帰ってきたヒトラーは鎮守府に着任しました。   作:たむがや

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68:信徒の訪問

 現在、呉鎮守府の正門では夕立が門番をしていた。そこへ、ひとりの男が訪ねてきた。

 

「どうもこんにちは」

 

「こんにちはっぽい。どなたっぽい?」

 

「私は中西圭司。ヒトラー総統と面会したく訪ねました」

 

「所属は?」

 

「あいにく、私は大本営や、ましては日本政府の者ではございません。私はただの信徒でございます」

 

「信徒?」

 

「えぇ。私はヒトラー総統の信奉者です。ただの信徒にすぎません」

 

「でも、ヒトラーなんてうちにはいないっぽい」

 

「いますよね?白い軍服に身を包んだヒトラー総統が」

 

「と、とりあえず上司に相談するっぽい!」

 

 夕立は受話器をとり、ヒトラー本人に確認を取る。ヒトラーはひとつ唸ると、信徒、という言葉に惹かれ、承諾をした。

 

「入っていいっぽい。でも、案内がくるまで待つっぽい」

 

「承知しました」

 

 数分後、ビスマルクが正門へやってくる。

 

「ビスマルクだ。司令官のもとへ案内してやるからついてこい」

 

「ありがとうございます」

 

 特に道中は会話もなく、スムーズに応接間に到着した。ビスマルクはノックをして入室する。

 

「ハィ…。司令官、客人をお連れしました」

 

「ありがとう」

 

 ヒトラーは頭の軍帽を机に置き、客人に椅子に座るよう手を指した。ビスマルクは客人が入室したのを確認し、扉を閉める。そして、扉の前で腕を組み、客人の行動を目で追った。

 

「失礼します」

 

「どうぞ。して、なんの用ですかな?」

 

「ここにヒトラー総統が復活したと推測されたので、確認をと思いまして」

 

「どうしてそんな推測を?」

 

「私は、我々はヒトラーイズムの研究者にすぎません。そして、偉大なるヒトラー総統の信奉者であり、下僕にすぎません。そんな我々ですが、ついぞ最近、twitterに不思議なアカウントを発見しまして、うちの諜報部が調査したところ、なんでもかのヒトラー総統が復活なされたのではないかという結論を出しました。そこで、その事実確認を行うべく、参じたというわけです」

 

「ふむ」

 

「ぜひ、お答えをお聞かせください。あなた様はヒトラー総統であられますか?」

 

 ヒトラーは顎に手を当て、少し俯いた。数秒の沈黙。

 

「いかにも。私こそアドルフ・ヒトラーである」

 

「なんと!やはり本当だったのですね!」

 

 中西は喜び、涙した。

 

「しかし、だ。私がそうだと言って、何をもって信用する?」

 

「我々には会っただけで本物かどうかなどわかりますとも。イエスが復活したとして、それに気付けないキリスト教徒などいるでしょうか」

 

「そうか」

 

 ヒトラーもゆっくりと喜びを感じるようになっていた。

 

「ヒトラー総統もお忙しいでしょう。私はそろそろ退散いたします」

 

「そうか」

 

「また会える日を楽しみにしております」

 

「私もだ」

 

 そういってヒトラーは微笑んだ。

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