帰ってきたヒトラーは鎮守府に着任しました。   作:たむがや

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38:呉鎮守府方針会議

 横浜の某所に位置する深海棲艦対策本部、第一会議室。ここでは現在、防衛大臣の滝沢と大本営の東條元帥、そして、呉を除く各鎮守府のトップ4名が副司令官を後ろに立たせて円卓を囲んでいた。

 

 いち早く口を開いたのは、ここに重鎮を集結させた張本人である横須賀鎮守府の坂井海将だ。

 

「皆様もお気づきではあると思いますので、単刀直入に話させていただきます。今回お集まり頂いたのは他でもない、呉鎮守府の悪党に対する処罰についてです」

 

 そこへ滝沢防衛大臣が食い気味で議論の開始を制止する。

 

「まてまてまてまて、この問題に司法を介入させるつもりかね?ただでさえややこしい問題をよりややこしくしてどうする。下手したら内閣総辞職だって有り得た事件だったのだぞ?」

「ですから、尚のこと真摯に向き合うべきではないのですか?」

 

 その純真な目に滝沢はため息をつく。

「今や世界は深海棲艦を共通の敵と認識して、実質的な戦時体制下にある。なのにだ。なのに未だ我が国では戦時体制に移行するどころか、深海棲艦との宥和政策を主張する輩までいるのだぞ?この状況下であんなテロを起こされてみろ。我々の信用は失せ、挙句、わけもわからぬ生命体に海洋資源を渡すこととなるのだぞ」

 

 その言葉に顔を真っ赤にさせた坂井は、机を殴り立ち上がり、そして叫んだ。

「信用が失せるだと!?この事態は既に国民の信用を裏切っているじゃないか!」

 

 それを見た東條は落ち着いた口調で興奮を制そうとする。

「あのな坂井。もう既に深海棲艦による被害として君が会見を済ませたじゃないか。ここで意見を覆せば信用どころじゃないだろ。違うか?」

「だからそれを撤回してだな・・・」

「撤回か・・・。あの会見は君が、君の顔が行ったんだぞ。仮に責任云々が存在するなら、君から首がトブと思いたまえよ」

 

 東條はめんどくさそうに続ける。

 

「と、いうかだ!誰だよコイツに教えたの。村田か?なぁ、村田だろ?どうせ村田だよな!」

「はへぇ、今回は違うんですが」

「あ、違うの。じゃあだれ?」

 

 タバコの煙とともに手があがる。

「はーい、私でーす」

 

「で、北丸に教えたのは?」

 

「僕です」

 

「はい今回も村田でした!」

 

 東條はそう言うと、椅子にもたれかかり天井を見上げた。なおもだるそうに続ける。

 

「でだ。機密事項を教えた厳罰は初恋の話ということで、次に呉の運用方針だ」

 

「初行為の話じゃなくていいんすか?」

「黙れ村田」

「北丸中将閣下は手厳しいなぁ」

「殺す」

 

「でだ!呉は佐世保に任せようと思う」

「は?」

「賛成のものは?」

 

 村田以外がみな、手を挙げた。村田は恐る恐る手をあげた坂井に睨みを利かせる。

 

「あー、もうわかった!やるよ!やりゃいいんでしょ!クソッタレが!」

 

 これで、呉鎮守府の基本運営方針は村田に任されることとなった。

 

 ここでお開きかと滝沢が立ち上がったとき、ノックが響いた。

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