そして遅くなります。
私は闘争の完遂に頬を緩めずには居られなかった。
「〈チャーチル、ルーズベルト、それにスターリン。指をくわえて地獄で私の躍進を眺めるが良い。ヘス、シュペーア、そしてエヴァ。私の闘争はまだ続くようだ。それこそ神が私に味方している、私に期待しているという証拠というものだ。フハッ、フハハハッ〉」
私が勝利の喜びに浸っていると、ジリジリジリッと耳障りな音で興が冷めてしまった。
「〈何用かね?〉」
『あ、ヒトラー君。あっと、ちょっと待っていてくれ・・・あ、高雄。通訳頼む。相手は呉のヒトラーだよ。・・・そうそう、テロリストテロリスト。大体あってる。お願い出来る?・・・よかったよかった。・・・・・・もしもし、お電話代わりました。舞鶴鎮守府の高雄と申します。えーっ辻提督より、伝言です。長門と摩耶って艦娘に帰ってくるように伝えてくれと』
「〈了解したと伝えて〉」
そう言うと、通話中だというのにタイミング悪く執務室のドアがコンコンと鳴った。
「長門だ、失礼する。あ、電話中だったか」
否、タイミングバッチリである。
「〈長門か、舞鶴から電話だ。直接話すと良い〉」
私は受話器を長門に託した。
「長門だが」
『あ、長門さん!提督、長門さんですよ。直接話してはどうですか?・・・・・・ん、長門か?率直にいう。帰ってこい。それこそ、命令だと受け取ってくれて構わない』
「ま、まぁ、そうなるだろうな。迎えを寄越してくれるか?」
『それくらい任せろ』
そして長門は受話器を置いた。
「本当に少しの間であったが、ありがとう」
「〈そうか。我々は常に戦力を求めている。機会があれば来い〉」
「そうさせていただくよ」
行くぞ、そう言い残し摩耶を連れて出ていった。さて、今後のことでも考えるかと、椅子に腰を下ろす。眼前にはどうすればいいんだろうと戸惑う艦娘が2人。
「〈龍驤と長波。君たちは帰らんのかね?〉」
「いやー、帰るも何もなぁ」
「う〜ん、佐世保から連絡なかったか?」
「〈佐世保か。連絡はないな〉」
「ま、あの司令官ならええか」
「〈いいのか?〉」
「いいじゃない!そういうわけだからよろしくな!」
佐世保鎮守府というのは緩いのだろうか。いや、これは艦娘に甘いだけなのか。テントの中でであったあの男の顔を思うと、なんとでも取れてしまう。なんとも不思議な男だ。
「〈いいなら良いのだ。これからよろしく頼むぞ〉」
私の言葉に2人は元気よく返事をする。
青葉の話を思い出すに、駆逐艦と空母らしい。しかし、区別がつかん。ここにも赤城や加賀がいるが、彼女らと比べるとどちらも背格好は似ても似つかぬ。反対に、どちらもレーベや雪風のような駆逐艦の背格好に近いものを感じる。悩みに悩んだ末、私はひとつの結論を導き出した。
「〈赤の服の君が長波で、紫の服の君が龍驤でいいのかな?〉」
私が指さしと共に確認をとると、一時の沈黙が流れる。
「なっ!?ウチが駆逐艦やって!?」
「アハハッ、いやー面白いねぇ」
「〈な、何が面白いのだ!〉」
「逆や逆!ウチが龍驤で」
「あたしが長波サマだよ!」
「〈そうだったのか、失礼したな〉」
「ホント失礼やで」
個人差というものか。今後間違えぬようにしっかりと記憶する。
「〈まぁあれだ。部屋は空いている所を勝手に探して使ってくれれば良い。以上だ〉」
それを聞いた2人は退室する。私は彼女らを見届けた後、私は執務室に隣接する司令官用の自室と思われる部屋で眠りについた。