過去に戻ったと思ったらなんか違う   作:クソザコブロッコリー先輩BB

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あけましたね、よろしくおねしゃす!

本当はもう1回くらい更新しておきたかったんですけど、最後の更新から昨日まで仕事の方が大忙しでてんやわんやしてました。
すみませんでした。笑
とりあえず合間を縫って作った短い回が形になったのでとりあえず投稿です。どうぞ!



VS星章学園 中編

 

「とうとう出てきましたね」

 

そう言いながら鬼道に近寄るのは星章学園のDF兼キャプテンの水神矢成龍である。

 

「ああ」

「ベンチで戦略でも練っていたんでしょうか?」

「いや、アイツは前半中は心ここに在らずという感じだった。それにもし違ったにせよ、そんなことは考えてもないだろうな」

 

亜嵐とのやり取りを思い出したのか、思わず口の端が吊り上がる鬼道。

 

「水神矢、あえて皆には言ってなかったんだが……」

「なんですか?」

 

 

 

「アイツには1つ、特技があるんだ」

 

 

 

○○

 

 

 

さて、気をとりなして試合に望むとしますか!

 

「ボールでも持って集中しやがれ」

 

晴矢はそう言ってボールをこちらにパスしてきた。

 

とっくに後半が始まるホイッスルはなっており、永世学園のキックオフからスタートしている。

 

「さーてと……」

 

身体を上に伸ばし、身体の緊張を解す。

 

本当ならいつもは試合中にこんなことはしないのだが、さっきまでボーッとしてた故、堪忍な!

 

とりあえずFWの晴矢と風介はゴール前まで走りに行ってて、オレ以外のMFは中盤辺りにいるって感じね。

 

適当に前へドリブルしつつ、コート内の状況把握をする。

案の定、指揮系統がしっかりとされている。流石は鬼道。

 

(それと……)

 

チラッと敵ベンチを見る。

 

さっきまでは気づかなかったが、星章学園の監督はなんと久遠監督だったのだ。これにはビッくらポン。まさに(鬼道)金棒(久遠監督)である。……鬼だけに。

 

……いや、(久遠監督)金棒(鬼道)か?

 

「もらった!」

「ま、どうでもいいか」

 

敵のMFがスライディングでボールを奪いに来るが、難なくこれを回避。

悪くないけど、貧弱なスライディングだった。

 

(あの渡した練習メニュー、ちゃんとこなしてるみたいだけどまだ世界には通用しないかな)

 

ここでギアを入れ替え、ドリブルのスピードを速くする。

 

「は、はや!?」

「追いつかない!」

 

後ろからそんな声がするものの、1人分の気配が。

 

「あの練習メニューをこなしてはいるが、まだ日が浅いからな」

「ま、そうだろうと思ってたよ」

 

やはり、難なく付いてくるのはゴーグルマント男、鬼道有人だった。

 

「キラースライド」

「ファ!? おめェ使えたのかよ!?」

「帝国学園の選手なら誰でも使えるぞ」

 

鬼道がスライディングしてきたかと思えば、帝国学園の選手がよく使うDF技である『キラースライド』を使用してきた。

 

無数に見える蹴りの残像がオレに迫ってくる。

本職がDFである土門のよりも少し劣るが、間違いなくその次点の完成度ではある。

 

「だがしかし! この俺からボールを取るならば、そんな技じゃダメだぜ!」

 

素早くボールを空中に蹴りだし、オレも回転を加えながらジャンプする。

 

「ま、まさか!?」

「ファイアトルネード!」

「木戸川清修の豪炎寺修也の必殺シュート!?」

「天野止めろ!」

 

星章のチームメイトがキーパーに声をかける。

 

「……!」

 

言われなくとも、と言いたげにモジャモジャのKPは必殺技を使うべく構えを取る。

 

「それはシュートじゃない、パスだ!」

 

オレの意図に気づいた鬼道であったが、悲しいかな。

 

「ナイスパスだ、アラン!」

 

もう遅い。

 

「ノーザンインパクト!」

 

炎を纏ったボールは氷に包み込まれ、シュートスピードは更に増す。

 

ちなみにだが、永世学園にはシュートブロックとシュートチェインの連携を徹底させている。シュートブロックとシュートチェインが出来る選手が多いし、戦略の幅も広がる。

こっちの世界だとオーバーライドっていう連携の方が主流らしいけど、オレ含む永世学園の選手は今のところ使えない。

 

「ぬ!?」

 

完全に必殺技を出すタイミングを見失ったモジャモジャKPは動けず、ボールはゴールネットを揺らした。

 

「ナイスゴール」

「ナイスパス」

 

オレと風介は拳と拳を軽くぶつけ合い、互いを褒め称えた。

 

とりあえず、これで同点だ。

 

 

 

○○

 

 

 

「鬼道さん、アレが言ってた……」

「ああ。アイツは1度見た必殺技ならすぐに模倣できる。条件は色々とある上、威力はオリジナルの半分くらいだがな」

 

水神矢から差し出された手を掴み、鬼道は立ち上がる。

 

「あれで、ですか? 僕には本物と遜色ないように見えましたが」

「ファイアトルネードは別だろう。あれはアイツが間近で見ていた必殺技だ。それに唯一、模倣した必殺技の中で練習しているらしいしな」

 

と言っても、やはりオリジナルの方が1枚上手だがな。と鬼道は付け加えた。

 

白撫亜嵐。一足先に海外へ挑戦した若き天才プレイヤー。

『変化自在のファンタジスタ』という異名を持つ彼の実力を再確認し、水神矢は少しばかりの恐れを抱いた。

 





(前の世界での)白撫亜嵐の情報③

見た必殺技(一部を除く)をすぐに模倣ができる。しかしいくつか条件はある。
・威力は半分以下程度に。(ただし練習した場合を除く)
・実際に自分の目で見なければならない。(テレビ中継などはNG)
・難易度高い必殺技は何度か見るか、練習しなければ使えない。
・体力を少し多く使う。(ゲーム的に言えばTPとGPの消費量が2〜3割増)
・KP技は要練習。

敵チーム対策の練習の時やちょっとした悪ふざけ(驚かすつもり)で使うことが多い。また、模倣できない必殺技がアレス世界線にはあるらしい……?

亜嵐くんの異名が決まりました。『変幻自在のファンタジスタ』です。本来ならFWに使われている『ファンタジスタ』という言葉ではありますが、サッカー選手の異名でこれ以上わかりやすいものは無いと思って使っちゃいました。『白き閃光のファンタジスタ』と迷いましたが、閃光要素が……。

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