僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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Burning sports festival
File.16 雄英体育祭


体育祭当日、1-Aの皆は控え室でそれぞれ気持ちを落ち着けたり、準備運動をしたりして大会に備えている中、1人だけとても焦っている者がいた。

 

(結局何も準備できてねぇー!!)

 

用意されたテーブルで頭を抱えるように座っていた血界は心の中で絶叫した。

血界は大会前日に退院したが、たった1日で準備できるわけなかった。

皆は将来のヒーローからのスカウトを大きな目標として、この大会で活躍できるように準備をしてきた。

しかし血界は何も準備ができず、さらにまた退院したばかりで体は本調子ではない。

この状態で優勝を目指すのは難しいのは血界にはわかっており、更に頭を悩ませた。

その時、轟が緑谷に宣戦布告していたのが耳に入った。

 

「お前には勝つぞ」

 

轟はオールマイトに目をかけられている緑谷に勝つと宣言し、緑谷もオールマイトに託された思いに応えるべく、真剣な眼差しで轟に応える。

 

「僕も本気で獲りに行く!」

 

それを見ていた血界は改めて心を引き締める。

 

(準備なんてどうでもいい。今俺ができることで優勝を目指す!)

 

「ラインヘルツ、お前もだ」

 

「俺か?」

 

「この前の実戦訓練の借りは返す。今度は俺が勝つ。だから全力でこいよ」

 

轟は血界にも宣戦布告するが、血界はニヒルに笑って轟の宣告を受け止める。

 

「今回も勝つのは俺だ」

 

血界と轟、それを見ていた全員にも緊張した空気が張り詰める。

そしていよいよ

全員が踏み出す、戦いの舞台へ。

 

 

大手プロダクションである346プロダクションの新設されたアイドル部門にあるチーフプロデューサーの部屋は他の部署の部屋と同じく、広くそして洗練された家具が置かれており、高級だと一目でわかる。

そこでは大型のテレビの前で血界の保護者である緑川 血糸が間も無く始まる雄英体育祭を見ていた。

 

「やっぱり体育祭を見ていたんですね」

 

部屋に入ってきたのは346プロダクションに所属し、346を代表するトップアイドルである高垣 楓だ。

 

「楓か…仕事はどうした?」

 

「今日は血糸さんと同じで1日オフです。チーくんが出るんですもの、応援しなくちゃ」

 

普段の仕事中は血糸のことを『チーフさん』と呼ぶが、オフの日は名前呼びになる。

笑顔を浮かべる楓は血糸の隣に座る。

 

「優勝できると思いますか?チーくん、昨日退院できたんですよね。まだ本調子じゃないと思うんですが」

 

それを聞いた血糸は画面を見ながら、静かに口を開く。

 

「アイツにはあまり関係ないと思うけどな」

 

プレゼントマイクのアナウンスと共に現れた1-Aの面々の中にやる気に満ちた血界を見て、血糸は普段変わらない表情が少し笑ったように見えた。

 

 

それと同じ時、同じビル内に新設されたプロジェクト『シンデレラプロジェクト』に用意された部屋では新たなアイドルとして採用された14人の少女たちが血糸と同じく、テレビで体育祭の様子を見ていた。

 

「始まったよー!!」

 

「わーい!」

 

シンデレラプロジェクトの一同が最年少組である赤城 みりあと城ヶ崎 莉嘉の声に反応してテレビに食い入るように見る。

 

「しぶりんの彼氏さんが出るから応援しないとね!」

 

「もう…やめてよね。響香に誤解を解くのにすごく大変だったんだから」

 

「血界くん。大きな怪我をしたのに大丈夫なんですか?」

 

「『心配ですね』……どの人、なんですか?」

 

「この赤毛の人かしら」

 

凛、未央、卯月の横からロシア語を話す銀髪ハーフの少女とどことなく色気のようなものが溢れる少女、アナスタシアと新田 美波も会話に加わる。

 

「これが血界・V・ラインヘルツで、こっちが耳郎 響香。それとB組にいるのが氷麗・A・スターフェイズ」

 

「B組にもいるの!?」

 

「す、少し怖いね……」

 

「んぐ、目つきが鋭いもんね」

 

「英雄の卵たちが己が魂を削り合い、更なる高みを目指す!その姿はまさに理想に輝く姿である!(ヒーロー科のみなさんがお互いにライバルなんですね!カッコいいです!)」

 

頭に四つ葉のクローバーがいくつか乗っていて、オドオドとした様子で保護欲が駆り立てられる緒方 智絵里が血界を見て少し怖がり、その隣に座っている少しふくよかな三村かな子がお菓子をポケットから取り出し食べながら答える。

そして少し暗い銀髪で言っていることがちょっとよくわからない女の子、神崎 蘭子がそれぞれ感想を言いながらテレビを見ている。

 

「なかなかロックじゃん」

 

「みんなカッコいいにぃ〜!」

 

「莉嘉ちゃんのパパもヒーローなんだよね?」

 

「そうだよー♪あの時のオネーさんいるかなぁ?」

 

同じくテレビに食いついているヘッドホンを首にかけた多田 李衣奈と背が高い諸星 きらり、黒髪のツーサイドアップで元気で可愛いらしい赤城 みりあと耳郎たちと出会った莉嘉・ボルトストーン。

 

「凛ちゃんたちはライブのバックダンサーの仕事があるのに……練習しなくていいのかにゃ?」

 

「まぁ、根詰めてやるより少し休憩しながらやった方がいいんじゃない?にしてもよくやるよねー」

 

語尾に『にゃ』とつけた猫耳と猫の尻尾が生えている少女、前川 みく、そして『働いたら負け』という独特なセリフが書かれたシャツを着てソファで寝ている小柄な少女、双葉 杏はそう零した。

みくは杏が言ったことが気になり、聞き返した。

 

「どういうことにゃ?」

 

「だって今出てるA組の人たちってヴィランに襲われたんでしょ?普通怖いじゃん」

 

杏は寝そべった状態でそう返した。

確かに常人からしてみればヴィランに襲われることなんて恐怖以外の何物でもない。

杏はヴィランに襲われ、恐怖を感じて以前のようにヒーローを目指すことなどできないかもしれない。

だが、A組の皆はそれを糧にしてさらに進もうとしているのだ。

 

「だからこそだと思う。恐怖を感じたから更に向こうへ進まなきゃって思ったんだと思う」

 

「しぶりんがこの前言ってた''Plus Ultra''だっけ?」

 

「うん、雄英の校訓なんだって。血界たちは絶対にそんなの乗り越えていくよ」

 

普段はクールな凛だが、この時は何か熱いものを感じた。

 

「凛ちゃんは血界くんたちのこと、とても信頼してるんですね!」

 

「……うん」

 

卯月の言葉に凛は少し恥ずかしそうに返事をした。

 

 

会場に出たA組の面々は一斉に浴びせられる歓声におっかなびっくりしつつも、列に並んでいく。

 

「うおぉぅ……めちゃくちゃスゲーな……」

 

「ニュースになってたから、そりゃ注目されるわな」

 

「どうしよう!私赤くなってないかな!?」

 

「うん…大丈夫だよ」

 

切島と上鳴が驚きを通り過ぎて現実味が無いような会話をし、葉隠がボケなのかよくわからないが尾白が優しくツッコむ。

 

『選手宣誓よ!!』

 

1年の部の主審は18禁ヒーロー『ミッドナイト』が行なっており、彼女の大胆なコスチュームに皆が顔を赤くしていた。

 

「18禁ヒーローがいてもいいのか?」

 

「いい!」

 

「相変わらずスゲーコスチュームだな……目のやり場に困る」

 

「だけど良いよなぁ!血界!」

 

「ま、まぁそうだな」

 

カラスの頭をしている常闇の呟きに峰田が親指を立て、血界に同意を求め、血界もそれに同意した。

 

「やっぱお前は俺と同じくらいにエロスがあるぜ。一目見た時からそうだと思ってた」

 

「それはだいぶと不本意なんだが……死にたくなる」

 

「なんだとォ!?お前もミッドナイト先生のコスチュームには興奮してんだろうが!!」

 

「よく大声でそんなこと言えるな……まぁでも……」

 

血界は叫ぶ峰田に呆れながらも壇上に立つミッドナイトに目を向け、体のラインが丸わかりなコスチュームを見て、少し頬が緩む。

 

「わからなくもないなぁ……」

 

「集中しろ」

 

「いでぇっ!?」

 

『そこ!静かにしなさい!!』

 

だらしない顔になった血界に側で話を聞いていた耳郎は不機嫌になり、血界にイヤホンジャックを刺して八つ当たりしてしまい、ミッドナイトに注意されてしまった。

なおそれも全国放送されているため、それを見ていた凛は恥ずかしそうにし、楓は可笑しそうに笑って、血糸は少し眉間に皺がより、帰ったら仕置きだと決めた。

 

『んんっ、では取り直して……選手宣誓!1-A組爆豪 勝己君!!』

 

ミッドナイトの合図で爆豪が大胆不敵に集団の中を歩いていく。

 

「爆豪が選手宣誓かよ!?」

 

「大丈夫なのか?」

 

他のクラスは爆豪のことを知らないが彼の性格を知っている1-Aの面々はこの後どうなるかなんとなくわかっていた。

 

『センセー…………俺が一位になる』

 

不敵、あまりにも不敵な宣誓に選手全員から大ブーイングが上がる。

 

「なんだとこの野郎!!」

 

「調子に乗ってんじゃねェぞ!!」

 

「せいぜい俺の踏み台になりやがれ」

 

ブーイングを言ってくるほかの人にも爆豪は不敵な態度で相手にせす、壇上から降りてくる。

 

「やっぱりやると思った!!」

 

「なんてことしやがるんだ!?俺ら目の敵にされちまったぞ!?」

 

「うるせー!!上に上がりゃ良いだけだ」

 

耳郎も爆豪の態度にため息を吐きたくなった。

 

「やっちゃったよ。爆豪の奴……」

 

「珍しいな。あいつがあんな風に言うなんて」

 

「そう?いつも通りの爆豪じゃん」

 

「いつものあいつなら嘲笑って挑発してたのに今は笑わずに戦いを見据えている。アイツとは短い付き合いだし、睨み合ってばっかりだけど今のアイツが本気だってことはよくわかる」

 

黙って前を見据えて歩く爆豪に勝ち上がるという気持ちしかないのがよくわかった。

 

「面白くなってきやがった……!」

 

血界も笑みを浮かべ、やる気をさらに燃え上がらせた。

 

 

ミッドナイトが壇上で鞭を振って全員の視線を集め、声高らかに説明を始める。

 

『さーて、さっそく第一種目に行きましょう!いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!さて運命の第一種目!今年は……障害物競走!!』

 

背後にある大型ビジョンに大きく『障害物競走』と映し出される。

 

『計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周、約4km!我が校は自由さが売り文句!コースさえ守れば何をしたって構わないわ!さあさあ、位置につきまくりなさい!』

 

選手の背後にある壁が開きゲートが現れ、全員が位置に着く。

血界も出来るだけ前に行こうとした時、隣にいた耳郎が話しかけた。

 

「血界」

 

「なんだ?」

 

「轟が血界に挑戦してたようにウチもアンタに挑戦する。今はアンタが断然強いけど病院で言った時みたいに、ウチは強くなる。だから今回はそう言うことだから」

 

耳郎は決心した目でそう言い血界から離れて行った。

初めは呆けていた血界だが、だんだんと笑みを浮かべる。

 

「なんだよ。みんなやる気満々じゃねえか……!」

 

轟、耳郎と自分の周りで挑んで来るものがいると血界自身も闘争心が燃えてしまう。

皆がゲートの位置につき、真剣な目でただゴール見据える。

そして皆がそれぞれの思いを胸に込めて挑む体育祭第一種目が今始まった。

 

『スタート!!!』

 

 

 

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