「どういうことだってばよ・・・」
入学前日の朝、学園のある島と本島を繋ぐモノレールに揺られながら昨日の事を思い出す。
昨日の夜
『よォ』
ブラッドスタークが家に雲隠れならぬ霧隠れしていた。
「なに…?」
あまりの事に少し戸惑った白龍は、その姿を思わず凝視してしまう。が、その仕草はどこかで見たようなソレだった
「ブラッドスターク……てか、女神様ですよね?」
そう、ブラッドスタークが見せる仕草は女神タナトスと同じだった。
俺の直感と観察力が、そう言っている!
「…バレましたか。そうです、私がタナトスです。」
このままでもしょうがないので、トランスチームガンからコブラフルボトルを抜き取り、変身を解除したタナトス。
「俺の直感と観察力を舐めないで下さい。と言うか、なんでうちに?」
そう、最大の疑問は何故タナトスがこの家に居るのかである。その疑問をタナトスに聞く。
「あなたに伝える事がいくつかあるので、それを教える為にです。」
「それでうちに不法侵入したと?」
「まず、1つ目ですが…」
俺の言葉を全く無視し話を続ける。
「ウッソだろおいスルーされたんだが」
「2度は言いませんよ?」
そしてなぜか怒られる
「では。1つ目。明日、IS学園付近に在住の男性は学園内で適性検査が行われます。」
は?なんと言ったこの女神。学園付近在住の男はそこで適性検査を受ける?
「まことに?」「まことに」
………
……
…
嘘だドンドコドーン!
「次に2つ目ですーーーーーーーーーーーー」
「この後なんか言ってたような気がするけど、ぶっちゃけ1つ目の事がデカ過ぎて覚えてない。」
はぁ…。とため息をつき、だらしなく下げた頭を上げ、車内を見渡す。
「知り合いは…いないか。」
1人ぐらい友人は居るだろうと思い辺りを見たが、見知った顔は会社の同僚と先輩位で、あとは近くの学校の学生や他の会社の社員だった。
「おっと…駅に着いたか。さぁ、地獄を楽しみな」
IS学園のある島の駅に着き、そんな皮肉混じりの言葉を吐く。
…
……
………
どなどなどーなーどーなー。と連れて行かれると、IS学園に到着した。ゾロゾロと男性達が校門から入っていく。
「嫌だなぁ…結果は見えてんだもん。逃げたいなぁ…」
このあと起こることを想像し、げんなりとする。
「それではこれから、IS適性検査を行います。」
学園の教員の1人がマイクを片手に進行を行う。
内容はIS本体に触れるだけという簡単な作業だ
他の教員は、講堂に連れてこられた男性達にテキパキと列を作らせ各列検査を行っていく
因みに白龍は前から数えたほうが近い場所に居る。
「触りたくないでござる。」
そんなことを言っているうちに、ついに白龍の番が回ってきた。
「しにたい」
ぶつくさものを言ってもしょうがないのでサッとISに触れる。
すると
「もうやだ」
突然光りだしたかと思うと、そこにはISを纏った1人の新卒が居た。
周りの人達は唖然としたが、すぐに教員達は拘束しようとし、世の男性達は放心していた。
「動くな!そのままこちらに来い。」
1人の教員の声がした。そちらを向くと、『ブリュンヒルデ』織斑千冬が居た
「IS解除!」
白龍はここから逃げ出さんと、ISを解除させ講堂を抜け出し、グラウンドを走り抜ける。
「待てっ!」
急いで追いかける千冬。だが、言葉で静止する訳もなく…
「誰がッ!待てとッ!言われてッ!待つかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
勢いよく校門を抜け━━━━━━━━━━━━━━
れませんでした。まぁそうだよね。
「離せえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!俺はまだ普通に社畜していたいんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!やめろ!HA☆NA☆SE」
その言葉に周りはドン引きしているが、なんの意味も無い。
校門付近で待ち伏せしていた教員に捕獲させられ、現在IS2機に両脇を掴まれ拘束されている白龍。
どんなに無意味だと分かっていても、ジタバタともがきにもがく。
そのまま適性検査の責任者である織斑千冬の前に連れていかれた。
「さて、聞かなくてもわかるな。」
織斑千冬が放った言葉には、威圧が掛かっていたが気にすること無く反論に移る。
「勿論です。自分は大学卒業したばかりで、つい最近今勤めている会社に入社した新卒です。やっとの思いで手に入れた社畜人生。なのに
だが、
「それについては会社を辞めてここに入学して貰うしかない。世界でたった2人の男性IS操縦者だ。分かってくれ。」
しかし、食い下がる白龍
「データ取りやらなら1人だけで充分でしょ、あと普通なら、『2人目の男性IS操縦者?1人目の、ブリュンヒルデの弟だけで充分だから別にイラネ』が普通じゃないですか?世間の皆さんはそう思っているでしょ、政府も。じゃなかったらよっぽど傲慢な連中だ。後で後悔するだろう。」
その反論も返される
「生憎、上は傲慢な者しか居らんのでね。」
「ったく、上の連中は頭の中がお花畑か?」
そうボヤくが、意味はなさなかった
「まぁ、良いでしょう。全てわかってた事だ、諦めましょう。」
"全てわかってた事"その言葉に違和感を覚えながらも、千冬は手続きの準備をし始めた
「ですが、一つ条件があります。」
「ほう。条件か、言ってみろ。」
先程考えついた『条件』を、口にした白龍。
しかし、その『条件』は驚愕の内容だった。
「私がここを卒業すると同時に、私が学園にいた事、今後取っていく私のISのデータ、1つ残らず全て消し、神野白龍は最初から存在していなかったことにする。」
「これが私からの『条件』だ。できなければ今すぐ研究所に自ら出頭しよう。」
ニヤリ、と口角を上げる。
「そんなこと…できるとでも」
思っているのか。と続けようとしたその時、あの時のブラッドスタークの言葉が思い出される。
『2人目の操縦者に手を出して見ろ、立場が消えるだけで済むと思うなよ』
「ッ!いいだろう。政府にも伝えておく。」
「やったぜ」
ガッツポーズを決めた白龍。だが、明日から地獄が待っている事を忘れていた。
次から原作スタートとなります!本番はここからかぁ……