僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.10 続く絶望

時間は少し遡り、耳郎、八百万、上鳴は山岳エリアに飛ばされて敵たちに囲まれていた。

耳郎は八百万の個性『創造』で創造してもらった棒を構え、八百万も鉄の棒を創造し構え、襲ってくるヴィランたちを倒していく。

対して上鳴は武器が貰えず、なんとか攻撃を避けて凌いでいる。

 

「ウヒィッ!危ねえ!!」

 

「上鳴さん!大丈夫ですか!?」

 

「背中がガラ空きだぜェッ!!」

 

八百万が目を離した瞬間、背後からヴィランが襲いかかる。

しかし耳郎が飛び蹴りをヴィランの顔に浴びせて倒す。

 

「ヤオモモ大丈夫!?」

 

「ありがとうございます!」

 

耳郎はすかさず足につけられているスピーカーにイヤホンジャックを刺して、大音量の心音をヴィランたちに浴びせ、苦しませる。

 

「ラアァァッ!!」

 

ヴィランが横から耳郎に襲いかかるが、耳郎はそれをギリギリで避けて相手の顔に掌底を浴びせる。

 

「耳郎!お前スゲェな!!近接戦そんなに得意だったっけ!?」

 

「血界や氷麗とよく一緒にいるから教えて貰った!」

 

近中距離でヴィランを倒していく耳郎に上鳴は褒める。

 

「じゃあ俺にその武器くれよ!俺今丸腰!!」

 

「それは無理!頑張れ!」

 

「じゃあ助けてくれよ〜!!俺の個性じゃお前たちを巻き込んじまうし!!」

 

「じゃあ人間スタンガンとして頑張れ!」

 

耳郎は上鳴を蹴飛ばし、ヴィランに突撃させる。

 

「おまっ!?まじか!」

 

突き飛ばされた上鳴はヴィランに抱きつき、咄嗟に彼の個性『帯電』を使い、ヴィランを痺れさせる。

 

「あれ?効いてる?2人とも俺を頼れ!」

 

「調子いいなぁ……」

 

さっきまで弱気だったくせに、強気になった上鳴を見て呆れる耳郎の耳に爆発したような音が聞こえてきた。

八百万や上鳴だけでなくヴィランたちも突然の爆音に驚きそっちを見ると水難エリアで高い水飛沫が上がっていた。

 

「何があったの……?」

 

それを見た耳郎に不安がよぎった。

 

 

血界は緑谷たちから死柄木が離れたことを確認して、傷ついた相澤を横抱きにして持ち上げると緑谷たちに向かって叫ぶ。

 

「早く水から上がれ!!逃げるぞ!!」

 

その言葉に気づいた緑谷たちは慌てて水から出て、血界たちと合流する。

 

「血界君!ありがとう!助かったよ!!」

 

「ありがとう血界ちゃん」

 

「助かったぜぇ!血界!!」

 

皆が血界にお礼を言うが血界はずっと死柄木たちを見据えている。

 

「今は逃げることが先だ。さっさと行くぞ!」

 

「何でそんなに焦ってんだよ?確かにまだヴィランはいるけどよ」

 

峰田が呑気なことを言っているのは血界が脳無と死柄木を退けたからか余裕ができたからだ。

しかしさっきの光景を見ていた血界には嫌な未来しか見えなかった。

 

「緑谷、お前あの脳みそが出てる奴をフルパワーで殴ったんだよな?」

 

「うん……僕の腕怪我しないほどの威力だったけど、ほぼ100%の感覚だった」

 

「てことはさっきので倒されていないはずだ。今はとにかくここから離れるぞ!!」

 

血界の言葉に素直に従って、走り始める。

それ見ていた死柄木はイラ立つのか首を激しく掻き毟る。

 

「なんなんだよあのガキはァ……!!あとちょっとのとこで邪魔しやがって……!!」

 

「死柄木どうしますか?」

 

「そんなの決まってる……!脳無ゥッ!!!!」

 

死柄木が脳無の名を叫ぶと水場から水しぶきが上がり、脳無が死柄木の側に飛び降りてくる。

 

「やっぱり倒されてなかったか!」

 

「脳無!あの赤髪のガキを殺せ!!」

 

脳無は生気のない目を血界に向けると勢いよく駆け出す。

 

「うわあぁっ!!来たぁっ!!」

 

「緑谷!!相澤先生を頼む!!」

 

「血界君!?」

 

峰田の恐怖の叫びを上げると血界は緑谷に相澤を渡し、自分から脳無に向かっていく。

 

「ブレングリード流血闘術!推して参る!!」

 

拳で地面を殴りつけ、技を叫ぶ。

 

「ブレングリード流血闘術……!」

 

39式 血楔防壁陣

 

地面から血の十字架が複数現れ脳無を拘束する。

 

「やったわ!」

 

「やっちまえェェッ!!血界!!」

 

「ブレングリード流血闘術……!」

 

 

111式 十字型殲滅槍

 

 

槍を出し脳無に向かって振るうが、脳無は拘束していた十字架を破壊し、その槍を掴んで動きを止める。

 

「オオオォォォォッ!!!」

 

血界は負けじと槍を押し出すが、脳無の力は圧倒的でビクともしない。

脳無が勢いよく槍を押し返すと血界は簡単に吹き飛んでしまう。

 

「血界君!」

 

「血界ちゃん!」

 

緑谷と蛙水が心配し、血界の名前を叫ぶと吹き飛ばされた血界は吹き飛ばされながらも受け身を取って立ち上がる。

しかし槍を押し出していた右腕はぷらんと垂れており、どうやら肩が外れてしまったようだ。

 

(押し返されただけでこれかよ……!)

 

ただ押し返されただけで肩を外すほどの力に血界は戦慄する。

咄嗟に受け流したかと思ったが肩が外れしまったのだ。

 

「ふんっ!」

 

血界は外れた右肩に左手を添えて一気に肩を戻す。

 

「な、なあ今血界自分で肩戻したよな?どんな体してんだよ」

 

峰田が少し外れたことを言っているが緑谷はそれどころじゃなかった。

自身のフルパワーに近い力を出したのに無傷、血界の攻撃にも無傷、さらにはたった押しただけで肩を外すほどの力を持っているのだ。

緑谷は冷や汗が止まらない。

 

「蛙水さん!峰田くん!相澤先生お願い!」

 

「緑谷ちゃん!?どこに行くの!?」

 

「血界くんを助けに行く!」

 

「危ねぇって!」

 

3人が言い合っているのを死柄木が見つけ、指をさす。

 

「脳無、先にあの煩い奴らを殺せ」

 

「っ!!」

 

その指示に気づいた血界はゆっくりと緑谷たちを見据える脳無に向かって、再び構える。

このままでは友達が死んでしまう。

この化け物の実力は信じられないものだ。

緑谷たちのところに行ってしまえば4人は一瞬で死んでしまう。

 

そんなことはさせない!

 

二度と自分の前で大切な人たちを死なせない!!

 

血界はそれだけを考え、脳無ではなく別の恐怖に震える拳に力を込める。

 

(やりたくなかったけどやるしかない……!守るんだろうが!!覚悟を決めろ!)

 

血界の中で渦巻くのは相手を殺す恐怖と罪悪感。

本気でやらなければ自分も緑谷たちも殺されてしまう。

ヴィランに襲われる前の13号の言葉が頭の中で何度も反復されるが、血界は覚悟を決め、ナックルガードから今までにない程の輝きが放たれる。

それに気づいた脳無は血界の方を向く。

 

「殺す気で使う本気のブレングリード流血闘術……!見せてやる!!ブレングリード流血闘術………!!!」

 

 

111式 十字型殲滅槍

 

 

凄まじい赫色のスパークを放ち、さっきよりも大きく確実に刺し倒すように作られた十字架の槍。

血界の拳とともに放たれる槍は脳無なら胴体を貫き、まるでジェット機が飛び立つ時のような音を出し、吹き飛ばされ建物に打ち付けられるように止まった。

 

「ハアッ……!!ハアッ……!!」

 

血界は技を使い終わるとその場に膝から崩れ落ちるように座り込み、荒くなる息を整えようとし、震える拳を抑えるように包む。

 

「やったぜ!血界のやつ今度こそ倒したんじゃねぇか!!」

 

「ケロ……」

 

(血界君、殺す気って言ってた……相当ショックだったんだろうな)

 

脳無を倒したことに再び安心した3人だが、緑谷は人を殺してしまったかもしれないという恐怖を感じている血界の身を案じ、蛙水はその責任で辛そうにしている血界を心配した。

 

「はっ…ハア……」

 

とりあえず息と気持ちを落ち着け、立ち上がる血界だが立ち上がった瞬間、軽い立ちくらみが起こった。

 

(ヤバい……血が足りない……)

 

血界の個性は自身の血を利用して戦う。

使い続ければ血がなくなり貧血、最悪失血死してしまう可能性だってあるのだ。

さらには本気のブレングリード流血闘術は人を倒す時の血の消費量とは比べものにならない。

とりあえず立ちくらみは収まり、残った死柄木と黒霧をいつでも反応できるように見据える。

 

「あの少年やりますね。まさか一撃であそこまでの威力があるとは……名のあるヴィランとてあれは危険です」

 

「まぁな……でもそれは普通の奴らだったらの場合だァ」

 

死柄木はまた嫌な笑みを浮かべ、口をゆっくりと動かす。

 

「脳無……」

 

壁に張り付けにされていた脳無は顔を上げ、槍を引き抜く。

槍には脳無の血液らしきものが滴り、脳無の胸にはぽっかりと空いた穴が吐き気を催す。

 

「まだ動くのかよ……」

 

「そんな……」

 

普通なら動けるはずのない怪我を負っても顔色を一切変えることなく動く脳無を見て峰田、蛙水は恐怖を感じる。

 

「今度こそ殺せ」

 

死柄木の命令を聞いた脳無は血界に向かって走り出し、一瞬で血界の目の前に現れる。

 

(間に合わ………!)

 

構えていた血界がそう思った瞬間、脳無の剛腕が血界に突き刺さり吹き飛ばした。

 

「お、おい血界のやつどこに行っちまったんだよ……?」

 

「そんな……血界ちゃん………」

 

「………」

 

峰田は血界が消えたことを聞くが、蛙水は血界が死んでしまったと考えてしまい涙をポロポロと流す。

緑谷は目の前で起こっていることが現実なのかと疑問に思ったが血界が立っていたところに血が落ちていることが現実に引き戻された。

 

「ハハハッ!!やったぞ脳無!!生徒を1人殺せた!!あとはあそこにいる奴ら。脳無……」

 

血界を殺せたと喜ぶ死柄木が緑谷たちを見据え、脳無に指示を出す。

 

「ッ!蛙水さん!峰田くん!早く逃げよう!!」

 

それに聞いた緑谷は落ち込む2人に喝を入れ、逃げようとする。

するとその時、違う方向から脳無に向かって爆炎が放たれた。

 

「これってかっちゃん!?」

 

緑谷が爆発が放たれた方を向くと、自身の戦闘服の武器である手榴弾の形をした籠手を構えた爆豪とその後ろからやってくる切島がいた。煙が晴れると少し傷がついた脳無が爆豪たちに気がつくと、今度は氷が地面を走りながら脳無の下半身を氷漬けにする。

 

「平和の象徴はやらせねえぞ」

 

「轟くん!」

 

血界を抜いたクラス屈指の実力者たちが集まった。

絶望していた緑谷に希望の光が差し込む。

しかし、それを見ていた死柄木は苛立つ。

 

「なんだよ……また湧いてきやがった……脳無」

 

死柄木が脳無に向かって指示を出そうと呼びかけるが反応しない。

 

「おい!脳無!どうした?」

 

「死柄木の声に反応するはずですが……」

 

脳無は死柄木の声に反応せず殴った時に拳についた血界の血をジッと見つめ、舐めとった。

体内に入った瞬間脳無の体は激しく揺れ始め、捕らえていた轟の氷も破壊してしまう。

 

「なんだ!?」

 

「まだ何かあるのかよ!?」

 

脳無の突然のことに驚く緑谷たちは信じられないものを目にする。

脳無の体はさらに大きくなり、筋骨隆々だった筋肉はより肥大化し、皮膚が裂けるほどだ。

爪と牙は人を殺すためにより鋭利になり、無機質だった目は血走り獣のような目つきになる。

露出した脳には血のようなものが纏わりつきグロテスクさをより強める。

 

「GUOOOOOOooooo!!!!!」

 

絶望はまだ終わらない。

 

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