帰ってきたヒトラーは鎮守府に着任しました。   作:たむがや

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53:レニャの尋問

「ということで、レニャ。よろしく頼んだ」

 

「ハ?」

 

 私の眼前ではレニャが駄々を捏ねていた。

 

「だから説明しただろ?大本営へ行って尋問されてこい」

 

「イヤイヤイヤイヤイヤ」

 

「何度言えばわかるのだ!だから!」

 

「言ッテル意味ハワカッテルヨ!ソレデナオワカンネェヨ!」

 

 分かっているのならいいのだ、と少し頷く。

 

「龍田、連れてってやれ」

 

「わかったわ」

 

 レニャは後ろからヌッと現れた龍田にがっつり羽交い締めされ、ズルズルと引きづられて行った。

 閉じられた扉の向こうから「ハナセー!」と可哀想に思えてしまう叫びが響いていた。

 私はひとつため息をついて、コーヒーを注いだ。

 

 

─────────────────

 

 

 レニャは目隠しをされ、拘束具に包まれ、装甲車に乗せられた。両脇には大本営所属の大和と武蔵が腕を組み、装甲車に揺られた。

 

 次にレニャの目が開放された時、そこは灰色のコンクリートの壁に囲まれた小さな部屋だった。中央には大きめの机と、向かい合うように椅子が置かれている。机の上には空のグラスが置かれている。大和と武蔵はレニャの後ろで相変わらず仏頂面で佇んでいる。

 

「ここに座ってください」

 

「オ、オウ」

 

「それでは」

 

 そう言ってここまで連れてきた男は退散する。かわりに、カイゼル髭をはやした、東條が入室した。

 

「どうも、大本営元帥、東條です」

 

「ド、ドウモ」

 

「飲み物は何がいいかな。ワインからオレンジジュースまであるぞ」

 

「ワインデ」

 

「赤?白?」

 

「白ダ」

 

「大和、白ワインを頼む」

 

「かしこまりました」

 

 大和は白ワインを持ってきて、グラスの半分くらい注ぐ。

 

「大和トヤラニコレヲ飲マセテヤレ」

 

「用心深いですな。いいですよ」

 

 大和はワインを一口飲んだ。

 

「深海棲艦に毒が効くかわからない今、そんなことしませんよ」

 

 東條は、はは、と笑った。

 

「では、まず1つ目。深海棲艦とヒトラーの同盟。どう捉えている」

 

「不服デアル。ダガ、上ガ決メタコトダ。従ウサ」

 

「不服、か。人との共存は望まないのか?」

 

「望ムワケナイダロ」

 

「それは何故?」

 

「ソウ、産マレタカラダ。人間ハ好キダロ?運命トカ」

 

「そうか」

 

 東條は意気消沈した。和平の糸口を見つけれずにいたからだ。

 

「あぁ、名前を聞いていなかった。名前は?」

 

「ウーン、レニャダ」

 

「レニャダ?」

 

「レニャ、ダ」

 

「あぁ、レニャね。レニャ。可愛らしい名前じゃないか」

 

「ヒトラーガソウ名付ケタ」

 

「ヒトラーが、そうか」

 

 東條は少し驚いた様子をみせた。

 

 これから尋問は続くが、目的の無い戦争と目標の無い同盟の無意味な言語の羅列が続くばかりで、なんの進展もなかった。

 そして、レニャは解放され、呉鎮守府へと再び輸送されていった。

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