東方氷異伝   作:城が猫

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感想をくれた方ありがとうございます!!執筆の励みとさせていただきます!!
そして今回の話はこれといった戦闘を出せませんでした。・・・・・つ、次こそは(汗
あと、今回の話はちょっとした調整でもあります。・・・・だってチルノさん強すg・・
それと大妖精さんのスペカは完全自作です。・・・・・ですよね?だって無いですもんね?
これからも大ちゃんさんのスペカは勝手に作っていく予定なので、楽しみな方は楽しみにしといてください。
やっぱ、チートは気持ちいいZOY!!
・・・・では本編です。


第十二話 氷京

 スキマから出ると()()()()()にスキマに入

った時とほとんど変わらない景色が目の前に

広がっていた。

ここは、あたいの作った氷球というか氷壁と

いうか氷のドームのなかである。

既に敵はここにはおらず、外に出ているらし

い。

他の三人も油断なく辺りを見回していると、

形容し難い音共にスキマが開き、中から紫た

ちが出てきた。

その瞬間を目撃した霊夢が、到着の速さに驚

く。

 

霊「ちょっ・・・・いくら何でも早くない?」

紫「だから…時間の流れを弄ってあるって言

ったじゃない……向こうでは結構長く話した

けど、ここでの時間は一瞬なのよ。それに、

その方が都合が良いでしょう?」

 

 霊夢と紫が話している間にあたいはドーム

に開けた穴を直していた。

あたいと大ちゃんが逃げるために開けた穴だ。

霊夢と紫が、そりゃそうだけど……そうでしょ

う?などと話している横で、魔理沙と藍も、

なに話してたんだ?、今後の予定等を話して

いた、など話している。

そこであたいは大ちゃんが小刻みに震えてい

るのに気付いた。

 

チ「・・・・・・大丈夫?大ちゃん?」

大「・・・・・・う、うん・・・・・・大丈

夫だよ!!」

チ「嘘だよ・・・・・・」

大「えっ ……そんなこと………(本当は怖い

、チルノちゃんが遠くに行ってしまいそうで

)」

チ「本当は怖いくせに……ほらっ……」

 

 そう言って微笑みながら、手を差し出すあ

たいに大ちゃんも微笑み返し、そして手を取

った。

 

大「ありがとう!! これでもう怖くない!

!!(私がいまここに居るのもここに立って

いられるのも全部チルノちゃんのおかげ。だ

から、今度は、私が!!)」

 

 大ちゃんの手を取った瞬間、自身の中にあ

った不安が嘘のように消えた。

なんだかんだ言っても、あたいは親友には敵

わない。

勇気づけるつもりが逆に勇気づけられてしま

っている。

本当は自分が怖かったのかもしれない。

今手を繋いでいる親友を、あたいのかけがえ

のない仲間たちを・・・・・失うことが。

……その時、嫌な気配を全身で感じた。

そして周りをみると、全員油断なく、あたい

が向いたのと同じ方向を向いていた。

各々臨戦態勢をとる。

 

チ「………来たか」

大「うん……」

 

 あたいは氷で刀を作り構える。

(大ちゃんの手を片方繋いだまま)

 

紫「ここからが本番よ……」

 

 紫は今一度スキマに入り上半身だけを出し

た格好になる。

 

魔「任せろ!!一気に決めてやるぜ!!」

 

 魔理沙はミニ八卦炉を構える。

 

霊「ちょっと…人質いんだから加減はしなさ

いよ? 魔理沙……」

 

 霊夢も大幣を構える。

 

藍「では……少々キツいお灸をすえるか……

操られた者ではなく()()()()()()()…………

行くぞ!橙!」

橙「お任せください!!!」

 

 藍と橙もそれぞれ手を向いている方向に出

し、そして構える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、その時は訪れた……。

バァン!!キャラ・・・・・キラ・・・・

 

突如、氷のドームが真ん中の頂点部分から割

れたと思ったら、そこから一気に雪崩込んで

きた。

最初は文、次いでピース、ラルバ、リリー、

サニー、ルナチャ、スターの順だった。

そう、あたいたちが向いていた方向とは上で

ある。

そして、最初の頃とは比べものにならないほ

ど強力な弾幕がとっさに張られた霊夢の結界

を叩く。

こちらも弾幕を展開しようと皆が身構える中

で、あたいは大ちゃんにこう頼んでいた。

 

チ「大ちゃん、あの子達のところまで()()()

?」

大「うん、大丈夫だよ。任せて」

 

 すでに弾幕の嵐が飛び交っている。

 

チ「じゃあ、あたいが手を軽く握ったらそれ

を合図にとんでね!」

大「うん!分かった」

チ「それじゃあいくよ………せーのっ!!」

 

 そう、一息に言った瞬間にはもう全て終わ

っていた。影……侑子の言うところの『コ』

に囚われた者たちは皆、氷漬けになって地面

に転がっている。

恐らく意識はないだろう。

当然、弾幕の嵐も止んでいる。

 

大「す……すごい!!」

 

 驚嘆に息をのむ大ちゃんの横で血振りをす

るように刀を振り払い、そのまま刀を消滅さ

せる。

勿論、手はまだ繋いだままだ。

 

魔「おいおいおいおい………」

霊「まったく………最早化け物ってレベルじゃ

ないわよ?」

橙「えっ……なになに?……何が起きっ……て、

えぇぇぇぇぇええぇぇぇ!?」

藍「なっ!!・・・・・・まさかここまでと

は・・・・・・一瞬だと!?(普段の妖精相

手なら私でも圧勝できただろうが、全体的に

強化されている上、あの射命丸文まで居ると

いうのに……!!)」

紫「!!!っっ・・・・・・・・・・ふふっ」

 

 

 

紫side

 

 

 私は目の前で親友(だいようせい)の手を握る自らの作品

に息を飲むとともに、高揚感を抑えながら眼

前の美しい光景に見惚れていた。

その作品(しょうじょ)の周りにはいくつも微細な氷が舞

い、夜にも関わらず光を吸光し、微かに輝く

……その情景と少女に心の中で敬意を表し、

眺めながら私はつい先刻までいたスキマのな

かでの会話を思い出していた。

 

 

 

 

~回想~

 

 

私たちは今、私の作ったスキマ空間で他に話

すべきことは無いか精査していた。

その時、ふと侑子が、

 

侑「ねぇ、紫? 一つ質問、良いかしら?」

紫「なぁに?侑子」

侑「さっき・・・・・自分たちが入ると却っ

て、あの子……チルノの足手纏いになると言

っていたけれど、どうしてかしら?・・・あ

と…あの子の膨大という言葉ですら足りない

ほどの妖力は?」

紫「……侑子はさっき、あの子が氷河期に何

回、死んだかを話たのを覚えている?」

侑「ええ、確かに聞いたわ。一分間におよそ

十二回……だったかしら?それがあの子の膨

大すぎる力とどう関係しているの?」

紫「それを話すには、あの子が氷河時代にど

れほどの妖力を持っていたかと、あの子を誰

も届かない高みへと押し上げる私の計画のこ

とを話さないといけないわ」

 

 そうして、私はチルノ強化計画の全貌を話

始めた。

 

紫「まだ、あなたには話してなかったわね…

…私は未来と現在の境界を弄って、未来の幻

想郷を見た。そこで、荒廃した幻想郷の姿を

見た私は、今幻想郷にいる者たちのなかで一

人、というか一匹に目を付けた。

それがチルノよ。そのチルノを妖精のとある

性質を使って、強化しようと考えた。この際

なぜチルノを選んだかとかは省くわ話がやや

こしくなるし、あとでどうせ分かることだか

らね。……さて、今の幻想郷に居るチルノを

強化しようとしたらとてもじゃないけど時間

が足りない。そこで、この幻想郷に来る前の

チルノに細工を使用と考えたの。まずは、未

来と現在の境界を弄った要領で過去と現在を

弄り、予め用意しておいた結界や術式を行う

のに必要な書物とそれらを読めるようにする

ための語学の書物を、弄ってすぐそこに見え

ている過去の地球……およそ24億年前の氷河

時代にそれらを投げ入れた。それだけすれば、

後は、氷河期が終わりを迎える頃を狙って弄

りあの子探すだけ……探すのは妖力のを感知

するだけで良いからそんなに掛からなかった

わ……。でも、嬉しい誤算という奴ね……地球

最初の氷河期の終わりを見てもまだ、あの子

は作業を続けていた。恐らく、作業に夢中で

気付けなかったんでしょう。そしてさらに、

二つ目の氷河時代クライオジュニアンに突入

してその終末期にようやく止まった。……最

初の氷河期が3億年、次の氷河期が2.2億年

だったわ。そして、2.2億年の方は地球が全

面氷で覆われるほどの大寒波………その時の

氷精(チルノ)のの妖力は私のものを軽く超えている。

最初は私と同じくらいだったけれどね……因

みに便宜上私の妖力を百とすると、妖力が最

盛期のクライオジュニアン時のあの子妖力は

百八十ぐらいまであった。と、ここで至極単

純な計算をしましょうか……ふふっまず、一

分間に死んだ……あの子が自身を術式を使っ

て結晶の中に封じた回数が十二回……ええ、

そういうこと。死んだというのは、あの子が

自分の体を全部単純で純粋な妖力に変換して

、結晶の中に込めたという意味。そして、妖

精はそこに自身の元になる自然がある限り何

度でも復活する。あの子の場合は冷気……そし

て、その復活を早めるための結界も施してお

いた上でそれを行った。それが十二回、次に

1時間は60分で12×60、その次は1日は24時

間で12×60×24、更に1年は……これはうるう

年などもあるけどここでは考えずに365日だ

として、12×60×24×365……ここまでざっと

計算すると、530720。つまり、1年間の間

にそれだけの回数、己自身を妖力として丸ご

と結晶の中に込めた事になる……もう分かる

かしら?でも一応言わせて頂戴……そこに、

3を掛けると1592160、530720にもう一度

、次は2.2を掛けると1167584、更にそれ

に180を掛けると210165120、1592160

の方にも100を掛ける……159216000・・・・・

・最後に、その二つを合計すると……」

 

 ここで、侑子が答えを合わせるかのように

口を開いた。

 

侑「369381120……」

紫「ご名答♪……なんだけれど、それの一の

位には億が入るわ……だから、正確には三京

六千九百三十八兆一千百二十億よ。それと彼

女は妖力の結晶を十に分けているから……結

晶一つに、三千六百九十三兆八千百十二億も

の力が凝縮されている……実際は役割ごとに

妖力の割り振り方に差があるかも知れないけ

れどね……そして、制御力の方は例え妖力の

規模が100以下になったとしても霊夢に弾幕

勝負で()()できるほどに高められている」

 

 余りの規模の大きさに圧倒されていたのだ

ろうか……ここまで黙って聞いていた藍が恐る

恐ると言った調子で質問してきた。

 

藍「…まさか……そこまでとは……しかし、紫

様……ならばなぜチルノは苦戦を強いられて

いたのですか? いくら()が憑いていようと

そのような莫大で膨大な妖力を抑えきれると

は到底思えないのですが……」

紫「それは、チルノのその妖力は結晶からの

供給によって成り立っているからよ。

 ()はそれを阻害することで、チルノの力を

抑えていたの……ちょうど、池の水を田んぼ

に引いてくる時に堰で塞ぐようなものね……」

藍「なるほど……それでも尚動き回ったり、

剰え相手を圧倒するとは……底が知れません

ね」

紫「ふふっ……そうでしょう?」

 

 とそこで、侑子が話始める。その顔はどこ

か諦めたような、そして何かを慈しむかのよ

うな雰囲気なのが見て取れた。

 

侑「つまり、彼女は途方もない長い時間と、

身に余るような激痛や苦痛、そしてその長い

時間のの中、その身を激痛に晒され続けるこ

とを対価に今の力を得たということね」

紫「そういう事」

侑「しかも、それは必然的に過不足なく等価

で、その道を選んだもの彼女自身の選択……

彼女がそう望んだから……あなたが本を投げ

入れたのは単なる切っ掛けに過ぎないと……

まったく、恐ろしいことを考えるわね……は

っきり言って、反則ギリギリよ?」

紫「まぁ、いいじゃない……ギリギリセーフ

なのでしょう?」

 

 そういう私の目は愉悦に歪んでいたと思う

。我ながら、選択の余地があったのだとは言

え彼女に苦痛を強いたのは悪どいとも思うが

、それでも私は幻想郷を守る立場にあるし、

あの地を心から愛しているのだ。

だから仕方がなかったと諦めてもらうほかな

い。

 

 

~回想終了~

 

 

 

 

チルノside

 

 

 

 

 何故か、後ろから視線を感じる。ふと振り

返ると紫が目を細めながらこちらを見ていた。

それはまるで眩し、自分には手の届かないも

のを見るかのような視線だったように思う。

そして、再び前を見ながらあたいはあの激痛

に塗れた日々を思い出した。

実際にそうだが、あれはもう遥か昔のことの

ように思う。

だが、あの痛みはまだ昨日のことのように思

い出せる。あの時はもうすぐに氷河期が終わ

ると焦っていたが、本当はそんなことはなく

、ただ単に冷気に上がり下がりがあるだけで

、その先もずっと続いていた。

でも、そんなことは実はどうでも良くなって

いた、たしかに激痛は耐え難かったし、果て

しなさにうんざりすることもあったが、それ

以上にこの激痛を極めた先にあるものを見て

見たくなってしまったのだ、どこまで貯めら

れるのか、どこまで上がるのかと、その興味

の方がいつも勝っていた…………

だから止めなかった………

やめようと思えば、いつでも止められたはず

なのに……挫けそうになる度、もう少し先は

何があるのか、という興味があたいの背中を

押した。

でも後悔はしていない、あの苦痛に満ちた日

々のおかげでこの力があり、この力で守りた

いものを守れる……一緒に背中を守り合える。

共に戦える。

あたいはもう最強でもなんでもないけれど、

皆の役に立つことができる。

それをとても嬉しく思う………

 

チ「これでもう……この場は全部かな?」

大「そうだと思うよ!チルノちゃん!!」

 

 大ちゃんが笑顔でそう答える。

それに呼応するように全員が周りに集まり口

々に話す。

その中で紫が直ぐに作業に取り掛かる。

境界で引き剝がす作業だ。

 

霊「やるじゃない!!この調子でちゃっちゃ

と片付けちゃってよね!」

魔「やるな!!これは期待できるぜ!」

藍「…ああ、これならば、すぐにでも終わり

そうだ」

橙「そうだそうだ!!やっちゃえ!やっちゃ

え!!」

紫「それじゃ、さっそく始めるわね……」

 

 紫が境界を操作して、射命丸文、リリーホ

ワイト、エタニティラルバ、サニーミルク、

ルナチャイルド、スターサファイア、クラウ

ンピースの計七名の体から()が離れていく、

それに対しすかさずお札で結界を施す霊夢。

そうして、皆がこの圧勝に湧き上がるなかで

、あたいはふとリリーホワイトに貸したまま

の放出の結晶を思い出し、それを取りにリリ

ーホワイトの元へ行き、今は流石に返して貰

わないとな……などと考えながらそれに手を

伸ばした。

 

 

 

 

 

~異界某所~

 

 

 

 

 

 

 わずかな明かりを放つ鏡の向こうでは、初

勝利に沸き立つ少女たちの姿が映っている。

その中では自身が差し向けた影のような不定

形な生物は捕らえられ、操っていた者たちも

今は、安らかな様子で横たえられている。

その者にとっては全く好ましくないような状

況であるはずにも関わらず、映像を眺めるそ

の男は不敵に口の端を釣り上げていた。

 

飛王・リード=飛

 

飛「総ては……これより行われる……」

 

 仄暗いその空間の中で彼の者の声だけが不

気味に響いた。

 

 

 

 

~博麗神社~

 

 

 

 

 

藍side

 

 

 ……何かがおかしい。確かに、上手くいく

に越したことはないのだが、何かが引っかか

る。

そこで、辺りを何気なく見回してみる。

紫様が既にチルノによって凍結を解かれた者

たちの()を取り払っている……その取り払わ

れた()が霊夢の結界に捕らえられ、地面をの

たうち回るのが目に入る。

魔理沙も霊夢を守るため周囲に目を光らせて

いる。

大妖精は処置の済んだものを介抱し、横に寝

かせている……橙は私の隣に控えている。

そこでチルノの姿を探してみると、チルノは

寝かされたリリーホワイトの傍に行き、何か

に手を伸ばすところだった。

それは、話にあったチルノの結晶のようだっ

た。

だが……何かがおかしい、そう思い、そこに

感覚を集中するとそこには……()の気配が纏

わり憑くようにそこにあった。

止めさせなければ!!!と思うと同時に叫ん

でいた。

 

藍「チルノ!!!それに触れてはいけない!

!!!」

 

 だが、もう間に合わなかった。

私の声に振り向く頃にはもう、チルノは結晶(それ)

に触れていた。

 

チ「え?……藍、どうし……? うっ……うぐ

ぁぁあああああ!!・・・・・」

 

 結晶から影がチルノを覆うように広がって

いき、チルノを取り込もうとする。

(まず)い!なんとかしなければ!とそう考え、

すぐに紫様と霊夢の方を見るが二人とも既に

私と同じ考えに至っていたのかもう行動に移

っていた。

紫様がチルノと影の間の物理的差で境界を引

き、広げ、その隙間に霊夢が結界を張って、

チルノを影から守る。

 

チ「はぁ……はぁっ!!……うっうぐぅぅぅ

っ!!」

 

 しかし、完全には守り切れないようで、最

初に触った手の部分の影はまだ付いたままだ

った。

……マズイことになった。

これで、チルノが乗っ取られでもしたら、勝

てるものが居なくなる・・・・・・そのこと

は紫様も重々承知なようで、寸前のところで

、それだけは食い止めておられる。

だが、影の方も意識の乗っ取りが難しそうだ

と悟ると、即座に妖力の吸収へと舵を切った

ようだ。

チルノの妖力が流れていくのが分かる。

 

チ「あっ………ああああああああ!……うぁぁ

ぁっっ……!!」

霊「あんた!!………しっかりしなさい!!!

・・・・のまれんじゃないわよ……!!」

紫「・・・・・・・・・・・・・・・・・く

っ!!」

 

 他の結界の維持に加え、必死にチルノを守

る霊夢とチルノの意識に影が入らないよう食

い止めて居られる紫様。

その二人以外のものはただ見ている他に術が

なかった。

 

魔「くそっっ!!ただ見てるしかねぇのかよ

!!!」

大「そんなっ・・・・・・・!!」

橙「うぅぅ・・・・・・」

藍「・・・・・・・っっ!!」

 

 皆もただ見ていることしかできないことが

歯がゆい様子だった。

斯く言う私も人知れず歯ぎしりするのを禁じ

得ない。

そうして、数刻ほどたった頃、僅かな変化が

訪れた。

()が辺りにバチバチとスパークしながらチル

ノから離れ始めたのだ。

漸く離すことに成功したのかと思い、霊夢と

紫様を見るも、二人も不思議な様子でその光

景を見ている。

どうやら違うようだ……これからまだ何かが起

こる前兆らしい。

 

チ「うっ・・・・・ううっ・・・・・くっ!」

 

 チルノは影がやっと離れたが、相当吸い取

られたのか片手で頭を抱えて立っている。

急いで、皆でチルノの元に駆け寄る。周りで

、おいっ!!大丈夫か!?等の声が聞こえる。

そこでふと、影の方を警戒してそちらを見る

と、そこには驚くべき光景が見えた。

 

()ウネウネ・・・ぐにゃり・・・・・ぐにゃ

・・・・

 『うっううう・・・・・』」

 

 「それ」はぐにゃぐにゃと形を捏ねていた

かとおもうと、人の形にまとまりだし、中か

らエコーのようなくぐもった声を発しだした。

そして、それのとった『形』は……

 

藍「お……おい、嘘だろう・・・・・・?」

 

 思わず震えた声が口から洩れた。

それにつられてか他の者も私の見ている方を

見る。

皆の反応も似たり寄ったりのものだった。

 

霊「ねぇ・・・・・そんな!!・・・・・う

そでしょ?」

 

 チルノに肩を貸しながら霊夢が呟く。

 

魔「どうすりゃいいってんだよ・・・・・・

・・こんな・・・・・・」

橙「うええぇぇえぇぇぇ!!……あ、あわわ

わわわわわわっ……」

紫「・・・・・・・・・・・・」

大「え・・・・・・そんな・・・・・・・チ

ル・・・ノ・・・・ちゃん?」

 

 そう、目の前の影は何を隠そう、私たちの

そばに今もいる、チルノと瓜二つの外見を取

っていた。

 

 

 

 

 

チルノside

 

 

 

 

 ・・・・・・視界がぼやける、頭がクラク

ラする。

恐らく……妖力の半分近くを持って行かれて

しまったようだ。

そうこうするうち、視界も回復してきた……

今、あたいに肩を貸してくれているのは……

霊夢か。

 

チ「ありがとう霊夢・・・・・・ところで、

今状況はどうなって・・・・・!?」

 

 そう言いながら、自分でも確認しようと前

を見たときに、あまりの不可解さに、一瞬思

考が止まってしまった。

えっなに?……あれは……あたい?

一瞬のフリーズも無理もないと思うのは自分

だけだろうか? だって、気が付くと目の前

にもう一人の自分が居るのだから訳が分から

ない…………

しかし、それにしてはあたいよりも全身が黒

みがかっていた。

まるでそれが、唯一あたいと「それ」の見分

け方であるとでも言うかのように。

すると、あたいの姿をしたそれが言葉を発し

た。

 

黒チルノ=黒

 

黒「ウッゥゥゥゥ・・・・・・!!アアッッ

・・・・ココはドこダ・・・・・ワタシ・・

・・イや、アタシ・・・・・アタ・・・・い

ハ・・・・・」

 

 「それ」はまだ混乱しているのか、片手で

頭を抑えながら呻いている。

それをあたいと大ちゃんはただ見ているだけ

だったが周りの皆は先手必勝とばかりに各々

の方法で攻撃する。

霊夢はお札と封魔針、魔理沙は魔法弾、藍は

妖術による火球、橙は弾幕、紫はその攻撃の

進行方向にスキマを作り、黒いあたいの姿を

したそいつの周りにも同時にスキマを展開し

、相手の目の前まで全員の攻撃をジャンプさ

せて反応できないようにしていた……………

反応……できないはずだった。

しかし、そいつはその方向を見ていなかった

にも関わらず、瞬時に黒ずんだ氷を盾のよう

に周りに張り止めたばかりか、全ての攻撃を

その盾に吸収し、その分だけ氷が成長した。

 

藍「そっそんな馬鹿な・・・・・・!!」

魔「嘘だろ・・・・・・バケモンかよ・・・

・・・!!」

霊「紫の合いの手も完璧だったはず……しか

も、そっちを見ずに反応するなんて………」

橙「そ、そんにゃあ・・・・・・」

紫「これは、まさか・・・・・・・」

大「あ、ああっ・・・・・・・!!」

 

 みんなは目の前の光景に唖然としている。

紫は気付いたようだが、実際に吸い取られて

いるあたいにはよくわかる。

あれはあたいを通じて()()から妖力の半分近

くを奪っていった。

それと同時にあたいの制御力も自身に写して

いる。

吸収されているとき、何かを写し取られてい

るような感覚があった。

恐らくあの時だ……とその時、あたいの姿を

した黒いそいつ……黒チルノは、氷の盾を解

除し前方をゆっくりと見た。

そいつの姿は、あたいと全く同じ姿で髪も服

も黒く、腕や足、顔といった体の部位はふつ

うの肌色ではあるもののどこか影がさしてい

た。

そして、その黒く透き通った眼を片方、片手

で抑えながら、あたいのことを見るとその目

が急に見開かれ、全員を言いようのない寒気

と肌を刺すような殺気が襲った。

 

影「オマえは・・・・・・お前ガ・・・・・

・・・おま……エのせイでっっ!!!ナンデ

・・・・・「「アタイが・・・・・・っ!!

・・・・コんナ」」・・・ああああああああ

あああああああああぁぁぁぁっっ!!・・・

・・・・・イ・・・タ・・イいたい・・・痛

い・・痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!

痛い!痛い!居たい!板い!射たい!鋳たい

!ゐタい!遺体!異体!胃体!入たい!イタ

い・・・・・・・・・・・・・・・・

いたいィィィ-------------

っ!! ア˝ア˝ア˝アアアアァァァァァァァ

アアアァーーーーーーー---------

--------------------

ッッッ!!!!!!!!!!!!!」

 

 そいつ、影があたいの姿を取った、影チル

ノとも呼べるものは激しい憎しみの篭った目

であたいを睨み、目から黒い涙を流していた。

そしてその涙が凍り、黒く陰った結晶になっ

て地面に落ちると、それと同時に、叫び地面

を蹴りながらあたいがようやく捉えられるよ

うなスピードで突進してきた。

蹴った地面は地割れが起こり、その罅の中は

氷が詰まっており、その上には氷の剣山が出

来上がっていた。

しかし、霊夢たち所に影チルノが届く前にあ

たいも奴の前に出て、突撃とともに相手が出

していた刀の切っ先を槍の切っ先で止める。

その瞬間辺りにキィィィンッッ!!と衝撃波

が広がる。

 

 

 

霊夢side

 

 

 

 

 私は今、何が起こったのかまるで分らなか

った・・・・・・突如、目の前の奴が叫び出

すと同時に走り出そうとする構えをとったか

と思うと、甲高い金属音のようなものが生じ

、辺りが衝撃波に包まれ、地面が削れ、砂煙

が舞う。

そして砂煙が晴れるとそこには衝撃が生まれ

た爆心地でチルノがこちらに背を向けて、何

かに氷の槍を突き付けている。

全員が状況を把握しようとチルノの横に回り

こむと、そこには驚愕の光景が広がっていた。

地面が薄く抉れたクレーターの中心で、二人

氷精(チルノ)が互いに寸分の狂いものなく互いの切

っ先を突き合わせ、鬩ぎ合っている。

互いに一歩も譲らない……双方の刀と槍が夜

の僅かな光を拾い集め、輝き、その切っ先は

さらに一段と輝いていた。

そして二人の顔は一方は涙が、もう一方は汗

が頬を一筋伝い、その雫が凍り、結晶となっ

て地面に落ちる。

そんな光景に皆が呆気に取られていると、声

を上げる者があった。

 

魔「・・・・・・って!見惚れてる場合か!

!早く援護するぞっ!!」

 

 声を上げたのは魔理沙だった。しかし、そ

の声に対しチルノが叫び声をあげる。

 

チ「……ダメだ!みんなっ・・・・・・一旦

下がって!!・・・・・こいつはあたいにだ

け向かって来てるっ・・・・・・!!あたい

が相手をしている間に何か有効な手を考えて

!!」

(チルノ)「ヴウウウウーーーーーーッッ!!!!」

 

 そうチルノが叫ぶ間にも切っ先同士はキリ

キリと音を立てる。するとその均衡は突如と

して破られる。

影チルノが刀を横に薙いだ。

恐らく痺れを切らしたのだろう。

その瞬間にすでに影チルノの姿はなく、チル

ノの姿もなかった。

すると突然、上空から凄まじい量の、氷と氷

のぶつかる音がするそれは凍りのぶつかる音

のはずなのに若干金属音、めいていた。

それがそこかしこから聞こえてきて、二人が

どこに居るかはおろか、どこから聞こえてい

るのかさえわからない。

更には空を切った剣の風圧、ぶつかり合った

際の衝撃波まで飛んで来ている。

そして辺りを埋め尽くす、刃と刃の擦れ合う

音、ぶつかり合う音、(はじ)き合う音……音、音、

音・・・・・だが、音の来る方向、剣圧のく

る方向、衝撃波の来る方向から、辛うじて二

人の行く先は球形を描いていることが分かっ

た。

恐らく、チルノが私たちになるべく被害が及

ばないように図っているのだろう。

そんな中・・・・・・

 

紫「もう、誰もこれに届かない・・・・・・」

 

 その壮絶さに息を飲み、一人呟く者。

 

魔「何かって言われても、どうすりゃ良いん

だ!! 影の奴に当てようとすれば・・・・

・・あいつにまで・・・・」

 

 手詰まりな状況に嘆く者。

 

橙「らっ……藍様ぁ~~~・・・・」

 

 不安げに主に助けを求める者。

 

藍「大丈夫だ、橙・・・・・きっと何か手が

あるはず・・・・!!」

 

 その部下を宥め安心させようとする者。

 

大「チルノちゃん・・・・・・」

 

 親友の身を案じ、その名を呼ぶ者。

……などはいてもその中で誰も何かいい手立

てを思いつくものはなかった。

 

霊「まったく・・・・・簡単に言ってくれる

じゃない・・・・・」

 

 そして私も、何も考え付かなかった。

いっそ二人とも結界で囲ってしまおうかとも

思ったが、それで余計に戦い辛くなってしま

っては本末転倒だ。

なら、一斉に皆で二人の方向に弾幕を撃つか

?いやそれも、先ほど魔理沙が言った様に、

チルノに当たるかも知れないし、影の方に当

たるとしても吸収されては最悪だ。

結局何も思いつかないまま数分が過ぎたとき

、一人、提案する者が現れた。

 

大「あ、あの・・・・・・一つ思いついたん

ですけど……」

 

 自然とその提案者に皆の視線が集まる。

 

大「……皆で一斉にチルノちゃんたち目掛け

て弾幕を放ちましょう!!」

 

 やはりそれしかないか、とはいえそれには

大きな問題がある。

それによって無理だという結論に至った所な

のだから。

だから、当然それには反論の声が上がった。

 

魔「確かに、それぐらいしかないんだろうけ

どよ……でもそれじゃあ、あいつにあたるか

も知れないし、よしんば影の方に当たったと

してだぜ?吸収されちまったらもっと悪くな

るじゃねえか・・・・・」

藍「・・・・・・うむ・・・それでは敵に塩

を送るようなものだな」

橙「うぅぅ~~~・・・・・・」

紫「・・・・・・いえ、それがいいかも知れ

ないわね」

 

 ここで何故か紫が賛成の声を上げた。

 

藍「紫様!?」

紫「知っての通り、あの二人の戦いは誰かが

介入できる範疇を大きく逸脱している。下手

に助太刀に入ろうものなら巻き込まれるか、

最悪、足を引っ張ることになるでしょう……

・・・・・・しかし、このまま手を(こまね)いて

いるわけには行かない。

ならばいっそ戦闘の手が届かないところから

二人の方に弾幕を放ち、あの子に力を吸収し

て貰えばいい。

あの影にできて、あの子にできないはずはな

いし、影にもその力を取られてしまうかも知

れない事を考えれば、むしろあの子(チルノ)の方に弾

幕が行って欲しいくらいよ。

つまり・・・あの子のことを信じて弾幕を通

じて力を渡す・・・・そういう事でしょう?」

 

 その最後の問いに、大妖精は強く頷いた。

その目は真っ直ぐ紫を見つめ返している。

その目は少しの迷いも浮かんでいない・・・

・・・澄んだ瞳をしていた。

 

大「はい!!私は親友を・・・・・・チルノ

ちゃんを信じます!!!」

 

 その言動に心動かされないほど、愚かな者

はこの場にはいなかった。

 

挿入歌

【東方Vocal/Traditional Rock】

「心綺楼」

 

魔「さて……それじゃあ一つ派手にぶちかま

すか!! 弾幕は火力だってことを思い知ら

せてやるぜ!!」

霊「………って、ちょっと魔理沙?あんたは後

が控えてるんだから、ほどほどにしときなさ

いよ?……まぁ、私はやるんだけどね!!」

紫「あなたこそ控えなさいな霊夢……あとは

私に任せて結界の維持に集中したら?これに

力を使って結界の維持ができなくなるなんて

笑い話にもならないわよ?」

霊「はっ!!冗談・・・私を誰だと思ってる

のよ!!その程度でへばったりなんかしない

わ!!!」

魔「霊夢にできて私にできないとか、神や仏

が許しても私が許さないのぜ!!これで全力

を出した後も絶対に霊夢を守り切ってみせて

やる!!」

藍「不肖、私も炉に()る炭の一片としてこの

身を燃やすといたしましょう!!」

橙「私だってぇ~~~~・・・・ええぇーー

ーい!!私だってぇ~~~~!!!」

 

 こうして、チルノを援護するための作戦内

容が決まった。

全員で、二人が戦う球状の戦場を対角線で囲

み、一斉に球の範囲に向けて弾幕を放つ。

というものだ。

結界に近い方が負担が少ないだろうというこ

とで私は地上付近の配置となった。

他のみんなの配置は以下の通りだ。

まず、魔理沙は私から見て右斜め上後方の位

置、ちょうど逆三角形の右の頂点部分。

次に大妖精。

私から見て左斜め上後方で魔理沙に対して水

平、左の頂点部分。

そして私から見て真上に紫、三角形の頂点部

分。その紫から右斜め下後方に藍が、そのち

ょうど点対象の位置には橙がいる。

そして、大妖精、魔理沙、藍、橙は水平に陣

取り、それぞれの点を結ぶと正四角形となり

、それぞれの位置を結ぶと三角形の面が八つ

できる要するに、早い話が正八面体である。

各々が所定の位置に付くと、紫が自身の弾幕

を合図にする旨を皆に伝える。

そして・・・・・

 

紫「みんな、準備はいいわね?・・・・・そ

れじゃ、わたしから行くわ・・・結界「動と

静の境界」!」

橙・藍・大・魔・霊・「仙符「鳳凰展翅」!

「式神!「十二神将の宴!!」「妖符「エル

フィーニョ弦翔」!!「星符「ドラゴンメテ

オ」!!「宝符「陰陽宝玉」! 」」」」」

 

 全員が一斉に発動したスペルカードが、既

に戦場と化していた空を煌びやかな無数の弾

幕で彩った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と今回はここまでです。ここまでにしないとキリがないのでここまでです。
この先を書くと文字数がえらいことになりかねないので・・・・・・・
次の話に持ち越させて貰います。・・・・・さて、チルノたちは無事に幻想郷を救う事が
出来るのか?(早くしてくださいお願いします(笑))
そしたら念願の異世界旅行だ!!ヤッホイ\(^o^)/ というわけで、次回もこの作品で「大丈夫だ!!問題ない・・・」という方だけゆっくりしていってね!
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