僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.23 Heart Beat

切島との戦いを終え、血界と切島は救護室でリカバリーガールの治療を受けていた。

 

「これで良し……っと、さあ、できたよ」

 

「イテッ!もう少し優しく貼ってくれよ」

 

切島は首を絞められ、意識がなくなっただけなので休ませておけば目を覚ますらしく、救護室のベッドに寝かされていた。

血界の怪我には切島の硬化で傷ついた顔に絆創膏が貼られた。

貼られたところをさする血界にリカバリーガールは呆れたように言った。

 

「男なんだからそのくらい我慢しな!ふぅ……アンタの個性は治癒力も高めているみたいだからね。わたしゃの個性じゃどんな作用が出るかわからないから使えないよ」

 

「マジか……まぁそれなら仕方ないなぁ。こんくらいならすぐ治るしな」

 

「全くUSJの怪我といい、今回の怪我といい……医者泣かせの個性だね。アンタら親子は……」

 

リカバリーガールのその言葉に血界は目を剥いた。

 

「父さんを知ってるのか!?」

 

「ヴァンはここに留学生として来ていたからね。いい意味でも悪い意味でも記憶に残っとるよ。聞いてないのかい?」

 

「え…ま、まぁ……」

 

言葉を濁す血界にリカバリガールは不思議に思ったが、深くは聞かないことにした。

 

「まぁ、詳しく知りたかったらまた聞きに来なさい。時間が合えば教えてやるさね。今は他の試合を見に行ったほうがいいんじゃないかい?」

 

「そうだった。ありがとうリカバリガール!」

 

血界は礼を言って救護室から出て行った。

 

「ヴァン、アンタの息子にしては些か落ち着きがないみたいだけど、勝負に勝つための執念は瓜二つだね」

 

リカバリガールの懐かしむ独り言が救護室に響いた。

 

 

芦戸と常闇の試合は常闇のダークシャドウによって一方的なものになるかと思いきや、ダークシャドウの攻撃を酸で足元を滑りやすくして掻い潜り、意外にも善戦をしたがやはり敵を寄せ付けない常闇のダークシャドウに負けてしまった。

発目と飯田の試合は始終、発目自身の作品の企業へのアピールに利用されてしまい、結果的に飯田が勝ったがなんとも言えない試合だった。

そして次は耳郎と八百万の試合となり、準備が整うまで控え室で待機していたが緊張していた。

 

(やばい……緊張してきた)

 

元来少し乙女な所がある耳郎にとってはこんな大きい大会に少し緊張しやすかった。

相手は気心知っている友達の八百万と言えど、訓練ではない実戦だ。USJで本当の実戦を経験したが、やはり緊張してしまう。

耳郎は落ち着かないのか執拗にイヤホンジャックを手で弄っていた。

そんな時に声がかけられる。

 

「耳郎入るぞ」

 

「血界!怪我は大丈夫なの?」

 

「こんなのかすり傷だ。それよりお前のことだから緊張してるって思ってさ」

 

「う…そ、そんなわけないじゃん」

 

「目が泳いでるぞ」

 

耳郎は恥ずかしくなり視線を血界から外す。

すると血界が耳郎の肩に手を置いた。

 

「俺はあんまり気の利いたことなんて言えないけどさ。あんまり気を張るな。いつも通りのお前でベストを目指せばいいんだ」

 

ありきたりな言葉だが肩に置かれた血界の手とその言葉が不思議ととても安心できた。

 

「うん、ありがと。血界」

 

耳郎の強張った表情が柔らぎ、笑顔を見せた。

 

「でも、最初に言った通りウチはアンタに勝つ気でいるんだからね」

 

「わかってるよ。ぶつかるとしたら決勝でだ」

 

2人は笑みを見せて互いを見る。

2人とも勝負には一切遠慮はしないと言葉を交わさずともわかった。

 

『それじゃあ次の対戦者はそろそろ準備をしてくれ!』

 

プレゼントマイクのアナウンスが響き、血界は控え室を出る。

 

「じゃっ、俺は観客席に行くわ」

 

「うん、血界!」

 

「ん?」

 

「ウチ、勝つよ」

 

「おう!」

 

血界はサムズアップを見せて、控え室から出て行った。

 

 

『次の試合は聡明な頭脳には万物の知識が!A組 八百万 百!!対 クールな見た目に反してその心にはロックなビートが刻まれているぞ!A組 耳郎 響香!!A組女子同士の戦いだァ!!』

 

対峙する2人はお互いを見据える。

耳郎は先程の血界の激励で覚悟が決まり、落ち着いているが八百万は些か緊張しているのか強張っている。

 

「ヤオモモ」

 

「は、はい!なんですか?」

 

「ウチが勝つから」

 

好戦的な笑みを浮かべる耳郎に八百万は一瞬足がすくみそうになるが負けじと耳郎を睨む。

 

「ま、負けませんわ!」

 

『スタート!!』

 

合図とともに耳郎は八百万に向かって走り出す。

 

(突進!?耳郎さんのことだから遠距離の攻撃だと思ってましたが……!!)

 

耳郎の意表を突いた行動に八百万は行動が遅れてしまう。

 

(とりあえず防ぐための盾を!)

 

八百万は個性で特別性の盾を作り出す。

 

(耳郎さんの個性では普通の盾は簡単に壊されて、逆にこっちが危険!なら……)

 

硬い物質、例えば鉄ならば耳郎のイヤホンジャックからの心音で簡単に破壊され、その破片が自分にぶつかってしまう。

そこで八百万が創った盾は警察などで使われているゴム製の盾で音なども吸収してしまうものだ。

 

「いくよ!」

 

耳郎がイヤホンジャックを八百万に伸ばす。

八百万はそれに対して盾で防ぎ、盾にイヤホンジャックが突き刺さる。

 

(ここからスタングレネードで耳郎さんの動きを……!)

 

スタングレネードを作ろうとした瞬間、特大の衝撃が八百万を襲った。

 

「きゃあっ!!」

 

吹き飛ばされた八百万は地面に倒れ、痛む身体で前を見ると胸を抑え、息を荒くした耳郎が苦しそうにしながらも笑っていた。

 

「上手くいった……!」

 

『おおっと!いきなり八百万が吹き飛んだぞ!?何があった!!?』

 

『音に関してはお前の方が詳しいだろうが……耳郎の個性なら盾を壊すのは簡単だろうが八百万はそれを即座に理解して音を吸収する盾を創った。耳郎の心音ならあの盾は壊せないはずなんだがな……』

 

スピーカーを通さずに盾を破壊し、更には八百万を十数メートルをも吹き飛ばすほどの衝撃を放つことができたのには理由があった。

 

(氷麗との特訓が生きた!)

 

 

体育祭の知らせを聞いて、血界に自分の目標を宣言した次の日に耳郎は氷麗とトレーニング室に来ていた。

 

「それで特訓したいことって?」

 

「とりあえずはフィジカル面なんだけど、あと個性の強化かな?」

 

「個性か……響香の個性って耳から伸びているイヤホンジャックから音を聞いたり、心音を飛ばしたりするんだよね?ならその心音を操作できないの?」

 

「心音?」

 

「音を大きくしたりとかさ」

 

「音をか……」

 

そして体育祭の間、耳郎は音の操作を練習し、できた技が……

 

 

「これがウチの新しい技『H・R・B』(ハート・ラウド・ビート)、心臓とイヤホンジャックで心音を反響させて一気に放つ技だよ」

 

「いつのまに新技を……」

 

「一気に決めさて貰うよ!!」

 

耳郎が再びイヤホンジャックを伸ばし、行動不能に追い込もうとする。

 

「は、早く動かないと……!」

 

避けようとするが特大の音の衝撃で身体痺れて動けない。

迫るイヤホンジャックに八百万は手から鉄棒を創造し、地面に刺すことで自分の体を横に移動させた。

 

「甘いよ!っ……!」

 

耳郎は再び、苦しそうに胸を抑えるとイヤホンジャックからH・R・Bが発射され少し離れた八百万にまで届いた。

 

「ああっ!!」

 

離れたと言ってもスタングレネード以上の音波を二回ももろに浴びた八百万は悲鳴を上げて、動かなくなってしまった。

 

「………八百万さん行動不能!勝者耳郎さん!」

 

ミッドナイトの宣言とともに歓声を上げる観客たち。

耳郎は緊張と疲れでその場に座り込んでしまった。

 

「勝てた〜…」

 

観客のヒーロー達が早速意見を交わしている。

 

「耳郎の個性は幅が広くていいな。索敵、攻撃にも使える」

 

「手数が多いのは人気が出るな。あれも注目株かも?」

 

「結構可愛いから、そっち路線もありかもね」

 

観客たちの評価もまあまあ良いらしい。

 

『いやー贔屓になっちまうが音系の個性だからつい応援しちまったぜ!』

 

『八百万も手が悪いんじゃないんだがな、耳郎の新技に対応が遅れたのが痛かったな』

 

こうして戦いは新技により耳郎の勝利に終わり、耳郎はそれを聞きながら勝利を噛み締めた。

 

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