僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.21 インターバル

騎馬戦が終わり、昼休みとなった。

皆がそれぞれ疲れた体を休めようと食事を取りに行こうとするなか血界も使用した血を補おうとさっそく食堂に向かおうとしていたが、アリーナのとある通路の入り口に差し掛かったとき、轟の話しが聞こえてきた。

 

「お前、オールマイトの隠し子か何かか?」

 

(おおっと……なんか修羅場な雰囲気だな)

 

普通なら気まずい雰囲気に去っていくものだが、『オールマイトの隠し子』という気になる言葉を聞いてしまい、気になって足を止めて聞いてしまう。

案外野次馬精神を持つ血界だった。

 

「え、ええっと……!」

 

「まあ、そんなことはどうでもいい。お前がオールマイトに気にかけてもらってるだろ、つまりオールマイトと何か関係があるってことだ。……俺の親父を知っているだろ。お前がNo.1ヒーローの何かを持っているなら、俺は尚更勝たなきゃいけねぇ」

 

どこか恨みが込められている言葉に緑谷は息を飲む。

同じく聞いていた血界のところに爆豪がやってきた。

 

「あっ」

 

「なんだツリ目…むぐっー!」

 

「しっー!」

 

血界は爆豪の口を押さえ、静かにするようにジェスチャーで伝え、緑谷たちを指差す。

轟の口から語られたのは彼の壮絶な過去だった。

オールマイトを超えられなかった父、エンデヴァーが個性婚を行い、母の個性を無理矢理手に入れ、両親の個性を受け継いで生まれてきた自分をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで己の欲求を満たそうとしていた。

辛い訓練で泣く轟と、エンデヴァーからのキツイ当たりで母は心を病み、涙を流していた。

そして、心を病んだ母に『お前の左側が醜い』と、煮え湯を浴びせられたしまった。

 

「クソ親父の個性を使わず、一番になる事で奴を全否定する」

 

 轟は静かに憎しみを滾らせる。その両目には父への憎悪しか宿っていなかった。

 

「それだけだ……悪いな時間を取らせて」

 

それだけを言って去っていく轟に緑谷は待ったを掛けた。

 

「僕はずうっと助けられてきた。…僕は誰かに救たすけられてここにいる」

 

轟が振り返って緑谷を見る。彼は自身の両手を見つめ、自分の想いを声に出していた。

 

「オールマイトのようになりたい。その為には1番になるくらい強くなきゃいけない。君に比べたら些細な動機かもしれないけど、僕だって負けらんない。僕を救けてくれた人たちに応える為にも…!だから、さっき受けた宣戦布告。改めて…僕も君に勝つ!」

 

緑谷は拳を握り締めて言い放つ。

轟は一瞥して去っていくが、その目に彼が写っていたかはわからない。

それを聞いていた血界たちも轟の過去に驚いていた。

 

「なんか凄いの聞いちまったなぁ」

 

「……関係あるか。デクも轟も、お前も倒して1位になるのは俺だ」

 

静かにそれだけ言って去っていく爆豪に血界は疑問に思ったことを聞いた。

 

「なあ爆豪、お前がヒーローになりたい理由って何だ?」

 

「ああ?……テメーには関係ねえだろうが」

 

今度こそ去っていく爆豪の後ろ姿を見た血界は快晴な空を見上げて、一息つく。

 

「スゲーな。みんな」

 

憧れを持つ者、憎しみを持つ者。

皆それぞれ何かを思いながらも目標に向かって進んでいる。

血界にはそのことが少し羨ましく思えた。

自分には明確な目標がないわけではないが、憧れとは全く違い、どちらかというと轟に近いものだ。

耳郎たちには自分は憧れのヒーローを目指していると言っていたが、確かにそれもあるが本質はそれじゃない。

 

「あっ、いた。血界!昼ご飯食べに行こうよ」

 

そこに耳郎が八百万と蛙水を連れて現れた。

 

「……ああ」

 

耳郎が自分に挑戦した時、素直にこいつには勝ちたいと思った。

今はそれでいいと心に押し込め、耳郎たちの方に進んでいく。

いつかは自分も人に胸を張って、なぜヒーローを目指したのかを言えるようになりたいと思いながら。

 

 

346プロのチーフの部屋では雄英体育祭の午前の部を見終わり、楓が一息ついた。

 

「ふぅ……チーくん。なんとか勝ち残れましたね」

 

「無茶なことばかりして醜態を晒していたがな」

 

「フフッ、そう言いながら心配していましたよね?さっきからずっと握り拳を作ってましたよ」

 

血糸は自分が拳を握っていたことに今更気づき、手を離す。

 

「へーあれがチーフくんの甥っ子さんなのね。噂で聞いたのよりよっぽど厳ついわね〜」

 

そう呟いたのは同じく346プロのアイドル、川島瑞樹。

テレビアナウンサーからアイドルになった女性だ。

 

「血がいっぱい……綺麗だったなー……」

 

幽霊のように呟か色白の少女も同じくアイドルである白坂小梅。

ここにいるアイドルたちの他にもいるが、血糸がチーフになる前にスカウトし、一人前のアイドルに育て上げた人たちである。

今は役職に就いた血糸が個人のアイドルの世話を見ることができないので、後輩のプロデューサーに任せてはいるが、よくこうやってチーフの部屋に入り浸っていることがある。

 

「プロデューサー。ちょっと仕事のことで聞きたいことがあるんだけど」

 

「チーフだ。お前のプロデューサーは犬飼だろうが」

 

「あっ、そうだった。ごめんごめん☆」

 

部屋に入ってきたのはカリスマギャルとして最近人気が急上昇している、城ヶ崎美嘉だ。

彼女も血糸がプロデュースしたアイドルだ。

 

「犬飼に聞けばいいだろう」

 

「ワンちゃんは今、KBYDに同行しているからここにいないの。それでチーフが今日はもう仕事が終わったって聞いたからここにきたんだ♪」

 

ワンちゃんは犬飼のアダ名である。

ちなみに女性で小柄で中学生くらいにしか見えないが、れっきとした成人の女性である。

しかし、その小柄な体と彼女の個性である『ドッグパーツ』、体に犬の部分が現れている異形型の個性で小型犬のペットのように可愛がられてしまっている。

ちなみに前川みくとは猫派、犬派で争っている。

 

「で、何してたの?」

 

「雄英の体育祭を見てたのよ」

 

楓がそう教えてくれて、テレビに目を向ける美嘉だがどこかつまらなそうだった。

 

「ふーん……」

 

「興味、ないの……?」

 

「別に……そういうわけじゃないけど」

 

美嘉はどこか不機嫌そうにしているのは訳があるが、今はそれを語らない。

不機嫌になった美嘉を川島や白坂が宥めているのを他所に楓は血糸に話しかける。

 

「ここから本番ですよね。チーくん勝てると思いますか?」

 

「さあな。今年はいい奴が揃ってはいるから血界でも厳しいだろう。だが、アイツもただでは負けないさ」

 

 

血界は耳郎たち、さらに緑谷と麗日、飯田を加えて食堂にやってきていた。

血界の目の前にはテーブルを埋めつかさんばかりの料理が並んでいる。

 

「相変わらずよく食べるな……」

 

「騎馬戦の時に血を使い過ぎた!んぐっ、なくなった分は取り戻さないと」

 

料理をかき込んでいく姿を見て耳郎は少し呆れた様子だった。

 

「ケロ、それにしてもここにいる私以外が勝つなんて凄いわ。みんな頑張ってね」

 

「ありがとう。でも、血界くんがいなかったら僕たちは負けてたよ」

 

「しかし血界くんのあの勝利への執念というべきものなのか……あれは凄まじいものだった」

 

「上鳴さんの電撃にも怯えませんでしたものね」

 

「あー、あん時は必死だったからな」

 

そんな会話をしていると峰田と上鳴が八百万の元にやって来た。

 

「なぁ、八百万。ちょっといいか?」

 

「何か御用ですか?」

 

八百万は峰田たちと何かを話し始めた。

昼食を食べ終え、昼休みが終わるといよいよ午後の部が始まる。

 

『最終種目発表の前に予選落ちの皆は朗報だ!!あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!』

 

続々と会場に戻ってくる生徒たちだが、その目は怪訝なものを見る目だった。

その目は1-Aの女子生徒たちに向いていた。

 

『ん?アリャ?どーしたA組!!?』

 

『なーにやってんだ……?』

 

1-Aの女子全員が目が死んだ状態でチア服を着て、ポンポンを持って並んでいた。

 

「峰田さん!!上鳴さん!!騙しましたわね!?」

 

峰田と上鳴はアメリカから来日したチアガールたちを見かけ、そのエロ頭脳から八百万たちに着せたいと思い、上鳴と一芝居うち、相澤から応援合戦をしないといけないと伝えたのだ。

相澤から言伝だと言えば、素直で真面目な八百万は信じてしまい、服も作って全員に配ったのだ。

 

「何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうの私……」

 

「おい峰田!上鳴!これはどういうこと!?」

 

「うるせー!ちっぱい!!見たいもん見て何が悪い!!」

 

「そーだ!そーだ!」

 

「ヴィランみたいなこと言ってるわ」

 

「うん」

 

耳郎も恥ずかしそうにして峰田と上鳴に怒鳴る。

サバサバした性格の彼女だが結構な乙女な所があり、氷麗から借りた少女漫画に顔を赤くするほどだ。

そんな彼女からしてみればこの格好は大分と恥ずかしいだろう。

 

「血界も見たいよな!!?」

 

峰田は耳郎たちのチア姿を見ていた血界に同意を求めると、耳郎は血界の視線に気づき、より恥ずかしそうにする。

 

「なっ、血界!?み、見るな!!」

 

「まぁ、そう言われたら見ないけど……」

 

恥ずかしくなりポンポンで体を隠す耳郎だが、それがまた可愛さに拍車をかける。

しかし、上鳴が肩を組んで来て、イヤらしい笑みを浮かべる。

 

「でもイイだろ?」

 

「イイ!」

 

「……ッバカーー!!」

 

上鳴の言葉にサムズアップして答え、再び耳郎に目を向けてしまい、普段大声を上げない耳郎が恥ずかしさが頂点に達し、大声を上げてしまった。

 

「イイよ、イイよ響香。もうちょい視線を頂戴」

 

「氷麗も撮るな!」

 

氷麗がどこからか携帯を取り出し、チア姿の耳郎を連写していた。

そして後日、その写真を血界に売りつけている氷麗の姿があったとかなかったとか……。

 

『少し変なことがあったが、皆楽しく競えよレクリエーション!それが終われば最終種目、進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!!1対1のガチバトルだ!!!』

 

 

凛はレッスンが終わり、テレビが置いてあるプロジェクトルームに急いでいた。

早く体育祭を見たかったのだ。

 

「私先に行くね」

 

「凛ちゃ〜ん。少し待ってくださ〜い……」

 

「いやー、あんな早歩きするしぶりん始めて見るね」

 

プロジェクトルームに着くと何人かは仕事に行っているが大体のメンバーがいた。

 

「体育祭!どうなったの!?」

 

凛が慌てた様子で聞くと、みりあが答えた。

 

「えっ〜〜とね?血界くんが電気に飛び込んで、氷麗ちゃんがぴょんぴょん飛び跳ねてて、響香ちゃんはチアガールになってたよ」

 

「何があったの!?」

 

 

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