帰ってきたヒトラーは鎮守府に着任しました。   作:たむがや

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11:蘇るソロモンの悪夢

 ノックがして、すぐに艦娘が入ってきた。もはやこっちの方が落ち着く。

「駆逐艦、夕立っぽい!よろしくっぽい!」

「〈あぁ、よろしく。それにしても元気だなぁ。で、君の志願理由は?〉」

「ん?特にはないっぽい?」

「〈聞かれても困るのだが・・・〉」

私はレーベレヒトに目線で助けを求めるものの、首をすくめて苦笑いされるだけであった。

「〈なにか無いのか?〉」

「ぽい?」

「〈演説を聞いてなにか思ったとか・・・〉」

「うーん。強いて言うなら、提督さんの挨拶を聞いた時になんか、ビリビリってきて、呼吸が荒くなって、心臓の鼓動がはやくなったの!」

「〈ほう〉」

「それで、頭の中に色んな光景が蘇ってきたっぽい!」

「〈どんな光景だ?〉」

「赤く燃える米軍艦がゆっくりと青い海の底へ沈んでいく。真っ黒の闇の中で探照灯と爆炎だけが白く輝いてる。そこで夕立はただ進んでるっぽい」

「〈なるほど〉」

「で、気がついたら提督さんの元に来てたっぽい?」

彼女は逸材かもしれない。戦争という狂気の火炎の中でも光り輝くことの出来る数少ない軍人。伝説を残すやもしれぬ。

「〈そうかそうか。君、戦争は、戦闘は、闘争は好きかね?〉」

「わかんないっぽい」

「〈もしも君の眼前に敵が現れたら?〉」

「直ぐに間合いを詰めて殴り込むっぽい」

「〈もしも君の喉元に刃物を突きつける者がいたらどうする?〉」

「殺られる前に殺るっぽい!」

「〈もしも君が四肢をもがれたら?〉」

「這いつくばってでもそいつの喉元を噛み切ってみせるっぽい!」

「〈嗚呼、彼女こそが私の求めた軍人かもしれぬ!〉」

「?ありがとっぽい?」

嬉嬉として敵の打倒法を語るその姿。やはり艦娘とは根っからの軍人、しかも軍国主義日本の軍人だ。素晴らしい。大変素晴らしい!感動モノだ。

「〈夕立くん、君の奮戦、期待しているよ!〉」

「ぽい!」

 

「夕立って無邪気で明るいだけだと思ったら意外と怖い裏を持ってるんだね・・・」

夕立が外へ出たあと、レーベレヒトが少しばかり震える声で苦笑を浮かべながらそんなことを言った。しかし、彼女の純粋な瞳からは裏があるように私は思えなかった。

「〈あれもきっと表だろう。〉」

「普段そんな素振りはなかったけど」

「〈戦闘狂とは常に戦闘狂な訳では無い。戦闘狂とは戦闘に喜びを生き甲斐を感じる者だ。非戦闘時はそれこそ普通の少女と変わらんのだろう。〉」

「そういうものなんだね・・・」

「〈 そういうものなのだよ・・・〉」

私はため息をひとつついて、天然の戦闘狂が再三発掘できることをワクワクしながら願った。

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