東方極楽伝   作:一向一揆

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漸く内定がデター!!
これで安心して色々とできるぜー!!


第六話 ババアとの出会い=近いうちに悪い事が起こるフラグ

  Side 信孝

 

 

 今日は久しぶりにやることが無いので、偶然出会った宇合と一緒に藤原京食べ歩きをしに行くこととなった。

コイツは藤原家の諜報を一手に引き受けているから、藤原京の何処にどのような店があるのか程度は全て把握しているだろうと予測し、案内役を宇合に一任することにした。

 

 

 

「なぁ宇合?」

「どうしました兄上?」

「お前が知ってるお勧めの店ってあるか? 諜報を担当しているお前の方がよく知ってるだろ? 意外な穴場の店とか・・・」

「ならそこの脇道を左に曲がり真っ直ぐ伍町(約550m)程進んだ先にある団子屋がお勧めですよ。 あそこの店は様々な公達の方々や帝さえもお忍びでやって来ているという噂ですから」

 

 

 

 そう言い、宇合は路地裏を進んだ先の遠くに見える団子屋を指差した。

 幟には「団子屋」という文字と「饅頭、始めました」と書かれている。

 ・・・団子屋で饅頭を取り扱っているのはおかしいと突っ込んだら負けなんだろうな。

 

 

 

 

 

「う゛・・・、饅頭か・・・・・・」

「そう言えば、兄上は先日妹紅姉と武智麻呂兄上の作った饅頭を食べてお倒れになったそうですね?」

「・・・・・・何でお前が知っている?」

「この藤原京のことなら私が知らないことなどありませんよ。

 例えば3日前に太政大臣様(高市皇子)が孫をあやしているときに誤って落としてしまい泣かせてしまったので、母親である慧音姫様に正座させられ一晩中説教されたそうな・・・。

 しかも、大臣様が眠りそうになると、頭突きして無理矢理起こして再び説教を始めたのです」

「お前の情報網はどうなってるんだ!?」

 

 

 

 

 コイツ本当に13歳か!? 

 

 俺はこいつのトンデモっぷりに思わず引いた。 ・・・やはりこいつは(思考と行動が)危険だ。

 

 ・・・というか、こいつを見ている限り、藤原氏の対抗馬であった長屋王《ながやのおう》(高市皇子の子)に謀反の疑いをかけてその一族の多くを誅殺した所謂「長屋王の変」は、間違いなくこいつの謀略から出たものだと確信しているんだがどう思うよ皆さん?

 

 

 正直、こいつが正史のように天然痘かかって死ぬことなく、まかり間違って長生きしようものなら、間違いなく橘諸兄《たちばなのもろえ》とか吉備真備《きびのまきび》、弓削道鏡《ゆげのどうきょう》といった奈良時代に出た権力者が政界に進出する機会はなくなりそうで怖い。

 

 それが実現した場合、きっと藤原氏の主流は北家じゃなくて式家になり、「藤原道長? ああ藤原の傍流の隅のほうにいるやつね」って扱いになりかねん。

そうなったらもう歴史改変っていうレベルの事態になるんだろうなぁ・・・。

 

 

 

 いや待てよ、だからこそこいつは天然痘で死んだのか?

 こいつを生き残らせるのはあまりに危険だから死なせるよう、神(駄神ではない)が差し向けたのか?

 

 

 

 

 

 だがそうなら他の3人まで死ぬのはどうしてだ?

 

 たとえ藤原氏が失脚しても、武人としても指揮官としても暗殺者としても生きていけそうな麻呂や、メタボ野郎且つ残念な性格のせいで友達が少なく、最近八割方引きこもり化してる武智麻呂はともかく、四兄弟の良心兼兄弟中随一の政治手腕を誇る房前も共に死ぬってのは納得出来ない。

 

 まぁ、多分そうなるように運命が定められているんだろうな・・・。

 

 

「・・・・・・上、兄上?」

「んあ? ああ、済まない。 どうした宇合?」

「突然考え込んで一体どうしたのですか?」

「ん? ちょっと、な・・・・・・」

 

流石に本人の前で「お前は早死すべき人物だ」なんて言えないしなぁ・・・。 相手が宇合でも

 

「・・・まぁ良いですけど。 それにあの団子屋に今妹紅姉もいますよ?」

「へ・・・? あ、本当だ」

 

俺が視線を団子屋の方に向けると、丁度妹紅が団子を注文し終えたところだった。

 あいつ一人でこんなところに来るとは意外だな?

 

 

 

「おーい妹紅、何やってるんだこんな裏路地にまで?」

「ああ、信孝に宇合か。 ここは私の行きつけの店だしな」

「へぇ、そいつは初耳だな」

「私は知ってましたよ?」

「お前はもう黙れ宇合」

 

寧ろお前知ってて態とここに案内しただろ。 ご丁寧に妹紅が来るであろう時間帯に合わせてまで・・・。

 

 

 

「まぁいいからお前らも座って一緒に食おうな!」

「元よりそのつもりだ。 おっちゃん団子四つと茶を二杯!」

「あいよお坊ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

  ~30分後~

 

 

 

 

 

「あー食った食った」

「妹紅・・・、お前食いすぎ」

「え? そうか?」

「・・・流石に饅頭10個はどうかと思うぞ?」

「・・・明日になったら確実に体重が増えますね妹紅姉」

「・・・ちょっと走ってくる!」

「おい待て妹紅! ・・・行っちまったよ」

 

 

 自分の体重を気にするあたり妹紅も一端の女の子なんだな・・・。

 たとえそれが、着物やら化粧やらよりも火遊びやら暗殺術を好む危険少女として有名を馳せ、「妹紅姫と息子の婚約!? ・・・此度の婚約は遠慮いたしたく」と及び腰になる貴族や皇族の方々も多いと専らの噂となり、未だに良縁が無かったとしても、だ。

 

最も、饅頭10個は食い過ぎだがな!!

 

 

 

 

 

  信孝 side out

 

 

 

 

 

 

 

 Side ??? 

 

「はぁ、暇ね~。 京って言ってもあんま楽しそうなのはないものね・・・」

 

 ホントやることがなくて困るわ。 

 折角の休みなのだからゆっくり寝ようと思ったのに、藍ったら「偶には動いてください紫さま。 そうしないとより一層太りますよ」なんて言って家から私のこと追いだしたのよ?

 

 

 

 勿論、藍は問答無用でスキマ送りにしたけどね。 

 

 

 大体私は全然太ってないわよ! 寧ろ細身よ!! なのに「より一層」って何よ「より一層」って!!

 でも、藍ったら転生してまだ間もないのにもう反抗期かしら・・・?

九尾の狐にも反抗期って存在していたのね・・・。

 

 

 

「でも、ホント楽しそうなものは・・・、あら?」

 

 

 

 私が京の外れにある団子屋でふと見かけたもの、それは・・・、

 

 

 

「・・・ちょっと走ってくる!」

「おい待て妹紅!」

 

 突然饅頭屋から走り出していった女の子を引きとめようとして振り切られた男の子と、その様子をずっと傍観していながらこちらを見ている男の子だった。

 

 

 

 

 ・・・気になるわねあの2人。

 

 さっきの少女に振り切られて呆然としている男の子は何らかの力が僅かながら漏れているし、もう1人の男の子は気配を隠している私の存在を完全に見抜いている。

 

 力の見極めも兼ねて、相席してみようかしら?

 そう思い、彼らに近づくために一歩踏み出した瞬間、凄まじい気の波動が顕現した。

 

 

 

「・・・っ!? この力・・・まさか!?」

 

 

 

 

 思わず後ずさり、もう一度確認のために歩を進めると、再びあの波動が吹きつけてきた。

 

 ・・・間違いない。 この気の性質は神、それもかなり高位の神のものね。

 でも、いくら観察しても彼の肉体は人間のものに違いない。 そこは断言出来る。

 高位の神の気質と人間の肉体・・・、ただの現人神として括るにはあまりに力が強すぎ、神として括るには肉体が弱い・・・。

 

 一体彼は何者なの・・・!?

 

 

 

「・・・兎も角、彼の正体を掴まないといけないわね」

 

 彼が将来味方になるか敵になるかは分からないけど、私の計画に大きな影響を与えることはまず間違いない。

 早いうちに接点を持ち、出来るだけ味方に引き込むことがここでは最善策かしら・・・。

 

 

 そう判断した私は、彼らのもとへ向かうことにした。

 

 

「ちょっと相席してもよろしいかしら?」

「どうぞ・・・んなっ!?」

 

 

 

 すると、さっきまで呆然としていた男の子が私の顔を見た瞬間顔が驚愕の表情に変わった。

 えと・・・、以前会ったことあるかしら?   

 

 

 

 

 

 

  ??? side out

 

 

 

 

 

  Side 信孝

 

 

 

 

 

「ちょっと相席よろしいかしら?」

 

 

 

 ん? 相席? 他にも席はまだ空いてるのに此処に相席しようって言うのはどんな人だ?

 俺はそう思いながら顔を見上げた。

 

 

 

「んなっ!?」

 

 そこには、胡散臭そうなオーラを常に醸し出しているババa・・・もとい八雲紫がいました。

 

 

 

 

「・・・そこの貴方、今変なこと思わなかったかしら?」

「・・・別に変なことなんて思ってませんが何か?」

 

 

 

 危ねぇ・・・・・・。 危うくスキマ送りされるところだった。

 

 あんな空間に取り残されるなんて、一度であっても体験したくないというのが常人の考えだろう。 最も、一部の訓練された連中はご褒美になるんだろうが・・・

 

 

 それにしても、どうしてこんなところに紫がいるんだ?

 初代幻想郷縁起にも描かれているからこの時代に生きているのは別に不思議なことではないが、こんな人の多い地域に堂々と入り込んでくるような危険を犯す性格では無かった筈だが・・・?

 

 

 

 

「あんた誰だ?」

 

「自己紹介するならまず自分からでしょ? まぁいいけど。 私は信州からやってきた八雲紫《やくもゆかり》よ。 紫でいいわ」

 

「はじめまして紫さん。 藤原大納言不比等が三男、藤原左兵衛大尉宇合です」

「どうも初めましてバ・・・紫さん。 藤原大納言不比等が甥、藤原左近衛将監信孝です」

 

「あら、別に呼び捨てで構わないわよ。 それにしても、貴方達が今評判の藤原亜相(大納言の唐名)の息子と甥なのね。 『藤原一族は傑物多し』と専らの評判だけど、強ち嘘ではないようね」

 

「そんな噂が流れていたのか。 確かに、今の藤原家は(一名を除き)粒揃いと言えなくはないがな。 しかし、紫はどうして相席にしたんだ? 他にも空いてる席あっただろ?」

 

 

 

 

「あら、それは貴方達に聞きたいことがあったからよ」

「俺と宇合に・・・?」

「ええ。 ちょっと来てくれるかしら?」

 

 

「・・・・・・まあいいが、宇合はどうするよ?」

「私も同行いたしましょう。 何やら面白そうな予感がしますし」

「何だろう、急に行きたくなくなった・・・」

 

 

 

 宇合の一言に猛烈な不安を感じながら、俺達は紫の後をついていった。

 

 

 

 

 

 

  ~少年少女(?)移動中~

 

 

 

 

 

 

 紫についていった先は、京の中心部に近い地域にある一件の長屋だった。

 ・・・こんな京のど真ん中に屋敷を持つとか、剛胆なのか馬鹿なのか判断しづらいな。

 

 

 

 

「それで、話とは何ですか?」

「単刀直入に聞くわ。 あなたは一体何者かしら?」

 

 

「!? どういうことだ?」

 

 

 

「これでも人を見る目はあるのよ。 貴方の体にある力、これは明らかに人の限界量を突破している。

 いいえ、最早神と同等と言ってもいいでしょうね。

 それに、貴方自身からもわずかに神気が漏れているにもかかわらず貴方は神ではなく、現人神として括るには説明できない点が多すぎる。 そうなるとあなたの正体が全く分からなくなるのよ。

私が見た限り寿命は人間とほぼ同等くらいなのに、そこに内包する力は神と同等。 この矛盾」

 

 流石だな。 まさかそこまで分かってるとは・・・。

 でも流石に本当のことを言うわけにはいかないから、ある程度は本当のこと言うか。

 

 

 

 

「確かに貴女がおっしゃったとおり、私の霊力は人を遥かに超えたものです。 ですがそれ以上のことは『今は』お答えできません。 ただ、私はれっきとした「ヒト」である、と言っておきましょう。

 そして、一つだけ確かなことは私が藤原亜相の実の甥である、という事実です」

「今は・・・?」

「ええ。 生きていればいつか会うこともあるでしょう。 あなたみたいな美しい女性なら大歓迎です」

 

 

 これがネタだったら「また会おうぜババア!」とか言っていたかもしれないが、流石に今それを言うと、俺がスプラッタになりそうだからやめておこう。

 

 

 

 ・・・・・・宇合ならきっと本人の前でも堂々と言えただろうな。

 

 

 

「年r『黙らっしゃいこのボケナスが!!』ぐっ・・・!」

 

 

 

 やっぱり言おうとしやがったよコイツ!! 問答無用に黙らせて正解だった!!

 

 

 

 

「・・・彼は放っておいていいのかしら?」

「いいんです。 あいつは居るだけで録な事を仕出かさないんです。 まだ気絶していたほうが新たな騒動を起こさないだけマシです」

「そ・・・、そうかしら? なら、私は何も見ていなかったとすることがここでは賢明なようね」

「賢い女の人はそれだけで魅力的ですよ」

「・・・あら、褒めても何も出ないわよ? なんか褒められてる気はしないけど・・・」

「いえ、これは純粋に思ったことです。 そうだ、また会えるおまじないとしてこれを差し上げます。」

 

 

 

 俺は文字の入っていない文珠(駄神との賭け麻雀で奪い取った戦利品)を紫に手渡した。

 

 

 

「これは何かしら? なんかすごい霊力を感じるのだけど?」

「これは・・・まぁお守りのようなものです。 『また、貴方と会えるように』という願いを込めて」

「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」

「いえ。 ではコイツを担いで帰らないといけないんで、そろそろお暇いたします」

「ええ、さようなら信孝。 ・・・と言いたいけれど、さっきの子もういないわよ?」

「え・・・?」

 

 

 

 紫に言われ、宇合を転がしていた場所に視線を向けたが・・・、

 

 

「・・・ってホントにいねえよあの野郎!!」

「・・・彼、何者かしら? 何時いなくなったのか私にも分からなかったのよ?」

「あいつはそう言う人間なんです! それじゃあいつを探さないといけないんでこれでっ!!」

 

 

 

 俺はそれだけ紫に告げ、屋敷を後にした。

 紫が何か言いたそうだったけど、今はあの馬鹿が問題を起こす前に見つける方が先決だ!!

 

 

  信孝 side out

 

 

 

  Side 紫

 

 藤原信孝・・・・・・か。

 なかなかいい男だったわね。 あの力といい、その精神といい、彼なら私の計画に賛同してくれるかもしれないわね。

 

 

 

 でも、惜しいことに彼は人間、しかもかなり身分の高い人物なのよね。

 もし彼が私たちのように長命で、それほど高い身分でないのならすぐに私の家へ連れて帰ったのだけど・・・。

 流石に藤原家の一族に手を出したら面倒臭いことになりかねないわね・・・

 

 

 それにしても、彼から貰ったこの珠・・・、

 

「これ、どこかで見たことがあるような気がするのよね。 どこだったかしら・・・?」

 

 

 そう考えているうちに私は家へ着いた。

 

 

 

 

「ただいま、藍。 ・・・そう言えば、ずっとスキマに入れっぱなしだったわね」

 

 私はスキマを開け、藍を外へ出した。

 

「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイモウシマセンモウシマセンモウシマセンモウシマセン・・・・・・・・・」

 

 ・・・・・・ちょっとやりすぎたかしら?

 

 

「藍? そろそろ正気に戻りなさい」

「ゴメンナサイゴメンナサイg・・・はっ!? ゆゆゆゆゆ紫さま!? ごごごごごごごご機嫌麗しゅう!?!!」

「もう怒ってないから、そんなに動揺しなくていいわよ・・・」

「本当ですか!?」

「本当よ。 そうだ藍、あなたこの珠何か知っているかしら?」

 

 

 藍も九尾ですしね。 ひょっとしたらこれのこと知っているかもしれないわ。

 ・・・時々抜けてるから期待は薄いけど。

 

 

 

 

「これは・・・・・・・・・っ!? 紫さま、これをどこで!?」

「え? 藍はこれを知っているのかしら?」

 

 

 転生したばかりとはいえ、九尾である藍が驚愕するほどの品物なの・・・!?

 

 

「ええ。 これは『文珠』といって、この珠に例えば漢字一文字を入れると、その現象が発生するという霊具です。 例えば「炎」と入れれば炎が発生し、「凍」と入れれば対象物を凍らせたりできます。

 さらに、この文珠を生成できる者は、複数の文珠を同時に操って例えば「雷」・「槍」と使えば、雷を纏った槍を生みだしたりすることができます。

 しかし、この文珠を生みだした者は神などを含めても歴史上数名しかおらず、人間ではまだ誰も生み出していないものです」

「も、文珠ですって!?」

「その通りです。 やはりご存知でしたか・・・。 紫さまはこれをどこで手に入れられたのですか?」

「・・・今日出会った人間からもらったのよ。 『お守りだ』ってね」

「な・・・!? まさか人間で文珠を生み出せる者が現れたのですか!?」

「恐らくそうだわ。 こうなったら信孝には是が非でも、もう一度会わなきゃいけなくなったわね」

 

 

 

 

 

 人間で初めて生まれた文珠使いの可能性・・・。

 仮に違っても、文珠を手に入れた経緯を知ることが出来るだけでその価値は計り知れないわ。

 そのことに気付いた私は、信孝確保に向けた計画を練り始めることにした。

 

 

 

 

 

  紫 side out

 

 

 

 

 

 

 

  Side 信孝

 

 

 

 

 

「信孝! さっきの女と何をしていたんだ!?」

 

 突然ですが、屋敷戻ってきたら夜叉が光臨していました。

 

 

「いつの間に戻って来てたんだ妹紅?」

「そんなことはどうでもいい! こうなったらとことん話させてもらうぞ!」

 

 ちょっ、それなんて理不尽!?

 

「こうなったら取れる手段は一つしかないな・・・」

「・・・何する気だよ?」

「フフフフ・・・逃げるんだよォォォー!」

 

 

 

 

 今こそあんたの名台詞使わせてもらうぜ、ジョ○フ・ジョー○ー!!

 

「あっ、逃げるな! 何分け分かんないこと言ってんだよ!」

 

 

 こうして俺と夜叉・・・もとい妹紅のある意味命がけの鬼ごっこが始まろうとしていた。

 妹紅のリバーブローが放たれ、その迎撃のために俺が左フックを使おうとした、その時、

 

 

 

 

 

「兄さんに姉さん。 これは私が独自で調べて判明したものなんですが、今夜噂の輝夜姫の下に迎えの使者が参り、姫がこの地を去ることになるそうです」

 

「「そういう大事な話は先に言えこの馬鹿野郎!!」」

 

 

 

 あんまりなタイミングで現れた宇合にキレた俺と妹紅は、今まさに放とうとしていた一撃の標的を宇合に変更した。

 その動きに対応できなかった宇合は、俺と妹紅の一撃をモロに受け、その場に崩れ落ちた。

 

 

 

 

「こうしちゃいれねえ! 急いで輝夜の屋敷に向かうぞ妹紅!!」

「分かった!」

「(・・・くそっ! よりによって輝夜の月への期間が今夜なのかよ!! こっちの対策はまだ万全じゃねえが、やれる手はやっておくしかねえか・・・!)」

 しかし、宇合の情報の正確性を知っている俺達は、今夜輝夜が帰ってしまうことを確信し、急いで輝夜の屋敷へ向かった。

 

 

 

 

 この時の俺は、走りながらあるひとつの考えが浮かんでいた。

 

「輝夜帰還のイベントで何かが起こる。 原作には記されてはいないが、かなり悪いイベントが起こる」

 

 どうしてそんな考えが過ったのかは分からないが、絶対に起こると俺は確信していた。

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