―――「Wo ist hier?(ここはどこだ?)」
私は気がつくと何故か砂浜の上にいた。しかも、とてつもなく汚い砂浜だ。背中が痛い。遠くから波の音が聞こえる。
・・・私は今なにをしていた?なぜ私はここにいる?
私は薄汚れたコートの砂を払いながら起き上がり、帽子を拾って、辺りを見回し叫んだ。
「Heß!Goebbels!Himmler!(ヘス!ゲッべルス!ヒムラー!)」
しかし、どこからも返事はない。
途方にくれながら海に沿って歩いていると、赤レンガの巨大な施設を見つけた。
はて?あの文字、あの言語。見覚えがあるなぁ。確か大日本帝国の言語ではないか?だがなぜ私は極東の島国にいる?しかし、同盟国ならば悪い待遇は無いだろう。
私はひとまずその建物に向かった。
巨大な建物を見ると、日本が劣勢であることはドイツを惑わす誤報であることがわかる。きっと東からソ連を潰してくれるやもしれん。やはり、同盟国に選んでよかった。
門には2人の屈強たる男が立っていた。私は彼らに右手をあげたが、反応がない。全くをもって教育がなっとらん。本来なら不敬罪で銃殺刑に処してもよいところだが、今は緊急事態だ。私の現状もそうだが、ベルリンの状況も気になる。私は彼らに自己紹介するも、ドイツ語が通じない。
しかし、神はやはり私に味方したか、彼らはボソボソと「ヒトラー?ドイツ?」と呟き合う。そして、電話をかけ始めた。きっと通訳を呼ぶのだろう。
私は驚愕した。出てきたのはの紺色の海兵隊の格好をした銀髪の女では無いか。しかも見るからに子供。大ドイツ帝国を、帝国総統を舐めているのか?
しかし、通訳ではあるようでドイツ語で話しかけてきた。
「Ich bin Leberecht Maass!Wie ist dein Name?(僕はレーベレヒト・マース!あなたの名前は?)」
レーベレヒト?はて、男性名である気がするのだが・・・。
「Hitler.Ich bin ein deutscher Führer.(ヒトラー。私はドイツの総統だ。)」
すると、レーベレヒト・マースと名乗る少女は混乱し始めた。無理もない。私が、ドイツ国の英雄が目の前にいるのだからな。
「Er starb mit seinem Mutterland.(かれは祖国とともに死んだよ。)」
え?な、なんだって!私は今こうして生きているではないか!それに大ドイツ帝国が滅んだとは真か!なんたる侮辱!信じられぬ。
「Lüg nicht!Ich lebe!(嘘をつくな!私は生きている!)」
私は怒りが抑えられなかった。
だが、彼女も泣きながら怒りに震えている。
「僕だって・・・、Deutschland hat an die Sowjetunion verloren!Ich kann es nicht glauben!(ドイツはソ連に負けたんだ!僕だって信じたくないよ!)」
嘘、じゃない、のか?ドイツは滅んだのか。なら今はいつだ?私は何故ここに存在するのだ!
「Wann ist es jetzt?(今はいつだ?)」
「Worüber redest du?Auf keinen Fall, wirklich...(なにを言っているんですか?まさか、本当に・・・)」
すると、急に少女は右手をあげて「Heil Mein Führer!」と叫んだ。あぁ、なんと嬉しいことか。私も敬礼をかえす。『Heil』なんといい響きだろうか。素晴らしい!こんな所で同士に会えるなんて!
少女は嬉しそうに「Bitte mir bitte.(ついてきてください)」と私に言って、戸惑う男2人を無視して施設内へ案内してくれた。
案内している最中に、色々教えてくれた。
今のドイツのこと。WW2後のこと。今の世界のこと。この施設、鎮守府のこと。艦娘のこと。
そして私は心の中で誓った。英米にロシア。奴らに再び炎の地獄を見せてやる。復讐劇と夢の続きが再び始まる。いや、始めるのだ。
アドルフ・ヒトラー:ナチス・ドイツの独裁者。
(ルドルフ・)ヘス:指導者代理。
(ヨーゼフ・)ゲッベルス:国民啓蒙宣伝大臣。プロパガンダの天才と呼ばれた。
(ハインリッヒ・)ヒムラー:親衛隊全国指導者。
Heil mein Führer:私の総統、万歳