会見を終えた5人は半壊した呉鎮守府へ向かった。夕方頃彼らがそこへ到着すると、神通が出迎えた。無事な部屋のひとつである応接間へ彼らは案内される。
私は応接間で彼らと話した。はじめましての顔もあり、屈強なデューイという男には少しばかり緊張したが、窮屈そうにソファーに座る彼らを見ると、いくらかそれが和らいだ。
デューイが真剣な面持ちから一変し、ぱぁっと明るく笑った。
「ヒトラー少佐、ありがとう!君のおかげで日本は、いいや、世界は救われたよ!」
「いえいえ、私は何もしていませんよ」
「ハハハ、謙遜を」
東條は紙袋を取り出し、私に渡した。
「これからもよろしく頼むよ、ヒトラー“中佐”」
「あ、あぁ。ありがとうございます」
私は嬉しかった。なにも、出世主義なわけではない。しかし、階級がひとつあがるというのは、なんとも言えぬ喜びであることは確かであった。
北村という男がうずうずしていた。
「あの、ヒトラー中佐。あの深海棲艦群を如何にして撃退できたのでしょうか」
「対話ですよ」
東條がため息をついた。
「そんなことはニュースで見たので知っとるよ。我々が知りたいのはその内容だよ」
「内容は、我々が敵ではなく、和解できる味方であることをアピールしたまでだ」
「今回の件は君が呼び込んだことだという自覚はあるかね?」
「まぁ、多少は。日本風に言うのであれば、虎穴に入りすぎた、と言ったところか」
私は軽く笑って見せた。北村はそれに怒りの感情を示した。
「ヒトラー中佐、君のせいで多くの仲間が犠牲になったのだ!それをヘラヘラと!」
「これは戦争なのですよ。戦争で仲間や部下を失うことは日常でしょう。それに、虎子は得た」
皆が押し黙る。確かにそうなのだ。深海棲艦と対話が可能であるというとても重要な虎子を得たのだ。
「やはり、戦争には戦争の指導者が必要、ということか」
デューイが笑う。それに桂は俯き、呟く。
「私は戦争の指導者ではない。やはり、代替わりの時か」
私はその意見に否定的であった。
「ひとつ、私の考えを。私は戦争の指導者など存在しないと考えております」
「というと?」
「指導者のもとに戦争が訪れるに過ぎません。それは、指導者が打倒すべき困難のひとつに過ぎないのです」
桂は笑う。
「確かにそうかもしれませんな。足らんのは戦争の指導者では無く、私の覚悟か!」
滝沢も笑う。
「時の独裁者に言われると、言葉の重みが違いますな」
桂は滝沢に向き直り、声を上げた。
「悪の独裁者に負けてはおれん。我々は帰るとしよう。やらねばならぬことが山程あるぞ。次は人類の力で奴らに勝つのだ!」
私は思わず苦笑した。これは、敵が強くなったということだ。だが、それも良いと今はそう感じてしまった。やはり、人類は強いのだ。