帰ってきたヒトラーは鎮守府に着任しました。   作:たむがや

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22:2歩進んで3歩退る

 十時頃、執務をボーッとしながらこなしていると、青葉から来客があると呼ばれ、彼女と共に応接間へ移動する。

 応接間の扉を開けるとそこにはひとりの男がいた。SSを彷彿させる真っ黒の軍服を身にまとい、左肩に旭日旗のワッペンをつけている。

「〈諸君らが来客か?・・・あ、青葉。訳してくれ。〉」

「青葉ちゃんに呼ばれてってえっ!?あんた、その格好・・・」

「あれ?言ってませんでしたっけ?この鎮守府の新司令官のアドルフ・ヒトラーさんですよ」

「き、聞いてないよ青葉ちゃ~ん。え?彼は本物なの?」

「えぇ、多分本物でしょう。まぁ、艦娘なんてものがいるくらいですしね」

「確かに復活してもおかしくはないな。ははっ、まるで映画みたいや」

「〈青葉と知り合いのようだが。それとその格好・・・〉」

「あ、青葉さんには前に世話になりましてな。それで、鎮守府にきて革命の手伝いして欲しいて頼まれましてな?ほんで、来るだけ来てみよう思ってお邪魔した次第ですわ」

「〈そうか。まず、我々の目的を話しておこう。我々の目的はこの地より第三帝国を復活させ、我々のユートピアを再興させること。そして、世界への報復だ。それとその格好・・・モデルは武装親衛隊か?〉」

「か、格好。あぁ、そうですな。確かにこれはドイツ軍イメージしとりますねぇ」

「〈そうか。〉」

嬉しくはあった。我々が未来にどんな形であれ影響を与えられたことは我々が歴史という永劫に続く絶対権力者の一部となれたと感じられたから。しかし、悲しくもあった。なにか、こう、我々の思惑とズレている気がして。連合国側が我々を絶対悪と語り継ぎ、本来のNSDAPの姿が掠れてしまうというのは致し方がないかもしれないが、枢軸国側である日帝で本来の姿とズレてしまっているというのは落胆するしかない。ため息をひとつついて、私は問いかける。

「〈君は我々について、国家社会主義ドイツ労働者党についてどれほど知っている?〉」

「これまた答えずらい質問ですなぁ。しかし、あれですよ。我が闘争は読みましたで」

「〈そうか。〉」

第一段階は合格としていいだろう。しかし、我が闘争のみではなく、ニーチェやカントの文献なども少しは触れていて欲しい。まぁ、心の中で祈るとして、

「〈して、革命を手伝いたいとの事だが、諸君らは私に何を出せる?〉」

「人員ですな。小火器は既に持ってなさるでしょ?自衛隊基地やし」

「〈人員か。確かに私の求めるものではあるが、突撃隊のようにならんと誓えるか?〉」

「厳しいかもな。しょーじき、どうなるか分からへん。当たり前やろ。ワシらはナチズムに傾倒してるが根本は皇道派や。いつか相反してしまうやもしれへんやろ?」

「〈ふぅ、話にならんな。青葉、帰って貰え〉」

「へ?は、はい!・・・ということで、こちらから呼んでおきながら、今回はなかったということで」

「まぁ、しゃーないな」

そう言い残し、少しばかり不機嫌そうに男は帰っていく。青葉はその背中を見ながら、青ざめた顔をしていた。

「〈青葉〉」

「ヒャッ!」

「〈そう怯えるな。君に悪気が無いことはわかっている。だが、これだけは憶えておけ。国家社会主義ドイツ労働者党とドイツ国家人民党は違う。ドイツの右翼と日本の右翼が違うのは当然だ。今後気をつけろ〉」

「は、はい・・・」

 とぼとぼと青葉は部屋を後にする。それを見送って、私は龍田を呼び出す。

 2分後、龍田が部屋をノックする。私の認可の応答ともにハイルと軽く右手を挙げて入ってきた。

「なんの用でしょうか?」

「〈今日来た男を調べろ。徹底的にだ。怪しい行動をしたらすぐに知らせろ。〉」

「了解したわ〜」

「〈頼んだぞ〉」

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