの侑子は先ほどより

もどこか申し訳なさそうにしていた。

 

紫「でも、自分に落ち度がある手前、そのこ

とは言い出せなかったのでしょう……まぁ

……言わないでいてくれた方が話が単純で助

かるのだけれど」

藍「それでは、チルノや大妖精に課せられた

対価は、霊夢や魔理沙が力尽きる前に出来る

だけ早急に()を集めること、という事になり

ますね」 

紫「本来なら、それに加えて、侑子に対価を

支払わなければならないのだけれど……」

侑「今回は……本当に信じ難いことだけれど、

私が間違ったことによってアナタたちに危機

が迫り、それにもかかわらずアナタたち自身

が対処せねばならないという対価を既に貰っ

ているような状態……だからこちらが支払わな

ければならない」

紫「例の法具をわたすことと、対処法を教え

ること……ね」

侑「そういう事」

藍「……そのような裏があったのですね」

紫「ええ……ややこしいことにね……」

 

 その事情の複雑さに私が閉口していると、

侑子から話を振られた。

 

侑「それで、ほかに聞きたいことはない?」

紫「まだあるわ……ここが肝心なんだけれど

……侑子、私たちはまだ存在する()を見つけ

て、捕らえる為にチルノと大妖精(あの子たち)についてい

けばいいのよね?そして、「蟲を操る程度の

能力」を持つ彼女……リグルを見つけ出して

能力を拡張する」

侑「そうね、それで合っているわ……まぁ、

実際、どんな手法を取るかはアナタたちの自

由だけれど」

紫「でも、見つけられてない状態で、()

剥がしたらどうすればいいの?」

侑「それは……もうその場でアナタが消すか、

先にその子を見つけるかの二択になるわね。

でも……アナタなら見つけることも容易いはず

……問題はないでしょう」

紫「確かに、そうね……すぐに見つけられる

でしょう。つまりは私が最初にすべきなのは

リグル・ナイトバグを見つけて保護、若しく

()から引き剥がして正気に戻すことね……

わかったわ」

藍「一つお聞きしても宜しいでしょうか?」

 

 ここで藍が侑子に質問を投げかける。

 

侑「なにかしら?」

藍「私や紫様は()を見つけて、剥がす役しか

できないのでしょうか?戦闘に参加すること

は? そして、紫様の境界操作で意識を奪う

こともできると思うのですが」

侑「それは、アタシに聞くよりも紫に聞いた

方がいいんじゃない?」

紫「藍、それは確かに考えたのだけれど、無

理だという結論に至ったわ」

藍「?……何故ですか?」

紫「その影……『コ』には私への対策がされ

ていた。一度あの永遠亭の兎さんの影を意識

がある状態で引き剝がそうとしてみたのだけ

れど、無理だったし、意識を奪ってからやろ

うとしたら今度は私の境界操作を伝って私に

取り憑こうとしてきたわ」

藍「そ、そのようなことがあったのならもっ

と早くに仰ってください!!!紫様の身に何

かあったらどうするのですか!……し、しか

しあの時は境界であの影を……」

 

 自身の危険を黙っていたことを咎める私の

優秀な式、流石に驚きを隠せないようだ。

 

紫「それは完全に閉じ込めることができたか

らなのと、その前段階の切り離しの時は、相

手の意識が無い状態だったからよ」

 

 私とて出来ることならばそうしたい、その

方が確実で早いからだ。

だが、現実はあの影共には私に対する創意工

夫が凝らされている。

悔しいことに、条件が整わない限り手も足も

でない。

しかし私はあの子達……特にチルノなら出来

ると確信している。

 

藍「ならば、戦いに参加することは?」

紫「それはできるかも知れないけれど、精々

助力する程度ね……それ以上深入りしたら却

って足を引っ張りかねないわ」

藍「それでは・・・・・・本当に」

紫「ええ、私たちにできるのはリグルを見つ

け、能力を拡張して協力してもらうことと()

を見つけて剥がすことだけ……だから、藍、

橙、頼んだわよ?」

藍「?それは一体、どういうことですか・・

・・・・? あ、いえ……無論、全身全霊を

尽くすつもりは有りますが」

橙「わ、私もですかーーーー!?でも、私も

頑張ります!」

 

 橙の方は藍が用いられることは不思議に思

っておらず、自身にまで話が来たことに驚い

ている。一方藍は何故自分に任されたかよく

わかっていない。

 

紫「……何度も言うようだけれど、あれには

私への徹底的な対策が施されている。それは

感覚に対してもそうなのよ。私にはあれがど

こにいるのかわからない」

藍「しかし、鈴仙の時には……」

紫「あれは実はあの医師(せんせい)から(うどんげの様

子がおかしい)と相談されていたから少しだ

け気になって、彼女の内を覗いたらそこに居

たというだけの話。そしてその覗く行為も危

険な橋だったわ。覗くと同時に乗り移ろうと

してきたから」

藍「なるほど……(あの時、私を試されたの

()を見つけられるかどうかを見るためだっ

たのか。しかしなぜ私ならできると思われた

んだ?)」

藍「しかし、なぜ私にそれができると?」

紫「それはあの影はあなたのような妖獣には

とても不快なモノ。もっと言えば獣達にとっ

て不快なのよ。つまり、あの時それと分かっ

たのはあなたの獣の部分が反応していたから

なの。獣にとってはあの影のようなものは気

持ち悪さしかないんでしょうね……まぁ、私

も見ていて気持ち悪いけれどでも敏感に察知

できるほどではないわ。それと何故獣があれ

を嫌いなのでは、と思ったかというと、最初

に隠岐奈の部下二人を運んだ時、周りには動

物の気配が全くなかったから。まるで何かか

ら逃げるかのように。その場には私とその二

童子しかいなかったからよ」

藍「……よくわかりました。ありがとうござ

います!!不肖この藍、全身全霊でお手伝い

させていただきます!!」

橙「それなら・・・・・・私も!?」

紫「ええ、感じ取れるはずよ」

橙「やったあぁ~~!! 私もお役に立てる

ように頑張りますね!!」

 

 その全開の笑顔に藍も顔が綻んでいたのは

言うまでもない。

その後、二三の会話をして、私たちは霊夢た

ちのところへ向かう為、先ほど自分が作った

出口へ向かった。

 

紫「それじゃあ、行ってくるわ。またね、侑

子……」

藍「行って参ります」

橙「行ってきます!!!」

侑「ええ、行ってらっしゃい……健闘を祈るわ」

 

 侑子にそう送りだされ、出口からスキマの

外へ吸い込まれる私たち。

そうして、残った空間には侑子の移る映像だ

けがポツンと浮かんでいた。

 

侑子side

 

 

 場所は日本の某所、周りをビルに囲まれた

その店の中にある倉庫の更に中で、数多くの

物品に囲まれながら、カガミの前に立ってい

る。

そこで、誰にともなく、一人呟く。

 

侑「どうか彼女らの行く末に幸多からんこと

を」

 

 そして倉庫の中に渡すことを約束した物品

を探しに歩いていき、その目的の品物が目の

前に現れると、それを手に取る。

 

侑「これも運命(さだめ)なのかしらね……クロウ」

 

 

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ああ~~~!!難しい~~~!!特に解釈とか、兼ね合いとかが激ムズです。
というか、早く戦闘が書きたい!!(下手だけど)というかお待たせしすぎて、申し訳ないので、次からは大盤振る舞いします!!!(←多分)
あ、あとこれは興味本位で聞くのですが、飛王さんが紫にだけ対策して、ほかの人がノーマークな理由……わかる人います?確かに、ゆかりんの能力は厄介でそれをされると飛王さんもストレスがマッハですけど、でもここまでの展開が読めないもんですかね?
ゆかりんを知っていたら他の妖怪とかも知っているはずなのに何故、何でしょうね?
な~~~ぞ~~~~で~~~す~~~ね~~~~WWW

というわけで、次のお話でお会いしましょう。さよなら~~~~
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