南太平洋某所では、深海棲艦が日本籍と思われる小型艇計15隻の轟沈を確認していた。
そのうち3隻を沈めた深海棲艦たちは、ゆらゆら沈む残骸を注意深く観察していた。
そこでは、現場責任者である戦艦レ級が頭を抱えていた。
「コレハ、陸カラノメッセージニ違イナイガ、内容ハ講和ノ類デハナサソウダ。上ニ相談スベキカ否カ…
ドウ思ウ?」
それに重巡リ級が答える。
「上ヲ呼ブベキカト」
そうして、上層部にあたる南方棲鬼が現場にやってくる。
「ドウシタノダ?」
「人類トハ考エニクイメッセージガ沈ンデキタノデス」
「ドレドレ?」
南方棲鬼も頭を抱えながら思わず笑みをこぼす。
“集え、ヒトラーのもとに”
「死人ノモトニ集エトハ笑ワセル」
“ともに勝利を掴もう”
「トモニ勝利ヲダト?敵同士デハナイカ?何カラ勝利スルトイウノカ」
“万国の艦船よ、団結せよ!”
「マサカ、我々ト陸ノ艦ガ協力スルトイウコトカ?」
“打倒人類!”
「ハハハハハ、オモシロイデハナイカ!」
南方棲鬼は、続いて映像を確認する。
「陸ノ暮ラシ、陸ノ世界、ソシテ共闘ヲ叫ブ、アドルフ・ヒトラーノ姿。オモシロイ。大変オモシロイ」
南方棲鬼は配下の深海棲艦共に叫ぶ。
「至急、コノ情報ヲ他ノ上層部ニ伝達シロ!」
駆逐艦達が一斉に散り散りになる。
そして3日後、深海棲艦の主力達が一堂に会し、会議を始めた。南方棲鬼の言葉から会議は始まる。
「集マッテモラッタノハ他デモナイ。ヒトラートイウ男ノコトダ」
駆逐古鬼が気だるそうに応える。
「今マデト同ジヨウニ無視デイイノデハナイカ?」
「イイヤ、コノ男ハ今マデト違ウ。共闘ヲ謳ッテイルノダゾ?」
「ダカラドウシタトイウノダ?無視デヨイ」
軽巡棲鬼がそれに強めに噛み付く。
「頭ガ硬イナ、貴方ハ」
「ナッ」
港湾棲姫があざとく首を傾げる。
「ワザワザ私達ヲ集メタ意味ハ何カシラ?」
「私ハコノ男ト会ッテミヨウト思ウンダ」
ハハハ…と皆がオオグチボヤのような口をして笑う。
駆逐棲姫が問いかける。
「ソレデドウスルトイウノ?」
「見定メル。ソシテ、駒トスルカ、殺スカ決メルノサ」
また、笑い声と動揺の混沌が深い海にこだまする。
「オモシロイ!」
「イイジャナイカ!」
「人間共モコレデコリルダロウヨ!」
「賛成ダ!賛成ダ!」
「罠ダッタラドウスルンダ!」
「リスクガ見合ッテナイ!」
「キケンスギル!」
「反対ダ!反対ダ!」
そこへ戦艦水鬼が口を挟んだ。
「私ヲソコヘ連レテ行ッテクレルナラ賛成スルワ」
主力中の主力のその発言に一瞬静まり返った。が、再び一気にその場がザワつく。
「圧倒的ナ主力デオ出迎エシテヤレバイイノヨ!」
「シズメテヤレ!」
「水底ヘ案内シテヤレ!」
「シズメ!シズメ!」
反対していた面子も賛成に一気に転じる。
「ヨォシ!舐メタ口ヲ塞イデヤロウ!」
南方棲鬼が喝を入れる。
それに、深海棲艦達は咆哮をあげるのだ。
深海棲艦との講和に向けたコンタクトはアメリカをはじめとして、多くの国が前々から極秘裏に行っていた。それにうんざりしていたことも相まって、今、共闘に向けた会談へと動き出したのだ。