マスターは犬?...狼?......いいえ大神です 作:シャーロックペン
神格も全て破られた。
神器も全て凌がれた。
筆調べも通用しない。
こいつは俺の全てを凌駕していた。
勝てない...
そう思わざるを得なかった。あらゆる手段を全て凌がれ、されどこいつは息一つ切らしていない。
「はぁ、はぁ...」
息が落ち着かない。たまらず膝をつく。意識が飛びそうだ
「やはり、そこがユーの限界だね。十二神が全て集まっていないとはいえ、かつてのアマテラス君はそこまでじゃなかったよ。」
初代にも2代目にも届かないのはわかっている。だが、このまま何もできずに負けるわけにはいかない。彼女の前で無様に負けることだけはできない。俺を信じてくれているから
「せめて、一撃ぐらいもらっていくぞ」
ほとんど目が見えない。感覚もない。剣を持っているのかさえわからない。
「諦めなよ。今のユーじゃミーには勝てないよ」
勝てなくても、戦わないといけないんだよ俺は、人理が助からなくともな
「ふっ!!」
「だからそんな単調な動きじゃ?!」
突っ込んだ俺にカウンターを完璧なタイミングで叩き込んでくるやつを避けるには、その速度を超えなければならない。しかし、俺が出せる速度でそれを超えるのはほぼ不可能だ。
全能力が全てやつの方が上だ。変化の速度を除けば...
しかし、人型から狼になる速度は、人の認識を超える。たとえそれが、英霊であっても
急に高さの変わった俺にカウンターを当てられずよろけるウシワカの腹にzutukiをお見舞いする。
が、それも上に飛ばれて避けられる。
「くそっ」
そのまま俺は意識を失った。
「おや?気を失ったみたいだね。だれか彼の救護を。」
「大神さん!!」
「.......残念、この服結構気に入ってたんだけどね」
「それでは、これより特異点へ向けてのレイシフトを開始します。」
所長の指示のもと準備が進められていく。彼女は、うまく辰を説得できているのだろうか?こちらとはリンクが残ってはいるが、干渉したくない
「ウシワカ、藤丸、大神、マシュ、準備を」
あの後、俺は救護室のベッドで目を覚ました。負けたのだ。完璧に
右手にはいまだにマシュの温もりが残っている。目を覚ました時、握ってくれていたそうだ。後ろでニヤニヤしながら見てた藤丸に聞いた。ほぼ丸一日
ちなみに、所長が生きていたことはあまり話題にならなかった。もともと生死が全員あやふやな状態だったため、生きていても違和感がないそうだ。それにあれはレフの虚言ということになっている。
「了解」
「「はい」」
「うん」
「サーヴァントたちは後でこちらから転送いたします。ウシワカに関しては、向こうで召喚を行いなさい。」
戦闘の後、ウシワカはサーヴァントの召喚を行なっていない。流石に一体いた方がいいのだろうがなにぶん設備がない。現地で調達するほかない。
「別にミーはなくても大丈夫なんだけどね」
「しなさい」
ここにいる全員が気圧された。逆らえない眼力がある。あれは、所長の力じゃない。辰のやつめ、どこまで手貸してやがる。
「っ....わかったよ」
ウシワカですら気圧されている。
「それでは、レイシフトを!!」
意識が飛ぶ。
広がるは草原、見上げれば青空。そして隣には最も大事な人
「ちょっと〜私もいるんだからね!」
藤丸が不満そうに声を漏らす。しかし、何にもないな街もなければ川もない。ヨーロッパのどこかではあろうが、建物が少なすぎてわからない。
「大神さん、ウシワカさんがいません。」
「なに?」
「あー!!ほんとだ。あのヘンテコ人間いないじゃん!」
レイシフトに失敗したか?いやそんな、あいつだけ失敗とも思えない。
『あー、あー、聞こえてるかな藤丸くん。』
「はいはーい、聞こえてまーす。ウシワカくんがいません。」
『やっぱりかぁ、大丈夫レイシフト自体は成功している。多分どこかで座標がずれたんだろう。位置情報が送られてくるまで、君たちはその辺りを探索してくれ。』
「了解」
俺たちは、サーヴァントが転送されるまでの間にある程度探索をすることにした。
周りは大理石、見上げれば天井。うん、室内だね、
「あれ、ミーだけ?みんなとは、はぐれてしまったみたいだね。」
まずは、状況把握からだね。耳を澄ましと、人の声が聞こえてくる。片方は泣きわめくような男の声、もう片方は、高らかに笑う少女の声。
こっそりと様子を伺う。周りの装飾から察するに少女の方がサーヴァントかな?時代感と国的なものを考えると、ジャンヌダルクか。
いやだが、あれは黒すぎるね。
「とりあえず、様子見かな」
一気に出した方がいいのか細かく刻んだ方がいいのか?