僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.24 氷の女王

耳郎と八百万の試合を終え、麗日と爆豪の試合となった。

誰であろうと容赦しない爆豪に果敢にも麗日が攻めていくが、爆豪の実力の前に手も足も出ない。

何度も立ち向かうがどうやっても届かない。

あまりにも圧倒的な差の試合に観客のプロヒーローたちは爆豪に非難を浴びせるが相澤がそれを止め、爆豪が麗日の実力を認めていることを話した。

結果は爆豪の勝ちだったが、麗日の裏を突いた作戦に爆豪は麗日を認めていた。

 

 

二回戦となり、次は緑谷と何かと因縁がある轟との試合になった。

NO1の弟子とNO2の息子、緑谷は憧れの人から任された想いを果たすために、轟は恨む父親を否定するためにそれぞれが想いを込めて戦う。

轟の全方位氷結に対して緑谷はフルカウルの足を使って避けていくがすぐに足場がなくなり、フルパワーでの氷の破壊に移った。

デコピンでの破壊だがそれだけでも風圧がアリーナの観客を襲うほどだ。

徐々に氷結を連発する轟の体が震えて、行動が遅くなってきた。

そして緑谷が轟の心に叫んだ。

自分の左側、父親エンデヴァーから受け継いだ個性を否定したい。

父親は自分にNO.1を超えさせるために幼少期から厳しい訓練させた。

友達とも兄姉とも遊べず、いつも泣いていた。

そんな自分を慰めてくれたのは母親だったが、父の厳しさに母は心を病み、自分に煮え湯を浴びせてきた。

そして母は病院に入院してしまい、家庭も母親も壊れてしまった。

その恨みをぶつけるために父を否定する。

だが、緑谷の叫びが轟の昔を思い出させた。

辛い訓練で泣いていた時に母が自分に慰めてくれた時に言ってくれたことを。

血に囚われずなりたい自分になっていい、と。

その言葉を思い出した轟は左の熱を使った。

左右で異なる姿を見せる轟の姿は生まれ変わったように見えた。

全力でぶつかる勝負の結果は轟の勝利に終わった。

 

 

「デクくん……」

 

「凄まじい戦いだったな」

 

「緑谷ちゃん大丈夫かしら?」

 

皆が緑谷と轟の戦いに驚き、緑谷の怪我を心配していると、血界が立ち上がった。

 

「俺控え室に行くわ」

 

「緑谷ちゃんのところには行かないの?」

 

「すぐに試合なんだ。あんな戦いを見た後に生半可なことをできない。準備をしないとな。緑谷にはよろしく言っといてくれ」

 

血界はそう言って控え室に向かった。

控え室に着くと落ち着くために深呼吸をした。

緑谷轟との戦いでもちろん自分も興奮した。

その熱が冷めぬまま次の試合に挑む。

やる気が入って当然だった。

 

「怖い顔してるよ」

 

後ろから声をかけられ振り向くと耳郎が立っていた。

 

「怖い顔って……笑ってただけなんだけどな」

 

「昔の喧嘩してた時の血界みたいだった。好戦的な顔って言うか……」

 

「好戦的な顔か……そうかもな。次の氷麗との試合に緊張より、楽しみの方がデカい」

 

血界はそう言って拳を握る。

それを見て耳郎は少し不安になった。

 

「氷麗との……怖くないの?だってあの子……」

 

「大丈夫だって、お互い本気でぶつかるだけだ」

 

そう言う血界の顔は覚悟が決まったものだ。

最早何を言っても変わらないと思い、耳郎はまだ心配は拭えないが、諦めるしかなかった。

 

「わかった。がんばれ」

 

「おう」

 

今は自分の想い人を応援しよう、無事に終わるように。

 

 

修復されたステージで対峙する2人は見据えるどころか睨み合っていて、緊張した空気が周りの観客にも伝わっており、観客もその緊張を感じていた。

 

「な、なあ?ヤバくないかあの2人……めちゃくちゃ睨み合ってんじゃねえか」

 

意識が戻った切島が血界と氷麗の様子を見てそう呟く。

 

「俺と戦った時より殺気に満ちてね?」

 

「アンタとやった時はほぼお遊び感覚だったと思うよ。瞬殺だったじゃん」

 

「………」

 

上鳴がそう言って冷や汗を流すが、耳郎が横やりを入れてなんとも言えない顔になった。

 

「だけど血界は近接戦強いし、大丈夫だろ!相手が女の子だし、そこまで本気でやらないだろうし……」

 

「それはないと思う。2人とも勝負ごとには容赦しないから……」

 

「氷麗さんと血界さんは中学からの知り合いなのでしょう?仲が良いのでは?」

 

「あの2人はウチが2人と知り合う前からあんな感じだったよ。普段は犬と猫みたいな仲の悪さだけど、認めて入るんだと思う。だけど……あんなに敵意を向けてるのは初めて見た」

 

耳郎は心配そうに血界と氷麗を見る。

普段から仲がいい彼女がそう言うのだからよっぽどのことなんだろう。

するとまたB組のほうから挑発してくる声が高らかに聞こえてきた。

 

「ハハハハハッ!!!アレがUSJの時に活躍したって言うラインヘルツかい!!?目つきが悪いねェ!!まるでそこの彼みたいにヴィランみたいじゃないかァ!!!」

 

「あ"あ"!?」

 

「また出た……」

 

何かとA組を敵視している物間がまたもや挑発してきたのだ。

しかも血界を嘲けりながら爆豪も挑発してくる器用さ。

全員がウンザリしながらも物間の言葉は続く。

 

「彼がどれだけ強いか知らないけど我らが女王の前じゃ一溜まりもないさ!彼が泣いて帰ってくるの慰める準備でもしといたほうがいいかもねェ!!ハハハハハゔっ!?」

 

「ごめんなー」

 

高笑いする物間に手刀が落とされ、拳藤が回収しに来た。

 

「なんだったんだ?」

 

「気が触れてやがる……」

 

「氷の女王だって……キザ過ぎじゃない?」

 

A組の面々がやはり物間の煽りに少しイラついていたのか、そう口に出すと拳藤がまた顔を出した。

 

「あのさ、物間みたいに言うわけじゃないけど、ウチらの氷麗をあんまり甘く見ない方がいいよ」

 

「どう言うことかしら?」

 

「だってあの娘、私らB組で一番強いから」

 

 

『ド派手な試合が終わり、次の試合は!!一試合目は一瞬でケリをつけたロリッ娘クールビューティ!!B組!氷麗・A・スターフェイズ!!対 力だけじゃないぞ。その体は技も習得した!!A組!血界・V・ラインヘルツ!!同中の戦いだァッ!!』

 

マイクのアナウンスが響くが、対峙している2人には何も話さない時間が流れるが氷麗が口を開いた。

 

「ねえ血界。私ははっきり言ってアンタに勝ってると思う」

 

「あ?」

 

「金、地位、勉強、あとその他にも勝っていると思う」

 

「はっきり言うな。ムカつくぜ」

 

「だけど昔からアンタに勝ってると思えないものがあるの」

 

そう言って氷麗は氷のような瞳を向けるが、その瞳には上鳴と戦った時のような冷たいものではなく、闘志がありありと出ているものだった。

 

「強さよ。純粋な強さ。私はそれでアンタに勝ってるとは思わない。だからここで証明する。私がアンタより強いってことを」

 

「なんでそこまでするんだよ?」

 

「気が済まないからよ。私は誰よりも上に立ちたいの」

 

氷麗はそう言って構え、血界も構える。

 

「だから私が勝つわ」

 

「……そうか。なら悪いな」

 

『2人とも準備はいいか!?レディィィ………』

 

「勝つのは俺だ」

 

『スタート!!!!』

 

開始の合図とともに血界は走り出し、氷麗に向かっていくが、その氷麗の姿が消えた。

 

「……っ!」

 

それに気づいた瞬間には氷麗は血界の目の前に現れ、足を振りかぶっていた。

 

「ぐっ!」

 

氷麗の蹴りを寸前のところで腕でガードするが、氷麗の脚力が凄まじく、強靭な体を持つ血界でも吹き飛ばされそうになる。

氷麗はなんとか持ちこたえた血界に体をひねって、踵落としを食らわす。

それも腕で防ぎ、がら空きになった氷麗を捕まえよう腕を伸ばすが氷麗は腕を蹴って空中に逃げる。

再び距離が空いた氷麗と血界だが、すぐさま氷麗が追撃する。

近づく氷麗に向かって血界は拳を振るうが、また寸前で消え、血界の腹に凄まじい衝撃が走る。

 

「うぐっ!?」

 

血界の鳩尾に蹴りが突き刺さる。

その小柄な体からは考えられない力が血界の体を突き抜けた。

 

「フッ!」

 

血界に突き刺さった足を軸にして氷麗は上に飛び上がり、回転を加えた蹴りを血界の頭にぶつけた。

 

「がっ!?」

 

容赦なく地面にヒビが入るほどの威力で叩きつけられた血界は呻き声を上げ、動かなくなってしまった。

 

『えっ……しゅ、瞬殺ーー!!またもや瞬殺!!容赦ない攻撃に血界が倒れたァ!!』

 

あまりの攻防の速さにマイクも一瞬呆気に取られるが、実況を続ける。

動かない血界にミッドナイトが審判をつけようと近づくが、その時氷麗が足を上げ、血界の頭を踏み潰そうとする。

 

「スターフェイズさん!?何を……!!」

 

「こんなもんじゃないでしょ?」

 

氷麗は無慈悲に足を振り下ろすが、その足を止められた。

 

「当たり前だ……!」

 

頭から血を流しながらも体を起こし、腕で防いだ血界はその腕を振るい氷麗を話した。

 

「ラインヘルツ君、試合は続けられる?」

 

「うっす。やれます」

 

ミッドナイトが血界の目を見て、まだやれると判断し、マイクに合図を送って試合を続ける。

 

『まだまだ試合は続くぞーー!!!』

 

 

まだ数分しか経っていない試合だが、A組の面々は氷麗に対して戦慄していた。

 

「アイツヤバくね?」

 

「倒れていたのに追い討ちかけるって……」

 

「血界が起きなかったらアウトだったぞ」

 

上鳴、芦戸、砂藤が続けて冷や汗を流しながらそう呟く。

その他の皆も言葉には出さないが今の氷麗に少し恐怖心が沸いている。

 

「氷麗さん……」

 

「………」

 

家の繋がりで仲が良かった八百万は心配そうに名前を呟き、耳郎も心配そうに血界たちを見ていたが、口を開いた。

 

「ウチの地元ってさ……まぁまぁ治安が悪かったんだよ。常駐のヒーローがいるくらいにさ」

 

「耳郎ちゃん?」

 

突然話し始めた耳郎に蛙水が不思議に思う。

それに構わず耳郎が話を続ける。

 

「それでも治安の悪さはなかなか治らなかった。ウチもよく絡まれたりしたよ。……そこで氷麗ってさ、容姿は可愛いからよく暴漢とか不良に狙われたりしていたの。年に10人くらい」

 

「10人!?多ない!?」

 

「まあ、あの巨乳なら狙われるわな」

 

「うるさいわ峰田ちゃん」

 

麗日が驚くなか耳郎は話を続ける。

 

「でも氷麗はそんな奴らを返り討ちにしてきた。返り討ちにされた奴は骨折は当たり前、中には半身不随になった奴もいるって噂だった」

 

「それって……」

 

「そう氷麗は自分に敵対する奴には一切容赦がない。それのせいで氷麗は中学の時に『氷の女王』って呼ばれて恐れられてたんだ。………ウチがこの中で戦いたくないのは誰って聞かれたら間違いなく氷麗だって言うよ」

 

中学時代に複数の男たちが倒れている真ん中には返り血を浴びた氷麗の姿を思い出した。

 

「血界くん……大丈夫なのか?」

 

緑谷の心配する呟きが静かに響いた。

 

 

起き上がった血界は視界を潰す血を拭う。

 

「チッ…血が邪魔だ」

 

「やっぱりあれくらいじゃ倒れないか」

 

そう言いながら笑う氷麗だがその目は未だに氷のように冷たい。

 

「じゃあ、そろそろ本番いこうか」

 

そう言った氷麗の足から冷気が出始め、氷が包んでいく。

そして足に複数の氷柱が生える。

 

「本気でいくよ」

 

「………来いよ」

 

氷の女王の蹂躙が始まる。

 

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