僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood 作:マーベルチョコ
メールで呼び出された場所は先日不良に絡まれた人が立ち寄らない場所だ。
血界が立つ周りには不良たちが大なり小なり怪我を負っており、アイアンウィップがドラム缶の上に座ってニヤニヤと血界を見ていた。
血界が周りを観察していると腕を後ろで手錠をかけられた耳郎たちが連れてこられた。
「血界!」
「約束通り来たぞ。耳郎たちを解放してくれ」
「いやいや本当に来てくれるとは思ってなかったよ!いい子だね!」
アイアンウィップがその場の緊張した空気とは真逆の声色で楽しそうに話しでした。
「君が来たからってこの子達を解放するとは言ってないしね」
「………」
血界はアイアンウィップを睨む。
「それじゃチャンス&リベンジタ〜イム!!」
アイアンウィップはドラム缶の上に立ち上がり、大げさな身振りで声を上げる。
「今から君はここにいる不良たちにリベンジとして殴られる!君が耐えればこの子達は返すし、逃してあげるゲームさ!!」
突然のことに不良たちも困惑する。
「何でだ?」
「何がだい?」
「お前に何のメリットがある?」
耐えれば血界たちを逃すといい、不良たちにリベンジさせる機会を与えるとアイアンウィップに何のメリットがない。
アイアンウィップは笑みを深める。
「僕はね。人が嬲られるところを見るのが好きなんだ」
その目には狂気が渦巻いているのが誰の目に見えてわかった。
「狂ってるな」
「ヴィランだからね」
耳郎と凛は初めて垣間見る狂気に冷汗が流れてしまう。
「それじゃあ始めようか!!」
アイアンウィップが促すが不良たちはどうすればいいか、分からず立ち往生してしまう。
「ちっ……」
するとアイアンウィップは指を鞭に変え、側にいた不良を殴り飛ばす。
「ひぃぃっ!」
「早くしろよ!」
「う……うああぁっ!!」
1人の不良が鉄棒を持って血界の頭を思いっきり殴る。
「血界!」
耳郎の悲痛な叫びが響く。
殴られた際に頭を切ったのか血が流れるが、血界は顔色1つ変えない。
それを見た不良はたじろぐ。
「何やってんの?もっとやりなよ!!みんなもさ!!」
アイアンウィップがそう言うと他の不良たちも血界を殴りかかり、鈍い音が響く。
「もうやめて!血界が死んじゃう!!」
たまらなく凛が涙目を浮かべながら、アイアンウィップに言う。
「辞めるわけないよ!こんな楽しい事をさ!!」
アイアンウィップはそれを嘲笑って断るがその表情は狂気の笑みからだんだんと困惑したものになっていく。
不良たちが何度も殴っても血界はその場から一切動かず、立ち続けている。
10分もすると不良たちのほうが息が上がり、疲れて手が止まってしまう。
血界の顔は血で濡れているがその眼光はアイアンウィップを睨み続けていた。
アイアンウィップはそれを面白くなさそうにし、顔が歪む。
「約束だ。耳郎たちを解放してくれ」
血界はウィップに一歩近づくと、ウィップは立ち上がり血界に近づき、『個性』の鞭を血界に向かって振るった。
「次は僕の番だ!!ボーナスステージだよ!!」
ウィップの鞭は縦横無尽に血界を襲い、血を撒き散らせる。
しかし、血界はそれでも何もせずにウィップを睨み続ける。
「ムカつくんだよ!その眼ェッ!!」
ウィップが叫ぶと一際大きくうねった鞭が血界に当たり、不良たちが固まって動けなかったところまで押し戻される。
「お前らもあんだけ殴っといて1人くらい殺せねぇんだよ!!!」
不良たちが目に入ったウィップは突如として、鞭を不良たちに向ける。
そこに血界が間に入り、不良たちを守った。
「な、なんで……」
「傷つけられそうな奴がいるなら助けるだろーが」
困惑する不良たちに血界は当たり前だと答え、ウィップはそれに更に苛立ちを募らせる。
「ハッ!ヒーロー気取りかよ!!」
「そうだ。俺はヒーローになりたいんだ」
ウィップの煽りにも一切の揺らぎがない眼にウィップはほんの僅かだがたじろぐ。
すると、背後から声がかけられた。
「血界!ウチらはもう大丈夫だよ!!」
ウィップが血界に釘付けにされている間に耳郎のイヤホンジャックで鍵を開け、安全なところまで逃げていた。
「あ、アイツらぁ……!!」
ウィップは耳郎たちに鞭を向けようとするが鞭が何かに引っ張られ動かせなかった。
鞭が伸びている先を見ると5本の指の鞭全てが血界に掴まれていた。
「今度はこっちの番、だっ!」
血界は鞭を一気に引っ張りウィップの体を自分のほうに引き寄せ、重いパンチを1発浴びせた。
「ゲボォ……!」
ウィップは吹き飛び、転がり落ちる。
腹を抑え、苦しそうにしながらもなんとか立ち上がり血界を睨む。
「お前ぇぇ……」
「そういえばまだ名乗っていなかったな」
血界は吹き飛ばされたウィップにゆっくり歩きながら近づき、右手首をスナップさせて十字架を象ったナックルガードを装着する。
「血界・V・ラインヘルツ。ヒーローを志ざす者だ」
血界は右拳を顔の前に構える。
「ブレングリード流血闘術、推して参る!」
「シネェェェェエエエッ!!!!!」
ウィップは両手の鞭を螺旋状にまとめて一本の太い鞭にして、血界を貫こうと迫ってくる。
血界は迫ってくる鞭に構える。
「ブレングリード流血闘術………!!」
111式 十字型殲滅槍
ナックルガードから巨大な十字架型の槍が作り出され、血界の拳の動きと共に打ち出さる。
鞭を破壊しながらウィップの体に迫り、その体にぶつかると壁に衝突した。
「…………っ!!!!」
あまりの威力に壁に衝突したウィップを中心にクレーターが出来上がり、ウィップはその衝撃で気絶した。
こうして血界達を襲ったヴィラン ウィップは撃退され、事件は幕を閉じた。
○
その後、耳郎達は警察を呼びウィップは逮捕され、血界は救急車で治療されているが救急隊員が不思議そうにしていた。
「そんなに血が出ているのに擦り傷ぐらいしかないなんて不思議だね?君の個性かな?」
「まぁ……そんなもんっすね」
応急処置が終わり、念のために人質となった耳郎たちと共に病院に運ばれることになった。
事情聴取されていた耳郎たちが戻って来て、共に病院に向かいながら血界が質問する。
「警察には何て言ったんだ?」
「泣き真似しながら、仕方なく個性を使いましたって言ったら、血界のこと何も罪には問わないってさ」
「氷麗の泣く演技、迫真の演技だったよ。私も騙されちゃったし」
「女には必要なスキルよ」
血界、氷麗、凛がそんなことを話していると、ずっと黙っていた耳郎が思いつめた顔で血界に話しかけた。
「ねぇ血界。なんであの不良たちを助けたの?」
耳郎には血界の行動がよくわからなかった。
確かにヒーローなら人を助けるのは当然のことだが、今回のはあの不良達のせいで血界が傷付いた。
「アイツらも被害者だけど元を正せばアイツら昨日襲って来なきゃ、血界もあのヴィランに襲われることなかったじゃん」
「そうかもしれないがアイツらもやりたくて俺を殴ったわけじゃない。だったら助けるのがヒーローだろ?」
「……血界のなりたいヒーローって?」
血界は少し考える素ぶりを見せて、答えた。
「誰かを助けられるヒーロー、とか?」
「………プッ!カッコつけすぎ」
「なんだとぉ!?」
からかわれた血界が氷麗を追いかけ、それを見ていた凛たちは呆れるなか、耳郎はどこか嬉しそうだった。
「そっか……、やっぱり昔から変わらないね。アンタは」
○
そして月日が経ち、雄英の受験日がやってきた。