「──最近ありがたいことに、コラボグッズやコラボ服のお誘いをいくつかいただきまして……」
『即売会してくれ』『まーた戦争だよ』『アクセサリーとか?』『インド無視ノーム肯定カレー欲しい』『稲荷が入ってないやん!』『ノーム、パチスロに導入か?』『うんち!w』『絶対に転売厨湧くゾ』『ノーム変身ベルトマ?』『シャバドゥビタッチヘンシーン』『ノーム、エヴァに乗れ』『もう選別は始まってるんだよね』
別にカレーでも変身ベルトでも引き受けたと思う。
むしろ私イメージのグッズを作りたいなら、喜んでこちらからお願いするところだ。
頭を悩ませている理由はそこじゃないんだ。
「肝心な商品デザインまで依頼するものもあったり、……無理だと思いませんっ?本当に私の配信見ているんでしょうか?」
ホラゲーよりもお絵描き配信の方がコメントで悲鳴が上がるような現状だぞ。
そんな奴がデザインした服やグッズを販売したい?
黒歴史と赤字だけが積み上がって失敗するのが目に見えているだろう。
私のデザインした劇物が店頭に並ぶ未来、間違いなく一生の恥だ。
『ダメみたいですね…』『おつおつおー』『閉廷!』『見たから依頼してるのでは』『筋肉と女子力があれば何でもできるって』『やめとけ!やめとけ!』『Just Do It!』『パクってけ』『身も蓋もなくて草』『壮大なゴミ生産計画じゃん』『想像力でカバーしろ』『使わないけど買うよ』『なら軽減税率いけるやん!』『いるけどいらない』『やめとけ』
普段は意見がバラバラに分かれるコメント欄だが、こういう時に団結しなくても良いだろうっ!
特に『買うけど使わない』みたいな精一杯頑張った擁護は心をクるものがある。
しかし、コメントにここまで言わせるほど酷いのに、誘いのメールは一向に減る素振りがない、なんなら増えてるし。
絵を書くのとデザインはまた少し別だから、とでも思っているのだろうか。
──私を見くびってもらっては困る。
「……というわけで、まず第一回はファッションセンスをおみまいしてあげようと思いますっ。!今日やるのはこの『ファッションモード』というゲームで……お洒落なアパレル店員としてお客さんに服を紹介していくゲームですね」
お店を大きくしていけば自分だけの服を作ることもできるとのこと。
リアルで紹介できるような服も持っていないのでゲームに限る、身バレも怖いし。
『おみまいするぞ!!』『自分で言うのか……』『神ゲーじゃん』『女の服が充実してるゲーム』『有能』『オレは男もいけるぞ』『自分語りやめろ』『ワイはこれで義務教育終えたわ』『レアキャラのギャルがエロいんだ!(*^○^*)』『マ?裸待機するわ』『風邪引くぞ』『ノームが店員とか毎日通うわ』『もうこれ逢引だろ…』
「──全年齢対象ゲーなので危ない描写はないはずです!安心してやれるってマシュマロも来てました」
操作方法やストーリーは取り敢えず流し読みで良いや。
基本はお客様が好みの服を予算以内に選んであげていけば大丈夫。
新しい服を次から次に入荷していかないと、あっという間にお店が潰れるらしい。
ゲームの世界でも世知辛いな……。
やってきた最初の客、若いお兄さんが求めてきた服のコンセプトは『初デート』ときた。
えっ、最初から割と難易度が高い。
「んん、白シャツとかで清潔感を……でも、デートにしてはシンプルすぎるかも?こっちのカーディガンを上から、って高ぃ!?諦めて下は安いデニムでいきましょっ。もっとデートにお金使ってもらって、ね?」
トップスが2千円のカッターシャツとポロシャツ、7万のロングコートしか置いていない服屋ってどうなんだ。
服の種類が少ないと変に迷わなくて済むからやりやすくはある。
こうやって店の評判を上げて……ん?下がってない?
……なんなら凄い怒られてる!?
「──デートの良し悪しを服の金額でしか判断できてない時点でもうダメでしょ!」
女性はお金がないと見向きもしない、と考えている男性が多すぎる。
ゴテゴテの服よりもシンプルな方が良いと思う。
困ったらユニクロで白か黒色の服、これで間違いない。
『ママァ!』『正論で殴れば良いわけじゃない』『なお自信満々に不正解』『デザイナーとしては凡』『庶民派じゃん』『もうこれ妻じゃん』『いっぞ!』『俺の嫁やぞ』『←死ねどす』『2千円のシャツでデート行くやつおりゅ?w』『普通初デートは気合い入れるでしょ』『オレハッ!すこだっ!』『ちん亭やめろ』
次に来たポッチャリしたおじさんにポロシャツを売って、チュートリアルはおしまい。
後は早くお店を拡張するためにも、取り敢えず今仕入れられる服を一着ずつ集めておく。
タンクトップやカウボーイハットから『ぬ』が沢山書いてあるネクタイまで──何このお店。
品揃えによって来るお客も変化するこのゲーム、ちょっと不安になってきた。
「青いつなぎが欲しいとか変わってますね……。お店をホームセンターと勘違いしてません?」
『ウホッいい男!』『やらないか』『ここで買うな』『ここを発展場とする!』『質より量』『はいセクハラ』『ブルーベリーみたいな色と言え』『ほな、阿部さん違うなあ』『来たわね』『レアキャラじゃん』『あるのか…(困惑)』『実質し○むら』『ラインナップでしか勝負できない店』
袖捲りでつなぎを完璧に着こなし、満足気なスマイルして帰っていった。
これでお店の評価が上がるのはちょっと複雑な気分。
「あっ、女性客がいると嬉しくなりますねぇ」
買いに来たのは桜色の靴、これも1種類なので迷わない。
にしても、わざわざお店まで買いに行くような女性はこの世界にいないような気がする。
私の場合外に出る機会もほとんどないし、男物のSサイズを適当に1枚着れば十分だと思ってるし。
『製作者の趣味がわかりますねクォレハ』『服のレースの作り込みよ』『アッサリしてて草』『は?』『…すぞ』『夢を壊すな』『違うだろぉ』『送るわ。』『サクラちゃんを無視するな』『船降りろ』『トトロいるもん!』『ノーム情報助かる』『俺が暖めてやるよ』『オイオイ死んだわ』
「だって高いんだもん……」
女物はオーダーメイドが割と当たり前みたいで、市販品もあるにはあるけど流通が少ない。
下着はさすがにダボダボだったので女の子用を買ったけど、びっくりするほど高かった。
……後パンツの商品レビューが沢山あって怖かった。
「──あえっ、ジーンズ品切れした?」
割とサクサクプレイできていたので気づかなかった。
全身コーデを頼まれる度にジーンズで誤魔化してきたので、あっという間に売ってしまったらしい。
他にボトムスの代わりといえば、店舗拡張と図鑑埋めのために仕入れた白いブリーフかストッキングくらいしか残ってない。
ズボン買いに来た人はどっち出されても怒りそうだけど……。
これ断って普通に帰ってもらう事はできないの?
『あへ?』『今アヘった?』『ボタン行き』『適当なの売りつけろ』『一回履いて、脱いで売れ…』『リビングで聞いてます』『ニ択に賭けろ』『判断が遅い』『ヤメロォ!(建前)ナイスゥ!(本音)』『アパレル(ジーンズ専門店)』『選ぶのは確定なのか…』
「まだ使う機会を考えて、パンツ……ですかね?」
ストッキングは使う場面なさそうだけど、パンツなら使う場面もあるだろうし。
購入したパンツを手に取ると勢い良く頭に被り、サムズアップを決め満足気に帰っていった。
そして評判ゲージもグングン上がっていく。
──称号『話題のお店』を入手しました。
「いや、それで全然納得しないですけど」
『目を背けるな』『何か問題でも?』『ちなストッキングだとキレる』『コロコ○の世界観やぞ』『・・・・すごい漢だ』『トリックだよ』『オシャレは我慢だよ』『羞恥に耐えるな』『歪みねぇな』『だらしねぇな』『仕方ないね』『サンキュー兄貴』
もしかして私の感覚がこの世界のお洒落と違ったりする?
と思ったけど、コラボ服の依頼が前よりも沢山来るようになった。
……怖いけど一件くらい受けてみようかな……。
6/4 23時にノームのlive2Dお披露目があります(宣伝)