帰ってきたヒトラーは鎮守府に着任しました。   作:たむがや

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69:銀色突撃隊

 レーベがtwitterを始めて一ヶ月が過ぎたころ、フォロワーは47人になっていた。そろそろかと思い、レーベは呉鎮守府近くの貸し会議室に志願者を集めたのだった。

 

 そこには11人が集まっていた。

 

「本日は集まってもらってありがとうございます!僕の名前はレーベレヒト・マース。銀色突撃隊の総統です!では、みなさんの自己紹介お願いします」

 

 そう言ってから順に自己紹介が進んでいき、最後の男になった。男は筆ひげを蓄えた中肉中背の中年であった。

 

「〈ドイツ語は通じますかな?〉」

 

「〈えぇ〉」

 

「〈私はオーストリアから参りました、アーブラハム・ウーリヒと申します〉」

 

「〈志願の理由は?〉」

 

「〈理由は簡単で、彼の地にてアドルフ・ヒトラー総統が復活されたと聞き及びましたので、参上したしだいでございます〉」

 

 レーベは怪訝な顔を浮かべる。

 

「〈…そのことはどこで?〉」

 

「〈それを説明するにはまず私のより深い自己紹介が必要でしょう。私はヒトラーイズムの信奉者であり、その思想に付き従う同志が8941人おります。その同志で組織されたHitlers Befehlの総帥をしております。その組織の諜報部が調べ上げたわけです。〉」

 

「〈ヒトラーイズム?〉」

 

「〈えぇ、ヒトラーイズムであります。昨今のナチズム、ひいてはネオナチの思想は時代を経るにつれ、歪曲しています。それは必然ではあるのでしょうが、悪であります。そこで我々はナチズムと分け隔てる存在として、ヒトラーイズムの信奉者であるということとしているのです〉」

 

「〈ヒトラーの思想そのままと言うわけなの?〉」

 

「〈えぇ。それと、先程も言いましたが、私含め同朋は8942人おります。つまり、ここに集った者は10人と8942人、というわけです〉」

 

「〈わかった、ありがとう〉」

 

 レーベは一息置いて、他の10人に向き直った。

 

「この銀色突撃隊の総統は僕ですが、僕にはここの指揮を命じた上官がいるんだ。その人こそ、みなさん知ってると思うけど、アドルフ・ヒトラー総統だよ」

 

 会場がざわつく。

 

「それは本気で言っているんですか?ヒトラーはすでに死んでますよ?」

 

「正真正銘アドルフ・ヒトラー総統だよ」

 

 彼らは疑惑の目をレーベに向けた。それを見て、レーベはニコリと笑った。

 

「呉鎮守府に行きましょう。そうすればすべて理解できるはずだよ」

 

 ぞろぞろと会議室を後にし、徒歩で呉鎮守府に向かう。

 

 呉鎮守府に着くと、一万人近くの群勢が集結していた。

 

「〈総員、傾注!〉」

 

 ウーリヒは苦笑した。

 

「〈すみません、レーベ殿。私の部下たちです。待ちきれずに来てしまったのでしょう〉」

 

「〈大丈夫!総統もお喜びになると思うよ!〉」

 

「〈そう言っていただけて幸いです〉」

 

 そうして、9000に及ぶ群衆が呉鎮守府に収容されていった。

 

 グラウンドにぎゅうぎゅうに並ぶ銀色突撃隊。レーベはヒトラーを呼び出した。数分後、ヒトラーは悠々と歩きながら登場した。

 

「おほん。私こそがアドルフ・ヒトラーである」

 

 おぉと歓声や困惑の声が響いた。それが静まるまでヒトラーはじっと待った。

 

「諸君、本日はお集まりいただき感謝する。

 これだけの人数が集まることは想定外であったが、これほどまで集まったことは、嬉しく思う。

 

 諸君はきっとナチズムの信奉者であると思う。そして、私の目的は日本の掌握と世界に新秩序もたらすことである。きっとそれを多くの者は望んでいるのだろう。

 約束しよう。必ず私は世界を懲罰し、支配すると。その約束が達成されることは、世論が考えるよりもはやく行われることも強調したい。

 

 経済格差、社会階級、学歴主義が日本を、世界を分断している。しかし、どこの国の政府も偏った政策しか打ち出せない。しかし、万人よ。富める者、貧しい者、学のある者、学のない者よ。私は指導者として、大義を果たす存在である。そのことを然と考えておけ。私の指導の先にユートピアは存在し得るのだ。

 

 今にでも革命がはじまる。再び闘争がはじまる。国家主義運動がはじまる。心しておけ。我々は常に闘争の最中で進軍するのだ。

 きっと有事のときには諸君らの力が存分に発揮されることだろう。私は諸君らに期待をしようと思っている。

 

 最後に。私は諸君に、国家に尽くすと約束しよう」

 

 ヒトラーはめいいっぱい空気を肺に取り入れ、右手をあげて叫ぶ。

 

「ジーク・ハイル!」

 

 それに銀色突撃隊が右手をあげて続く。

 

「「「ジーク・ハイル!!!」」」

 

 その大合唱は荒々しくも美しく、青い海にこだました。

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