東方氷異伝   作:城が猫

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今回はスローライフ回です。次回から異変に移ります。
・・・・・・多分
あと今回からキャラが増えます



第二話 氷留

 

 チ=チルノ

 

 あたいはまず今ある力で、自分で生活出来

るように基盤を整えることにした。

そんなことしなくても、生きていけるんだけ

ど、規則的な生活のリズムを作りたいと思っ

たことが一つ、と人里の人たちがそうやって

暮らしているのがなんか面白そうだなと思っ

た事が一つ、そしてある程度の知能があって

厄介だなと思わせることで人妖どちらからも

なめられないように牽制するのが一つ、の三

つの理由があった。

そして、あたいは一つの仕事を選択した。

 

チ「ここは、氷の妖精のあたいらしく、かき

氷屋でもやっておこうか・・・別にあたい、

年中何か必要なわけでもないし、ちょっと稼

げれば良いだけだからね」

 

 それに今は初夏で、これから夏に入ってい

こうという時期にあたるからちょうどいいだ

ろう。

あたいは、10個ある妖力の結晶体の内の一

個で淡く碧色に輝き、吸収に特化したものを

、霧の湖の隅のほうに投げ込んだ。

これで後は数時間ほど待てば、その辺り一帯

・・・正確には半径8メートル程の円を描い

て、凍り、そして凍った氷は不純物の無い純

粋な氷となっていくという仕組みだ。

その理由は、この結晶に組み込まれた結界陣

が周りの不純物と温度を妖力として自身に蓄

えるように、術式が組まれているからだ。

あとは、氷を削る器具と店舗と味の種類をど

うするかだけど・・・・・・━━━━━

 

チ「さて、と目途も立ってきたし、店の名前

・・・・・・何にしようかな?流氷屋?・・

・・・・いや、氷結屋も捨てがたいかな・・

・・・・あ、でも氷柱(つらら)屋なんかも良いね・・

・・・・」

 

 幾つもの案が浮かんでは消えていく中で、

あたいは一つに決めた。

 

チ「うん・・・・・・『氷河屋』にするか」

 

 と、今後の目途が立ったところで、どこか

から声が聞こえて来た。

 その声に、今まで考えていた事を中断して

、そっちの方に意識を向ける。

 

大妖精=大

 

?「チルノちゃーん!!! 用事終わったか

ら来たよ~~~!あそぼーーー!」

 

 と、そう声をかけて来たのは大妖精という

、翠の髪を黄色のリボンで左側にまとめたサ

イドテールに青いワンピースを着たあたいの

親友だ。

 

大「・・・・・・え!!? あれ!?チルノ

ちゃん!?」

 

 そういえば、一人だったのは過去の話だっ

た。

この幻想郷に来てからはいつも仲間と遊んで

たっけ。

まぁ、別にその時は初めから一人でそれに慣

れていたのもあってか何とも思ってなかった

けど、仲間といる楽しさを知った今から思え

ば、結構寂しい奴だったのかもしれない。

 

大「えっ?何の話?」

チ「ううん、なんでも無いよ」

大「・・・・・・っは!!! そういえばチ

ルノちゃん、その姿どうしたの!?」

 

 大ちゃんがあたいの姿を見て驚いている。

まあ、無理もないか、あの結晶に触れる前と

後じゃあ、姿が結構違ってるから・・・・・

(それでも分かるのは、気配でだと思う)

 

 前の姿は髪は水色で、ウェーブのかかった

セミショートヘアーに青い瞳、青の大きなリ

ボンを付け、服装は白のシャツの上から青い

ワンピースを着用し、首元には赤いリボンが

巻き、水色のストラップシューズをはいてい

たけど、

 今は、ウェーブがかかっているのは同じで

もロングで、背も前よりも高いし、青い瞳は

透明度が若干増して、空色に変わっているし

、服装も白のシャツに青いワンピースだった

のが、そでの短い白のTシャツと短パン(ス

リークォーター)、青と白のラインが襟に沿

って入った左腕の側だけ長い、丈がひざ上ま

での着物をTシャツの上から着ていて、帯も

若干長いという格好だからだと思う。

それと自分で言うのもあれなんだけど、体も

以前と比べて凹凸が分かるほどには成長して

いると言うか、まあ元に戻ったと言うか。

大体、人間で言うところの17歳前後?

しかし、氷精の羽根はそのままだからあたい

だと認識出来たのもあるんだろう。

(あと、あたいの気配があるのにその場に一

人しか居なかったらほぼ確実にそいつだろう)

 

大「なんだか、全体的に少し大人っぽくなっ

たというか・・・・・・」

 

 大ちゃんが上から下までを見て折り返して

下から上を見ていく、その見ていく途中のあ

る一点に目を止めながら意味深に言った。

(何にとは言わない)

というかこれがもともとの姿なんだけどね。

 

チ「・・・・・・まあ、いろいろあったんだ

よ、いろいろと、あたいもさっき知ったばか

りなんだけどさ」

大「ふうん・・・そうなんだ、でもなんだか

、いつものチルノちゃんと違うみたい」

チ「ま、多少違ったところで、あたいはあた

いな事には違いないよ?だからいつもと変わ

らず接してくれると、あたいも嬉しいかな」

 

 そんな風に、あたいの思いを伝えると大ち

ゃんも笑顔でそれに応えてくれた。

 

大「うん!!! チルノちゃんがどんなに変

 わってもチルノちゃんはチルノちゃんだも

 んね!」

チ「うん、そうだよ!」

チ「あはははっ!!」大「うふふふふふっ!」

 

 そうして少しの間大ちゃんと笑いあってい

るとあたいにはふと疑問が浮かんだ、大ちゃ

んとはこうして会ったけど、他の皆はどこに

いるんだろう。

別に忙しいなら全然構わないけど、出来る事

なら会っておきたい。

そこであたいは大ちゃんに他のメンバーにつ

いて聞いてみることにした。

 

チ「ところで大ちゃん、他のみんなもまだ何

か用事?」

大「ううん、わからないよ? チルノちゃん

以外とは今日は会ってないから」

 

 これはもう本人たちに直接会ってみるしか

なさそうだ。

その際にどうやって探すかが問題だけど、そ

こはちゃんと方法があるので別に心配はいら

ない、あたいの持つ10の結晶体の中には、

探知に特化したものもあってそれなら、探し

たい相手の持ち物や身につけている物などが

あれば、そこから相手の妖力を結晶が吸収し

、その妖力が近くにあれば反応してくれる。

しかも、転移に特化した物もあってそれはあ

る程度の距離にその反応した存在が居れば、

その座標に直接飛ぶこともできるので、すぐ

に見つかるだろう。

 

チ「これは、直接本人たちに会ってみるしか

ないな・・・・・・で、最初はみすちーかな」

 

 そう言って、歩き出そうとしたところで、

大ちゃんが驚いた様子で呼びとめる。

 

大「え!? チルノちゃん、みすちーの屋台

の場所覚えてるの?」

チ「うん、まあ大体は。 あっ・・・・・・

そこも前とは違うところか」

 

 あたいはあの結晶に触った時に、記憶と一

緒に妖力の方も取り戻したせいか最近の事を

()()()に覚えていられるほどには記憶力が上

がっていた。

 

大「それでも、そこに行っても会えるかどう

  かわからないよ?どうするの?」

チ「そこはあたいに任せてもらえばいいし、

  別に心配する事無いよ」

大「だったら良いんだけど・・・・」

 

 そろそろ、方針も決まったところで、あた

いたちは、みすちーことミスティア・ローレ

ライの営む焼きヤツメウナギ屋の移動式屋台

のポイントの一つである迷いの竹林へ飛んで

行った。

 

チ「あ、そうだ! じゃあ道すがら、あたい

が幻想郷に来る前の話でもしてあげるよ」

大「ほんとう!? それは聞きたいかも!!」

 

 なんだか不安そうにしていたのでその気分

転換に、今までの経緯を語ることを提案する

と、大ちゃんもあたいのこれまでの話を聞き

たいみたいなので、 あたいは目的地に向か

う飛行中に自分がこの幻想郷に来るまでの経

緯を大ちゃんに語ることにした。

そして、あたいが何故、力を蓄えようと思っ

たかのところまで話したところで、ミスティ

アが屋台をやっているところの一つに辿りつ

いた。

 

チ「━━ってことがあって・・・・・・っと

、着いたみたいだね」

大「・・・・・・でも、居ないみたいだね」

 

 確かに、高度を落として近づいてみても、

それらしきものは見当たらない。

どころか、鬱蒼と竹が生い茂るばかりである。

しかも、もう夕暮れに差し掛かっており、そ

の黄昏に入る前の状態が、不気味さを林に追

加していた。

そう、ここは迷いの竹林、群生する竹が凄ま

じいスピードで成長するのと、霧が深いので

一度入ったら方向感覚がつかめず、迷い入っ

た者を返さない、しかもここには、凶暴な妖

怪も存在するため、一度入り込めば二度と出

られない場所として、有名だが、あたいたち

はその入り口に用があっただけなので、全く

関係ない。

 

大「ここには居ないみたいだけど、この後ど

うするの?」

チ「・・・・・・じゃあ、手間かけて悪いん

だけど、あたいと一緒にみすちーの痕跡がど

こかに残ってないかさがしてくれないかな?

それを元にしてあたいが居場所をみつけるか

らさ」

大「うん、了解だよ!! みすちーがここに

いた痕跡を探せばいいんだね」

 

 それから、二人でみすちーの痕跡を探し始

めた。

本当はその場に残留した妖力でも良いはずな

んだけど、ここを離れてから時間が経ってる

のか、妖力が薄まっていたので、痕跡から妖

力を辿ることにした。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからおよそ数十分後

 

大「あったよーー!! チルノちゃん!! 

これってみすちーの羽根じゃない?」

チ「・・・・・・? うん、そうだね! あ

りがとう。 これで探せるよじゃあ、その羽

根をこっちにちょうだい?」

 

 大ちゃんが見つけてくれたのは、ミスティ

アの妖力をしっかり感じ取れる羽根だった。

なぜ、みすちーのだとわかるかと言えば、こ

の場にかすかに感じる、みすちーの妖力と同

じ妖力の気配がその羽根から感じるからだ。

 

大「うん、これでいい?」

チ「うん、ありがと」

 

 大ちゃんから羽根を受け取り、探知に特化

した淡く鈍色(にびいろ)に輝く結晶を取り出し、その結

晶に羽根を吸収させた。

それと同時にどの方角から力を一番感じるか

、転移出来る距離にいるかがわかった。

 

チ「・・・・・・近いね。これならすぐ着く

し、飛んでいこう」

大「え、? もう、わかったの!?」

チ「大体の方角と距離はね。後はその方向に

進んでいけば着けるよ」

 

 すぐに転移することもできるけど、そのや

り方はちょっと力を使ってしまうからあまり

使いたくない。

だから、その方法はよほどの緊急時にしか使

わない。

そして、そこからまた二人で目的地までのん

びりと飛び、その道中であたいが幻想郷に来

るまでの話をし終えて、数分が経った頃目的

地が見えて来た。

 

大「え? ここって・・・・・・人里?あそ

こから近いって、人里のことだったの?」

チ「うん、この方角と距離からして人里(ここ)だろ

うなとは思っていたけど、やっぱりそうだっ

たね」

 

おおよその距離と方角から、恐らく人里の辺

りだろうとは思っていたけど、その予想は的

中した。

そしてその人里の中へと、周りに誰もいない

ことを確認して、そっと降り立つ。

降り立ってからは、より一層正確な位置が分

かった。

対象に近づけば近づく程この結晶は反応する

し、より正確な座標もわかるようになる。

 

 

人里はその規模に見合ったそれなりの人の活

気を見せていた。

子供たちが仲間同士で遊んでいたり、大人た

ちが仕事や世間話をしていたり、買い物客が

ちらほら見えたりする中に、かすかに人外の

者たち、人ならざるものの姿も確認できた。

主に、頭に小さな葉っぱを乗せているもの、

頭の側面から二本角が生えているものに尻尾

が九本のもの、自身のそばに人魂のようなも

のを従えた白髪の少女………

など様々だが確実にこの人里に入り込んでい

た。

あと、程良く人口がありばらついている。

人里は、この幻想郷に於いて人妖のバランス

を取るために存在している。

人が妖怪を恐れ、時として妖怪が人を喰らう

ことによって成り立っている。

しかし、妖怪の方が人を喰らい過ぎて人口が

減っては畏れを得づらくなり、逆に人が幅を

利かせ、妖怪が減れば、人里を災害から守る

者が無くなる。

何故守るかというと、先ほどの理由と同じで

人が減ると畏れを得づらくなるかもっと悪く

して完全に人が居なくなると妖怪も存在出来

なくなるからである。

よってここでは、一定の人口を保たれている

そんな人里の子供達が遊ぶその広場のような

場所から離れた大通りの曲がり角の人気無い

路地裏にあたいと大ちゃんは降り立った。

 

・・・・・・へぇ、稗田邸の入口か・・・・

・・また珍しいところにあるね。

 

 でも、あそこなら人通りもそこそこあるか

・・・・・・女中さんとか使用人とかまぁ、

流石に仕事中に屋台に行かないだろうけど。

仕事終わりのすぐ後に、目の前に美味しそう

なにおいの屋台があれば立ち寄ることもある

かもしれないし、そうなると案外悪くないの

かもね。

それに、()()()には行こうと思ってたところ

だしちょうど良いや。

それじゃ、さっそく用件を済ませに行きます

か。

およその方針も決まったところで、あたいと

大ちゃんは稗田邸に歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━そして、歩き出し

て間もなく、大ちゃんが不思議そうに声をか

けて来た。

 

大「ねぇ、チルノちゃん、さっきは隠れてた

のに、いまは普通に大通りとか歩いてるけど

いいの?目立たない?」

 

 いま、大ちゃんが心配しているのは、自分

達の容姿が人とはかけ離れているから(背中

の羽根とか)目立つことを気にしている。

この人里に混じっている妖怪たちは皆各々の

方法で人間に正体がばれないように気を付け

ている。葉っぱを乗せた者なら変化によって

、頭に角が二本生えた者なら自身の存在を薄

く分散して、人魂を従えた者は人魂は人には

見えないので何もする必要がなく、尾が九本

の者も己の姿を人からは尾が見えないか、気

付かれないよう妖術を操るなど、皆そうやっ

て人目をしのんでいる。

そしてそれは、この人里に妖怪が表立って干

渉するのはこの幻想郷のルールに反するから

で、この幻想郷の支配者であり創始者の妖怪

の賢者や、博麗大結界を守護する博麗の巫女

に目を付けられ、退治されてしまうからだ。

と言っても、別に妖怪ならなんでもかんでも

受け入れないと言うわけではなく、半人半妖

が寺子屋の教師だったり、地底の鬼が呑みに

来ていたり、山の天狗が新聞を、迷いの竹林

の医者の薬を妖怪兎が売りに来ていたりと人

間の里という割には案外人間以外も出入りが

ある。

まぁ、要は下手な騒ぎさえ起こさなければ特

に問題は無い。

そんなわけで、あたいもその例にもれず既に

結晶で、音や、臭い、光を消失させる(二人

の間は例外)術式を発動させ、自分の姿を大

ちゃんごと隠していた。

そんなあたいの手にはほのかに墨色に輝く結

晶が握られている。

まあ、いまは夕暮れ時だし、いらない手間か

もしれないけど、念には念をだ。

結晶を懐にしまったあたいは、そのことを大

ちゃんに説明した。

 

大「・・・・・・でもそれなら、ずっとそれ

かけてれば良かったんじゃ・・・・・・人に

飛んでるところを見られるかも知れないし」

チ「そうなんだけど、出来るだけ力使いたく

ないからさ、確かに無尽蔵にあるけど念には

念を入れて、使う必要がない時には使わない

ようにしてるんだよ。さっきは人に見られて

いないか確認しながら降りてたしね。まぁ、

誰かが妖精を見たところで騒ぎになんてなら

ないから別に良いっちゃ良いんだけど・・・

大ちゃんだって、別に姿を隠したりして無い

でしょ?」

大「あ、確かに・・・・・・あっ・・・・・

・・・なんか大きいお屋敷が見えて来たよ!

?あれじゃない?」

 

 大ちゃんが声を上げて指をさす先をみると

そこには、確かにそこには如何にも歴史を感

じさせる、広大な屋敷が建っていた。

そして話をしているうちに目的地に着いたら

しい。

その屋敷の入口で、夜雀の屋台は営業中だっ

た。

二人で中をのぞいてみるとそこには目当ての

人物が屋台の女将として働き、その女将があ

たい達に気付かず、普通の客に声かけるよう

に声をかけようとして、目があった時に驚き

の声をあげた。

 

ミスティア・ローレライ=ミ

 

ミ「いらっしゃいま・・・・・・・・・・・

・・・え!? 大ちゃんに・・・チルノ?二

人ともどうしたの? うちの屋台に食べにき

たってこと? っていうかチルノ! その格

好は?」

 

 一瞬の困惑のあと、疑問を次々と口にする

みすちー。

 

大「みすちー!! ま、まずは落ち着いて!」

チ「・・・・・・順を追って話すよ」

 

 あたいはみすちーにこれまでの経緯、あた

いが霧の湖で、ある結晶を拾って記憶と妖力

を取り戻したあと、大ちゃん(大妖精)に会

い、それからはみすちー(ミスティア)を探

すため、迷いの竹林の入り口付近に行ったこ

と、そして、そこでみすちーの羽根を拾い、

それを元にここまで辿りついたことなどを話

した。

 

ミ「ふーん、そんなことが・・・・・・・で

・・・これからどうするの? あたしは見て

の通り屋台を出さなきゃだし・・・・・・構

ってあげられないよ? お客さんとしてなら

大歓迎だけどね?」

 

 みすちーがあたいの話を聞いて事情を理解

したその後にこれからどうするのかを、若干

申し訳なさそうにしながら、自分は一緒に行

くことが出来ないと言う旨を伝えてくる。

 

チ「そのことなら心配いらないよ。丁度ここ

の稗田の当主に用があったし、ちゃんと屋台

には客として入るよ」

大「え? 稗田の当主って・・・・・・阿求

さん? なんで阿求さんに用があるの?」

ミ「それに、客として来るって・・・・・・

その、お金は? あたしだって妖怪だって言

っても屋台の遣り繰りがあるし、流石にタダ

ってわけにはいかないんだけど」

チ「そこらへんも大丈夫。少し待ってもらう

かもだけどちゃんと払うし、稗田の当主には

そのお金を稼ぐ上で必要な事を相談しにいく

しね」

 

 そう、稗田邸にはいずれ行くつもりだった

が、偶々みすちーのの屋台が近くにあった事

もあり、丁度いいから、一緒に用を済ませて

しまおうと思ったのだ。

その用というのは、金銭関係ということから

もう想像できているとは思うが、例のかき氷

屋の屋台を人里に出す許可を出してもらいた

いのである。

実際に許可を出すのは他の人間かもしれない

が、稗田は人里でも名家であり、更に彼女(

稗田阿求)の執筆する幻想郷縁起は妖怪につ

いての詳細がまとめられている書物である。

その名家の当主が人里の有力者にかけあえば

、ある程度の要求は通るだろうし、変に正体

を隠したりして人目を忍ぶこともなく、何よ

り稗田の公認ならば妖怪の賢者に目を付けら

れにくいだろうと言うわけだ。

それにあちら(縁起の編纂者)としても新た

に加わった妖精の情報は知りたいことだろう。

そのインタビューに応じ、ヤツメウナギ屋の

お代を持つ代わりに相談にのってもらうもと

い、こちらの願いを聞いてもらおうという算

段だ。

なのでまずはこの場までご足労頂くことにし

た。

これでも妖精だけあって悪戯は得意だ。

 

大「でも、どうやって出てきてもらうの? 

いまは姿を隠してないみたいだけどこのまま

の姿じゃ、出てきてすらくれれないんじゃ…」

チ「そこはホラ、妖精だけにちょっと悪戯を

しかけようかなって」

ミ「え!? 悪戯って何するつもり? 下手

なことされてここにいられなくなるのは困る

んだけど!」

チ「そんなに心配しなくても大丈夫だって!

ちゃんと考えてあるから」

 

 満を持してそう宣言し、あたいは姿を再び

消して稗田邸の内部に入り込むと━━━━━

夕焼け空が残るも、星の瞬く夜の訪れと共に

去っていこうとしている夕暮れが見事なグラ

デーションを描く空を背景にした稗田邸の庭

に出て来た。

するとそこから見える縁側の中の和室で一人

机に向かい書物をしたためている和装の美少

女の正座姿が目に入る。

今は初夏であるので、雨戸や障子をあけてい

るんだろう。

誰あろう、その和装の少女こそが稗田家九代

目当主、稗田阿求その人である。

そこに少しの間目を向けていると、その少女

の声が耳に入ってきた。

 

稗田阿求=求

 

求「あーーーーあぁぁぁはぁぁぁあ・・・ん

んぅぅうん・・・・・・。いやーーーー・・

・・・、流石に没頭しすぎたかなぁぁ。 あ

まり根を詰めすぎても良く無いし少し休憩し

ようかな。切りも良いし」

 

 などという言動と体を伸ばす動作から、察

するにかなりお疲れなご様子で、悪戯をする

のが気が引けたが、こちらとて早めに用を済

ましてしまいたいのと、疲れている今なら悪

戯という名の誘導が成功しやすいだろうと、

実行に移すことにした。

 

チ「うん、申し訳ないけど、こっちまできて

もらおう」

 

 姿を隠した状態で、屋敷内に入ると机に積

みあがっていた書類の一番上を風で舞い上が

ったかのように引っ張りつつ、そよ風程度の

冷風をおこし、本人の目に入るように外に持

ち出していく。その際にも風に煽られている

演出は欠かさない。

(手前味噌だが、かなり上手いと思う)

それを見てとった阿求がその紙を取り戻そう

と立ちあがり追いかけて来た。

 

求「あれ!? いけない!!!せっかくまと

めた縁起用の資料が・・・・・・!!後は綴

じたら完成なのに!!」

 

 どうやら奇しくも書類の正体は幻想郷縁起

らしかった。

まあ、不思議じゃないと言えばそうかも知れ

ない。

何せそれが本業だし。

そうやって、追いかけてくる様を楽しみつつ

(結構可愛い)あたいは阿求を外の稗田邸の

入り口まで、おびき寄せる。

阿求が外に出て来たところで、あたいは消失

化を解いた。

するとそこには急に現れたことに驚いたのか

目を見開いた阿求の姿があった。

その阿求の口から“あっ”と声が漏れ、手で口

を抑える。

そして、今までの事を思い返し、状況を察す

ると少し顔を伏せた後、顔をあげて若干威圧

的かつ営業的な笑顔を阿求は向けて来た━━

━それはそうだろう、誰でも仕事の邪魔をさ

れたら怒るに決まっている。

 

求「あら?? 何で妖精がこんなところにい

るのかしら・・・・・・ひょっとして道に迷

ったんですか? 妖精がこんな人里にいるな

んておかしいですもんね・・・・・・。しか

し残念ながらあなたちに道を教えてあげる余

裕はこちらには皆無なので早々にお引き取り

願えますか?」

 

 その気配にひるんだ大ちゃんが、大急ぎで

阿求に謝る。

 

大「ご、ごごごごめんなさいぃぃぃーーーー

!!、消えます!!、すぐ消えます~~!!

!!」

 

 そんな大ちゃんの手を掴んで引き留め、━

━━その間にも大ちゃんは“ふっふっ……”と足

で地面を削るけどただ削るだけだった━━━

あたいは用件を伝えるために話しかけた。

 

チ「まぁまぁ、そう殺気立たないでよあたい

たちは、消えないし、別に迷子でもないよ」

求「・・・・・・では、何のご用なのでしょ

  う?」

 

 どこかイラついたように眉が動くけど、し

かしそれが隠れてしまいそうな上品さで返す

阿求。

 

チ「実は、あたいこの人里でかき氷屋を出し

てそこで暮らしたいと思ってるんだ。そこで

ものは相談なんだけど、幻想郷縁起にあたい

のことについて追記してほしいんだよ。そし

てそのことを公に広めて欲しくてね………それ

に…今はすぐそこみすちーのヤツメウナギ屋

台もあるし、そこで食べながら話を聞いて欲

しいと思ってさ………勿論、お代はあたいが持

つよ?」

 

 そこまで、あたいが言ったところで阿求は

ようやくあたいの姿を上から下まで、今日の

初めに会った大ちゃん(大妖精)がそうした

ように見渡した。━━なんか、若干動きが被

ってて軽くデジャブだった━━そして今まで

のあたいの言動を思い返して、更に幻想郷縁

起にまとめたあたいの情報と大分食い違って

いることに気付いて興味がわいたのか、先ほ

どとは打って変わって半ばお願いするように

、あたいに取材を申し込んできた。

その目は稗田としての使命、自身の好奇心、

知識欲、そのどれもを帯びている気がした。

 

求「なるほど、確かに私の纏めた縁起の内容

との相違がみられるようですね・・・・・・

これは内容を改めなければなりませんし、私

個人もあなたに興味が湧きましたので、正式

にこちらからも取材をお申し込みしたいと思

いますがいかがでしょうか?(・・・・なに

があったらここまで変わるのかしら?)」

チ「いかがも何もあたいから言ったことだし

、是非お願いするよ。それとさっきの要求だ

けど」

求「もちろん、そんなことでよろしければ私

としてもお力添えするのは吝かではありませ

んし、もちろんその内容は公表させて頂きま

す」

チ「うーん、それだけじゃなくてさ」

求「はい?」

チ「ヤツメウナギを一緒に食べようってのも

  要求のうち何だけど?」

求「――!! ふふふふ、有難う御座います。

  それではお言葉に甘えてご相伴にあずか

  ります!」

 

 一瞬面喰ったような顔になり、それから柔

らかく微笑んでからこちらの提案に肯定の意

を示した。

それは恐らくこの取材に対する興味深さ故の

ことじゃないかとも思う。

なぜなら、この編纂者の纏めた幻想郷縁起に

記されているチルノという氷精の取るだろう

行動とあたいが今、取った行動があまりにも

かけ離れていたからだろう。以前のあたいな

ら十中八九取ることは無い行動だからだ。

 

大「チルノちゃん、大丈夫? 怖くない?」

 

 先ほどから静か(もともとそんなに騒がし

くは無いが)だと思ったら大ちゃんはさっき

の、阿求の空気にまだひるんで、遠巻きにし

ていたようだ。

 

チ「別に怖くなんてないよ。というかそもそ

もあたい達と人間じゃ力の差は歴然だし、手

の出しようがないじゃん」

大「そ、そんなことできないし、なんだか雰

囲気に圧されちゃうし・・・・・怖いし」

チ「大ちゃんは優しくておとなしいし、そう

言う発想にはならないからしょうがないか」

 

 とあたいが言葉を発した後に大ちゃんがぼ

そりと 

 

大「でも、チルノちゃんや他の仲間たちの為

だったら流石に仕方ないけど」

 

 という呟きはおろか、大ちゃんこと大妖精

というこの子の芯の強さと本性をこの時に気

付くことは無く後になって、とことん思い知

らされるとはこの時は夢にも思っていなかっ

た。

ということはさておき、阿求の取材に応じ……

と言うか自分から提案して、その話し合いに

於いて、この状態に至る経緯や幻想郷以前の

記憶、一介の妖精には過ぎた力に今後の身の

振り方や自身の客観的な危険度、友好度、更

に周りから見た危険度、有効度━━━━━━

因みにこの場合の周りはその場にいたみすち

ー(ミスティア)や大ちゃん(大妖精)であ

り危険度や友好度は主に人間に対するものな

どが取材の内容だ。

あ、あとはあたいが運営する店の事とかかな。

 

求「ということは、今は先程のように必要に

かられでもしない限り、人間に悪戯したり、

危害を加えるようなこともないし、多少は、

当たり障りが無い程度には協力しても良いと

さえ思っているんですね?」

チ「うん、まあね。だって基本、人里に住ま

わせてもらうんだし、ご近所どうしは助け合

うものなんでしょ?それに、悪戯は今ではや

んちゃ過ぎたんじゃないかって思うよ。後悔

は全然してないけれど反省はしてるかな。今

までがしょうがなかったとしてもこれからは

やめていこうかなって。まぁ、以前のように

この手元にある結晶が紛失か、消失か、破壊

されるとかしてあたいから失われたら元に戻

っちゃうかもだけどね・・・・・・だからさ

、そうなってたら何らかの要因があったから

以前のチルノ(氷精)に戻っているんだと思

ってもらったほうがいいかもね」

求「なるほど、、、」

 といった風な内容を話し合い、阿求が話を

紙と筆で纏め、それも終盤に差し掛かろうと

言う時

――――――ぐぅぅ~~~とお腹のなる音がした。

 

求「///・・・・・・う・・・・・・失礼

しました・・・・・・」

 

 と顔をほのかに赤らめながら阿求が小声で

つぶやいた。これは流石に恥ずかしかったら

しい。

別に気にしなくても良いと思うが、恥じらう

ようすも可愛いと思ったので敢えて何も言わ

なかった。

と言うか申し訳ないくらいだった。

話しは食べながらという話しだったはずなの

にそれも無しについ長く話し過ぎたようだ。

 

チ「いや、こちらこそごめん。屋台で食べな

  がら話そうって流れだったのに、こんな

  食べ物の屋台がそばにある空間でずっと

  立ち話なんてさせちゃって………そりゃあ

  お腹がすいて当然だよね………その、言い

  訳になっちゃうけど、あんまり食い付き

  が凄いもんだから、つい………じゃあ、そ

  ろそろ食べようか」

 

大「あの~~~・・・・・・・チルノちゃん

・・・・・そのぉ・・・・・・」

チ「うん、大ちゃんもいっしょに食べようよ

当たり前じゃん」

大「うん!!! ありがとう!!! 

チルノちゃん!!!!」

 

 さっきから大ちゃんもヤツメウナギを始め

とする様々な食材に目が奪われているのを見

てたのであたいが大ちゃんを誘って、三人で

、みすちーの屋台を堪能することになった。

 

ミ「さっきから、良い反応してくれるじゃな

いの!!  これは張り甲斐があるね!!!

・・・・・さあ!! どれにする? ご注文

、承るよ!!」

 

 そうして、しばらくの間、みすちーの焼き

ヤツメウナギの屋台からは真夜中まで煙が消

えることは無かった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




出来るだけ早く次も投稿したいです。
あと、タグにあるガールズラブは、今の時点ではあるかないかわからないです。
尚、今作品のチルノは魔改造が施されていますのでアレルギーの方はご遠慮されることを
お勧めします。それでもチルノの頭の出来が作者を上回ることはありません。
そんな描写の時は大抵ご都合主義です。
あと、わたしは阿求が好きなので、他キャラとは一線を画した扱いをします。
今後好きなキャラが出現するたびに起きる症状だと思いますので先の事と同様に了承のほうよろしくです。それでは次話にて、またお会いしましょう。
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