帰ってきたヒトラーは鎮守府に着任しました。   作:たむがや

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36:琥珀と瑪瑙の演習(後編)

 私は知略と報復の演習を見守っていた。

 

 演習場の北方の広い海では、ゆっくりとふたつの戦隊が近づいていた。索敵機は飛ばない。互いにわかっているのだろう。決戦の場がそこであると。

 

 龍驤が艦載機にて先制する。おおよその爆撃機は対空砲、機銃の勢力にて牽制した。が、攻撃機の魚雷の影が泡を吹き流しビスマルクと赤城に追突し、破裂する。ビスマルクは中破し、赤城にいたっては大破した。

 

 それを見ていた誰もが、本人たちでさえも思った。殴りあいしかもうないのだと。

 

 互いの主砲はかするほどで、直撃はしない。

 

 ゆっくりと接近するふたつは白兵戦の準備をする。薙刀を構え、主砲を構え、拳を構える。

 

 夕立がとたんに叫びだし、突撃を敢行する。それに構えるように琥珀戦隊は陣形を整え、瑪瑙戦隊は夕立に続くように展開する。

 

 

「ぽいぽいぽーい!」「やるよ」「行きます!」「ふふふっ」「しまった!」「Feuer!」「いった…」

 

 砲撃音と造波の音を調べに、艦娘たちは汗と血を流し躍り狂う。

 それはなんとも言えない美しさを持っていた。那珂のよく言う艦隊のアイドルとはこういう姿なのかもしれないと勝手ながら思う。

 

「どっかぁーん!」「Feuer」「うぐっ」「ふわぁぁ」「あっ!」「これじゃあ戦えないっぽい!?」「きゃあっ、顔はやめて」

 

 龍田が薙刀を突き付けビスマルクの横っ腹を切り裂くかと思いきや、逆に薙刀を押さえつけられ、向けられた主砲から逃れるようにそれを手放す。

一方ではレーベとマックスが背中をあわせて那珂と青葉の攻勢に耐えてみせ、隙を見つけては応戦している。

そしてまた一方では、プリンツの砲撃をひょいひょいと避ける雪風と夕立の姿がある。

 白兵戦はめくるめく変化の中で1時間をこえ、クライマックスを迎えていた。

 

「まだやれるわね・・・これからよ!」「それ!」「あはははっ♪」「くっ!」「あら~、もう声も出ませんか?」「もーっ」「まーだいけるから!」

 

 時計を確認し、秒読みを心の中ではじめる。そして、演習終了の合図をだす。

 

「演習終了!演習終了!

 瑪瑙戦隊、損害、大破、巡洋艦2駆逐艦1、中破、駆逐艦1巡洋艦1。

 琥珀戦隊、損害、大破、戦艦1駆逐艦1、中破、空母1駆逐艦1、小破、巡洋艦1。

 よって、琥珀戦隊の勝利とする!」

 

 

 あの急速な旋回による丁字有利に、白熱した白兵戦は見事であった。これが艦娘の戦闘かとひしひし感じた。

 総合して、どれも素晴らしい演習である。艦娘たちの能力も十二分にわかり、大変満足である。

 

 そして、私は3つの演習をレポートにまとめる仕事を思いだし、執務室へ籠るのであった。

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