戦闘の後、私は信じられないほどドイツ艦娘に失望された。確かに、友人を危険な目にあわせたことは失望されて当然かもしれない。
まぁ、それでもなおついてくると再び誓った彼女達はドイツでオーケストラと化した将校共に是非とも見せたいものだ。
その翌日、私は挨拶、もとい演説をすることに決めた。私の夢の為になんとしてでもこの施設を我がものにしておきたい。
集会場に全ての艦娘を10:00までに集めるようにレーベレヒト以外のドイツ艦娘へ命令をだし、私は演説の内容を考えた。レーベレヒト監修のもと、しっかり日本語バージョンでつくった。
時間は10:07である。レーベレヒトが講演台の裏で私の格好を見て、軽く整えてから「頑張ってください!」と小声で、しかし力強い声援を送ってくれた。私は7分間綺麗に整列し続け、苛立ちが隠せないほどになっていた全艦娘の前の講演台に立った。艦娘達が少しザワつく。それが静まるのをじっと待ち続けた。静かになった時、ひとつ深呼吸して私は眠る子に物語を読み聞かせるかのように演説を始めた。
「私はアドルフ・ヒトラーだ。大ドイツ帝国の総統をしていた。少し前まではベルリンの爆豪内にいたのだがな、何故かわからぬがここに来ていたわけだ。ここはいいな、ソ連兵が攻めてこないし、裏切り者もいない。
まぁ、そんな私の話はそれくらいにして、私は諸君らに問いたいことがある」
私は再び深呼吸してから、手の指先まで痙攣するほどに力を込めて再開した。
「―――諸君らは何のために戦うのか。諸君ら艦娘という存在が何のために戦うのか。私がここに来て、レーベレヒトに今の現状を聞いた時に疑問に思った。
諸君らに問う。深海棲艦とやらを倒して何になる。なぜ敵国であったアメリカのいいなりとなった自称独立国家日本を救ってなんになる。なぜ諸君らはその事について疑問に思わないのか。
軍艦は自国を守るのみの存在なのか?軍艦は進歩をやめた自国を守るための存在なのか?
私はヒトラー、帝国の総統である!
私の野望は大ドイツ帝国の発展であってドイツ連邦共和国の守護ではない。
諸君らの野望はなんだ。日本国の守護なのか!それとも、大日本帝国の発展なのか!」
ギャラリーは皆、押し黙っている。
私は両手を前にだし問い続ける。
「軍艦は本来世界を我がものにする兵器であったのではないのか?軍艦は侵略のために造られたものではないのか?
君達の死んだ提督は戦争に参加したことも無い、威勢だけのクソガキだ。そんな奴に本当の戦争を知っている我々が従うことは無い。
君達と一緒に死んでいった者達の意思に従うべきではないのか!
本当の平和とは非暴力の先にある訳では無い。本当の平和とは侵略戦争の先にあるのだ。
軍艦は、軍人は、国民は!祖国の為に命を賭けるべきである!諸君らの祖国とはなんだ。諸君らの戦う本来の目的とはなんだ!」
私が一息おくと、ちらほらと「大日本帝国のために」「天皇陛下のために」「誇りのために」という声が聞こえてきた。もちろんまだわからない言葉だらけであったが。
私は右手で握り拳をつくり、天へかかげた。
「私は私の理想の為に!私は私の夢の為に!私は私の野望の為に!
私は闘争を続ける!私は死ぬまで戦い続ける!
祖国の平和の為に!民族の希望の為に!自身の目標の為に!
そして、世界への報復の為に!」
感極まったドイツ艦娘が「Heil!Heil!」と、連呼している。それにつられて他の艦娘も「ハイル!ハイル!」と叫び、党大会を連想させる、素敵な大合唱が完成した。
「ここに私は宣言する!ここを拠点に夢の第四帝国を再建することを!
ここに私は宣言する!私の闘争を再開することを!
諸君らはどうする!私に付き従うか?それとも巨大な野心に恐れをなし逃げてしまうのか?
私は諸君らに問う。
諸君らがやりたいことはなんだ?
―――私は司令室で待っている。私に付き従う艦娘は来い。それ以外は早急に鎮守府から出て行け。さもなくば、レジスタンスとみなし銃殺する。以上だ」
私は講演台をおり、会場を後にした。そこからは数名の拍手と困惑の声が鳴り響いていた。
レジスタンス:抵抗者