帰ってきたヒトラーは鎮守府に着任しました。   作:たむがや

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61:ヒトラー中佐

 会見を終えた5人は半壊した呉鎮守府へ向かった。夕方頃彼らがそこへ到着すると、神通が出迎えた。無事な部屋のひとつである応接間へ彼らは案内される。

 

 私は応接間で彼らと話した。はじめましての顔もあり、屈強なデューイという男には少しばかり緊張したが、窮屈そうにソファーに座る彼らを見ると、いくらかそれが和らいだ。

 デューイが真剣な面持ちから一変し、ぱぁっと明るく笑った。

 

「ヒトラー少佐、ありがとう!君のおかげで日本は、いいや、世界は救われたよ!」

 

「いえいえ、私は何もしていませんよ」

 

「ハハハ、謙遜を」

 

 東條は紙袋を取り出し、私に渡した。

 

「これからもよろしく頼むよ、ヒトラー“中佐”」

 

「あ、あぁ。ありがとうございます」

 

 私は嬉しかった。なにも、出世主義なわけではない。しかし、階級がひとつあがるというのは、なんとも言えぬ喜びであることは確かであった。

 北村という男がうずうずしていた。

 

「あの、ヒトラー中佐。あの深海棲艦群を如何にして撃退できたのでしょうか」

 

「対話ですよ」

 

 東條がため息をついた。

 

「そんなことはニュースで見たので知っとるよ。我々が知りたいのはその内容だよ」

 

「内容は、我々が敵ではなく、和解できる味方であることをアピールしたまでだ」

 

「今回の件は君が呼び込んだことだという自覚はあるかね?」

 

「まぁ、多少は。日本風に言うのであれば、虎穴に入りすぎた、と言ったところか」

 

 私は軽く笑って見せた。北村はそれに怒りの感情を示した。

 

「ヒトラー中佐、君のせいで多くの仲間が犠牲になったのだ!それをヘラヘラと!」

 

「これは戦争なのですよ。戦争で仲間や部下を失うことは日常でしょう。それに、虎子は得た」

 

 皆が押し黙る。確かにそうなのだ。深海棲艦と対話が可能であるというとても重要な虎子を得たのだ。

 

「やはり、戦争には戦争の指導者が必要、ということか」

 

 デューイが笑う。それに桂は俯き、呟く。

 

「私は戦争の指導者ではない。やはり、代替わりの時か」

 

 私はその意見に否定的であった。

 

「ひとつ、私の考えを。私は戦争の指導者など存在しないと考えております」

 

「というと?」

 

「指導者のもとに戦争が訪れるに過ぎません。それは、指導者が打倒すべき困難のひとつに過ぎないのです」

 

 桂は笑う。

 

「確かにそうかもしれませんな。足らんのは戦争の指導者では無く、私の覚悟か!」

 

 滝沢も笑う。

 

「時の独裁者に言われると、言葉の重みが違いますな」

 

 桂は滝沢に向き直り、声を上げた。

 

「悪の独裁者に負けてはおれん。我々は帰るとしよう。やらねばならぬことが山程あるぞ。次は人類の力で奴らに勝つのだ!」

 

 私は思わず苦笑した。これは、敵が強くなったということだ。だが、それも良いと今はそう感じてしまった。やはり、人類は強いのだ。

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