僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.32 Every day 3rd

『凛ちゃんご立腹』

 

体育祭の次の日は休日となっており、血界は酷使した体を休めていた。

すると一通のラインが来た。

 

『Kyoka:いつもの公園に来てくれない?』

 

「耳郎からか」

 

耳郎からのラインに少し嬉しそうな血界は中学の時からたまり場として使っている公園に向かった。

 

「着いたけど、どこにいるんだ?」

 

「血界……」

 

名前が呼ばれた方を向くと耳郎が申し訳なさそうに立っていた。

 

「よぉ、耳郎!」

 

「先に謝っとく、ごめん」

 

「は?何言って……」

 

その瞬間、血界の肩に手が置かれメキメキと嫌な音を立てながら肩を握られた。

 

「血界、元気そうでよかったよ」

 

「り、凛?」

 

首をゆっくりと後ろに向けると、ある意味いい笑顔を浮かべた凛が立っていた。

 

「とりあえず正座」

 

「え?いや、でも……」

 

「正座」

 

「…………はい」

 

凛のものを言わせぬ空気に血界は昼間の公園で正座させられた。

 

「……なんで連絡してこなかったの!?心配したじゃん!試合中でも連絡できればして欲しかったのにっ!!あとあの試合は何!?もうちょっと自分を大切にしなよ!!」

 

「い、いや、あの無茶は必要なことであって………」

 

「今は私が喋ってるから黙ってて!!」

 

「ハイ……」

 

凛の気迫に血界もうなづいてしまう。

そこから約一時間くらい凛からの説教が続いた。

凛はトレーニングの合間に血界たちの怪我が心配で何度もラインしていた。

耳郎は凛に返事をしていたが、血界はそれを後回しにし、サボっていた。

親友たちがボロボロになっていく姿を見て、友達思いの彼女は気が気じゃなく、何度もラインを送っていたがラインを返さない血界を心配して耳郎に確認を取ってもらったりしていた。

体育祭中は仕方ないと思ったから終わった直後に連絡を何度も取ってみたが返事もなく、今日に至る。

彼女がこんなにも怒るのは心配の裏返しなのだ。

 

「……はぁ、色々言ったけど心配したんだから」

 

「そ、そうか。そろそろ正座崩してもいいか?足が痺れてきて……」

 

「それはダメ」

 

「そんなぁ……」

 

「そう言えば2人にこれを渡そうと思っていたの」

 

取り出したのは2枚のチケット。

それをずっと説教を見ていた耳郎に渡す。

 

「何これ?」

 

「私の初ステージかな?バックダンサーとしてだけど」

 

「それってすごいじゃん!私たちが貰っていいの?」

 

「マジか!ちょっ、ちょっと見せて……」

 

「血界は正座」

 

「アッ、ハイ」

 

立ち上がろうとする血界を凛は正座させる。

 

「応援してくれた響香たちに来て欲しいんだ。私がアイドルとして立つところをね」

 

以前よりも凛々しい顔になった凛に耳郎は自分の娘が成長したような感動を覚えた。

 

「凛……うん、絶対に見にいく」

 

「氷麗とクロにはもう渡したから。2回席だけどよく見れる場所だよ」

 

「ありがとう。これから暇?どこか食べに行かない?」

 

「レッスンまで時間あるからいいよ。どこに行こうか?」

 

2人は公園を出ようとするが、血界が待ったをかけた。

 

「ちょっ!?待てって!俺を置いていくのかよ!?」

 

「一緒に行きたかったら立てばいいでしょ?」

 

凛がいたずらっ子のように意地悪い笑みを見せ、血界が立ち上がろうとするが足が生まれたての子鹿のように震え、こけてしまう。

 

「た、頼む。助けてくれ……」

 

「血界には罰として今日はそのままでいて貰おうかな?」

 

「なぁ!?」

 

「早く来ないとこのチケット、ヤオモモにあげちゃうよ?」

 

「耳郎!お前もか!」

 

まさかの耳郎も血界弄りに参加し始めた。

耳郎と凛は楽しそうにして、血界は痺れる足に悶絶していた。

 

 

『不器用な親』

 

凛からの折檻が終わり、家に帰ってきた血界は疲れたようにため息を吐いた。

 

「はぁ…酷い目にあった」

 

そうボヤきながら、まだ痺れが残る足をさすった。

するとまたラインの通知が届いた。

 

「また凛じゃないだろうな……」

 

スマホを見ると表示されているのは『緑川 血糸』の名前だった。

 

「おじさんからだ」

 

『今日の夜は飯を作らずに待っておけ』

 

そう簡単な文しか載っておらず、意図が全く分からなかったがとりあえず指示どおり待つことにした。

そして夕方になり、血糸が帰ってきた。

 

「あ、お帰り」

 

「支度しろ。出かけるぞ」

 

「へ?」

 

血糸に言われるがままとりあえずはドレスコードがしっかりした服に着替え、車に乗せられあるホテルにやってきた。

各界の著名人たちがお忍びとして使う高級ホテルだ。

 

「ここって……」

 

「こっちだ」

 

血糸に連れて行かれるとホテルの最上階にある展望レストランの個室だった。

 

「すげぇ」

 

個室の内装、そしてなにより部屋から臨む東京の夜景が素晴らしく、そういうのに疎い血界も感動するほどだ。

 

「チーくん。こっちよ」

 

「楓姉ちゃん!」

 

既にテーブルには楓が座っており、笑顔で手を振っていた。

 

「なんでここに?てか、今日って何の日?こんな高級そうなところで」

 

「何って、チーくんのお疲れ様会よ。体育祭あんなに頑張ったんだから」

 

「俺からしてみれば反省会だ。お前には色々と言いたいことがある」

 

それから絶品のフルコースが運ばれてきて、舌鼓を打つが血糸の説教と楓の褒めが交互に血界に浴びせられ、なんとも言えない感じで血界は聞いていた。

そろそろゲンナリしてきた血界にまだ説教することがあるのか、血糸が口を開こうとすると彼のスマホが鳴った。

 

「すまない……仕事場からだ。少し席を外す」

 

そう言って席を外した血糸を見送って血界はホッとした。

 

「はぁ…まさかこんなところで説教されるとは思わなかった。おじさん怒るとき静かに怒るから神経すり減るんだよなぁ」

 

「ふふっ」

 

疲れた様子の血界を見て、楓はクスリと笑った。

 

「何がおかしいんだよ?」

 

「ううん、今回のこの食事ね。やろうって言ったの誰だと思う?」

 

「楓姉ちゃんじゃないのか?おじさん、あんまり店で食べるの好きじゃないし」

 

そう言うと楓はまた可笑しそうに笑う。

 

「なんだよ?」

 

「実はね……血糸さんがやろうって言ったの」

 

「おじさんが?」

 

血界は信じられないと言った表情になる。

血糸は相澤みたいな合理主義者で、あそこまで酷くないがそういったことはしないように見えた。

 

「血糸さん。チーくんが戦っている時も心配そうだったのよ?」

 

「……全然想像できない」

 

「表情は変わってなかったから、でも血糸さんはチーくんのこと内心では褒めてるわ」

 

「そっか……」

 

血糸のことを自分よりもよく知っている楓がそう言ってるのだ。

血界は信じることができ、滅多に褒めることがない血糸がそう思ってくれていることに嬉しくなった。

 

「すまないな、席を外してしまった。……なんで笑っている?」

 

「いや、別に」

 

その後も血糸の説教じみた小言は続いたが血界は始終嬉しそうだった。

 

 

イギリスのとある寂れた町にある地下バーに2人の人物が話していた。

1人は細身だが筋肉質だとわかるアジア系の男、もう1人は古い型のライフルを背負った緑髪の可憐な少女だ。

 

「それで?ボスを向かいに行くのはいつになったの?」

 

「あー、2週間後ぐらいじゃねぇか?」

 

「ぐらいって何よ?」

 

「しゃーねぇーだろ。あの人気まぐれなんだからよ」

 

「はぁ、まぁいいわ。今はそれよりメンバーよ。殆どのメンバーはヴァンに殺されたか、投獄された。補充が必要だわ」

 

「補充たってな。そうそう見つかるか?マフィアに媚びでも売って人材貰うか?」

 

男は酒を飲みながらそう吐き捨てるかのように言った。

 

「マフィアに借りを作りたくないわ。どうにかしてフリーの強者を手に入れたいけど……」

 

少女がそう言うと背後にある扉に目を向ける。

扉の奥からゆっくりと階段を降りてくる音がしてくる。

少女はライフルを扉に構え、男はグラスを置きいつでも動けるようにする。

足音が扉の前で止まり、ゆっくり開けられる。

扉の奥に立っていたのは紫髪で目に傷がある男が立っていた。

立っているだけだというのに男からは気迫のようなものを感じ、少女は冷汗を流す。

 

「アンタ、誰?」

 

少女はライフルの照準を男から外さずに質問すると男はゆっくりと口を開いた。

 

「俺は、ローグ」

 

 




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