帰ってきたヒトラーは鎮守府に着任しました。   作:たむがや

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45:第一段階“クロップ計画”

「青葉、夕張、明石、ビスマルク。第一段階、クロップを開始だ!!」

 

 私のその一言で、全てが始まる。人類を裏切る凶悪な計画。それが始まるのだ。

 

「青葉、ポスター制作。夕張、明石、映画製作。ビスマルク、小型艇20隻の手配。開始せよ」

 

「青葉におまかせ!」

「「はーい」」

「ヤー!」

 

「という訳で、総統、さっそく写真撮りましょ!」

「うむ」

 

 まず、私の撮影会が始まる。ビスマルクは小型艇の手配に出ていった。夕張と明石は私の身体待ちだ。

 

 私は高く両方の拳を高く上げ、戦意を煽る。はたまた、手のひらを前へと差し出し、悲願を表す。右斜め上を仰ぎ、熱意を伝える。そして、右手を天へ突き出し、左手を下腹部にそえる。我々の敬礼である。

 パシャパシャとなんども連続してなるシャッター音は、さながらオペラ歌手へ送られる賛美の拍手のようで、胸が思わず踊ってしまった。

 

 次に、ポスターの文言を考える。

 

“集え、ヒトラーのもとに”

 分かりやすくてよいな。

 

“なぜ人類のために血を流さねばならぬのか”

 うーん、フランスかな?しかもこれ反戦スローガンじゃないか?却下だな。

 

“ともに勝利を掴もう”

 わかりやすく、ともに戦わんとする意志が垣間見える。

 

“万国の艦船よ、団結せよ!”

 不採用としたいが、皮肉にも、やはりいい標語と思ってしまう。採用かな。

 

“打倒人類!”

 強く、簡潔で熱い。採用だろう。

 

 ポスターは着々と完成へと近づいていった。

 

 次に、映画である。沈める際には防水加工と耐圧加工を入念に施されたタブレットで延々流すそうだ。

 

 撮影される映像に私はナレーションをいれる。

 まず、我々の日常風景が撮影される。いかに我々が幸福の中にいるかを示すのだ。

 

“深海棲艦諸君はこれ程の贅沢が出来ているのだろうか。

 昔は贅沢は敵だと言うものもいたが、今では贅沢は味方であり、我々を文化的、経済的、生物学的に進化させることは間違いないだろう。

 我々は、艦娘と深海棲艦が同じように生活することを望んでいるのだ。”

 

 そして、我々のいる社会を写す。いかに我々が悲惨な世界にいて、打倒しなければならない敵と見なしているかを示すのだ。

 

 “社会の腐敗は凄まじい速度で進んでいる。

 人々は金を信仰し、感謝を忘れ、過去を悪しき風習と蹴り飛ばしたのだ。

 我々はそんな社会を、そんな世界を、今一度作りかえたいと考えている。

 それは、深海棲艦と艦娘という二つの新人類が世界を支配するという形で実行すべきである。”

 

 最後に、私の演説を収録する。

 

「諸君、私は憂いている。

 この腐敗した世界を憂いている。

 この世界は我々の力無くしては変わらない。

 ならば、我々の力で変えるしか無いのだ。

 私は、我々は、必要としている。

 変化をもたらしうる強大な力を。

 支配者に足りうる尊大な力を。

 それは諸君ら、深海棲艦である。

 諸君らは、人類にとって厄災の津波となるだろう。紛うことなき恐怖である!恐怖の力である!

 我々は諸君らの力が必要なのだ!

 ともに立ち上がり、世界を支配しよう!

 我々ならば出来るはずだ!

 世界を滅ぼし、再生させられるはずだ!

 私ならできる!

 世界を滅ぼし、再生させることが!

 諸君らはそれを成し得る力をもっている!

 立ち上がれ!そして嵐を起こすのだ!

 誰のもとでもない、私のもとで!

 私の、総統の、ヒトラーの、アドルフ・ヒトラーのもとで、嵐を起こすのだ!

 ともに立ち上がれ!深海棲艦よ!」

 

 艦娘がその演説に続く。

「「「ハイル・ヒトラー!!!」」」

 

 これにて映画は完成する。

 

 

 翌日。波が穏やかで、絶好の航海日和である。

 そんな中、海洋の上を四方八方、タブレットやポスターを載せた小型艇15隻が走った。

 そして、特定の箇所で沈んでいった。

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