僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.22 一回戦

レクリエーションが全て終わり、いよいよ最終種目のトーナメント形式のガチバトルが始まる。

事前にミッドナイトからの説明を聞き、くじ引きで組み合わせを決めた。

その結果、

第一試合 緑谷 対 心操

第ニ試合 轟 対 瀬呂

第三試合 氷麗 対 上鳴

第四試合 血界 対 切島

第五試合 芦戸 対 常闇

第六試合 飯田 対 発目

第七試合 耳郎 対 八百万

第ハ試合 麗日 対 爆豪

となった。

 

(切島の次は氷麗か……激戦になるな)

 

もし勝ち進んで当たる氷麗との戦いを予測し、武者震いを起こした。

奇妙な幼なじみ相手とのガチバトルにやる気が立ち込める。

 

(血界と決着をつけるわ)

 

氷麗は初戦の相手ではなく、次の血界との戦いに気合いを入れる。

 

(ヤオモモと……勝たせてもらうよ)

 

耳郎も普段から仲がいい八百万だが自分の目標のため、勝つ意気込みが高まる。

それぞれが思いを込め、いよいよ戦いに挑む。

 

『ヘイガイズ!!アァユゥレディ!?色々やってきましたが!!結局これだぜ、ガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな!!心・技・体に知恵知識!!総動員して駆け上がれ!!』

 

雄英教師の1人、セメントスが自身の個性『セメント』でアリーナの中心に正方形のリングを作る。

それと同時にプレゼントマイクの言葉と共に観客のボルテージも上がっていく。

一回戦は緑谷 対 心操との戦いだ。

 

「緑谷と普通科の心操か……普通に考えたらフルカウルを使える緑谷が有利だけど、心操の個性知らないからなぁ」

 

「心操の個性は結構凄いよ」

 

1-Aに用意された観客席で緑谷の試合を見守る血界がそう呟くと隣の耳郎がそう付け足した。

 

「騎馬戦で耳郎は心操と同じチームだったんだよな。どんな個性なんだ?」

 

「それは言えないけど、見てたらわかるよ。まぁ緑谷に悪いけどこの勝負は心操が勝っちゃうかもね」

 

耳郎はどこか得意気に言った。

 

『レディィィィイイイスタート!!!』

 

始まったと同時に緑谷は心操に向かって何かを怒鳴ると動きが止まってしまった。

 

「緑谷!?どうした!?」

 

「勝った」

 

突然完全停止した緑谷は心操に何か言われ、心操に背を向けて場外に向かっていこうとする。

 

「おいおい。どうしたんだよ?」

 

心操の個性『洗脳』は彼の問いかけに答えた者を洗脳してしまう個性だ。

従順に従ってしまう緑谷だが、寸前の所で突然緑谷の個性が暴発したように発動し、指を折って洗脳を解き、フルカウルで心操を場外に押し出し、勝利した。

 

「あー負けちゃったかぁ」

 

(今の個性の発動おかしくないか?)

 

耳郎が残念そうに呟くだが、血界は緑谷の様子がおかしいことが気になった。

 

「轟の次が俺だから、そろそろ控え室行くわ」

 

轟の次の試合に出る上鳴が立ち上がり、控え室に行こうとするが血界が止めた。

 

「待て上鳴、お前の対戦相手氷麗だろ?」

 

「おう!大丈夫だって!優しく倒すさ」

 

調子よくそう言ってのける上鳴だが、血界は真剣な顔で話す。

 

「いや、アイツと戦うなら注告しとこうって思ってよ」

 

「注告?」

 

「アイツと戦うなら速攻で倒せ。でなきゃ負けるぞ」

 

「お、おう」

 

上鳴は真剣な表情の血界に戸惑いながら控え室に向かって行った。

 

「血界ちゃん、上鳴ちゃんにアドバイスしても良かったの?氷麗ちゃんに不利になってしまうんじゃないかしら?」

 

上鳴の個性『帯電』は強力な個性だ。

一度発動ししてしまえば狭い競技場じゃひとたまりもない。

蛙水はそう思い、血界に言うが血界はそう思っていない。

 

「アドバイスしてあげてやっと互角だよ」

 

「どういうことだよ?」

 

切島も気になり、質問した。

 

「氷麗は強いんだよ。もしかしたら俺よりも」

 

血界のその言葉に爆豪も一瞬だが目を向けた。

その後、轟と瀬呂との試合だったが轟の巨大な氷塊に瀬呂は半身を凍らせられ、圧倒的な敗北だった。

あまりの圧倒さに『ドンマイ』コールがしばらく鳴り響いた。

 

「ヤバイな轟……圧倒的じゃん」

 

「そうだな……瀬呂、ドンマイ」

 

血界は轟の圧倒さより、どこか悲しそうな轟の表情が気になった。

 

「じゃあ俺控え室に行くわ」

 

「うん。が、頑張って!」

 

「おう!」

 

耳郎が少し恥ずかしがりながらも応援して血界はそれを受け止め控え室に向かった。

 

「血界!ダチだからって遠慮なくやらせてもらうぜ!!」

 

「当たり前だ。俺も本気でやらせてもらう」

 

別れるところで対戦相手である切島にそう言われ、拳を突き合わせた。

割り当てられた控え室に向かっていると指の治療を終えた緑谷と鉢合わせた。

 

「よお緑谷。試合勝ててよかったな、おめでとう」

 

「ありがとう血界くん。今から控え室に向かうところ?」

 

「ああ、上鳴と氷麗の試合の次だからな」

 

「上鳴くんとスターフェイズさんの試合か……スターフェイズさんの個性は轟くんと同じ、氷系の個性だと思うけど上鳴くんの個性は強力だからな……上手く氷を使って上鳴くんの個性を防げるかどうかで勝負が決まるのかな?いや、それとも……」

 

「ブツブツ言ってないで見たほうがいいぞ。もう始まる」

 

「そ、そうだね。試合頑張って!」

 

そう言って緑谷が血界から離れようとしたが、血界が何かを思い出したように緑谷を呼び止めた。

 

「あ、緑谷。さっき氷麗の個性がどうとか言ってたけどあんまり見れないかもしれないぞ?」

 

「どういうこと?」

 

「見たらわかる」

 

血界は少し笑って控え室に向かった。

 

 

『お待たせしました!!続きましては〜こいつらだ!!』

 

「間に合った!」

 

「お疲れデクくん!」

 

「隣空けてあるぞ」

 

「ありがとう!」

 

氷麗と上鳴の試合に何とか間に合った緑谷は飯田が空けておいた席に座った。

 

「轟くんの試合は見たかい?」

 

「うん……救護室のモニターで見たけどすごかった」

 

しかし緑谷は轟の圧倒的な強さに戦慄しながらも、氷を溶かす轟の姿が血界同様に悲しそうに見えた。

 

『B組からの刺客!!可愛い見た目の裏腹にその実力は本物!氷麗・A・スターフェイズ!対、スパーキングキリングボーイ!上鳴 電気!!』

 

「刺客って何よ?私が格下みたいじゃない」

 

氷麗は放送室にいるマイクをジロリと睨むと、マイクの背中に冷たいものが走った。

 

『ごっごめん!!あれ!?なんか覚えがあるぞ!?この緊張感!!?』

 

『アホだろ』

 

「結構キツめな娘なのね」

 

上鳴はジッと氷麗の容姿を見る。

背は小さいながらも女子高生のプロポーションとは思えないほど整っており、さらにA組の一番の胸の大きさを持つ八百万に劣らないほどの巨乳を持ち、瞳は氷のような冷たさを思い起こさせるが可愛らしい顔つきを持つ美少女だ。

 

(血界が注告するってことは相当な実力だよな……ここはもう全力で放電行くしかなくね!?つーかだいぶカワイイよな!?今までで一番カワイイぞ!!よし今度お茶するしかなくね!?よーし!!)

 

「体育祭終わったら飯とかどうよ?」

 

「はあ?」

 

突然の誘いに氷麗は怪訝な顔になる。

 

「俺でよけりゃ慰めるよ」

 

氷麗は一瞬つまらなさそうな顔になるが、すぐに笑みを浮かべる。

 

「……いいわよ。私に勝てたらね?」

 

「よっしゃ!……多分この勝負一瞬で終わっから」

 

『スタート!!』

 

上鳴は開始の合図と共に体に電気を帯電させ最大規模の電気を放とうとしたが、その瞬間氷麗は上鳴の前に移動しており足を上鳴の首に目掛けて足をふりかぶっていた。

 

「はい、お終い」

 

その一言と共に氷麗の蹴りは上鳴の首を打ち抜き、上鳴は崩れるように倒れた。

 

『しゅ、瞬殺!!目にも止まらぬ速さで瞬殺!!!つーか何が起こった!?』

 

『一瞬で近づき首を蹴り抜いたな。ありゃ脳震盪起こしてるぞ』

 

上鳴はロボットに担架で救護室に連れて行かれるのをつまらなそうに見届け、競技場から離れた。

 

「今の見えたか?」

 

「いいや。速さ関係の個性か?」

 

「いや、でもさっきあの子氷出してただろう?」

 

「もうちょっと長く試合を見たかったなぁ」

 

「上鳴の個性も良かったんだかなぁ……スターフェイズがそれをさせなかったな」

 

「スターフェイズってどっかで聞いたことがあるんだけど、どこだっけ?」

 

観客のヒーローたちも2人の試合を評価するが、ほぼ氷麗のことばかりだ。

そしてそれは生徒も同じだった。

 

「血界くんの言う通りスターフェイズさんの個性は一切わからなかった。騎馬戦では氷を出してたけど、あの身体能力は一体何なんだ?ブツブツ……」

 

「で、デクくん?」

 

「はっ!」

 

「終わってすぐなのに先見越して対策考えてんだ?」

 

「ああ!?いや!?これはもう趣味って言うか!!」

 

麗日が改めて、緑谷の凄さを感じ取っていると隣のB組の観客席からイラつく笑い声が響いた。

 

「アレアレェ!?一瞬で決めるんじゃなかったっけェ!?彼、一瞬でやられちゃったよォ?おっかしいなァッ!!?ハッハハハハハ!!!」

 

爆豪を挑発し、彼の逆鱗に触れてしまい敗れた物間はここぞとばかりに煽りに煽ってくる。

 

「ハハハハハハガハッ!?」

 

すると突然物間の首に手刀が当てられ、気絶してしまい、オレンジ髪のポニーテールの女子、拳藤が顔を出した。

 

「ゴメンなー」

 

(((何だ今の……?)))

 

A組全員に苛立ちよりも突然の物間の奇行に困惑が広まった。

 

『さァーーーどんどん行くぞ!頂点目指して突っ走れ!!騎馬戦ではド派手な技と凄まじい執念でどん底から1位に返り咲いた男!A組、血界・V・ラインヘルツ!! 対、男気一筋ど根性!!硬化!!切島 鋭児郎!!』

 

「いよいよね。耳郎ちゃん」

 

「うん……がんばれ血界」

 

耳郎は真剣な表情でステージで準備運動をしている血界に向かって周りには聞こえないがしっかりと応援をする。

 

「始まりますよ。血糸さん」

 

「ああ」

 

346プロの血糸たちも血界の戦いを見守る。

 

「いよいよですね……」

 

「うー……自分が出るわけじゃないのに緊張しちゃうなー」

 

「………」

 

シンデレラプロジェクトにいる凛は黙って、テレビに釘付けになる。

 

「しゃあっ!!行くぞ!!血界ィ!!」

 

「おう!かかってこい!」

 

『スタート!!』

 

開始と同時に切島は全身を硬化して血界に殴りかかってくる。

 

「ウオオオォォォッ!!!」

 

「フッ!」

 

大振りの右ストレートを血界は躱し、その右腕を掴んで切島の勢いを利用して、背負い投げの要領で投げとばそうとするが、

 

 

「ぐっ…!(重っ!)」

 

「離せェッ!」

 

「危なっ!……やっぱり個性で重くなるのか」

 

切島の『硬化』は皮膚を鋼鉄のように硬化する個性だが、硬化すると皮膚そのものの質量も重くなるらしい。

 

「オラオラオラオラァッ!!」

 

「くっ……!」

 

切島の猛攻に血界は避け続けるしかない。

 

『どうしたァ!?血界は防戦一方だそ!?』

 

「どうした血界!攻撃してこいよ!!」

 

「できるならやってるつー、のっ!」

 

切島が挑発しながら血界の顎に向かってのフックを躱すが、硬化によりできたトゲで顎を少し切ってしまう。

 

「ラインヘルツは何で個性を使わないんだ?」

 

「使えないとかか?騎馬戦での疲労が出てるとか?」

 

「でもレクリエーションにも出ていないじゃない。休憩は十分にできたはずよ」

 

「切島の勢いはいいな。士気があがる」

 

「サイドキックにはああいうの欲しいねー」

 

観客のヒーローたちはそう話しながら、戦いを見続ける。

今のところ切島の評価が高いようだ。

 

「血界くん、個性が使えないんじゃなくて使わないんだ」

 

「どういうこと?」

 

緑谷の呟きに隣の麗日が聞き返すが、周りもその言葉に気になったのか耳を傾ける。

 

「血界くんが勝てばだけど次の対戦相手は上鳴くんを瞬殺したスターフェイズさん、そして僕か轟くん、決勝と戦いがあるんだ。血界くんは次の戦いを見据えてるんだ」

 

「だが、それだと切島くんに失礼ではないか?全力で戦ってくれているのに」

 

「そうかもしれないけど血界くんの個性を考えるとこれがベストなんだと思う」

 

緑谷がそう言い続ける間にも切島の猛攻は続いていた。

切島の攻撃は血界の体操服擦り、所々ほつれや擦り傷ができていた。

それに対して切島は怪我はいっさいないが、ずっと攻め続けていたからか少し疲れが見えていた。

 

「血界ィッ!!逃げるばかりじゃなくて男らしく戦え!!」

 

「……わかったよ」

 

血界はそう言って体操服の上着を脱ぎ、上着を右拳と右腕に巻きつけた。

 

「いくぞ」

 

「おっしゃあぁぁぁぁっ!!!」

 

切島が雄叫びを上げて血界に突進するのと同時に血界も切島に向かって走る。

切島が大振りのパンチをするが血界はそれを避けて、切島の顎にアッパーを放つ。

切島の顎は打ち上げられたが、血界が殴った瞬間鈍い音が響いた。

 

「ぐっ……!!」

 

「うおぉうっ……!」

 

殴った血界は切島の硬化が思った以上に固く、殴った拳に痛みが走り、顔を顰める。

切島も突然顎を打ち上げられ意識が飛ぶほどではないが、後ろに数歩ほど退がる。

 

「まだまだいくぞォッ!!」

 

切島が再び突進し、血界も腕に巻きつけていた上着を外し、向かっていく。

 

「馬鹿が、罠だろうが」

 

それを見た爆豪がそう呟いた。

切島が腕を振りかぶった瞬間、血界は上着を切島に向かって投げた。

 

「うおっ!?」

 

突然視界をつぶされた切島慌てながらも上着を取ると、目の前にいた血界が居なくなっていた。

 

「どこだ!!」

 

切島が周りを見るがどこにもおらず、辺りをキョロキョロしていると突然首に腕がかけられ、締められる。

 

「がぁっ……!ち、血界!」

 

「これで終わりだ」

 

切島の視界を潰した瞬間、背後に回り、気配を殺して背後から首を絞めたのだ。

血界は後ろから切島の膝を蹴り、膝を地面につかせる。

 

「全身を固めていたらいつかは綻ぶと思って待ってたんだよ」

 

「て、テメェ……!」

 

「言っただろ?全力で勝ちに行くって」

 

血界は疲れで硬化が解けた首に力を込め、締め落とそうとするが切島も負けじ、抵抗する。

腕を振りほどこうとし、血界の腕は傷つき、頭を硬化させている切島の髪が血界の顔に刺さり血が流れる。

 

「ぐ、うぅ……」

 

「堕ちろ」

 

最後に力を込めると切島の腕はダランと下がり、全身から力が抜け血界に体を預ける形になってしまった。

 

「ラインヘルツくん、下がって」

 

審判であるミッドナイトが血界に寝かされた切島の様子を見て、腕を上げて高らかに宣言した。

 

『切島くん!行動不能により、勝者!血界・V・ラインヘルツくん!!』

 

一斉に歓声が上がる客席。

 

『スマート!!相手を倒すのは力だけではない!血界!技と知恵を駆使して一回戦勝利!!』

 

『ラインヘルツの奴、最初からこれを狙ってやがったな。序盤で切島を疲れさせ、個性が解けるの待ってやがった』

 

担架で運ばれる切島を見届け、血界も戻っていった。

 

「いやー、ラインヘルツのことだから派手な技で倒すと思っていたがあんなにスマートに倒すとはな」

 

「派手な技だけじゃなくて、相手によって戦い方を切り替えられる。あの器用さは重宝するぞ」

 

「救助面ではどうなんだろうな?」

 

「切島も良かったんだがなー、ありゃ経験の差なのかね?」

 

ヒーローたちの評価も一転し、ほぼ血界のことだけを話していた。

ともあれ血界は一回戦を危なげなく勝利した。

 

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