\(^o^)/
マァユユサマツオイカラネショウガナイネ!
(ほんとはアリス回を挟んだからというのは内緒だーー!)
↑ばれないとは言っていない。
では、本編いきまそ。
アリスside
あの後…………真上からの垂直急降下で機
械人形兵に突撃して、チルノが人形兵を粉微
塵にした後、そいつに操られそうになってい
たその場の全員が敵の魔の手から自由を得た。
今は皆、各々……安堵から座り込んだり、大
きくため息を吐いたり、脱力したりしている。
………そして、敵が派手に爆散したその中心
で、水色髪に白装束(白地に青のラインが襟
に入って白地の所には氷の結晶の模様があし
らわれている)の彼女が特にこともなげに立
っている……すると、それから程無くして彼
女の仲間である三人が姿を現す。
……右から
それは、つい数時間程前に会い、そして別れ
たメンバーに違いなかった……………そこで
私のほうから彼女らに話かける。
(彼女らの方でも何やら、どうしたチルノ?
や次の目的地について話ていたのでその合間
を見計らってだが)
ア「ねぇ、ここに戻って来たってことはもう
一区切りついた感じかしら?」
その声にチルノは頷き、答える。
チ「うん……そうだね………まだ完全に終わ
っては無いけど……」━━━━━━━━━━
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━
チルノside
あたいがアリスの問いに返事をすると、そ
う、良かったわね………と、それ以上はもう
何も聞いて来なかった………でも、安心した
ような何か吹っ切れたような響きがその言葉
の中に含まれているように感じた。
それからは、何故いるのかわからない、プリ
ズムリバー三姉妹に藍が事情を聞き、こちら
からも事情を話して、これからもアリスたち
と行動を共にするらしいので、次のあたいた
ちの進路上にアリスの家があるのでそこで、
アリス、レティ、ルナサ、メルラン、リリカ
の五名と別れることになった━━━━━━━
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━━約一時間程前━━
~白玉楼~
幽々子とのおよそ数十分程の打ち合い(交
戦に入ってから)の後、ふっ飛ばされた拍子
にみんなが集合して話し合ってる様子が反転
する視界の中、映ったので合流したかったが
相手がそれをさせてくれない。
チ「くっ………何か作戦があるっぽいのに…
………ぅぁッ……!」
皆に気を取られていると、いつの間にか間
合いを詰められていて、そこから鋭い居合い
抜きが放たれる。
それをなんとか躱して、距離を取ると同時に
、氷で弓を作り反撃する。
弓の方の氷を微妙に調節し、弓を張り、つが
えた矢を放つ。
相手もそれに反応し、発射された矢を弾く。
……こんな攻防がさっきからずっと繰り返さ
れているので、こっちから皆の所に行けない
し、皆の方もあたいに近づけない。
さて、どうしたもんか…………
藍side
藍「━━━では皆、手筈通りに頼む━」
橙「はい!了解しましたっ!」
大「は、はいっ! ……よろしくお願いしま
す! う、上手く出来るかな………」
妖「それでは皆さん、……いきますよっ!」
その号令と共に全員が一斉に飛び上がり
……作戦の幕が上がった。
最初に妖夢が先陣を切る………ついで、私が
…………と、行こうとしたが…幽々子様に行
く手を遮られる。
妖「………っ!!」
藍「やはり、そう簡単ではないか……」
チ「アンタの相手はこっちだ!」
だが、追い付いたチルノが横合いから割っ
て入ったことで状況が元に戻る。
まさか、目指していた目標それ自体に止めら
れそうになるとはな………
実質的には先んじて制されかけたと言うこと
になろう………だが……
藍「今、妖夢を見逃したのは………どこかた
めらいを感じさせるな……」
これは好機!
…その言葉の浮かぶ前にはもう全員に指示を
飛ばし(合図は事前に決め手おいた)、自身
も白玉楼の桜舞う蒼穹へと飛びたった。
……これも開幕の打ち合わせ通りにスペルを
豪快に空に散らす……
藍
━「式弾! 「ユーニラタルコンタクト」!」━
幽々子side
何故………? どうして………??
どうして……………私は………守ると…………
心に誓った…………あの子と剣を交えている
の?━━━━━━━━━━━━━━…━
どうして私は………それを今、当然かのよ
うに振る舞っているの………?━━━━わか
らない………━━━━わからない…………………━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━ねえ、どうして……?
………………………妖忌………………………………
……………………………………………………………
…………………………………………………………
………………………………………………………
……………………………………………………
・
・
・
・
そこで………………
私の意識が………戦わされているものとは別
に、過去の……遠い記憶へも飛んでゆくのを
感じた。
今でも、はっきりと思い出せる………あの人
が私の前から…何の前触れも無く降る時雨の
ように、または、ふと降りやむ
うに……姿を消した、あの日の事を……
━━━━幽々子様…………
これからもどうか妖夢の事を……私の孫娘を
使ってやって下さいますよう……宜しくお願
い致します………あやつは…あの子はあなた
様にお仕えする事をこそ至上としますゆえ
……
━━━━でも、私、
…貰うことなんて、ほとんど無いと思うの
だけど……このお庭の手入れがせいぜいだと
思うのだけれど…………
━━━━それで良いのです………掃除に洗濯
、炊事、庭木の手入れ………なんでも構いま
せん…………こき使ってやって下さい……
主らしく堂々としていて構いません……
でも出来れば、家族に接するように母親のよ
うに、………姉のように、時には妹や娘のよ
うに……そして…友のように……親しく接し
て頂ければ、それ以上の事はありません……
━━━━それはもちろんっ!………この間か
らもね……あの子、まだあんなに小さいの
に、初めて私に料理を作ってくれたのよ!?
しかも、それがすごく美味しくて!
だからついつい食べ過ぎちゃって……!
凄いでしょっ…!? 妖夢には悪いけれど…
これからはご飯のことで苦労かけちゃうか
も………
━━━━……ほっほっほっ…………それは、
それは……結構でございますなぁ………
━━━━それでね…私一人で食べるのも勿体
ないから、一緒に食べましょう!………って
言ったんだけど……あの子、自分はもう味見
で食べたからって言って聞かなくて……主人
より先に従者が食べるなんてあり得ないし、
それは、数に入れなくて良いって言ったんだ
けど………
━━━━ああ……それは、妖夢も一丁前に主
に対して遠慮しているんでしょうなぁ……
まったく、従者が主人の誘いを断り、心配を
かけるとは……あやつもまだまだ半人前です
な…
━━━━あら、厳しい……あんまり私の妖夢
をいじめないでね?
━━━━それほどまでに思っていただいて
………妖夢も従者冥利に尽きることでしょう。
━━━━そもそも、私の我が儘が元だし…
……
━━━━……しかし、そうですか……それほ
どまで考えておられますか……それならもう
何の心配も要りませぬな………
━━━━ねぇ、勘違いだったら恥ずかしいの
だけど……さっきから、これが今生の別れの
ように感じるのは……考え過ぎかしら……?
それに………その、言い回しも………
そう私が言った時、あなたは……嬉しいよ
うな……悲しむような……寂しような……
それでも、何か意を決した……そんな何と
も言えない表情の後で……優しく、儚く……
しかし、こちらを安心させようとするかの
ような脆い笑顔と共に、響く……
━━━━ええ、それはまさしく、幽々子様の
取り越し苦労………要らぬ心配でございまし
たな………はっはっはっ……ははは……!
━━━━……? …も、もう! 笑うなんて
ひどいわ~っ…………ふふふっ…………
結局その時感じた前兆のような予感のこと
は、妖忌が思いその他上げた笑い声と、それ
に対してくすぐったいくらいの羞恥心を覚え
た事な掻き消され、霧消した…………
━━━━…………っ!? ━━━どうして?
━━━━どうして………?
━━━━どうして━━
━━━━どうして━━
━━━━どうして━━━━━━━………。
━━━━どうして、どうしてどうしてどうし
てどうしてどうしてどうしてどうしてどうし
てどうしてどうして、どうしてどうしてどう
してどうしてどうしてどうしてどうしてどう
して、何で何で何で、、、?━━━━━━━
━━━━今日、私の前でちっとも弱音を吐か
なかったあの子が泣き崩れているのを目の当
たりにした…………
私はそれを……悪いと思いつつも、襖の隙間
から様子を伺った。
そこで妖夢………私の可愛い従者は私に隠れ
てひっそりと、静かに、しかしさめざめと泣
いていた………
━━━━まだ小さかった彼女は……こごえで…
━━━━何処へ行ったの……っ? ……っ!
……行ってしまわれたのですか……?
━━━━……お爺様……と、私に心配かけま
いと、私の居た居間からはかなり離れている
というのに、必死に声を圧し殺しながら泣い
ていた……
━━━━私は偶然その場に居合わせた風を装
い、妖夢に、いつもの二倍近くの家事(
食事の用意)を言い渡しておき……
(言いつける間、平静を保とうと健気に頑張
る顔から徐々にゲンナリとした顔になってい
った)自分は少し散策に出掛けるとでも言い
つつ……今となっては何処にいるかもわから
ない魂魄妖忌の捜索に乗り出した……
━━━━………そして、今に至る……
そして……未だに発見には至っていない……
妖夢には本当の目的を告げずに出てきたとは
いえ…このままじゃ合わせる顔が無いわ…
━━━━……本当に…何処に行ってしまった
の?妖忌……あなたは妖夢にとってたった一
人の家族でしょう? それでなくとも、妖夢
はあなたのことが大切だし、慕ってもいるの
よ……?
━━━━ねぇどうして? 一体何があったの
? ……私はどうすれば良いの?
その時、妖忌失踪の前日に彼から言われた事
が頭に浮かぶ━━━
━━━━家族として、接してやって下さい……
━━━━どういうこと? まさか、家族はも
う私がいるから自分は必要無いってこと?
そんなことあるわけないっ!!
私は妖夢に確かにそのつもりはあるけれど、
あなたもその一員なのに……!
…………私から見ても、あなたは家族なのに
……
━━━━でも、どれだけ探しても、心の中で
叫んでも、彼は見つからず、私はとうとう、
探すことを諦め……代わりにある決意を固め
る。
あの子の事は私が守る……どんな困難に見舞
われようと、波乱の逆風に吹かれようと……
もちろん私にも至らない所はあるけれど、そ
こはあの子自身の手も借りることになるかも
しれないけれど……
それでも、借りなければならない所は少しず
つ減らして、あの子(妖夢)が頑張らなくて
も私自身を……もちろんあの子自身も守り通
せるくらいに……!
━━━━そう……あの日……結局妖忌を見つ
けられなかった時にそう誓った筈……
━━━━でも、今の私は妖夢や妖夢の味方を
してくれている人たちに刃を向けている。
━━━━どうして?体だけじゃなくて意識も
……というかそもそも……意識が支配されて
いるから体も……?
あぁ……とっても、眠くて……気持ちよくっ
て……なんだ…か……どうでも、良くなっ…
……………
藍「……諦めるなあっっっ!!」
藍side
状況は……正直、あまりよろしくない……
なんとか必死に喰らい付き、それでやっと…
という状態だ。
だが、体捌きや、動作、移動速度こそ見切れ
ず、目で追うこともままならないが……その
代わり、行動パターンや、出現位置(これは
そう見えているだけだが)の予測、幾つかの
技の種類といったものがだんだんと掴めて来
ていた。
それらは相手を目で追うことを敢えて止め、
おおよそ私の得意分野である、分析や、計算
、演算に注力した結果であると言えた。
なので、今一度全体に喝を入れ、統率が利き
やすいよう引き締めた上でそれそれぞれに適
した動きを指示する。
藍「(そうだ! 諦めるな!まだ終わってい
ない! 次は恐らく、チルノの攻撃を幽々子
様が……) 大妖精っ!! 橙とともに今、
妖夢のいる座標に
大「はいっ!」
私の指示を受けて、大妖精が橙を連れ、妖
夢のいる場へと座標移動する。
これで位置的には、チルノと幽々子様、大妖
精と妖夢と橙、私の三方に別れる。
そこで、私は何処へとも無く叫ぶ。
藍「チルノォーーっ!!私たちに構わず、全
員で幽々子様を囲むように立ち回れっ!信じ
ろっ!!」
藍「大妖精っ!次は妖夢を連れ弾幕を展開し
ながら上へ飛行してくれ!」
大「……!はいっ!」
そこで私も弾幕を展開しながら動き、恐ら
くチルノと幽々子様がいるだろう範囲を橙と
二人で囲む!
……今までの戦闘で、判ったのは幽々子様は
囲まれるのを極端に嫌がるということだ。
それは勿論、囲まれれば、後ろをとられもす
るし、異なる方向から攻撃が飛んで来るので
嫌わない者のほうが少ないだろうが……
しかし、あの方は少しでも自身の前後、また
は左右や上下を取られると……すぐにでは無
いし、また絶対でも無いが、抜けだそうとす
る傾向があったので、大妖精には予め妖夢と
上に行って貰うよう指示し、先回りさせた。
その上で、大妖精らよりも速く、自らも移動
し、橙と挟み撃ちの位置に付き(この時、若
干下の方を位置取る)、幽々子様が上に行く
ように誘導する。
すると案の定、どこかのタイミングでチル
ノが自身を含めた私たち三人で囲めたのか、
それとも、幽々子様が根負けしたのかは、(
二人の戦闘が早すぎて)わからないが、幽々
子様が上に一瞬で現れた。
……前もって打ち合わせていた作戦通りの為、
即座にトップスピードで妖夢が上から斬りか
かる!
藍「(よし、これであと数刻で紫様のもとへ
も式のカラスが辿り着くは……)」
━━ヒュォオン……
藍「え……?」
いつも紫様のお通りになるあのスキマの形
容しがたい音がしたのでそちらを振り向くと
紫様が予想よりも十秒程も早くここへ到着さ
れたので目を剥いていると……
紫「……どこ? 幽々子を…私の親友を苦し
める不届き千万極まる下衆野郎はどこかしら
……? ねぇ、藍?」
藍「………っっ!!!」
どうやら、頭に血が上り過ぎ、周りが良く
見えてらっしゃらない様子だったので、教え
させていただいたその時に、そこに再び目を
戻すと、妖夢が幽々子様を白楼剣で一閃した
所だった……
チルノside
不意に藍の叫びがあたいの耳に届いた。
藍や大ちゃんたちに構わず、あたいを含めた
全員で幽々子を囲めと言う……
今まで、みんなを気にかけながら…時に背に
庇いながら戦っていたそれをやめろと言う…
そ、そんな……そんなことっ…!
チ「あ、あたいは……っ!」
でも、このままでは……いずれ……
こんなの……もう、一つしかないじゃないか!
あたいは、幽々子とあたいの方向に弾幕を
展開している二人を背にする形から、分身に
幽々子を任せると同時にその隙に幽々子の頭
上を一回転で飛び越え、背後を取ろうと動く。
……が幽々子が速攻で分身のあたいを斬り、
背後のあたい目掛けて刀を振るう……!
しかも着地刈り……(ここ空中だぞ!?)
チ「ぐっ………!」
すぐさま氷で盾を作って防ぎ、その盾にそ
のまま矢を生やし、盾を弓として弦を引く…!
余りに急な為、精製に気を回す余裕も無く、
弓も盾も表面が凸凹として無骨で……と、
幽々子が時を止め、突然上に飛行する。
ま、拙いっ! 藍からの指示で上には大ちゃ
んと妖夢が……!
チ「……っさせるかぁ!!」
弓にしていた盾の両端に足を掛け、既に引
いていた弦を更に引き伸ばす……!
そして、最大まで引いたところで手を離した。
戻ろうとする力を最大限まで高められた弦が
一瞬で収縮し、そのまま氷の盾に消える……
するとその弦に掛けられていた矢は慣性の法
則に従い、盾に出来た穴を滑走路として勢い
よく標的に特攻していった。
更には空気の摩擦を吸収し、逆に推進力にす
る式まで矢に組み込まれている。
つまり、空気抵抗を受ける→吸収→推進力
に変換→更に空気抵抗を受ける→吸収→……
これにより、的に当たるか障害物に当たるま
で無限に加速し続ける……
ケド、その前に破壊されたら何の意味も無い
けどね……
幽々子に放った矢が撃たれた本人の手で切
り砕かれた。
楼観剣の刃が氷の矢を矢尻から水平に両断す
る━━━━だが!
チ「いっけぇぇぇえーーーーっっ!」
めげること無く、すかさずニ発目を幽々子
に見舞う……その先で………
妖「……ゆゆこさまぁぁーーーーッ!!」
が、幽々子に上から迫る!
幽々子はあたいの氷の矢と、妖夢の予想外
の追撃との二択の板挟みに遭い…………結果、
あたいの氷の矢を取り、妖夢から白楼剣の斬
撃をまともに食らった━━━━
妖「………申し訳ありませんっ!!……でも
、これで……!!」
幽々子side
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━そう…………………………
妖夢が遂に……私に一太刀浴びせたのね……
━━━そして、これは白楼剣ね……迷いを断
ち切る刀の………
━━━これはもう、何の心配も要ら無いって
ことかしら………?
━━━━幽々子様……主として、妖夢を試せ
ると判断された時、または窮地に陥りあなた
様にまでそれが飛び火しかねない場合は……
遠慮は要りませぬぞ……
━━━━そう……わかりました。あの子を……
信じるわ!
藍side
藍「…………これはっ! どうしてだ!?
一体どうなっている!!」
紫「……境界が、見えない……」
妖夢が幽々子様を白楼剣で切り、影の意識
と幽々子様の意識に差が生まれ、その境界を
紫様が広げていく……筈だったのに!!
むしろ、先程よりも強く結びついているよう
に見える………っ!! まさか……!
藍「逆だったのか……!? 迷いがあるから、
憑かれているのでは無く……迷っているから…
?いや……」
そうでは無い……それなら、戦いを放棄す
ることとて、決断であり、
なるはず……………………ならば、なぜ………
━━━っ!!
そこまで、考えて……思い付いて当然とも
思える自明の理に思考が行き当たる……
藍「そんな………幽々子様っ!」
紫「幽々子………」
迂闊だった!! ……迷いを断ことで戦意
が失われるなら、その逆もあり得る!
しかも、迷いがあったことで辛うじて残って
いたなけなしの意識差をもその迷い諸共、消
してしまった……!
その程度のあって無い様な差では紫様の境
界操作で引き剥がせなかったことを差し引い
ても………これは私の
しくじった! なんとお詫びすれば…!
そもそも迷いの源がこちらとの交戦の実行に
あると先入観を持つこと自体………━━━
いや、待て!! 何をそんな後で幾らでも出
来るような後悔に浸っている!
考えろ! せめて最悪の事態を回避出来るよ
う努めろ! いやそれも違う! 努めるでは
無くなんとしても回避するのだ!!
なんとしても………!!
その時、必死に頭を回転させんとする私の
目の前で………━━━━悪夢が、再開した。
妖夢side
……どこか、なんと無くわかっていたから
か、それとも薄々予感がしていたからなのか
……私の心は酷く冷静だった。
本当に、自分でも非道いと思う。
でも、そうならないで欲しいと願っていたけ
れど、この場が……幽々子様との戦いの場が、
先程、この白楼剣で一太刀入れた後も続くの
では無いか……まだ終わらないのでは…?
と心のどこかで疑っていた。
でも、もうそれに縋るよりほかになかった。
縋って、その作戦に己の全てを懸けて臨むよ
りほかに………
だが、当たって欲しくない嫌な想像は不本意
ながら的中し、皮肉にも今の私の心に静寂を
……そして、目の前を見遣れば先程よりも姿
の薄くなってしまわれた、変わり果てたお姿
の幽々子様が今も尚、楼観剣をこちらへと向
けておられるのが目に入る。(その変わり黒
い影も薄くなり、薄っすらと幽々子様のお姿
が見えている)
チ「……ウッゥゥウ……よう……む……!気
をっ……ガハっっ!!………ゴホッッ………
ハァっ…ハ、付けろっ!死ぬ…なぁっ…!」
大「……っ!!っチルノちゃんっっ!!!」
妖「!!」
自身もギリギリの瀬戸際で辛い状態にも関
わらず、こちらを心配して声をかけてくれる
チルノ………その、無理を押した行動を心配
する大妖精。
……今、チルノは幽々子様の作り出したあの
黒い影が素材となっている黒い楔に貫かれ、
地面に描かれ浮かび上がっている謎の陣と、
すり鉢状の薄黒い結界のようなものの核にさ
れ、縛られている。
━━事態は唐突で、まさに急転直下の一言だ
った━━
私が白楼剣で幽々子様に一閃し、その後す
ぐに動きが落ち着かれるというこちらの思惑
に反し、急にこれ迄の動きを大きく上回り、
恐らくその一瞬に作り出したのであろう黒い
影で出来た楔のような得物をチルノの体の中
心部(多分鳩尾)に
ま空中に固定してしまった。
更にそこから、地面に陣が展開し、チルノの
止められている座標を頂点に地面の円形の陣
へ向けてすり鉢状に薄く黒い膜のような結界
が張られ(正確にはチルノはうつ伏せに下か
ら上に貫かれており、その楔の先端がすり鉢
の結界の頂点になっている)、それは中にい
る者の能力を封じる効果がある。
そして、当然のことながら外からの能力によ
る干渉も無効化される。
紫様(いつの間にかいらしていた)と藍さん
と大妖精、橙が結界への進入を試みて、空を
飛ぶことすら叶わなくなっていた事と、紫様
と藍さんが結界の外から能力を使おうとされ
た時に、結界の縁に能力が届いた瞬間…霧散
したので間違い無い。
それを見て今度は陣の内に入って加勢しよ
うとされたが、あくまで怪力や身体能力が高
いだけなので、幽々子様に簡単に手や足を斬
られるなどしてあしらわれ、陣の外への撤退
を余儀なくされた……………………そして今、
私だけが幽々子様と対峙してここにいる……
〜〜〜遠い記憶〜〜〜
妖「…っ!……!あっ……!!」
自身の手ずから木刀が投げ出され、自らは
無様に地面に転がる………
それに遅れるようにして直後に木刀も地を転
がり、コロカランと音を立てる。
幽「………っ!?あらあら……妖夢…大丈夫!
?」
お爺様との打ち合い(稽古)で遅れをとっ
た私に、幽々子様が心配してくださって声を
掛けられた…………………のでは無い。
その心配をお掛けした方に今しがた打ち取
られたのである。
忌「これっ! 妖夢! お守りするべき主に
遅れを取るとは何事かっ!」
妖「も、申し訳ありませんっ! おじ………
師匠!」
幽「ま、まぁまぁ…妖忌…」
しかし、だからといって容赦無く師匠…も
といお爺様からの檄が飛ぶけれど……
そして、幽々子様がそんな祖父を宥める。
幽々子様との試合→私が一本取られ→祖父に
叱られ→幽々子様が祖父を宥める……ここま
でが今日本日この日の一連の流れだった。
何故か今日はいつもの修行や稽古では無く
ずっとこの繰り返しだった。
忌「全く……剣術指南役が指南差し上げるべ
きお方に剣術で負けるとは……これでは先が
思いやられる……ふぅ…もうお前に教える
べきことは全て教えたというのに、これで
は……」
妖「………?」
忌「己の体、心、魂にこれまで教えたことを
叩きこめ!妖夢!今までと同じだが、ここか
ら先は己の努力、精進次第だっ!…さぁっ…
もう一本!」
妖「はいっ師匠!」
幽「あらあら……ふふっ」
忌「幽々子様もどうか、もう暫くお付き合い
下さい…」
幽「私は別に構わないのだけど……そろそろ
休憩にしない?早朝からずっとで妖夢も疲れ
ているでしょうし……あなただってずっと立
ちっぱなしで妖夢を見ているじゃない?」
忌「いえ、お気遣い痛み入りますが…それに
は及びません……あなた様さえ良ければ…」
幽「あ、やっぱりちょっと私疲れちゃったか
も……」
忌「……幽々子様」
幽「もう、わかったわよ…じゃあ間を取って
あと五本やったらでお茶にしましょう?それ
で良いでしょう?それで丁度お昼前くらいだ
し……」
妖「では、その間に私が昼餉のご用意を……」
幽「……だから、(汗 ちゃんと休んで………
そうだわ! 今日は人里に何か食べに行きま
しょう! それなら用意しなくて良いし、気
分転換にもなるでしょ?」
妖「し、しかし……」
幽々子様のそのご提案に私が遠慮がちに躊
躇っていると……
忌「……妖夢。主のご意向を汲むのも従者の
務めの内……ここはご厚意に甘えさせていた
だくぞ……」
妖「……!わかりました!ありがとうござい
ます!」
忌「礼なら、私では無く幽々子様にな……」
妖「はい!ありがとうございます!幽々子様
!」
忌「雨を斬れる様になるには三十年……空気
を斬れる様になるには五十年………そして、
時を斬れる様になるには二百年は掛かる……
か……」
妖「?」
忌「……では、準備するか……」
妖「……!はい!」
その翌日、私の祖父、魂魄妖忌が白玉楼か
ら姿を消した。
…その日を境に幽々子様は異様に私に言付け
たり手合わせを願ったり、ご自身も良く出掛
けられるようになられた。
私に気を使わせないように振る舞ってはい
るけれど、明らかに私に心配かけまいとして
の行動だろう………そして、
剣術の修行に於いても手合わせの際に一切手
心を加えられ無くなられた。
いや、そんなことは良い……お爺様も私の余
りの不甲斐の無い体たらくに見限りをつけら
れたのだろう……必死に喰らい付いていたつ
もりだったけど……ただ、つもりになってい
ただけなのだろう………(失踪されたと分か
ったその時にはみっともなく啜り泣いたもの
だが)その稽古の最中いつも、私を試すかの
ような、私の成長を待っておられるような…
そんな眼差しが……印象的で……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして、今もその時の視線が私を見据えて
いる………
己の全てが遅かった。
言い訳にしかならないが、不意を付かれた分
だけ行動が一拍遅れ、全てを終えられた後、
まんまと距離を取られた……
私は静かに自分の傍の地面に刺さった、目
前の楼観剣に瓜二つな…それこそ、柄にあし
らわれた桜の意匠までも似せられた氷剣に手
をかけ、引き抜く……
チルノが空に縫い止められる直前に、せめて
これだけはと私の傍の地面に投げて刺し、渡
してくれたものだ。
楔から逃れられ無いことが分かったからだろ
う……この氷剣には彼女の全力が込められて
いた。
手に取っただけでわかる……この一戦にどれ
だけの思いを掛けてくれたのか……
まず、刀の重さが普段の楼観剣を握っている
かのような手応えで、刀の柄から鍔、鎬、反
り、峰、果ては切っ先までも
されていた……(おまけに、氷剣であるにも
関わらず、触った時の温度まで……少し朝の
冷気に晒された時の楼観剣程度でしかなかっ
た)でも、そこまでが限界だったみたいで、
凄く楼観剣に近く似せてあるけれど……
やっぱり何処か違う……でもそれは、そうだ
ろう……むしろ、ただ剣を交えただけで良く
もここまで似せて、あの一瞬で作り上げたも
のだと…感心を越えて軽く戦慄すら覚える…
…だが、そこは何処まで私が調整して、この
刀を使い熟して立ち回れるかだ。
…………正直に言うと、平気なわけでは全く
ない。
組み立てて貰った作戦を活かし切れず、剰え
状況を悪化させ、皆の努力を無駄にし、窮地
に陥っており、当然、幽々子様もまだお救い
出来ていない……
最早、余りの申し訳無さから動揺が一周回っ
て、完全に振り切っているが故に冷静なだけ。
例えるなら、何処も彼処も痛いが為に逆に何
処が痛いかわからないようなものか……
頭を抱えている藍さん、泣きじゃくる大妖精
、不安げにことの成り行きを見守る橙、一見
、態度振る舞いだけは冷静な紫様、瀕死に追
い込まれたチルノ……そして、目の前の幽々
子様……
だが、今は私と幽々子様との一戦に懸けるチ
ルノを思いを受け取った、藍さんも、橙も、
大妖精も、紫様も皆が不安と期待を胸に見守
ってくれて
いる……だから、私も………
皆の期待に応えたい……いや! 応える!!
いつもの試合の掛け声の為に深く息を吸い
……
妖「それでは……いざ尋常に……」
その時点で勝手知ったるとばかりに刀を構
え直された。
妖「始めっ!!」
チルノside
くっ!! まさか、こんな……こんなはず
じゃ………!
自身の体のほぼど真ん中を貫く楔に手を掛
け、引き抜こうと悪足掻きしながら、ここま
での経緯を思い返していた。
藍や妖夢達の考えに便乗して行動したまで
は良かった……いや、良かった筈だ。
でも、想定外のことが起こったんだっ!
けど、今はそんなことは問題じゃない……
問題は……あたいが能力を封じられ、皆まで
この陣の内側では、
!
この陣による結界はあたいに刺さったこの楔
の先端から展開している。
………幽々子が妖夢に横一閃にされた後、意
識が戻って来るかという思いと裏腹に何故か
突っ込んで来る幽々子に驚かされ、咄嗟に上
に逃げたけれど、その直後にこの楔が飛んで
来たので躱せなかった………ならばせめてと、
あたいが幽々子と戦った感触から出来る範囲
で楼観剣に似せた刀を氷で作り、妖夢のいる
地面に投げて寄越した………
本当に、紙一重だった。刀を作って投げ寄越
す瞬間、時を止めても無いのに世界がゆっく
りに見えた。
その僅かな瞬間に全てを込めるしかなかった。
そこまで、見えていたなら弾くことも出来た
かもしれない……いや、見た瞬間に直感した。
これには吸収の術式が掛けられていて、幾ら
弾こうとしたところであたいの作った氷は吸
収されて結局何の抵抗も無くあたいに当たる。
……そして、現に今、その吸収の術式にして
やられている。
解術しようにも式が複雑化している上、解に
力を込めようとすればその分だけ、吸収量が
多くなるよう仕込まれている。
━━━解除できないっ!!
チ「しかも……!コレ、何度も式変わるし解
けそうなところで、見計らったみた…………
い、に!?」
もう分かった。
なるほど……そういう、ことか!
この楔の術式変更は幽々子じゃない……何処
かこの近くの
しかも、あたいが術の解除に掛かる時間を把
握しているから、本体てある必要も無い……
そして、あたいが解除に掛かる時間を測った
のは……レティに掛けられていたあの術式を
解いた時だ!
チ「ま、マズい!マズい!! この結界も…
あたいの……っ!莫大な妖力を動力源に…し
ているから……力を確実に削られる……!」
そのうち、あたいの吸収結晶の自己補完で
も間に合わないレベルに……しかも今は能力
を封じられていて使えない!
……あたいの妖力が尽きれば、この能力封じ
の結界も動力源を失って消えるだろうけど、
そもそも、逃げられないし、そうなるとあた
いが全ての妖力を失って死に、一回休みにな
るしかない……でも、それはみんなの負担が
大きくなる。
第一、みんな戦っている時に休んでなどいら
れない……
というかそれじゃ、あたいの妖力が多過ぎて
時間が掛かり過ぎる。
なら、結界の容量を超える妖力を流し込めば
と思って試したけど……やっぱり、消費量を
多く、式の壊れない程度に調整されてしまっ
た。
術式の方も相変わらず、一瞬で解けそうなら
一瞬で、数秒〜数分掛かりそうなら数秒〜数
分で解除の前に切り替わってしまう。
やっぱり、ここまでの繊細と感度の必要な事
今も目の前で妖夢と戦闘中の幽々子には無理
だ。
………妖夢に全てを託した……妖夢さえ幽々
子に勝利してくれれば……厳密にはあたいが
氷で拵えた楼観剣モドキを幽々子に当ててく
れれば……刀に仕込んだ式が発動して幽々子
を氷で拘束してくれる……
チ「……でもっ!頼りきったら駄目だろ!!
それで何もしないのは違うだろっ!…あた
いはあたいで
でもっ! こんなのどうすればっっ!!
出力する事自体、状況を悪化させるから収納
も制御も転移も使えないっ!
唯一使える吸収も……あたいに直接刺さった
しかならない!!
……そうなのか…? ただここで耐えている
ことしか出来ないのか?!
チ「でも絶対に……絶対に諦めないぞ!!」
紫side
━━━死舞……「黒楼郷」……!!
幽々子が発動した結界を発動した直後、私
には、恐らく無意味であるだろう事がわかっ
ていても、自身の能力で結界を破るのを試す
外になかった
そして、結界の内側に直接入って止めようと
しても、とても敵わなかった。
こちらには、妖怪としての身体能力があるに
も関わらず、まるで歯が立たない。
さすがは我が親友だと感心すると共に絶望し
た。
一切の無駄の無い見事な手前だ…これに妖夢
が……あの子が挑むのか……
ところでこの結界内には物理的には進入が可
能だけども能力の一切が無効化される。
その基準は恐らく、出自に由来するか、技術
技能が由来するかという所だろう。
境界を操る私の能力にも技術的応用が絡まな
いものばかりではないけれど、それらは全て
自身の特殊能力の土台があってこそ……
それに引き換え妖夢の剣術はその名の通り剣
術……技術的側面が強く、結界の範囲外だか
ら無効化の制約を受けない…他にも例を挙げ
ると永遠亭の医師の薬を作る能力はあの方の
頭脳から来る技術なのでセーフ。
佐渡の二ツ岩の化け狸の化けさせる能力は化
け狸の変化の力がその技術の根幹なのでアウ
ト……といった具合だ。(因みに
った氷剣が消え無いのは、結界が張られる前
だったからでしょうね)
しかし、妖怪としての身体能力や怪力が許さ
れているのは、全ての妖怪が少なからず持っ
ていて普遍的だから……
その証拠に大妖怪クラスの身体能力が封じら
れ、せいぜい上級〜中級クラスが良いところ
だった…でなければ幾ら幽々子の腕が立つと
いってもあそこまで圧倒されない(それでも
凄いんだけど………)。
だが実際は圧倒されており、(幽々子に近づ
かなかった為に)事無きを得ていた藍に助け
を求めて結界外に出なければどうなっていた
ことか……あの結界の中は妖怪特有の再生能
力までも落ちていた。
結界の外に出た途端、瞬く間に手足が再生し
たからだ。
つまり、あのままあの陣というか結界の中に
居た場合、細切れにされてそこで命も話も終
わっていたことだろう……
それにしても、まさに危機一髪だった……
手足四本の内三本持っていかれた時点で藍を
呼び、私も後方に転回しつつ、前方回転受け
身の要領で飛び受け身で距離を取り、上に向
いた所で無事な手を上に突き出し、そこを藍
に攫って貰うことで何とか幽々子の凶刃と結
界から逃れるたけど……それで精一杯……
そこまででもう確信した。
私達は妖夢にとっての足手纏いにしかならな
い………チルノレベルならいらず、少なくと
も、あの結界の中に於いてはあの子以外には
対応し得ないだろう………
しかし、私も……あの子に全体重を預けるな
ど……野暮な真似はしないわ!
妖夢side
打ち合い始めて、早十数合……私は早くも
、幽々子様との果たし合いに格の違いを魅せ
つけられていた。
でも私は、この一瞬の油断さえ許されない…
このピンと緊張の糸の張りつめたこの切り合
いに…………
言い様のない、不思議な高揚感を覚えていた
……………こんな非常時に、なにを不謹慎な
と自分でも思うのだが……しかし…
━━━美しい…
その一言だ……技から技へ無駄無く無理無
く繋がり、その流れや勢いが削がれることが
無く、止まったように見えても、私の攻撃に
対する
剣舞だ…………!
でも何故だろう………最初はついていくのが
やっとなくらいだったのに…今はなんとなく
剣筋が見える………
一切の淀みなく神速で振るわれる刀を今は捌
ける………このまま幽々子様と舞っていれば
……この人と同じになれるのか…いつかこの
人のように
………ずっと、こうして居たい……ずっと…
この人と切結び、舞踊って……
妖「………は……っ!!」ギィンッ
危なかった! 何を見蕩れてるんだ私はっ
!!
今がどういう時か忘れたのかっ!!!
なんとなく振った一閃に幽々子様の姿がふ
っとなくなり、次の瞬間に間合いを詰められ
胴を狙われるも、ぎりぎりの所で白楼剣で防
ぎ距離を取った。
皆の命の懸かったこんな時に、何を夢見が
ちな少女のような事を!
いつか、この人のようにだと? 違う!!!
今だ!! それなら今掴み取れ!!!
それが出来なければ最早無価値っ!!
今まで生きて来た意味さえ失うっ!
……何故なら……!
理解したっ!
!!
これまでの打ち合いで!漸く!
幽々子様の強さの訳が……!
……何処か似ていると思ったら、師匠……
これは、あなたの剣に似ている! 私の目指
す……貴方の剣に……!
そう…幽々子様の剣術は私の修行の延長線
上………行き着く先……完成形……
でも、今までそれがわからなかったのは、そ
のことを意識出来なかったから……では何故
、今の今まで意識出来なかったのか……それ
は……生死の懸かった瀬戸際で……皆の未来
さえ懸かった瀬戸際で初めて……集中力が極
限まで高められたおかけでやっと気付けるよ
うなものだったから……
━━━━お前に教えるべきことは全て教えた
━━━━主に遅れを取るとは……
私に教えられることは全て伝授された……
そして、師匠の技は全て………
私と師匠の稽古や修行を観てこられた幽々子
様がそのままその身に写しておられる!
ずっと観てこられたからといって、それが出
来るのは……幽々子様が、見たものをそのま
ま素直に受け入れておられるがゆえ。
そこで思い出される、とある記憶…………
━━━━私、生前の記憶って殆ど無いのだけ
れど…私のお父様……かしら…?が、詩われ
ていた詩だけは何故かちゃんと覚えてるのよ
ねぇ……
それは、幽々子様の生来の気質が魂にその
詩を刻んだから……そしてそれは私の師であ
るお爺様の剣術をも………!
幽々子様と剣を交えながら、今までの回想
を頭の片隅でするうち、私の目からは自然と
一筋の涙が流れた。
……私は間違っていた! 今、この事実を
実感するまで!! ずっと、私は………
師匠に見限られたと、お爺様に捨てられたと
……己の頑張り虚しく、実力が及ばないが為
に……そう思ってばかりだったっ!
違うんだ! 師匠は……私なら越えられる筈
だと……信じて……!
だから!!!!━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━…………
……見えるっ!━━自然と…っ! 次の手が!
上段横薙から返す刀で下段払い……そして、
反撃を警戒し、敢えて霞に曖昧に構えて即応
……私は上段に対してしゃがみで躱し、続く
下段を側面に楼観剣(氷)を斜めに構えて受
け流す……と、一度距離を取り、霞の構えの
対応し辛い左側面への周り込みを試みる。
すると、逆に!そのまま右に斬りかかる構え
から足を右転回させ、左を周り込んで来る私
に振りかかってくる!
その横薙を跳躍で躱し、自身の頭を地の方、
足を天に躰を平常時とは逆にして飛び越え、
着地……するのを狙って足払いが来るのが
見えたので左脚での着地を直前で右脚に変え
、足払いに耐える。
単に相手の体勢を崩すのが目的の軽い足払い
なのでこちらの右脚に止められるが、相手は
地に手を着き、左脚を蹴り上げ、右脚を軸に
回転して、私の顔の左側面を刈ってくる。
それを後方に体を大きく退け反らせて避け、
地面に手を着く……(体は柔らかく保つよう、
鍛錬していたのが役に立った)と同時に足を
蹴り上げ、逆立ち状態で頸を反らせて前を見
ると、案の定…左回転蹴りの勢いそのままに
体勢を立て直した幽々子様が刀で私の脚を狩
ろうとされていた。
だがその時には私の足はさっきまでの顔の位
置にあり、同時に肘を少し軽く曲げて伸ばし
、手を中心に回る足の遠心力を後方に流し、
後ろに跳び、そのまま前を見て着地……二刀
を構え、追撃に備える。(手を地に着いてい
る間も二振りの刀は手中にあり、手を地から
離すと同時に再び握る。因みにさっき着いた
手は氷楼観剣を持った右手のみで左手は平衡
を取っている)
━━っっ!!! その時には既に目の前にま
で迫って更に、正面から斜め袈裟斬り(右)
が飛んで来る所だった。
それに反応し、白楼剣で受け流す……
それを流し切るや否や楼観剣で突きを繰り出
す。
更にそれを(相手から見て)左転回で躱され
ると同時に自身の右斜め前方に位置取られ、
そのまま右から逆袈裟に切り上げられる……
それに急遽、突いていた右手の刀の内に隠れ
るように脚運びで移動し、右手の氷の楼観剣
でそのまま流し、切り上げてガラ空きになっ
た相手の胴に手首を返して切りこむ……
が、既に刀を逆手に持ち替えており……受け
られ、そこから素早く順手に持ち替えられ、
弾かれた上、上から袈裟斬りが振りかぶられ
た。
それをまた、左の白楼剣で流し……
そのような切り合いが更に数十……百数と続
き、ようやく終焉を迎えた……!
幽々子side
あぁ……遂に……!!……私を………
よくぞ………私を………!!
おめでとう……妖夢っ!!
━━━━私はいつでも、あの子と掛かり稽古
をする時、あの子に対して、負い目のような
何かを感じていた……それは主に、あの子が
私に対して劣等感を感じていたことに由来す
る……
彼女はいつも、私との稽古で打ちのめされる
度、毎回決まって……悔しそうに唇を引き結
んだ後……私もまだまだですね、これではお
爺様に、師匠に顔向け出来ません……精進致
します…と、努めて平静に、真顔で…己の不
甲斐なさ、そこから来る悲しさを必死に噛み
殺しているのを見て……私の方こそ申し訳無
い気持ちが常にあった。
私のコレは、貴方と妖忌の修行や稽古を……
打ち合いを見ていて……それで………
自然と、身に着いただけで………
でも、それを言う勇気が私には無かった……
言えれば少しはあの子も………
いや、関係ないかもしれないわ……そのこと
を知ったとしても、あの子はきっと……
どころかより一層……そんな思いと、私自身
を拒絶されるかもしれない、話を信じてもら
えないかもしれない怖さが相まって……
私はずっと言い出せずにいた……
でも今日!!! ━━やっと今日!!!
あの子はそんな苦渋の日々から開放される!
それも自分自身の手によって!!
私はずっと、あの子が密かに努力を積み重ね
ていたことを知っているっ!!
それが今、実ろうとしている…………
嗚呼………
遂に……遂に………あなたは
……私の突きよりもあの子が私の胴を捉える
方が一瞬早い……それはもう、分かっていて
も止める事は出来無い……感覚で分かる……
言うに及ばずとは思うけれど、当然これまで
に一切手加減はしていない。
それは相手に失礼であるのと、あの子が私の
全力を破らなければ意味が無いと思ったから
……あとは、そもそもこの身体にへばりつい
た気色の悪い影蟲が強制してくるのも要素と
してはあるけれど……
でもあの子は全力で臨んだ私を正面から打ち
破った!! 紛れも無い勝利だっ!!
これで……やっと……………………………
晴れて貴女に、教えを請える……………
………この戦いが終わったら……私、貴女か
ら剣を………………………
━━━━━━ズクッ……
…………………………………………………
………………………………………え?
……………、…………ナンデ……妖夢が……
刀に……貫かれ………て………
妖「ゆ、ゆこさま…………かふっ……ぅ…」
幽「…ようむ………?…!!」
━━━━声が出る!!
…………体が自由に……こ、これは………
━━━━嫌な想像が、ふと頭を過る………
━━━違う!私じゃない!
━━━━体は付いて行かなかったけれど……
━━━だって、私は負けて……
━━━━
━━━もうやめて………お願いよ………!!
━━━━見えていたのだから……
━━━いやぁ………っ!………いやあ…ぁあぁぁ…………!
━━━━受けるのは………………………
………その時、今更ながら思い出す……
さっきもの凄い勢いで何かが……そうあれは
紫だった……紫が凄い速さで飛んで通り過ぎ
て行って………手に……何か掴んで、外まで
引っ張って行った……私と、妖夢の刀との間
にある何かを……………………っ!━━━━
━━━………そうだ……あれは…………
━━━━………別に私の体じゃなくてもいいのよ……
━━━私に取り憑いていた、
紫side
ぐっ!!! やっぱり間に合わなかった…
…………!!
私はずっとこの
ていたが………やはり
速くとも防ぐまでには至らない………
私は幽々子に取り憑いていた影の蟲を手に
掴み陣に出るまでの一瞬、予め考えていた悪
い予想の的中に、ギリっ……と歯を軋ませた。
そう、私はいずれ妖夢の剣が幽々子を上回
り、影が追い詰められた時、妖夢の刀を妨害
するだろうと先読みしていた。
━━━妖夢と幽々子の戦闘中……
……だが、その瞬間がいつ訪れるか……幾ら
視力が常人離れしていようとも難しい。
そもそも本人達同士の感覚レベルの話なので
どれだけスローに見えたとしても、見極める
ことなど出来ない、それに……そもそも
紫「驚いたわ……まさかここまで速いだなん
て……」
結界の外に出て身体能力が大妖怪クラスに
回復しても尚、剣の軌跡を追うのが精一杯な
程素早い動作……これではその瞬間を見極め
て事前に動くことなど不可能……
けれど……いつでも飛び出せるように用意
しその時を虎視眈々と待つことは出来る!!
藍に妖術で光の縄で適当な木と木を繋いで貰
い……(木は境界で切り取り発射の位置も角
度も自在にしてある)
それに足を掛けて、後ろに引き、さながら
パチンコ玉のように飛び出そうという算段だ。
縄の伸縮は縄自体を境界に見立てて操る……
飛ぶ………というより弾かれる角度は、いつ
その瞬間が訪れても良いよう……常に幽々子
のいる方へ照準をあわせて計算し、角度を変
える。
もし時が来たら足を掛けた光縄を一気に収
縮させ、収縮が頂点に達する……つまりくの
字から一文字に変わる寸前まで脚に力を溜め
、真一文字になった所で一息に蹴り抜く……
それによって結界内を超高速で移動し、影を
捕らえられるはずだ。
しかし、どれだけ速く影を引かせた所で妖夢
の刃を先に間に合わせることは……恐らく出
来ない。
私としては何とか間に合わせ、影の出現に
即座に反応し、妨害など0か、0に限り無く
近いくらいにしたい……………もしそう出来
れば……妖夢の刃が先に届き、事無きを得ら
れる………だから、速く影を取り去ううと、
遅く取ろうと、妖夢が負ければ意味がない
と知りつつも……最高速で影を幽々子からき
剥がしたい……
(それでなくともあの下等生物をもう、一秒
たりとも親友に触れさせたくないけど)
そうして、己の動体視力を全開で二人の戦い
を凝視し続け、何処に影が現れても良いよう
飛び出す角度の計算を続け……遂にその瞬間
は訪れた………が、見た瞬間、悪い予感が
走る………
幸い、今の位置から修正する必要も角度の
調整も必要無い!
すぐに掛ける足を片足から両足に変え、境
界を操り、縄を強力なゴムのように一気に縮
め、限界点時に大妖怪としての全力で藍の妖
術で形成された光縄を蹴り出す。
影が妖夢の妨害に出て来るのはほんの一瞬だ
った……けれど、それだけあれば十分!
幽々子の体から妨害の為に出て来た蟲を掴
み、予めスキマから取り出しておいた刀で幽
々子から切り離す!
これは刀の切れ味は関係無く、どころか刀
である必要も無い。
何故ならあの影の蟲共は私の能力や気配、持
っているモノに反応して避けてくる………
それを利用し、幽々子の身体との接続を最
低限にしていたた所を狙って刀を一閃する……
すると、影の大部分は幽々子から離れている
ので、影の蟲は嫌がって幽々子の身体から全
ての影を引っ張り出す……
よって、刀である必要は無いのだが、振りや
すさと空気抵抗の面等から刀の方が都合が良
いと判断したのだ。
幽々子と影の間を割り、離せたかを確認す
ることも無く影の蟲を引っ掴み、飛んで来た
勢いそのままに陣の外へと飛び去る。
……故に端から見ればただ猛スピードで通
り過ぎただけに見えたことになるのだけれど。
…………果たして、私が陣の外で
に一時的に閉じ込め、同時に後ろを急いで振
り返るとそこには……
妖夢の姿が静止画のようにそこに映っていた。
しかも、最悪なことに………
紫「そんなっ……!半霊、ごと………」
幽々子の持つ楼観剣は妖夢の半身たる……
その半霊ごと妖夢を貫いていた……
━━━━楼観剣は一振りで幽霊十匹分の殺傷
力を持つ……
余りの光景に呆気にとられ、目の前の現実
を受け入れられず、立ち尽くす……
二人の立ち回りで一時的に舞い上がってい
た桜の花びらや砂煙の動き……妖夢が、持っ
ていた氷の楼観剣を取り落とす様子に至るま
で、全てがスローモーションで流れて行く…
……
そこに、振り絞るような咆哮が耳に飛び込ん
で来た。
チ「っっ!! ……っぁぁぁあああぁぁぁあ
ああああああ!!!!!!!」
その直後にパリンッ!と薄いガラスの割れ
るような音が響いたかと思うと空中に固定さ
れていたチルノが私の元に落ちて来て、よろ
けながらも歩み寄り、私の胸ぐらを掴む。
チ「………おいっ! ぼーーっと突っ立って
る場合か!! そんな暇があるなら、早くそ
の手の中の虫ケラをリグルに連れてかせろ!
!!!」
紫「………!!!」
チ「……はやく!!!」
紫「っ!!!言われなくてもっ!!」
言われて私は、急に手の中の物体の不快感
と嫌悪感と憎悪を思い出し、その感情を隠し
もせず、スキマから博麗神社にいるリグルを
取り出して、命じ……神社まで連行させた。
リ「じゃ、じゃあ行ってくるね……『ついて
来い!』」
蟲を連れ行くリグルを見送りもせず、私は
幽々子と妖夢の元へと駆け寄った。
そこには既に、藍、橙、大妖精、チルノの四
人も揃っていた。
藍は諦めたように目を伏せ、橙はその藍に
縋り付くように寄り添っている。
大妖精は口を両手で覆い、驚愕に目を見開い
ている。
チルノは悔しさに歯を食いしばり軋ませ、今
にも叫び出しそうだ。
そんな中、私の親友の啜り泣きが辺りに響く
……………
幽「……妖夢………!!あぁぁあぁ………!!
妖夢ーーぅっ………うっ……ううぅぅぅ………
っ!!」
藍「………………」
橙「…………」
大「そ、そんな……ぁ…ぁ………」
チ「…………………………っ!!!」
幽「ごめんなさい……ごめんなさい……!!
私………」
━━探せ
妖「ゆ………ゆゆこさ……ま…………………」
━━探せ!
幽「私、ただ…あ…あなたから……剣術を…
…ぉ……あなた、が………私の、し、指南役…
…だから………」
━━早く、探せ!!
妖「……………よかっ…た…………ぁ……幽々
子……様……ご無……事……で………」
幽「……………………!!!!」
━━全力で!!頭を回転させろ!この状況
を覆す手立てを!
チ「くそっ………! あの時あたいがもっと
ちゃんと幽々子に目を向けていれば………」
大「チルノちゃん…………」
幽々子も相当弱っている……妖夢は今にも
死にそうだ……幽々子は亡霊……つまり霊体…
妖夢は刀の刺し傷もそうだが、致命的なの
は半霊を殺されたから……それなら、境界を
操って二人を融合させる? 妖夢の半霊の代
わりに幽々子を据えて……?
…………いや、それは出来ることならしたく
ない……それなら、私の力を二人に……駄
目だ足りない!
だったらチルノの妖力を………いや…時間が
無いしチルノから妖力を取ると戦力が……
………………………………………………………
異界某所
飛「さて、彼の者は気付くか………」
東京某所
侑「彼女は気付くかしら…………」
………くっ!!駄目だ。全く何も…………
!?……いや、待て! 待って………
チルノはなんて言っていた?
━━━あの時、あたいがちゃんと………
妙に引っ掛かる……チルノは他意は無く心
底そう思って言ったのだろうけれど………
あの時……………………━━━!!
そういえば、あの時……どうして私は幽々
子では無く、影の方を掴んだの?
影から切り離した時点で、私が幽々子を持て
ば影はもう幽々子に取り憑こうとはしないし
……それ以前に離脱の速度に付いて来れない
筈なのに……!
私はふと自分の手の平を見る………
私の……「境界を操る程度の能力」で…………
過去、現在、未来の境界を操れば……今なら
対して時間も経っていない!遡るのはほんの
数分前!!
過去に干渉するのは……それも自分の今いる
時間軸に干渉するのはかなりの力を消費する
けれど……それでも全体の妖力の三分の一程
度………今はそれほど世界も分岐していない
上、遡る時間も短く済む。
………迷っている時間は無い!!!
チ「………なぁ、賢者さんや……何か手立て
があるっぽいなら乗らせてくれない?」
紫「…………!」
突如、私の考えを読んだかのように
ら言の葉が発せられた。
……気付けば皆の視線を一身に受けていた……
………何かを感づいていたのは確かでしょう
けど……それ以上に藁にも縋る思いなのが顔
に出ていた。
紫「………私の力で境界を操り、過去現在未
来の境界を弄って過去の私に干渉するわ」
大「…………………?」
藍「…………!!」
橙「…?????」
チ「へぇ………なるほど……」
今の話を聞いた中でも納得したものが半数
……もう、それで良い!!
時間が惜しい!
チ「……………」
そして、既に察しているとばかりに彼女か
ら手が差し出される……話が早くて助かる!!
紫「じゃ、行くわよ」
その手を取り、境界を操り、僅か数分程前
の自分自身へとスキマを繋げ、上半身を突っ
込み………すぐ様半身をスキマから引き抜く。
紫「良しっ!!上手く行ったわ!」
そんな風に目論見が上手く行ったことを
線が送られて来た。
その視線は果たして…………━━━━━━
━━
れているのだった。
チルノside
あたいは全て覚えている……覚えているが
敢えて知らぬ存ぜぬを突き通すことにした。
改変に関わった
記憶からも無かった事になっている………
あたいは例のスキマを紫が開くに当り、継続
的に妖力を送る為に、ずっと紫と手を繋いで
いた……それこそ、
だから、あたいにはその記憶がるんだろう…
実際、『妖夢は死ななかった。』その『事実』
だけが重要だ。
因みに、紫があの二人と(超高速で)すれ違
った時、紫が引っ掴んだのは幽々子なので、
妖夢が振るったあたいの楼観剣(氷)は影に
直撃し、その成れの果てが(私と紫から見て
)先程まで妖夢が
き、転がっている。
なので、あたいもみんなと同じように紫に、
何言ってんだコイツ……的な視線を送ってお
いる。
その後の皆の反応は……
藍「紫様、とにかく今回はこれにて決着………
ですね」
橙「お、終わりですか……?ホントのホント
に終わりですか……! 終わりですね!!!
イ〜〜〜ヤッターー!」
大「ハァ〜……良かったーー………お、お疲
れ様…!…チルノちゃんっ!!」
幽「………紫………」
そこで、幽々子が不意に紫に向き直り……
何か、(恐らくお礼)を言おうとしたところ
で“ばっ”と紫が幽々子に駆け寄り、そして
抱き締め、小さく囁やくように切実に、ごめ
んなさい……と一言、謝った。
その一言に全ての感情を込められているのが
伝わってきた……それは押し殺したような声
音で皆に悟られまいと必死で……しかし、そ
んな様子が余計に切なさを掻き立てる……
幽々子はそんな紫を安心させるように、酷く
怖い夢をみた子供を落ち着かせるかのように
頭を撫で、優しく抱き返している。
……そして、自らの頬にも一筋の涙が伝い、
涙声を発する。
幽「うぅん……本当にありがとう………助け
に来てくれて、ありがとう……!」
と、そこに少し入りにくそうに妖夢が…あ
、あの……と声を掛けてきたので二人は目尻
に涙を滲ませたままで顔を向ける。
妖「……紫様……従者である私からも心の底か
ら……お礼を申し上げます……!他に言葉が
見つかりません……本どに……なんと、言っ
たらぁ…い”いか………っ!!」
紫「いえ、良いのよ……こっちこそ、礼を言
わせてちょうだい……白玉楼の……剣術指南
役兼庭師、魂魄妖夢。……私の大切な友人を
守り抜いてくれて、ありがとう……! 心か
ら感謝するわ」
幽「………━━━っ!」
紫「幽々子!」
妖「あっ……!幽々……子…様………」
妖夢が紫に、紫が妖夢に互いに感謝の気持
ちを伝えあった辺りで限界が来たらしい幽々
子が“ふらっ…”と体勢を崩し、妖夢も幽々子
に注意を向けながらも後を追うように気を失
ってその場に崩れるように倒れそうになるが
、あたいが妖夢を紫が幽々子を抱き止める事
で事なきを得る…………
影チルノ(分身)side
事態が収束しつつある……というより収束
した白玉楼の某所からおよそ1km程離れた
上空………
━━影の楔を中継点、素体に癒着した影及び、
素体を起点、
無効化フィールドの術式の破壊及び消滅を確
認。
尚、原因はフィールド展開の起点に設定され
ていた素体がフィールド外に離脱した事、ま
た、素体に付与されていた影が切除され且つ
、封印を受けた事により力場の不安定化を招
いた為であると考えられる━━━━━
ールドの動力源以外に用途は皆無である為、
その後、
認━━━
━━━━以上の点を踏まえ、更なる改善、改
良の余地ありと判断………これ以上の滞在の
必要性………皆無。本体に帰還。
白玉楼の遥か上空、その場を後にする影が
一つ……しかし、それに目を向ける者は誰一
人としておらず、それを意識出来る者もまた
いなかった………
チルノside
それから…緊張の糸が切れたからか、戦い
による消耗ゆえか、或いはその両方か………
気を失った妖夢と幽々子の二人を屋敷の一室
に布団を敷いて寝かせ、(何故か紫が二人入
れるサイズの布団をスキマから出していたが
……さっさと
五人で相談した結果、白玉楼をそのままにし
て行くのは危険との事であたいの分身を二体
程と藍、紫が式神をそれぞれ二体……その式
の素体として橙が自分の部下から猫を提供し
、見張りとして置いて行く事に決定した。
(……その式が妙に(自分より)出来が良さそ
うだったのを見た橙が不安そうに藍を見てい
た……その視線に藍もふと目を合わせる━━
━━なんで藍はちょっと嬉しそうなんだ……?)
そうして、あたい達は白玉楼を後にした。
………その後、あたい達はアリスらと再会
する。
そして、話は冒頭へと戻る……………
ア「そう、そんな事が……ねぇ………」
チ「あぁ、そんなわけだからまだ油断は出来
無い……」
あたいはここまでの経緯を掻い摘んでアリ
スに説明した。
だが、それで十分だったようで……
ア「それじゃあ……今、白玉楼は守れる人妖
がいないせいで、あなた達の分身やら式で補
っている状態ってワケね」
チ「あぁ……でも、心配要らない。 分身と
は言えあたいとほぼ同じコトが出来るように
しといたからね」
ア「でも、その分力を使うし、戦力も減るの
よね?」
チ「?……まぁね。分身も式も妖力を消費す
るし……」
ここまでで、アリスがなにを言わんとして
いるかあたいにはもう分かった……
チ「まさか、……白玉楼に……?」
ア「そ、任せて貰えない?………まさか、
今更……危険だからとか言わないわよね?
もう十分巻き込まれちゃってるものね」
チ「本当なら下がってて貰いたい所だけど……
人手が要るのも確かだしな……」
ア「話が分かるじゃない。……まぁ、安全面
でも打算があるから安心して良いわよ?」
チ「?…………あぁ、幽々子と妖夢か……」
ア「そう……彼女たちが目覚めれば……も
う万全よね」
そう……つまり、彼女たち二人が目覚める
まで護衛し、目覚めてからも共闘の姿勢を取
ろうと言うのだ。
………そしてそれには………
リリカ「はっはあぁ〜〜〜っ! 話は聞かせ
て貰ったぜぃ!」
メルラン「もらったぜ〜〜〜!」
ルナサ「もちろん、協力するよ」
レティ「『毒を食らわば皿まで』ってね!
ここまで来たら最後まで付き合わないとスッ
キリしないわあ……」
ふぅ……聞く耳は持たれなそうだ……
チ「…………ってことなんだけど、良いかな?」
あたいはさっきからこっちに視線を向けて
いる三人に意見を聞く。
大「私はチルノちゃんが良いなら………」
橙「藍さま、いかがしましょう?」
藍「ふむ……確かに全くバラバラでいるより
は危険は少ないかも知れんな……良し!………
では……白玉楼を頼めるか?」
ア「ええ、任されたわ!」
リリカ「合点承知ィ!!」
メルラン「感謝感激雨霰え〜っ♪」
ルナサ「よ〜し気張ってコー……」
レティ「襲って来た端から千切って投げてや
りましょう〜〜!」
……なんか最後の人だけ殺意が………まぁ
、良いか………
その後はあたいがみんなの消耗を賄えるだ
けの回復結晶━━魔力や霊力にも変換出来る
━━を彼女らに渡して、代わりにあたいは分
身を引き上げ、藍は…“紫様に連絡を取って
式を引き上げてくださるよう要請する”と言
ってから自分の式も呼び戻していた。
無論、白玉楼が誰もいない状態にしないよう
、呼び戻すのはアリスたちが白玉楼に着いて
からだ。
あたいたちは彼女らを見送り、次の戦場へ
足を向けた……
今回はそう……紫んのミスですが、幽々子様が絡んでのことだった為、テンパってたということにしてあります。
まぁ、その為に寧ろ改めて驚異的なというか……えーかー
らずチートな紫様の能力を再確認した形ですはい……
ぶっちゃけこの話てはチルノの陰に隠れちゃってるだけ
で元々十分半端無いんですよ……えぇ……
でもまぁ、これも伏線だったりそうでもなかったり……?
まぁ、進んでみたら伏線だった……みたいなことになった
りして……?…って訳で今回はこれにて!!