僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.9 敵連合

マスコミ騒動の翌日、今回のヒーロ基礎学について相澤から説明が始まった。

 

「今回は特別に俺とオールマイトともう1人で授業することになった」

 

「特別……?」

 

「先生!今日の授業は何ですか!?」

 

相澤は懐から『RESCUE』と書かれたプレートを出して、全員に見せる。

 

「今回は災害水害なんでもござれの人命救助訓練だ」

 

救助に不向きな個性があるだろうが憧れのヒーローになるために皆気合を入れる。

全員が戦闘服に着替えてバスに乗り込もうとすると、新しく委員長になった飯田が張り切って仕切る。

 

「バスの席順はスムーズにいくよう番号順に二列で並ぼう!!」

 

「飯田張り切ってんな」

 

頑張る飯田を見てそう思う血界たちだが、いざバスに乗り込むと市営バス形式の席順で、飯田落ち込むだろうなと思いながら空いている席に座ろうとすると耳郎がパーカーは芦戸に溶かされたため新しい物が届くまでシャツ姿の血界の袖を引っ張る。

 

「どうした?」

 

「ちょっと席変わって欲しくてさ」

 

「? 別にいいが……」

 

耳郎と席を代わり、耳郎が座るはずだった席に向かうとその隣には爆豪が座っていた。

 

「あっ」

 

「あ"あ"っ?」

 

互いに気づく2人だがだんだんと睨み合いになっていく。

 

「んだコラ。睨んでんじゃねぇぞツリ目野郎」

 

「睨んでねぇ。テメェこそツリ目だろうが爆発野郎」

 

「あ"あ"!?誰が爆発野郎だ殺すぞコラァ!!?」

 

「テメェの見た目性格全部が爆発野郎って言ってんだよ!!」

 

「君たち!喧嘩はよして早く座りたまえ!」

 

(あ、あのかっちゃんと言い合ってる!?流石雄英!!)

 

ただ目があっただけで喧嘩を始めてしまう2人に飯田が止めに入り、緑谷は自身の幼馴染である爆豪と言い合いしている光景に戦慄していた。

結局2人は隣同士の席に座り、顔を合わせないようにそっぽを向いている。

血界は通路を挟んで隣にいる耳郎を嵌めたなと、少し睨むと耳郎も少し申し訳なさそうに手を合わせた。

 

「派手で強えっつったらやっぱ轟、爆豪、血界だよな。特に血界!技名を叫ぶなんて漫画みたいでカッコいいしな!」

 

突然名前を呼ばれて前を向くと前の席ではそれぞれの個性の話をしており、その中で血界も呼ばれた。

 

「そういやなんで血界は技を叫ぶんだ?叫ばないほうが楽じゃね?」

 

上鳴がそう質問すると血界は少し考えこむ。

 

「うーん?癖?カッコいいから、か?」

 

「あれって癖なんだ……」

 

血界の答えに少し呆れた声が聞こえてくる。

 

「爆豪ちゃんはキレてばっかりだから人気でなさそ」

 

「んだとコラ出すわ!!」

 

「ホラ」

 

突然の蛙水に言葉に爆豪はいつものようにキレてしまう。

それを見た血界はさっきので怒りが中々収まらないのか、便乗してしまう。

 

「この短期間でお前の悪印象が強いってことだろうが」

 

「なんだとコラ!!殺すぞ!!」

 

「やってみろや!!」

 

また口喧嘩を始めてしまう2人に相澤が威圧感を込めた声で注意する。

 

「お前らうるさいぞ!バスの外に放り出してもいいんだからな……」

 

「「……はい」」

 

(((((怖い……!!)))))

 

注意をされていないにも関わらず、恐怖に震えてしまった。

 

 

1-Aの生徒たちがたどり着いたドームにはあっちこっちに水難事故、土砂災害、火事などのあらゆる事故や災害を想定し作られた演習場があり、『ウソの災害や事故ルーム』略して『USJ』と呼ばれる訓練施設だ。

 

「ようこそ!USJへ!今回担当しますスペースヒーロー13号です!」

 

「13号、オールマイトは?ここで待ち合わせるはずだが……」

 

「先輩それが通勤時に制限ギリギリまで活動してしまったみたいで休憩室で休んでいます」

 

「不合理の極みだなオイ……仕方ない始めるか」

 

相澤は呆れたようにため息をつき、13号が説明を始める。

彼が説明を始めたのは個性の危険性についてだ。

今では個性の使用は法律により厳しく取り締まられているが、ヒーローが人を助けるには個性が重要になってくる。

しかし、その反面強力な個性は容易に人を殺せてしまう。

 

「今回の救助訓練では皆さんそれぞれの個性をどうやって人を救うために生かすのかを考え、それを行う事を体験して欲しいと思っています。個性は誰かを傷つけるのではなく、誰かを救い上げる為の物であるという事を学んで帰って行って下さいね。長々とした説明でしたが、私からは以上です」

 

13号の説明に皆が感激してる中、血界は自分の拳を見る。

血界の個性は強力極まりない。

少しの油断で簡単に人を殺せてしまう個性だ。

自分の個性は戦う場合にしか活躍するときがないと思っていたが13号の説明を聞いて、自分の新たな可能性を見つけようと気合を入れなおす。

 

「それではまず……」

 

相澤は授業の説明をしようとすると目の端に映るUSJ中央にある噴水の近くに黒い点を見つける。

 

(何だ……?)

 

そう思った瞬間、黒い点は縦にも横にも広がりその中から1人の男が現れ、相澤と目が合う。

その目は何度も見たことがある悪意に満ちた目、ヴィランの目である。

 

「13号!!生徒たちを下げさせろ!!」

 

突然の相澤の叫びに、全員が突如現れたヴィランに気づく。

 

「何だあれ?またもう始まっているパターンだったりする?」

 

「動くな!!あれはーーーヴィランだ!!」

 

相澤が自身の武器を構えて言うと、生徒たちも緊急事態ということに気づく。

 

「やはりあのマスコミ共はクソ共の仕業だったか……!!13号、お前は生徒達を連れて避難させろッ!!上鳴は個性を使って通信を試みろ、俺はあいつらを食い止める」

 

「ッス!」

 

「でも先生!!幾ら個性を消せても「イレイザー・ヘッド」の戦闘スタイルじゃ正面戦闘は危険すぎます!!」

 

緑谷が心配する声を上げるが、相澤はゴーグルを装着しながらヴィランを見据える。

 

「一芸だけではヒーローは務まらんッ!!」

 

相澤は下にいるヴィランたちに飛び出していく、ヴィランたちは真正面から攻めてくる相澤を間抜けだと罵り、正面から個性で迎撃しようとするが相澤の個性『抹消』により個性を使えなくする。

その隙に武器である縛布で相手を翻弄し、撃退していく。

相澤の戦いぶりに驚く生徒達を連れて13号は避難しようとする。

 

「逃がしませんよ」

 

しかし彼らの行く手を阻むかのように黒い霧が広がる。

この黒い霧のヴィランは紳士的な口調だが、その目からは悪意が感じられた。

13号は前に出て、生徒たちを守るように立つ。

 

「はじめまして我々は『敵連合』。この度、雄英高校へとお邪魔致しましたのは目的があるからです。我々の目的、それは平和の象徴と謳われております「オールマイト」に息絶えて頂く為でございます」

 

「オールマイトを殺す?」

 

「冗談だろ!?」

 

「生憎我々は本気でして。しかし、この場にオールマイトにいないのは計算外。何か授業に変更でも……まあ良いでしょう、それならば―――」

 

一瞬の隙を見て13号が自身の個性である『ブラックホール』で捕らえようとした瞬間、爆豪と切島が黒い霧に飛びかかり攻撃を繰り出す。

 

「死ねェッ!!」

 

「俺たちに倒されることを考えてなかったかァッ!!」

 

「いけない!どきなさい2人とも!!」

 

13号が2人に退けるように言うがそれより早く黒い霧が生徒全員を囲む。

 

「危ない、危ない。ヒーローの卵と言えど優秀な雄英生。侮ってはいけない。だが所詮は卵……私の目的は、貴方達を散らしてっ!嬲り殺すっ!!」

 

その瞬間血界の視界は暗闇に捕らわれ、気づくと炎が燃え盛るビル街にいた。

 

「ここは……みんなはっ!?」

 

周りを見るが燃え盛る火しか見えず、誰一人としていない。

 

(落ち着けよ……今できることは全員の安全を確認してここから出ること)

 

血界は焦りそうになる心を落ち着けて、状況を判断し、どうするべきか考える。

とりあえず散り散りになった者を探そうとすると血界の前に複数の人が立ちはだかった。

 

「なんだぁ?1人だけだぞ?」

 

「女はいねェのかよ?」

 

「嬲り殺しにしてやろーぜ。相手は優秀な雄英生なんだからよ!」

 

下衆た笑みを浮かべて、血界ににじり寄って行くヴィランたち。

血界はそれを見て怯えることなく、右拳にナックルガードを装着して構える。

 

「まずはこいつらか……ブレングリード流血闘術、推して参る!!」

 

 

尾白は血界と同じく火事エリアに飛ばされており、隠れながら闇討ちしてヴィランを退けていたがヴィランの数が多く、捌き切れなくなり、逃げていた。

 

「いたぞー!!」

 

「追えェッ!!」

 

「たくっ……しつこいな!」

 

尻尾を器用に使ってビルの間を跳ぶように逃げて行くが、ジャンプした瞬間、下から羽を生やした異形系のヴィランが迫ってきていた。

 

「捕まえたー!!」

 

「しまっ……!」

 

尾白が捕まりそうになった次の瞬間、そのヴィランに紅蓮の十字架がぶつかり吹き飛ばした。

 

「ぎょえエエェェェェ!!?」

 

「今のは血界!!」

 

「無事か?」

 

振り向くと血界が立っており、尾白の安否を確認する。

 

「ああ、怪我はないよ。ありがとう」

 

尾白と血界は共に怪我はないが火事エリアにいるせいか、服が所々煤で黒くなっている。

 

「そういえば他のヴィランは…!」

 

「こっちに来ていたヴィランは全員倒した」

 

「流石……」

 

最低でも10人以上いたはずなのに軽く倒した血界の実力に改めて感服していると、血界は倒したヴィランの1人に近づき、無理やり起こした。

 

「おい。お前らの目的はオールマイトを倒すことらしいな。どうやって倒すんだ?」

 

「だ、誰が言うか…」

 

血界は悪態をつくヴィラン少しイラッとし、紅く輝く拳を脅すように近づける。

 

「またブン殴られたいのか!!アァン!!?」

 

「血界!爆豪みたいになってるって!!」

 

しかしそれが効いたのか脅されたヴィランはビビリながら説明してくれた。

 

「黒い大男が切り札?」

 

「黒いのってあの霧のことじゃないよな?」

 

「転移系の個性って強力なのは確かだけど、オールマイトがあれぐらいでやられるとは思えないしな………」

 

血界はしばらく考えて、尾白に指示を出す。

 

「尾白。お前はUSJから出て先生たちに助けを呼んできてくれ。もしまだ助けを呼べない状態だったら不味い」

 

「わかった。血界はどうするんだ?」

 

「俺は中央の噴水のところまで行く。できれば相澤先生の助けに入りたいけど邪魔になっちゃいそうだしな。できなければそこにいる奴らを迎えに行く」

 

「わかった」

 

2人はそれぞれの行動を起こしに分かれた。

 

 

中央の噴水付近ではイレイザーヘッドがヴィランを次々と行動不能にしている。

そして首謀者と思わしき、手をあっちこっちにつけた男はそれを少し離れたところで脳が露出している黒い大男とともに見ていた。

 

「流石プロヒーロー……有象無象の雑魚じゃ話にならないな」

 

男はそう言って首を少し掻くとイレイザーヘッドに向かっていく。

イレイザーヘッドは次の標的をその男に定め、縛布で攻撃するが男はそれを避け、相澤の殴打も避けていく。

 

「20秒……18秒……どんどん短くなっていくなァ」

 

「くっ……!」

 

(こいつ気づいているのか?)

 

イレイザーヘッドの個性『抹消』は相手の個性を消すという、強力な個性だが相澤自身がドライアイのため、連続使用し続けると個性の使用時間が長くなっていく。

長期戦は不利だと考えたイレイザーヘッドは一気に決着をつけるべく、フェイントを交えて男の胸に強烈な肘打ちを放つが、男はそれを簡単に掴み受ける。

 

「焦ったか?」

 

「ぐうっ……!」

 

男は薄ら笑いを浮かべると、相澤の掴まれた肘が崩れるように皮膚が剥がれていき、強烈な痛みが走る。

イレイザーヘッドは慌てて距離を取るが男はそれを見てポツリと呟いた。

 

「脳無、やれ」

 

次の瞬間イレイザーヘッドの背後に黒い大男が立ち、その腕を振るった。

 

 

緑谷は水難エリアに飛ばされそこにいた敵達に襲われたが、新しい技「フルカウル」を駆使しながら蛙水、峰田と協力して敵達を撃退し、無事に水難エリアから脱出した。

 

「お、おい緑谷やめとこーぜ?相澤先生だってプロだし大丈夫だって!」

 

峰田が涙目になりながら、相澤の様子を見に行こうとする緑谷を止めるが、緑谷は止まらない。

 

「少しだけ……様子を見るだけだから……様子を見たら脱出するから」

 

緑谷はさっきの戦いで敵達を一網打尽にする為に100%の力を使ってしまい、人差し指が折れてしまっていて、その痛みに耐えながら様子を見にいこうとする。

そこには信じられない光景が広がっていた。

相澤が黒い大男の敵『脳無』に組み伏せられていた。

 

「ぐぅう……」

 

「………」

 

「ぐああぁぁっ!!」

 

黒い男、脳無は相澤の片腕を握ると枝を折るように簡単に折れてしまう。

さっきまで敵たちを圧倒していたイレイザーヘッドが簡単に倒されてしまっていることに緑谷たちは戦慄してしまう。

現実ではないと思ってしまいたいが、相澤が嬲られる音がそれをさせてくれくれない。

恐怖で固まっていると首謀者の男の背後に黒い霧の男、『黒霧』が現れた。

 

「黒霧……そっちはどうだった?」

 

「はい、生徒は散り散りになり13号は行動不能にしました。ワープし損ねた生徒たちが助けを呼ぼうとして脱出を試みましたが、間一髪のところで阻止できましたよ」

 

それを聞いた首謀者の男、『死柄木 弔』は無邪気な子供ようで残虐な笑みを浮かべた。

 

「よくやった……あとはオールマイトを殺すだけだが、ここにはいないし帰るか…」

 

その呟きは恐怖で固まっていた緑谷たちにも聞こえていた。

 

「い、今帰るって言ったか!?よかったぁ!」

 

「ケロ……何もせずに帰ってくれるといいのだけれど」

 

「………」

 

峰田は帰ってくれることに喜び、蛙水と緑谷は何が起こるのではないかと警戒する。

次の瞬間死柄木は蛙水に一瞬で近づき、彼女の顔に向かって手を伸ばす。

 

「平和の象徴の心を少しでも傷つけてから帰ろう!」

 

緑谷はこの時、死柄木の個性『崩壊』で崩れていく蛙水を幻視してしまうが、死柄木が触れても蛙水は崩壊することはなかった。

 

「……ったく、カッコいいぜ。イレイザーヘッド」

 

相澤は傷つけられながらも自身の生徒を守るため、血みどろの顔を上げて死柄木を睨み、個性を抹消した。

しかし、すぐさま脳無に顔面を地面に叩きつけられてしまうが緑谷は相澤が作った隙に、死柄木に殴りかかる。

 

「手ぇ放せえぇぇッ!!!SMASH!!!!」

 

緑谷はほぼ100%の力で殴る。

彼が新しく覚えたワン・フォー・オールフルカウルは常時5%の力を全身に使用し続ける技だが、死柄木に殴りかかる瞬間咄嗟に力が入ってしまった。

殴った瞬間、拳から凄まじい衝撃が放たれ、突風のような風が巻き起こる。

 

(5%以上なのに腕が折れていない!?だけどこれならヴィランも……!!)

 

煙が止むとそこには緑谷の拳を手で受け止める脳無の姿があった。

 

(なんで!?さっきまで相澤先生の側に……!!)

 

「SMASHってオールマイトのフォロワーさんかな?まぁいいや……脳無、殺れ」

 

脳無が緑谷に腕を伸ばし、蛙水が助けようと舌を伸ばすが間に合わない。

緑谷が死を覚悟した瞬間、脳無の体に紅蓮の十字架の槍が刺さり、水難エリアの池に吹き飛ばす。

 

「えっ!?」

 

「なんだぁ!?」

 

「死柄木弔!危ない!!」

 

驚く死柄木の背後から黒霧が現れ、ワープさせるとそこに十字架の槍が突き刺さる。

やりが飛んできた方向くとそこには拳を突き出した血界が相澤の側に立っていた。

 

「ブレングリード流血闘術……!」

 

111式 十字型殲滅槍

 

 

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