僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.28 覚悟を持って

次の準決勝、爆豪対常闇との試合が行われるステージは血界に破壊されたためセメントスが直していた。

 

「こうも何度もステージを破壊されるなんて、初めてだよ」

 

『セメントス何度もステージの修繕ありがとうな!!しっかしお前のとこの生徒、どいつもこいつも攻撃力ありすぎだろ!?』

 

『バンバンステージ壊しやがって……ヒーローなら周りの被害無しで活動するのが合理的で当然のことだ。終わったらみっちり指導だな』

 

『シビィーーーッ!!』

 

相澤の言葉に若干の笑いが起きるなか、A組では血界の容態を安否していた。

 

「血界くん…大丈夫かな?」

 

「あの酷い怪我ではもう試合を続けない方がいいだろう」

 

「でも、血界くんなら包帯ぐるぐる巻きになってもやりそうやけど……」

 

緑谷、飯田、麗日がそう話すが他の皆も一様に心配しており、口数が少なくなっていた。

 

「今は血界君のことも心配だが爆豪君、常闇君を応援しよう!」

 

飯田が委員長らしく、皆にそう伝えると皆は心を新たにし、応援を始めた。

 

(流石飯田くん!委員長やってるな……それにしても、かっちゃんか常闇くんのどちらが勝っても血界くんにとっては激戦になるだろうな)

 

次の試合、どうなっても血界にとっては苦しい状況となることは必至だった。

 

 

ステージの修繕が終わり、爆豪と常闇の試合が始まっているころ、医務室では血界の治療が終わった。

終わったと言っても、傷に包帯とガーゼを巻き、出来るだけ傷が外に出ないようにしているだけだが。

 

「とりあえずはこれが限界だよ。後は治癒力に任せるしかないね。本当ならドクターストップで止めるとこだが、辞めないんだね?」

 

「当たり前だ!ここまで来たんだからやめるわけがねえ!!」

 

血界は造血作用がある栄養食品をを食べながら、そう言ってのけた。

 

「まったくこの子は……そういうところは本当にヴァンに似ているよ」

 

リカバリーガールの呆れた様子に血界は気になり、父親のことを聞こうとした。

 

「なぁ、リカバリーガール。父さんのことなんだけど……」

 

「血界!とりあえず鉄分が取れるもの片っ端から買ってきたよ!」

 

そこに急いだ様子の耳郎が入ってきたため、血界の声は遮られた。

 

「さあ、とりあえず今は体をできるだけ休めて血を作ることだよ。アンタの武器である血は今はもうすっからかんなんだからね」

 

「大丈夫だって!もうこの通り……おぉ?」

 

血界は立ち上がって見せるが視界がグラつき、ちゃんと立てなかった。

 

「ちょっと何してんのさ!今は休んどきなよ。次もあるんだから……」

 

「ありがとうな。耳郎」

 

耳郎は倒れかけた血界に肩を貸し、ベットに寝かせ、食べ物を血界の口に向けてあげた。

 

「ほら、あーん」

 

「い、いや、そんなことまでしなくて良いって」

 

「何言ってんの。今は体を休めて、食べて血を造るのが一番優先することでしょ?いいから口開けて」

 

「恥ずかしいって」

 

耳郎は血界の看病に集中しているのか、自分が恥ずかしいことをしているのに気づかず、手に持った栄養バーを血界の口に近づける。

それに赤面する血界とどこか幸せそうな耳郎を見て、リカバリーガールがふと2人に呟いた。

 

「アンタら2人は付き合っているのかい?」

 

「へ?」

 

「ハアッ!!?」

 

突然の言葉に血界は一瞬呆け、耳郎は一気に赤面し残像が見えるくらいのスピードでリカバリーガールの方を振りまいた。

 

「そそそそんなわけ、ななないじゃなでですか!!」

 

「わかりやすいね」

 

「そうだって俺と耳郎がそんな関係なわけないだろ」

 

「………」

 

わかりやすいくらい照れる耳郎に対して血界が至極当然と言った態度で否定する。

すると、耳郎がまたわかりやすく不機嫌になると、血界の口に栄養バーを突っ込んだ。

 

「アンタは黙ってサッサと食え!!」

 

「おごっ!?」

 

「ったく……バカ」

 

突然口に突っ込まれた血界は軽く目を回し、耳郎は血界に背中を見せて、ボソッと少しも慌ててくれなかった血界に対して残念そうに呟いた。

 

(こりゃあの子が自覚してないね……まったくこれだから男は……)

 

リカバリーガールも血界に対して呆れていた。

すると医務室に備え付けられているモニターから歓声が上がる。

モニターに目を向けると爆豪が常闇に馬乗りになって小さな爆発を起こす手を構えて、脅していた。

すると常闇から降参の言葉が出て、爆豪の勝利となった。

 

「そんな、まだあんまり休めていないのに……」

 

「思った以上に早かったね。こりゃ出れるかどうか……」

 

リカバリーガールは当初、試合は15分程度かかり、選手の休憩も兼ねて30分ほど休憩時間があると考えていたが爆豪は耳郎戦で思った以上に体が温まっていた。

そのため試合は5分もかかっておらず、血界を休める時間がまったく少ない。

しかし血界はそんなことを気にしない。

 

「別にいいじゃねえか。体が温かいうちに戦える」

 

「ちょっと!爆豪はアンタの怪我なんて御構い無しに本気でやってくるんだよ!?そしたらまた怪我が……!」

 

「だからこそだよ。本気でやんなきゃ意味がない!」

 

血界の本気の目に耳郎は何も言えなくなった。

 

「……わかったよ。なら今はできるだけ休むことだね」

 

「ああ」

 

血界はそのままベットに倒れ、寝てしまった。

 

「リカバリーガール、血界は大丈夫なんですか?」

 

「はっきり言ってしまうと今すぐ病院に連れて行きたいけどね。この子はそれを止めるだろうさ」

 

「……そうですね」

 

もう寝息を出している血界を見て、耳郎は仕方がないと言った表情になる。

 

「でも流石に次の試合は私もステージ近くで見るよ。良くも悪くもこいつらは手加減ができないからね。アンタもさっさと観客席に行きな」

 

「はい……頑張って、血界」

 

耳郎は寝ている血界を起こさないように静かに応援した。

 

 

その頃346プロでも血界の応援の準備をしていた。

 

「次が決勝だね!」

 

「あのオニーサン勝てるかな?」

 

「そんなに怪我しているのに試合に出れるの?」

 

「『大怪我』……もしかしたら出られない、かもしれません」

 

「うぅ……」

 

「智絵里ちゃん大丈夫?」

 

「今、命の水を!(お水飲みますか?)」

 

「学校のイベントであそこまで傷だらけになるなんて中々ないにゃ。プロ意識を感じるにゃ」

 

「いや、ロックでしょ。傷を負っても立ち続けるなんて超ロックじゃん」

 

「心配だにぃ〜……」

 

「私たちが心配してもしょうがないでしょ?力抜いて見てようよ。あったみたいになっちゃうよ?」

 

杏がそう言って見た先にはガチガチに固まった凛がいた。

 

「しぶりん!しっかり!」

 

「ダイジョウブ、ワタシハヘイキ」

 

「凛ちゃ〜〜〜ん!」

 

凛は友達の色々とショッキングなところを見て、少しおかしくなっていた。

そしてチーフルームでも緊張した空気が流れていた。

 

「………」

 

楓がテレビを心配そうにジッと見ていた

 

「ほら、お前が固まってどうする?」

 

血糸がコーヒーを持ってきて、楓に渡す。

 

「血糸さん……そうは言っても心配です。チーくん、つい最近まで大怪我していたんですよ?それなのにまたあんな大怪我を……」

 

「アイツも覚悟の上でやっているんだろう。なら俺たちは見守るだけだ」

 

そう言って血糸もテレビの方を見た。

表情が変わってないように見えたが、つき合いが長い楓には血糸が心配しているのが僅かにわかった。

しかしそれは言わず、テレビに集中する。

 

「そうですね」

 

楓も自分の弟のような子に心の中で応援した。

 

 

観客席でもいよいよ決勝となり、その興奮度は高まってきている。

 

「やっぱり勝つのは怪我が少ない爆豪か?」

 

「でも、血界のどんでん返しもあるかもしれないし!」

 

「だけど腕と足も怪我しているのに満足に勝てるのかよ?」

 

数人がどちらが勝つか予測していたりなどしていた。

 

「てか、そもそもあの怪我で決勝出られるのかよ?」

 

峰田のその言葉に全員が黙った。

いくらタフな血界と言えどあの怪我では出られない可能性が高い。

 

「血界くん……」

 

「……」

 

それを聞いていた緑谷は心配し、準決勝で戦った轟は黙ったままだ。

そこに看病を終えた耳郎が戻ってきた。

 

「耳郎さん!」

 

「耳郎!」

 

「血界は無事なのか!?」

 

「怪我はどうだった!?」

 

「試合には出れるの?」

 

「何か進展は!?」

 

一気に詰め寄られる耳郎は少し圧倒されてしまう。

 

「ちょ、ちょっと落ち着いてよ。あと最後関係ないでしょ?」

 

少し落ち着かせてから皆に説明した。

 

「とりあえず血界は決勝に出るよ。怪我は酷いけどリカバリーガールの監視の下でやるって」

 

それを聞いて、皆はとりあえず安心する。

 

「でもリカバリーガールの監視の下って、そこまで酷い怪我なのね。出しても大丈夫なのかしら?」

 

今だに不安そうな蛙水が質問する。

 

「うん、ウチも不安だけどアイツが一度決めたら聞かないし、見守るしかないよ」

 

そう言う耳郎が一番血界の傷つくところを見たくないはずだが、その耳郎が見守ると言ってのだ。

それから蛙水は何も言わなかった。

 

 

そして決勝の時間となり、マイクのアナウンスが響く。

 

『待たせたなお前ら!!ついに雄英1年の頂点がここで決まるっ!!!圧倒的な戦闘センスと無慈悲な猛攻で圧倒してきた爆豪!!片や逆境に晒され、血みどろになろうとも勝利をもぎ取ってきた血界!!この2人のどちらかが頂点になるぞ!!!個人的には血界に勝って欲しい!!!』

 

『偏見実況をするな』

 

『イデっ!?』

 

血界と爆豪がステージ上に立ち、対峙する。

 

「おい、ツリ目野郎」

 

「あ?なんだ?」

 

「テメェがどんな怪我をしていようが関係ねえ。勝って1位になんのはこのオレだ!!」

 

爆豪は睨みながら血界に向かって、叫ぶ。

それに対して血界はいつものように怒らず、笑って爆豪を睨む。

 

「何言ってんだ?逆に怪我してるからって手加減したら承知しねぇぞ。それとな……勝つのはこのオレだ」

 

それを聞いた爆豪も笑みを見せて、血界を睨む。

 

『2人ともいいなァ!?この勝負が最後だ!正々堂々やれよォ!!』

 

血界は左腕を前に出し右腕を体に引きつけ拳を構えて、爆豪は体を低くし腕を体に引きつけ、いつでも飛び出せるように構える。

 

『決勝戦!!スタートォオッ!!!』

 

今、皆がしのぎを削った体育祭の決勝が始まった。

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