アリスside
………ったく!なんなのこいつらっ!?
━━━右から二体、上から四体、左からは一
………いや二体!
まず、自身は下へ逃げながら、上から追って
きた奴を先頭から片付ける。
槍を持った上海二体が挟み撃ちにして破壊。
次の後続を大剣を担いだ蓬莱が鉤爪の攻撃を
躱して懐に入り、その脇をすれ違い様に胴を
真っ二つに断ち切る。
だが更に三体ほどその影から現れ、私に爪を
届かせようとするが、既に鎖鎌を持った上海
と蓬莱に鎖を胴周りに掛けられ、後方に矧が
された上で二体がそれぞれ逆に回ることで巻
き付け、更に逆の方へ飛んで引き絞って切断。
残りの三体が正面の一体以外の二体がそれぞ
れ左右の斜め後方の位置へと回り込み、囲っ
た状態から私や上海たちを中心に回る。
そうして、三周程回った所で急にこちらへと
飛び掛かってきた━━恐らく、回る間に距離
を詰めてたんでしょうね………
ア「………でも、無駄ね。ご苦労様っ!」
私の周りを大盾を装備した上海&蓬莱がか
ため、後一歩でその鉤爪が私に届くのを防い
だ。
ア「戦操…『ドールズウォー』!」
攻撃が防がれた瞬間、足元に魔方陣が展開
し、そこから十二体の上海たちがランスで一
斉に私目掛けて、人形兵どもを背後から貫く。
貫かれた機械人形たちは鉄のひしゃげるよう
な音を立てると同時に動かなくなった。
………その人形たちを上海、蓬莱たちがランス
を振って捨てると、その落下先にスキマ(八
雲のとは違う)が現れ、人形を回収するかの
ように飲み込んでいった。
そして……更に新たな人形兵が送り込まれ
てくる。
もうかれこれ、十回ほどこれを繰り返してい
た。
因みにこれはチルノたちと別れ、レティを私
の家まで運ぶ道中で、彼女は他の上海たちに
しっかり守らせている………んだけど……
ア「初めて会ったときとは違ってずいぶんと
積極的じゃない………何?誰かを背負ってる
今ならやれるってわけ?………見くびられた
ものね!」
そして、目の前にスキマのようなモノが開
き、新たな兵どもが送り込まれてくる………
と身構えていると、先ほどまでとは違った姿
の兵が目の前の裂け目を通って私と対峙する。
ア「………え? こいつら……もしかして?」
そう、新しく出てきた奴らは、見覚えのあ
る奴の帽子(ターバン)を巻いた何の武器も
持っていない奴、武器の代わりに三体それぞ
れに異なる種類の楽器を一つずつ持ってる奴
らだった。
一体はバイオリン、もう一体はトランペット
、更に一体はキーボードだ。
……というか帽子の奴はどうみても今私が連れ
ている…………
ア「えぇ……もしかして、今度はそういう…」
…それを肯定するかのように眼前の楽器を
持った三体から嵐の如く弾幕が放たれる。
ア「やっぱりぃっ!?」
更には辺り一帯を凍える程の寒気が多い尽
くす………
ア「うぅ………ずずっ!………さ、寒っ!!
全く………雪女は夏は力が出ない筈なのにぃ
っ!」
どうにか、寒さをしのぎながら、楽器を持
った三体放つの弾幕を躱して立ち回る。
空を華麗に舞うかの如く相手の弾幕を掻い潜
りすり抜け相手の隙を突くように上海たちを
差し向ける。
目の前の三体のうちのトランペットの敵から
弾幕と共に管楽器の楽しげで元気の良いメロ
ディーが聞こえてくる。
どうにか四体分の弾幕を躱し、こちらからも
反撃にでる。
敵の弾幕は数こそ圧巻であるものの、良く見
極めて対処すればそれほどでも無い。
………戦闘の最中、まだメロディーが聞こえて
いる……
上からの弾幕を紙一重で回るように躱し、真
後ろから来た攻撃も宙返りの要領で飛び避け
、逆に上海で迎撃。
更に他の子たちで遠距離から弾幕を展開して
いる三体に攻撃を仕掛ける。
相手もただ座して死を待つ訳も無く、こちら
の攻撃に対応しつつ弾幕を緩める気配はない
…………しかし、私は敵が態勢を崩したよう
なほんの僅かな感触を見逃さなかった。
そこから私はどこか前のめり気味で周りに注
意を払わないような立ち回りであることにも
気付かないほど目の前の敵に畳み掛けていっ
た。
ア「………ふふっ!」
敵がボロをだし始めている。完全に墜ちる
のも時間の問題…………
━━━勝った‼️………そう思いかけた瞬間、よ
うやく自身の異変に気付く。
ア「あ、アレ? 何か………おかしい……?
私、何でこんなにテンション高いの? 気分
が変に高揚して……………はっ……!!」
………そこでやっと思い出す……
これは縁起に書かれていた
能力と特徴と一致する!
本当に、己のぽんこつな記憶力が恨めしい…
今だけはあの稗田の当主が羨ましかった。
そう、今私を襲っているこの異常………これ
が、躁の音楽と呼ばれる……メルラン・プリ
ズムリバーの「躁の音を演奏する程度の能力」
による旋律! プリズムリバー三姉妹の次女
の能力による攻撃だ!
ア「まずいっ!……てことは、まさかっ!!」
私はいつの間にか、戦闘に夢中になり、守
護対象である彼女から離れてしまっていた。
それどころか、敵を知らず知らずのうちにそ
の方向へと追いやっていた。
気が付かなかったとは言え………これは私の失
態だ。
いつの間にか、敵方との位置関係は敵を挟ん
で私の反対側にレティと彼女を護衛する上海
たちという形になっていた。
ア「…………っ! ……させるかっ!!」
私は上海・蓬莱を敵に向かわせつつ、護衛
に付けている上海たちも使い、挟撃する………
しかし、読まれていたのか挟撃は難なく躱さ
れ、むしろさっきよりも近づかれてしまった。
━━時がやけにゆったりと流れているように
感じた………
…だが、当然のことながら自分だけははその
時間の中で普通に動けているということは無
く、私もこの緩やかな時間に取り込まれたか
のように……のろい。
三姉妹を模した敵が彼女に至近距離で弾幕を
放とうと楽器に手をかける………
そこで私はそれを遮るように苦し紛れに弾幕
で攻撃する。
ア「━━ッッ!『偵符シーカードールズ』っ
!!」
四本ものレーザー弾が相手に向けて直進す
る。
ア「━━━ッ!!」
でも、それも敵の弾幕に掻き消され、さら
に……辺り一帯の寒気をレティを模した雪女
の機械兵がまた一段と強くした。
もう、指先すら動かせ無いほどの身を刺す寒
さが私を襲う………
ア「ぐぅぅっっ…!」
奴らの魔の手も彼女に迫って行く……!
その場へと無意識に手を伸ばす……
ゆっくりと進んでいく時のなかで、私は只々
無力感に苛まれていた。
約束したのに、また守れないのか……
あの時と同じように………!!…またっ!!
━━ガシィッ!!
その時……再び時のスピードが戻り始めた。
レティ「ふ…ぅわぁ~~…全く…人が折角気
持ちよく寝ていたって言うのに……まぁ人じ
ゃないけど……私の眠りを妨げるってことは
ぁ~~…もう、覚悟は出来てるんでしょうね
♪」
何が起きたのか、奇跡が起きたのかと目を
丸くしていると突如、さっき迄眠っていた彼
女と彼女を狙っていた人形兵共との間で戦い
になった。
リリカ「だ~か~らぁ~っ!ちゃんとこっち
であってるってば~!」
ルナサ「……そういってかれこれ一時間くら
い彷徨ってるじゃない……っていうかこっち
…私が最初に指した方角じゃ……」
リリカ「まぁまぁ!細かいことは気にせず、
張り切ってこ~~っ!!」
メルラン「まぁ~っ!……うふふっ…リリカ
がいると賑やかで良いわぁ~~!」
……先ほど、敵が彼女に手を掛けようとし
た時(実際に首に手を掛けようとしていた)
、目を覚ました彼女が相手の手を掴み交戦に
入るか否かのところでどこからともなく、三
人組の声が聞こえてきた。
………ん?リリカ……?ということは……
リリカ「待たせたナァ! プリズムリバー三
姉妹! ここに参上! な~~んてねっ☆」
ルナサ「いやいや……待たせ過ぎだから……」
メルラン「まぁまぁ……見つかったんだから
良いじゃな~~い……それに、間に合っても
いるみたいだし?」
次女のメルランが長女のルナサを宥め、そ
の間にリリカが私のところにやって来た。
リリカ「ねぇねぇ!あなた、アリス・マーガ
トロイドでしょう?」
今はそれどころでは無いはずなのに、思わ
ず気圧されるほど瞳を輝かせながらリリカが
問いかける。
ア「え、えぇ……そうだけど、それが………」
リリカ「やっぱり!人里で、あなたの人形劇
を見た時から私!あなたと私たち姉妹は相性
が良いと思ってたのよっ!……ねっ!そこで
相談なんだけどさ!今の
私たちと人里で共演してくれない?良いよね
っ!?ね!」
ア「え、あ、ちょっと……」
リリカ「え?こんな危機的状況を救ってくれ
た恩人の頼みを断れる訳無いっ、是非共演さ
せてくれ?いや~~っ……なんか恩に着せる
みたいで悪いねぇ~~!でも、私はお礼はち
ゃんと受け取るタイプなんだよね~!という
訳で、早速この状況に加担させて貰うよっ☆
善は急げだレッツラゴーー!!」
ルナサ「ちょっとリリカーーっ!!置いてく
わよー!」
リリカ「はーーいっ!!今行く~!!」
一方的にまくし立てた上、勝手に恩を売ら
れ、約束を取り付けられ、あまつさえ我が物
顔で引っ張り回されたことは一旦脇に置いて
おくとして、取り敢えずはこちらに
くれるみたいね。
そこで改めて、叩き起こされた(?)怒りを
敵に当たり散らしている彼女に視線を戻す。
そこまで怒っているわけでもなさそうだが、
(それとも、臨界点を越して逆に冷静か……
ね)その残った理性故か、敵の方も攻めあぐ
ねているようだ。
しかし、複数であることと相互の連携によっ
て徐々にではあるが追い詰められていってい
る……じり貧という奴だ。
すぐにでも、加勢しなければならない………
そこで私も三姉妹に追い付き、着くなりリリ
カに説明を求められる。
リリカ「ところで……目の前のあいつらって
なんか私たちに似てる奴がいるんだけど、あ
れって
その問いはもう予想はついているが、答え
合わせの為だけにかけられた問いだった。
その問いにこちらも若干食いぎみで答えを返
す。
ア「ええ!その通りよ……奴らのうち三体は
あなたたちと同じような攻撃をしてくるわ……
躁、鬱、幻想の三種の音ね。まだ躁しか聞い
て無いけど見た目から言っても間違い無く他
は鬱と幻想……だから……━━っ!!?」
説明の中途で今まかさに話ていた鬱と幻想
の演奏であろう音色が敵の手によって奏でら
れていた。
ア「う……うぅ……はぁ~~……な、なんだか……
やる気が………」
音が聞こえた瞬間すぐに耳を手で塞いだに
も関わらず、まるですり抜けてくるかのよう
に頭の中に流れ込んでくる。
頭の中でその音を受け入れて行くにつれ、次
第に自身の中からやる気や活気が洗い流され
ていくようだった。
なんと音が聞こえ始めてから数秒の出来事で
ある………
ア「…………っ!!(さっきはこんなに早く効果
は出なかったのに………!!)」
こんなことを言うのも変な話だが、凄まじ
い勢いでやる気が失せていく……果ては生き
る気力さえ喪われ始めたその時、ふと敵の演
奏による影響が一気に弱まった。
……敵の音楽が消えた? いやそうじゃない……
かすかにだけど聞こえている。
それなら………と辺りを見回そうと首を捻る
と隣に答えがあった。
リリカ「ほら、ほらほらほらほらほらほら❗」
ルナサ「もう、調子乗ってないでちゃんとメ
ルランに合わせなよ」
リリカ「はいはい♪わかってますって~~!」
メルラン「あらぁ~~……ふふっ……私は別
にこっちが合わせるのでもかまわないわよ~
~?」
なるほど、合点がいった。
今、三姉妹のうちの二人が敵の演奏に対抗し
て……つまり今流れている鬱の音楽に対して
躁の音楽、メルランの演奏で反対の音をぶつ
けることで音の波長を相殺しているというこ
とらしい。
だから、音が消えたように感じたのね……
ア「ありがとう、助かったわ」
三姉妹の長女に礼を言う。
ルナサ「礼には及ばないわ。それにまだ終わ
ってないしね……」
━━ドゴォーーーン………
一同「「「「!!?」」」」
ルナサとの会話が切れる間際に派手な爆発
音がなり、演奏中の二人も共に爆発のあった
方を見る。
レティ「く………」
どうやら、レティに敵の弾幕が直撃したら
しい。
その一撃を皮切りに次々と敵からの弾幕をそ
の身に浴びて行く。
恐らく、さっきの鬱の音は私達全体というよ
り、暴れてなかなか手が付けられないレティ
に向けたものだったらしい……普段は抑え役
の幻想の音を増幅器として利用して━━どう
やっているのかわからないが━━まで抑えよ
うとしたのがついさっき音が相殺される直前
に漸く効き目が現れたのだろう。(どれだけ
怒っていたんだ…)ここまでの思考が私の頭
の中を漠然と一気に駆け抜けた。
その刹那にいつもは上海たちを操る為に使っ
ている魔法糸をレティに向けて伸ばし、上海
たちもそこに急行させ、全力でその場からこ
っちに引き寄せる。
その瞬間、レティのさっき迄いた座標に敵の
更なる追撃が一瞬遅く打ち込まれた。
またもドォーン、という激しい爆音が鼓膜を
揺らす。
その隙に、彼女をこちらまで糸と上海で連
れてくる。
そこで、何故か彼女が謝ってきた。
レティ「……ごめんなさい……寝起きの怒り
に任せて敵陣で暴れてみたんだけど……逆に
迷惑かけちゃったわね」
つまり、彼女は彼女で私に気を使っていた
らしい。
しかし………
ア「……案外、冷静だったのね……その割り
にかなり頭に来ていたみたいだけど………」
それはもう、鬱の音がしばらく効かなかっ
たくらいには………と思っていると、不意に
妙に怒気と圧を感じるにこやかな笑顔で…
レティ「ぅん~ん?それとこれとは別…あん
まり言わないんだけれど私、安眠妨害とか、
だいっきらいなのよねっ!」
と言い放つ彼女…ま、まぁ何はともあれこ
れで
…………これで、完全に位置関係は三姉妹
と私と
の装飾と武器を装着した無骨な機械人形たち
という絵面になった。
ルナサ「さて、だれがあの中の
るかだけど……私らの姿(?)をした奴ら
は私らが相手をするよ」
今の位置関係になるなり、三姉妹の長女が
口を開き、自分たちの姿の相手は受け持つと
宣言する。
ア「わかったわ。二手に別れたほうが混戦し
て変なことにならなそうだし……」
そう、音に関してはあの姉妹がなんとかし
てくれるだろうが……実際の戦闘では私は(魔
法のとはいえ)糸を使う…つまり、
に繋がる。
私の手腕なら糸同士が絡まることはまず無い
としても━━そんなことになるほどドジでも
のろまでも無い━━味方との戦闘ではややこ
しくなること受け合いだ。
まぁ近距離で共に戦っても絡まらずにやって
のける自信があるにはあるが、味方がどのよ
うに立ち回るかの予測も必要になる上、完全
に予測しきれるとは言え無い……その時、味
方同士でぶつかって隙が生じるなどしては目
も当てられ無い。
従って、どんなに小さくともリスクヘッジは
行うべきで……
そこで、ルナサが相手を警戒しながら話しか
けてきた。
ルナサ「ああ…それと、さっきリリカが色々
言ったみたいだけど、気にしないで良いから
…幻想郷に
訪れてるなら、
……というか、どうせ強引に話しを取り付け
られたんでしょ?悪かったわね、身内が無理
を言って……」
その言葉を聞きつけたらしい騒霊の三女が
姉に抗議の声をぶつける。
リリカ「えぇーーっ!! そのくらいいいじ
ゃん!減るもんじゃなしーー!! …ていう
か、むしろ増えるくらいまであるよ!!」
それを窘めてルナサが返し、その様子を微
笑みながらメルランが見守る。
ルナサ「あんたが良くても向こうの都合があ
るでしょう…」
どこか物憂げで気怠げに、それでいてどこ
か圧力を滲ませ言い含める彼女にそれでもリ
リカは食い下がる。
リリカ「で、でも……!!」
そのやり取りを横で聞いていた私は(無論
、敵に注意を払いながら)、そんな彼女が少
し哀れに思えたのと、良く考えてみれば案外
悪くないかも知れない提案だったと思いなお
す……これは、意外にも本当にそう思った。
なにせ、騒霊楽団の評判は耳に届いていたし、
共演した時の里の人間の反応も面白そうだ…
私の人形劇に新しい要素を取り入れられるか
もしれない━━あとは、この話をいい加減ま
とめないと…様子見を切り上げて敵が向かっ
てきそうだからというのもあるが━━その話
に割って入るように私は言った。
ア「ねぇ、その話、受けても良いわ」
ルナサ「?」
リリカ「えっ?…良いの?」
私の反応が意外だったのか、二人は一瞬固
まると、それぞれが口を開く。
ルナサ「…別に、無理する必要はないのよ?」
リリカ「あ、あの~…私から言い出しといて
なんだけど、本当…に?」
ア「ええ…別段他に都合があるわけでも無い
し、この件が色々片付いたらになるけど、そ
の後ならそっちの都合のいい日で構わないわ」
破格の条件に二人とも驚き、口を閉ざして
いる。
うん……これはこれでいい気味ね。(主に気
分が良い的な意味で)
ア「だから、その日に向けて今、
らない?」
二人が同時に、え?と疑問符を口から吐く
の見てからこう続ける。
ア「目の前のあいつらには私たちの初共演の
観客兼練習台になって貰いましょう……尤も、
演じ終わるころには彼らは八つ裂きになって
いるでしょうけど……ね」
私のその応えを受けて二人もそれぞれ、顔
に笑みを称え、なるほど…それは名案ね……
と含み笑いしたり、っしゃぁーーっ!と拳を
元気に天に突き上げたりしている。
と、そこにレティが話に入ってきた。
レティ「その初共演、私にも手伝わせてくれ
ない? 奴らへのお礼がまだだし、興味もあ
るしね………」
………さて、これでこっちの話はまとまっ
たけど………やっぱり、この期を見逃す奴ら
じゃ無いわよね!
ルナサ「来るよ!」
私たちの動きだす気配を感じたのか、はた
また、偶然タイミングが重なったのか…黒づ
くめの機械共は攻撃を再開した。
リリカ「……まったく!待ちきれないってこ
と?!!」
ルナサの警告にまずリリカが幻想の中和す
る音楽を……続いて相手の鬱の音に対応して、
メルランが音を奏でる。
メルラン「あら!それは光栄ね!
がいがあるわぁ~!」
次に躁のメルランの演奏に便乗して音を際
立たせようとした敵の演奏を打ち消すように
ルナサが鬱の音楽を周りに交響する。
無論、両者からも常に弾幕は飛び交い、辺り
一帯は光弾の嵐に包まれる。
しかし空中でなのと、領域の制限もないため
、ある一定の距離を取れば両弾幕に挟まれる
ことも無い。
……離れられるギリギリから弾幕の隙間を縫
って移動し、隠れ簑にしつつ、糸を手繰り上
海らを操ってレティの機械兵へと攻撃する。
(完全に離れないのは三姉妹へのいざという
ときのフォローと支援の為)
レティ「さっきのお礼はこの
でたっぷりしてあげる!」
レティが敵から発せれている寒気を抑え、
逆に相手側にのみ寒気が寄るようにコントロ
ールしながら、弾幕を飛ばす。
しかしそれは相手も同じなので、互いの力の
具合によってこちらが寒くなったり、普通に
なったりを繰り返す。
ア「……くっ! 案外しぶといわね……!」
実際、戦闘を始めてから約数十分くらい経
過していたように思う。
三姉妹の方は実質一対一だからまだしも、こ
ちらは二対一であるにも関わらずだ。
しかも、私は上海たちを操って攻撃している
ので実際は多対一だ。
ア「私は避けるのにも神経を使ってるとは言
え
な処理能力してるん、だか……!(それにど
こか動きを先読みされているような…?)」
戦い始めてからずっと(レティ)機械兵は
寒気を操る程度の能力をこちらに向けつつ、
上海・蓬莱たちの攻撃をいなし、レティの弾
幕を相殺し、時に私か上海軍団から放たれる
光弾をも相殺する。
それらの動きもこちらよりも若干先んじて行
われているような感覚がある。
もちろん、気のせいだと言えばそれまでだけ
れど…………
ア「……! 魔光!『デヴィリーライトレイ』
!」
レティ「白符『アンデュレイションレイ』」
怪符『テーブルターニング』
私とレティの二人のスペルで同時に攻撃し、
不可能弾幕で敵を包囲するが、相手もスペル
を自身の周りに展開しながら、降りかかる弾
幕に相殺し、(流石に私のレーザー弾は躱し
ていた)弾幕の包囲を突破された。
ア「でもそれは悪手ね!」
その動きを前もって予測し、上海・蓬莱を
相手の進行方向上に先回りさせておいた。
まずは大剣を担いだ蓬莱が、目標に鋭い上段
正面真っ向斬りを浴びせる。
でもそれも、即座に能力の応用で氷の盾を精
製され、斜めに受け流される。
その大剣の上海のすぐ後ろからランスの上海
による、体躯全てを使った刺突が繰り出され
るが、少し横にズレて躱され、相手の左斜め
後方からの両刃斧の袈裟斬り振り下ろされる
前に蹴り飛ばされた。
━━なに?この…既に
かのようなこの動きは……━━
ア「……なら、次のステップに進みましょう
か」
私は上海たちのうちの一体からレーザー弾
をあの三人姉妹とそれと対峙する機械共とを
別つように放たせ、三人と三体の注意を一旦
こちらに向けて戦闘を一時中断させる。
彼女たちと奴らがこっちを向いたのを見計ら
ってあさっての方向を指差す。(その間、レ
ティに自身の人形を相手してもらっている)
そこには━━━………
…………と、大きく七色の光で上海・蓬莱
たちに描かせていた。
リリカ・ルナサ・メルラン「「「!!!」」
」」」
うん。上手く三人にだけ伝わってくれたみ
たいね。
その数秒後、遠くから弾幕で相手に対抗して
いるだけだった三人がこちらに合流した。
これで五人がその場に揃い、敵が様子を伺っ
ている間にお辞儀を済ませ……
━━さあ、
ア「白符『白亜の露西亜人形』!」
私の上海たちが相手を囲うように左上、右
上、左下に複数配置され、それぞれから米粒
弾が六方向に一気に発せられる。
それに合わせるようにまずはリリカが敵に近
づき非スペルの攻撃を繰り出す。(つまり、
私の弾幕の包囲の中心付近)
リリカ「ファントムノイズ!」
その宣言と共にリリカの持つキーボードか
ら音と一緒に音波の波紋のようなものと音符
型弾が一瞬広がり、敵に直撃する。
辺り一帯を私の弾幕が覆っており、咄嗟に反
撃に出た敵はリリカの攻撃に当りはしたもの
の衝撃を受け流し、逆にリリカに迫ろうとし
ていたが、リリカは相手に手を出してから直
ぐさま身を翻し、私の弾幕を掻い潜りながら
奴らから距離を取った。
次に、私の弾幕に隠れたリリカを追う敵に
メルランが妨害を加え、それにルナサが追撃
を加える。
メルラン「トランペットソウル!」
ルナサ「スローサウンド…」
その翻弄するような動きに私が更に合わせ
てスペルを変える。
ア「注力『トリップワイヤー』!」
次は弾幕の代わりに敵にダメージを与える
糸が張り巡らされる。
そこで敵から逃れつつ戦っていた三姉妹そ
れぞれが定位置で止まり、敵に向けて通常弾
幕を敵に一斉砲火する。
それに対して敵は三々五々に散って、躱そう
とするが、時々糸に引っかかったり、三人の
弾幕を躱しきれずに被弾してしまったり……
挙句、危うく敵同士で衝突しかけたりしてい
た。
━━……? これって……もしかして……!
敵が糸の中での戦いに慣れて来たのを見つ
つ私は自身の仮定を確かめる為、一旦今の糸
スペルを解いて、敵を中心におおよそ三姉妹
を点対象の位置に陣取ると、スペル「グラン
ギニョル座の怪人」を発動。
ルナサ・リリカ・メルラン「「「大合葬!『
『『霊車コンチェルトグロッソ 怪』』』!
!!」」」
すると、彼女らも何かを察してくれたよう
で自分たち最大のスペルを出してくれた。
━━……しかし、敵はこちらが位置について
即座にスペルを発動したのに関わらず、直ぐ
にその位置関係から脱出するように動いた…
確かに、分かりやすい動きで、予測も容易だ
ったからとも考えられるが、さっきの
連携攻撃が厄介である事はあちらも認識した
はず…ならば、自身を隔てて二手に分かれた
私達の内どちらか、若しくは双方を倒しに行
くことも検討出来る筈なのに………
……でも、いずれにせよ、これで私の中の仮
説が確信に変わった。
私たちの高密度、大質量の弾幕の圏内から
逃れたあいつらは弾幕の海に囲まれている私
とプリズムリバー三姉妹を無視して、レティ
を先に
レティ「ふふ……いらっしゃ~~い♪」
当の本人は非常にヤル気(何がとは言わな
い)で途轍もない圧の感じる笑顔を敵に向け
て暴れている。
レティ「冬符!『ノーザンウイナー』~!」
スペルを放ち、更に冷気を操って氷で武器
を作り、相手に踊りかかる、相手に寒風を吹
かせ続ける。
……その、豪雪が舞う程の寒風によって私の
確信が更に裏付けられた。
最早吹雪と言えるほどのものに吹かれてい
る敵の背面に、吹雪の雪かあるいは零度の氷
結によってか……キラリと糸のようなものが
光ったのを見逃さなかった!
━━見つけたっ!
ア「上海っ!!」
上海「━━━………っ!!!!」
私はスペルを解除すると同時に敵と同じ所
まで飛び、上海に敵の後ろについている糸を
断ち切るよう命令した。
その命に従い、真っ直ぐ数体の上海たちが糸
の切断に向かう……
しかし、それを見ていた別の個体が割って入
る。
それにすぐさま別の上海を向かわせて対抗す
る……そこに、私の動きに異常を感じた三姉
妹が到着して戦いに加わり……再び場は混戦
し始める。
機械兵レティがプリズムリバー三人衆に囲ま
れて演奏に乗った魔力弾の攻撃を受ける……
直前で回避、上に逃げ……待ち構えていた本
物レティに刀(氷)で斬りかかられ、それを
受けつつ後退し、私は三姉妹の機械兵を上海
・蓬莱人形部隊で相手取り、左右それぞれの
斜め後方(右は上、左は下)からと、正面か
らの演奏魔弾をいなさせ、また自ら躱して上
海たちに反撃を命ずると半自動の彼女らはそ
れぞれ、正面には陽動で大剣の一体が突撃……
と見せかけて(ここで相手がヴァイオリンを
盾代わりに構える)槍を構えた一体がその背
後から飛び込み、二体で一瞬翻弄した後挟撃。
左は鎖鎌を持った子が相手の胴をトランペッ
トごと鎖で捕らえ、そこを大鎚の子が吹っ飛
ばす。
右は弩弓隊の子らが放つ矢を敵がキーボード
で弾いている間にランスと盾持ちの子が近づ
き、押し込む。
その間にも隙あらばと敵の背後の糸を上海た
ちに狙わせるが、なかなかその隙を見せ無い
………そこで、一旦敵を退けてから他メンバ
ーと背中合わせに合流し、それぞれに伝える。
ア「みんな!よく聞いて! あいつらは自分
の背後についてる糸で私たちの動きを読んで
、互いの連携を取ってる!」
レティ・ルナサ・メルラン・リリカ「「「「
!!!!!」」」」
リリカ「ふう~ん……(・∀・)ニヤニヤ」
ルナサ「なるほどね……」
メルラン「あらあら~♪」
レティ「つまり、そこを狙えば……!」
ア「そう!少なくとも、今よりも動きは鈍る
はず……」
そう、そして………やることはまだある。
ア「みんな、ちょっとだけその場でじっとし
て……」
そこで四人に向いた時にこっちに向かって
来る奴らの姿が視界の隅に入つて、少し焦っ
たけれど、すぐさま心を落ち着かせ、軽く集
中する。
ア「(大丈夫、そんなに難しくないし)……
……」
心の中でそう呟くのとそれを感知して捉え
るのはほぼ同時だった。
━━━━━これね!
それを見つけると即刻、私の人形たちの刃
が
糸を断ち切った。
それは、一瞬発光し、私を含め五人の目に写
った。
ルナサ・メルラン・リリカ・レティ「「「「
……っ!!!」」」」
ア「わかった?今の私たちについてたのと同
じ糸が奴らにもついてるから、それを各自狙
って!」
ルナサ「了解!」
リリカ「アイ・アイ・サァーッ!」
メルラン「はぁ~い♪」
レティ「オッケーー!」
各々が自分なりの返答をする中、ついに敵
がこの場まで到着した。
レティが自身を表した機械兵の氷の鉤爪武器
に刀で打ち合う。
メルラン・ルナサ・リリカもそれぞれ、強い
魔力を纏わせた楽器で敵の楽器を防ぐなり、
逆に攻めるなり、同じ音で相殺するなりで対
応する。
バイオリニストの弦が弾き合う、トランペッ
トの音が響き合う、キーボードの音が競い合
い、弾幕と時々両者の楽器がぶつかりあう…
……そこに私も合いの手を入れること数手…
━━━━━
…ついにその時が来た!
私の上海たちが相手の僅かな隙を突き、鍔迫
り合いに持ち込んだその瞬間に、レティたち
が相手の背後についた糸を切断した。
レティ「……今っ!」
プリズムリバー三姉妹「「「……………!!
」」」
機械人形「「「「━━━━!!?………」」」」
そこで、文字通りの頼みの綱を切られたこ
とにより、更なる隙が生じた人形兵たちに私
たちの全力の弾幕が直撃する……!
一同「「「「「合同スペル!! 合作っ!!
『イリュージョニスト・オブ・グランギニョ
ル!!!』」」」」」
私の上海・蓬莱たちがそれぞれ相手の人形
兵共と同じくらいの頭身になり、レティの能
力で武器が氷を纏う事で更に大きさと鋭さを
増し、三姉妹が演奏の弾幕で相手の退路を断
ちながらその包囲を狭めていきながら近づき
、弾幕に意図的に作られている敵への道筋に
人形たちが次々と突撃していく………その突
撃と戦闘も演奏と連動して行われ……………
そこへ包囲の為だけに弾幕を展開していた三
姉妹が敵向けて一斉砲火………そして━━━
━━━━━
レティ「終わったわね……」
リリカ「ふぅ~~っ……やっと終わったぁ~
~~」
ルナサ「でも、それなりに有意義な時間にな
ったんじゃない?」
メルラン「うん♬楽しかったわね~~!」
各々が戦闘が終結したことに安堵し、それ
ぞれの感想を漏らす。
その視線の先の、先程まで敵がいた位置には
上海たちの滅多斬り及び特攻爆発と、三姉妹
の弾幕と、レティのラストスペルによって、
塵すらも残っておらず、一見すると爆発に乗
じて敵に逃げられたかのようにも見えるが、
それは自身に残る確かな手ごたえが完全否定
していた━━━━━━
あとは……
ア「いいえ、まだ後片付けが残ってるわ」
リリカ「えっ!?」
メルラン「何々~~?」
ルナサ「……後片付け?……あっ」
と、ルナサは察したようなような声を上げ
、私はそれを補足する。
ア「そう…あの糸を操ってた奴を始末しない
と……」
一同(もちろん私とルナサ以外)があぁ~
……と合点がいったような声を上げると、で
も…と声を沈める。
リリカ「どうやって……探し出すの?」
レティ「糸を辿ろうにも、全部叩っ切っちゃ
ったしねぇ~~……(汗」
レティが自身の容赦のなさを振り返って若
干気まずそうにするのをよそに私が答えを返
す。
ア「そんなこともあろうかと……っていうか
最初からそのつもりで、糸の伸びていた方向
から大体の位置に検討をつけてあるわ」
その言葉に対する私以外の、おぉ~~!!
という反応を聞きながら、本当は相手の糸に
私の魔法糸を付けてより詳細且つ継続的に位
置を知ろうとしたんだけど、そこまですると
逆に操られそうだったのと、戦闘に集中力を
使っていたから、維持することができないだ
ろうという理由からやめたということを説明
し、全員で
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━……
そこにたどり着いた私たちは(たどり着い
たと言っても案外近かった)その敵が、何故
普通なら、まぁこいつらの場合は作り主から
命令されればだが…仲間が倒された時点で逃
走を図っても良さそうなものだが、上海の一
体を目印としてこの敵の真上に配置してマー
キングしたその位置から一ビットたりとも動
いていなかった。
また、逃走中であっても上海には自動で追跡
することを命令してあったので無駄ではある
ものの、それを知っていて動かないにしても
、上海を排除しようとしても良い筈なのにそ
れも無し……移動中にそのことを一人密かに
疑問に思っていたのだけれど……その事は他
のメンバーも不審に思っていたらしく、いざ
現地に着くと一同の疑問は解消された。
その場に到着するなりそれを見つけると、口
々に…そりゃ動けないわだの、そういうこと
か……だのと喋っていたので皆も同様の疑問
を抱いていたのだと悟る。
そう…その敵は動かなかったのではなく、動
けなかったのだ………というより、端から動
くことを想定して造られたわけでは無いと言
ったほうが正確かも知れないが………
その容姿は他の人形に私がいつも(今も)持
ち歩いているものに似た魔導書を持っており
、まさにそこに据え置きと言った感じで本来
は足がある筈の部分はチェスの駒のような形
になっていた。
そして、手にしている魔導書は開かれ、絶え
ずページが風でパラパラと捲られているかの
ように動いていて、その魔導書自体も使用者
の手から僅かに浮いていた。(因みに手は魔
導書の下に添えられていた)
リリカ「さて……それはそうと、そろそろ幕
引きにしようか!」
という、リリカの号令とも宣言とも取れる
一言で皆が、もちろん私もそれぞれの能力で
武装し、臨戦体制を取った………
その時だった……
最初に違和感を感じたのは私だった。
ア「━━━━━………っ!? ま、待って!」
みんな………と言う頃にはもうそれは発動
しており、他の皆もその時には異変に気付い
たけれど………既に後の祭りだった……
レティ「━━━━っ!!?」
メルラン「……きゃあっ!!?」
ルナサ「くっ………この、……!!」
リリカ「うわぁっ………!」
全員の能力発動から二秒程でいきなり全員
の体が例の人形のオブジェのような敵の周り
に瞬間移動させられ、青く光る魔法糸が複数
拠り集まってできた球体から飛び出てきた糸
に全員捕らえられていた。(球体は恐らく転
移と同時に出現)
……これはもう、どう考えても………!
リリカ「ちょっ、ちょっと!? これはヤバ
くない?」
ルナサ「これは誰がどう見てもトラップ……
だよね…」
メルラン「えっ…え~~っ!!なによこれぇ
ーーっ!!」
レティ「ま、拙いわね……」
流石にこの事態にはあのメルランでさえ混
乱を禁じ得ず(端から見ると余り慌てている
ようには見えなかったが)、他の皆は言わず
もがなだ。
しかも、真の危機はまだまだここからだった。
レティ「ちょ、ちょっと…これは、危ない
!避けて!リリカっ!!」
リリカ「……え!? …って!うそぉ…!!」
レティから警告され、気付いたリリカがう
ぉっ!!危なっ!と言いつつ、
その本人は肩で息をしながら氷で出来た刀を
地面から引き抜くのを堪えようとしており、
その必死の抵抗虚しく刀を引き抜き、構えな
おした。
━━━━どうやら、最悪なことにこの糸に捕
まっている者は………
ルナサ「……くっ…まずいっ…避けて!!」
リリカ「そ、そっちもそっちも!!」
メルラン「ご、ごめんっ!! あんまり余裕
ない…!!……かもっ……!」
レティ「お、抑えきれない━━っ!!!!」
・・・・・・皆、例外なく体を操られるよ
うだ……
━━━━こ、このままじゃ……同士討ちにさ
せられてしまう…!!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━……これじゃ、あの時と………━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
━━━━━━━━━━……まだだ!!!!
まだ、諦めるもんですかっ……!!!!
私は今ある余力を全て振り絞り、持てる技
術の全てを、全身全霊を、自身の誇りを駆け
て相手の操術に全力で抗った!
自身の魔法糸を皆の身体に接続し普段上海た
ちにそうしているように操る。
……ここでは操ると言っても私が好き勝手に
操作するというわけでは無く、糸を繋いでい
る相手の動きを後押しするというか補助をし
て敵の操作から抗いやすくするという意味で
あり、それによって力の消耗を押さえつつ敵
の術者に対抗を容易にし、あわよくば主導権
を取り返そうとした……の……だけれど……
ア「やっぱり、そう簡単には……返して……
…くれない……わ……よね…」
今、説明したものだけじゃなく、その他諸
々の技術や知識を駆使しているにも関わらず
何とか抑えるのがやっとなほどの出力が敵の
人形術師ならぬ術師人形から出ていた。
━━━これは、何か妙ね……近くにいる程縛
ったり動きを操作したりと言った力が強くな
るのだとしても、これは何か……っ!?
その時、相手側の術者の半ば異様とも言え
る加減の無さと力に引っかかっていると、術
者として対抗している機械人形兵の頭部から
煙と発熱、機械的な何かがショートしている
かのようなスパークが人形の全身から起き始
めていた。
これは………まるで、限界を振り切ってし
まっているかのような……もう、そんなもの
何の関係も無いとでも………!!
そこまで考え、嫌な予感が脳裏を過った時
、まるでその答えを肯定するかのように……
目前に現実という形でそれは現れた。
唐突に、敵術者人形の手の上の魔導書上の
球体に数字が表示されカウントダウンを始め
た・・・
それを目撃した皆の顔にも一斉に緊張が走る。
ルナサ「ま、まさかコイツ………!」
リリカ「………もしかしなくても自爆する気
だよね……コレ……」
メルラン「えっ………嘘でしょ……」
レティ「…………………!!」
ア「━━━━っっ!!!!」
…………さっきからどうにか上海たちを奴
の所へ向かわせられないかと試してはいるも
のの、むしろ奴の命令で勝手に同士討ちをさ
せ無いよう抑えるので精一杯でそれどころで
は無いし、少しでも気をそらすと、仲間の体
の操縦権を持っていかれてしまいそうだ………
━━━━━かつて、夜明けの来ない永夜の
異変の時に出会った紅魔館の主をしている吸
血鬼の少女、レミリア・スカーレットの言葉
がふと浮かんだ…………
━━これが、運命だとでも言うの………?
…………………………………………………………
………………………………………………………
……………………………………………………
…………………………………………………
………………………………………………
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
永夜異変時
その日は妙な晩だった。
何故か、夜が明ける時間となっても一向に夜
明けが来る気配がなかった。
この現象に興味を引かれた私はすぐさま原因
究明に乗り出した。
といっても、異変の首謀者と事を構えようと
いうつもりは別に無く(それも面白そうだっ
たが)、ただの興味本位の探索だ。
そのいつもよりも少し永い、後に永夜異変と
名付けられることになる異変の探索の道中、
当時よりも前々回の異変(前回は春節異変)
の黒幕であり、血のように赤い館の主…………
「永遠に紅い幼き月」こと、レミリア・スカ
ーレットと遭遇した。
レ「こんばんは。良い夜だな……人形師さん?」
ア「……………!!」
唐突に背後から話かけられたので、驚きな
がらもすぐさま振り返り、上海たちを前方に
配置して態勢を整える。
レ「おやおや、そんなに怖がることないだろ
う?………フフッ……」
そこで声の主を見止めると、そこには斯の
紅霧異変の黒幕、レミリア・スカーレットと
その側に控える「完全で蕭洒な従者」こと、
十六夜咲夜の二名の姿が目に映る。
……だからといって、別に無警戒で良い相手
でも無いし、異変の犯人よりも警戒すべきか
も知れないが、とりあえず上海たちの武装を
解除した上で挨拶を返す。
ア「いや、全く無警戒でいるのもそれはそれ
で失礼かなと思って………なんといっても今
宵の月とは比べ物にならない程『紅い月』が
お相手ですもの」
レ「……アハハハハハッ………それもそうだな……
しかしそうか、畏敬から来るものだったか……
それはこちらこそ失礼した…………それに免
じて、
見えたのは気のせいだったということにして
おいてあげるわ」
ア「………というか、さっきの急な登場はそこ
に控えてるメイドの仕業でしょう? ご主人
ならちゃんと躾ておいてくださらない?」
レ「あらあらそれはとんだご挨拶ね。うちの
咲夜は別に躾なくとも完璧であることで有名
だと思うのだけれど」
ア「えぇそうね。………ところで、従者に時を
止めさせてまでサプライズチックな登場で近
づいてきた理由でもお聞かせ願おうかしら?」
まぁ脅威とは言え、面と向かっていればそ
こまで気を張るような相手でもないのだけど
、探索も再開したいので会話もそこそこに用
件を聞くと………
レ「別に? ただ面白そうな夜の散策中に他
にも面白そうな運命が転がってるなと思って
そっちに足を向けてみただけ」
まるでピクニック気分ね……。
ま、こっちも似たようなものだけれど………
と考えているとふとそれはどんなものなの
か気になったので聞いてみた。
ア「へぇ~~、因みにどんなものだったかと
か聞いて良い?」
レ「あぁ……これはいつになるのかはわから
ないんだけど、あなたこの先……崖っぷち?
というか、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たさ
れることになるわよ」
………それはとても軽い調子で、まるでトー
ストに塗るバターやジャムはそこの棚だから
とでも言うが如しだった。
ア「……………………(えっ……それ…そんな
さらっと………━━━━っていうかこの幻想
でそんなことある?)」
レ「ふふっ………固まってる固まってるっ!
これは果たして恐怖からかしら? それとも
興味?絶望?緊張?疑心?……もしかしたら
案外興奮とか喜悦だったりして……まぁ、い
ずれにしても受け止め切れて無いみたいね」
それはまぁ……そんな事をいきなり告げら
れればさもありなんと言った感じだけれど、
もしもそれが決まった未来だとすると……
考えられるのは………
レ「あ、一つ言っておくと博霊の巫女は関係
無いと思うわよ? これもなんとなくだけれ
ど………」
…………まぁ、今はそれくらいしか考えら
れ無いし、それに……確かにそれは無いだろ
う。
もし、ルールを破って、巫女に処断されるな
ら生死の分岐点ではなく「死」一択となるし
、そもそも破ろうとは思わないからだ。
………ならば、一体なんだと言うのだろう……
でも、彼女のその宣告を聞いて何故か私は幼
い頃のことが頭にふと浮かんだ。
━━━そういえば……あの時も、絶対絶命な
状況だったわね………………………………………
…………彼女から告げられた運命とは、恐ら
くは、たった今のこれのことだと言うのだろ
う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━
実際にはここまで瞬時に全て回想したので
はなく、レミリア・スカーレットから告げら
れた言葉とそれまでに至る経緯を途切れ途切
れに曖昧にしか思い出していない。(この回
想のほとんどは後々で思い出した)
それも運命というその言葉くらいで他の言葉
はぼんやりとしている。
そこで再び現実に引き戻され、それが幼い頃
に体験した出来事と重なる…………その運命
という言葉と共に…………………………………
……………………………………………………………
あれは、私がまだ魔法使いではなく、魔法
使いを目指す、一人の少女だった時…………
魔法の森へ素材を探しに入ろうとして………
……
?「そこの貴女。その森に入っちゃダメよー
ーーー?危ないからぁ~~~……」
なんとも気の抜けた、緊張感のない声でそ
の女性(多分、成人している)は、私の頭上
の結構な上空を飛びながら警告してきた。
━━━場面は変わり、当時の実力では倒しき
れない魔物か妖怪の類に襲われ、なけなしの
魔力も手段も尽き、絶対絶命の窮地に陥って
いた過去が蘇る。
━━━その正体不明の妖魔、その妖魔に今に
も襲い掛かられる瞬間と、目の前の敵の機械
人形兵とその掌にある本の紙上のカウントダ
ウンが重なる。
━━━「……なら、私と約束しなさい。ムリ
そうだと感じたらすぐに逃げる事……その為
の余力は残しておくこと……」
……紅白の巫女装束を身に纏った彼女の言葉。
━━━「……その人のこと頼めないかな?」
「しょーがない…分かったわ。任せなさい」
……チルノの言葉………そして、レティの姿が
視界に入る。
………なるほどね…これは運命…………感じ
るわ……
━━━でも、約束を果たす望みは絶対に捨て
ないっ!!!
あの時の私とは違うということを、約束を守
り切って証明する!!
ア「まさか、あの時の忠告を今、果たすこと
になるとはね……でも、感謝するわっ!!!」
声高にそう叫ぶや否や、操られ、互いに同
士討ちさせられそうになっている私の上海た
ちを遥か上空まで飛ばし、そのまま上海たち
で同士討ちさせた。
………ただし、大爆発を起こす程に激しく、
だが………
ア「犠牲…『スーサイド……パクト』!」
あの子たちには上空に飛ばした時に既に自
爆の指令を出してあり、あとは敵に操縦権を
明け渡した、あの子らが半自動なこともあり
、敵は当初の挙動を上海たちの同士討ちせざ
るを得ず、結果………凄まじい爆発と爆煙と
爆炎が空に巻き起こり、オレンジの巨大な光
球を作った。
そしてその間にすぐさま仲間の抵抗力に自身
の操作を上乗せして主導権の奪還を図るが…
………やはり、相手の出力で失敗に終わる。
ア「やっぱり……………駄目?………………
くっ………………」
失敗したのだろうか、無駄だったのだろう
か………なら、何を間違えたのだろうか……
あれが駄目だったのだろうかとか、あの場面
は仕方なかったのだろうか……など既に起こ
った出来事や状況がまるで走馬灯のように流
れ………時がひどくゆっくりに感じる………
皆が、私が、己の意思に反して動き、味方へ
それぞれの刃を突き付ける様に絶望する。
ルナサがレティの首筋にヴァイオリンの弦を
あてがい、
リリカはキーボードをメルランの頭上へ振り
かぶり、
そのメルランはトランペットをルナサへと向
け、
レティがリリカに氷の槍を突き付け……………
私は人形以外での攻撃を他の全員に強いられ
そうになるなかで、その中心にいる奴の掌の
魔導書とその中心の球体のカウントダウンが
一から零に変わる瞬間……………………………
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━何故か、その瞬間に、
けてくれた彼女の姿が走馬灯の最後の
ように頭の中に浮かんだ。
想像の中の彼女が空から飛来し、妖魔の獣を
霊滅、調伏しながら、言う。
━「ほら、言わんこっちゃ無い……でも、ま
ぁ……………… チ『よく、持ち堪えたね
……やるじゃん』」
その自身の回想とは違う声が聞こえた次の
瞬間には現実に引き戻され、目の前にあった
光景は先程まで想起していたものとまるで…
瓜二つで……………
━━━━━上から飛来してきたチルノが、飛
んで来たその勢いそのままに敵の機械人形兵
を真上から打ち砕き……木っ端微塵にし……
その残骸の一つさえ、逃さないとばかりに、
全てを氷漬けにして、見蕩れる程に綺麗な氷
塊の中に閉じ込める。
………………まるで、あの頃の焼き直しのよ
うだった。
~異界某所~
ただひたすら暗い空間にポツンとその持ち
主へと映像を届け続ける鏡だけが、唯一の光
源であるこの部屋で、
るかの人物は一人で座るにはやや横に長いソ
ファのようなものに腰掛け、顔を自身の左手
に、また左の肘はひじ掛けに預け、鏡が映す
映像を眺めていた…………
その映像の内容は、自身の傀儡の兵たちがそ
の攻撃対象である、とある少女たちとの戦闘
の記録で、対象の少女らの特徴の一部………
ある者は
も鍵盤に帽子(ターバン)などを身に付けた
無骨な人形兵が少女らと戦闘を繰り広げてい
る様子が写し出されている。
……………やがて場面が変わり、自身の最後の兵
(無論、映像の中に於いて最後という意味)
に少女らが窮地に追いやられている様が映さ
れても、その主は喜びや、悦びを表す様子な
ど微塵も無く、むしろ少し不服そうな雰囲気
すら滲ませながら、依然先程と変わら無ぬ様
子で、鏡の映像を見つめていた。
━━━━そこに、もう誰の目からみても少女
らの絶体絶命と思われたそこに、突如第三者
の介入があり、いともたやすく自身の最後の
兵が破壊され、映像が砂嵐に変わる。
━━━━その者は、その後しばらくそれを眺
めていたかと思うと、不意に、不敵な笑みを
その顔に浮かべた━━━━
…………というわけで、後書きです。
えっと、今回のプリズムリバー三姉妹の通常技の
ような必殺のような何かは元ネタは花映塚からの
出典で、技の内容はもう想像するしかなかったの
で創作です。
あと、今回は一キャラの背景を描写して見ました。
その際に、アリスの設定を最初は魔界出身にする
つもりだったんですけど、それだと阿求様の縁起
の内容と食い違うことになるので却下しました。
\(^^)/
幻想郷縁起にシュウセイナンカナイヨ~~
という意味のつもりですけど、ぶっちゃけあのス
キマ妖怪の検閲があっからなぁ~~orz
ってなわけで、また次話でお会いしましょう!