僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.37 ヒーローであり、パパである。

火炎人形事件と名付けられた出来事はライトニングの活躍により解決した。

事件の後始末をするだけだが、ヴィランを倒したライトニングは詳しい情報を警察と照らし合わせるため、血界とは離れていた。

血界は1人何をするわけでもなく、警察とライトニングから少し離れたところからその様子を見ていた。

しかし、頭の中では先ほどのことを思い返していた。

火本に人質が捕まった時に何もできなかったのだ。

まだ学生の自分が何ができると言うわけでもないが、しかしあ状況で血界は何もできないことが改めて認識した。

 

(俺は戦うのは得意だけどそれだけだ……それ以外だと本当に何もできないな)

 

自分の手を見て、そう振り返る血界に2人の影が近づく。

 

「よお!血界!」

 

「峰田!」

 

話しかけてきたのMt.レディの下に職業体験をしに行った峰田と、

 

「初めまして『塩崎 茨』と申します」

 

髪が茨のような物になっている女子、塩崎 茨だった。

 

「初めまして。えーっと、どっかで会ったことありましたっけ?」

 

「いえ、同じクラスの氷麗さんと旧知の仲だと聞きましたのでご挨拶をと思いまして」

 

「はぁ……、こりゃ丁寧にどうも」

 

頭を下げる塩崎に血界も自然と頭を下げてしまう。

 

「血界さんは流石ですね。邪悪なる者にいち早く気づき、対処するとは」

 

「邪悪なる者?」

 

「ヴィランのことじゃねーか?」

 

「ああ、なるほど。気づけたのは良かったけどその後がダメだったけどな」

 

「そうか?学生なんだから何もできなくてしょうがなくないか?」

 

「それでもだよ……」

 

峰田がフォローするが血界は納得がいかないみたいだ。

 

「それよりだ!お前346プロにいんだろ!?誰かアイドルと知り合わなかったのかよ!例えば及川 雫とか片桐 早苗とか!!」

 

「邪悪な……!」

 

突然打って変わったかのように興奮し始めた峰田を見て、塩崎は嫌悪感MAXでそう呟いた。

するとそんな峰田のヒーロースーツについてあるマントを掴む者がいた。

 

「事件処理も終わったわ。戻って掃除よグレープジュース」

 

「えっ!?またかよ!?嫌だ!行きたくない!」

 

「諦めなさい」

 

Mt.レディが峰田を捕まえ、引きずって行ってしまった。

 

「ヴァイン、私たちも戻るぞ」

 

「はい、シンリンカムイさん。それでは血界さん、また」

 

塩崎は頭を下げて、職業体験先のシンリンカムイの下へ行った。

警察との話し合いが終わったライトニングも戻ってきた。

 

「次の現場行くぞ。早くしないと『アイツ』が来る」

 

「次の現場?アイツって?」

 

「アイツってのは……」

 

ライトニングが言葉を続けようとした瞬間、現場に何かが落ちてきた。

その衝撃で辺りに突風が吹き荒れる。

 

「何だ!?」

 

「あー、来たか」

 

突然のことに慌てる血界だが、ライトニングはどこか疲れた様子だ。

 

「広域活動できるヒーローは限られていてな。車がある俺、空を飛べるホークス、そして……」

 

「ハッハッハッ!!私が来たぞ!!蹴っ飛ばしてやる!!」

 

褐色の肌にウサギをモチーフにしたヒーロースーツを着た乱暴な女性、現在ヒーロービルボードNo.7のラビットヒーロー『ミルコ』だ。

 

「飛んで跳ねるウサギちゃんだ」

 

「すげぇ、ミルコだ」

 

流石の血界も連年トップ10入りをしているミルコは知っているのか驚く。

ミルコは周りの様子を見てヴィランを探している。

 

「あ?どこで暴れてんだ?」

 

「もう終わったぞ、ウサギちゃん」

 

「あっ!!ライトニング!!またテメェか!!」

 

ライトニングを見つけるとミルコは迫ってくる。

 

「テメェ!オレの邪魔してんじゃねェよ!!」

 

「邪魔なんかしていない。ウサギちゃんが来るのが遅かったんだろ?」

 

「ウサギちゃんって言うな!!オレは『ミルコ』だ!!」

 

食ってかかってくるミルコにライトニングは慣れたようにあしらう。

 

「せっかくお前より早く解決してやろうと思ったのによ〜……」

 

悔しそうにするミルコを見て、ライトニングは少し笑みを見せる。

 

「なんでそんなにオレに突っかかってくるんだか……アレか?オレのこと好きなのか?」

 

ライトニングは揶揄うように言うと、ミルコの顔は真っ赤になった。

 

「バッ、な、何言ってんだよ!!バッカじゃねぇーの!?」

 

(あ、この人わかりやすい)

 

わかりやすく反応するミルコに血界はそう思った。

するとライトニングの車のモニターがつき、メディスが映る。

 

『応援要請、応援要請、代々木でヴィランが暴れてる模様。至急応援をお願いします』

 

その一言にライトニングもミルコも顔を真剣なものにする。

 

「じゃあ勝負だライトニング!」

 

「何がじゃあだよ」

 

「このヴィランを最初に蹴っ飛ばしたら勝ちだ!いいな!?それじゃあスタート!!」

 

ミルコはライトニングの返事を聞かず、天高く跳んでいってしまった。

すると、ライトニングはモニターのほうを向き、メディスに向かって話しかける。

 

「助かったぜ。メディス」

 

『いえ、気にしないでください。応援要請は本当にありましたから』

 

「もう一つ、応援要請があるだろ。オレはそっちに行く」

 

『了解です。場所は五反田です』

 

車に乗り込んだライトニングたちは五反田に向かった。

その途中で血界がライトニングに話しかけた。

 

「あの一ついいですか?」

 

「何だ?」

 

「こんなにも応援要請ってかかるもんなんですか?なんか多すぎる気がします。各地にヒーローは複数いるわけですし手が困ることなんてそうそう無いと思うんですよ」

 

確かにさっきから応援要請がひっきりなしに来ている。

今はヒーロー飽和社会だと言うのに、まるでヒーローが足りていないみたいに見える。

 

「まぁ、地方のほうはヒーローが足りてるが東京近辺はそうじゃなくなった。6年前にな」

 

「6年前?何かあったんですか?」

 

「…………」

 

血界が質問するがライトニングは黙ってしまう。

すると黙ったと思ったライトニングが口を開いた。

 

「ただで教えるのは面白味がねェ。今日の終わりに課題を出す。それをクリアできたらチカイが知りたいことなんでも教えてやるよ」

 

「はい!」

 

ライトニングの課題に血界はやる気を見せる。

父親のこと、個性のこと、その他にもライトニングには聞きたいことがあるのだ。

 

 

○

五反田の現場に近づいたライトニングたちは車を止めた。

 

「チカイ、ここはお前1人でやってみろ」

 

「それが課題ですか?」

 

「いいや、その前フリさ。お前なら個性を使わなくてもいいところまで行けるはずだ。ただし個性の使用は牽制程度なら許す」

 

「わかりました」

 

「ほら、このインカム付けていけ。指示はこっちから出す」

 

ライトニングは血界にそう言いながら、小型の通信機を渡し、車を発進させた。

 

「1人でか……やってやる」

 

血界はインカムを装着し、現場に向かった。

 

 

○

事件の現場では2、3人のヒーローがヴィランを追いかけていた。

 

「待て!トランポリン!」

 

「やーだよー!」

 

ヒーローが追いかけているのは連続強盗犯『トランポリン』という名の女性ヴィランだ。

 

「5年かけて追い詰めたんだ!ここで逃すな!」

 

「そんなこと言ってアチキについて来れてないじゃーん!」

 

ヒーローの追跡を嘲笑うかのように逃げるトランポリンにヒーローの1人が攻撃する。

しかしトランポリンが踏んだ地面が波打ち、彼女は空高く飛び上がった。

ゆうにビルを超えていくトランポリンにヒーローはしまったと言った顔をする。

 

「じゃーねー!」

 

「待てよ!」

 

「!!」

 

去っていこうとするトランポリンに血界がビルの屋上から飛び出し、捕まえる。

 

「ちょっ!新手のヒーロー!?」

 

「…の卵だよ!」

 

もがくトランポリンは血界に向けて個性を発動する。

彼女の個性はその名の通り『トランポリン』、自分が認識した物質がトランポリンのように波打ち、弾力のあるものになる。

しかし、彼女しかその効果はなく、他の人には硬い物質のままだ。

トランポリンは血界の服に触れると服が波打つ。

 

「じゃーね♪」

 

「がはっ!?」

 

ドロップキックの要領で血界の服を蹴ると血界は跳ね飛ばされ、トランポリンと距離ができる。

 

「〜〜っイッテェ!?」

 

(離れた!ここで逃したら……!?)

 

また被害が広がり、悲しむ人が増える。

そんなことはさせない。

 

「盾をぶつけて、落としてやる!ブレングリード流血闘術…!」

 

「『117式 絶対不破血十字盾』!!」

 

「ナニソレ!?」

 

盾を作り、放とうとするがあることに気づいてしまった。

 

(周り建物しかねえじゃねえか)

 

血界の眼下に広がるのは密集するビル群、ここで技を放ったら建物が崩れ被害が広がる。

 

「……くそっ!」

 

血界は腕をふるって盾を消す。

 

「なんだかよくわからないけどラッキー!」

 

トランポリンは地面に着地したらまた個性を発動しようと考える。

しかし、そうはいかない。

 

「やっぱり個性が使えなかったか……まぁ、いい囮にはなったな」

 

500mほど離れたビルからライトニングがライフルのスコープを覗きながら呟き、個性を発動する。

 

「BBA STRAFINGVOLT 2000」

 

雷を押し込めたライフル弾が放たれ、トランポリンに向かっていく。

 

「え?」

 

弾丸はトランポリンも当たり、事件は終わった。

 

 

○

事件が終わり、次の現場に向かいながらライトニングは血界に話しかける。

 

「どうだった?」

 

「また何もできませんでした」

 

血界は落ち込むながらそう言う。

 

「最初からアイツを捕まえられるとは思っていない。が、自分の課題は見えたんじゃないか?」

 

「え?」

 

「さあ、あと何件かこなしたら事務所に戻るぞ」

 

ライトニングはそう言ってアクセルを強く踏み込んだ。

 

 

○

1日で大小10件近くの事件を解決したライトニングに血界は驚嘆した。

即座にヴィランの動き、個性を把握する洞察力。

一撃で相手を倒す力。

警察との連携。

人命救助の手際の良さ。

他にも学ぶところは多々あり、当初の親バカの印象はもうなくなりかけていた。

そんな彼らはスーパーに来ており、スポーツドリンクやお菓子などを大量に買っていた。

 

「あのライトニングさん、これは?」

 

「差し入れだ」

 

そう言ってスーパーから出た2人は346プロに戻り、敷地内にいくつもある建物の中で少し離れている建物に向かった。

 

「ここは?」

 

「346プロってのは芸能界でとても大きな会社でな。様々な対応ができるように色々な建物があるんだ。ここはその中で撮影、レッスンなどを行う場所だ」

 

エレベーターに乗った2人は地下5階まで降りていく。

降りた先には扉があり、そこから音楽が流れていた。

 

「ここもレッスンをするとこですか?」

 

「ああ、しかもここはステージでの臨場感を味わいながら踊りもできる大型の運動場だ」

 

扉を開けるとそこには有名なアイドルが全体曲を踊っていた。

しかもステージのセットもあり、観客もいる。

 

「セット!?観客もいるし!?」

 

「スゲーだろ。あれ全部ホログラムだ」

 

血界が驚くと曲が終わり、ダンスの合わせも終わったようで、観客もセットも消えていった。

 

「今のは中々良かったわね」

 

「はい!全力で!踊れました!」

 

踊り終えた彼女たちが休憩しようとすると、その中に向かっていく城ヶ崎莉嘉が見えた。

 

「おねーちゃーん!」

 

「莉嘉!どうだった?」

 

「すごかったよ!イケてた☆」

 

どうやら彼女たちのレッスンを見学していたようだ。

ライトニングはその彼女たちに近づいていく。

 

「お疲れ」

 

「あら、ライトさん。お疲れ様」

 

『お疲れ様です!』

 

「パパだー!」

 

「………」

 

莉嘉と美嘉以外は挨拶をするが、莉嘉はライトニングに抱きつき、美嘉はそっぽを向いてライトニングと顔を合わせない。

 

「美嘉、莉嘉……大丈夫かい!?怪我とかしてない!?疲れとかは!?あっ、ほらスポドリとかお菓子買ってきたよ!!」

 

「もう!そんな簡単に怪我なんかしないよ!」

 

「………」

 

(えー……)

 

突然猫撫で声になり、心配そうに美嘉と莉嘉に話しかける。

さっきまでのクールなライトニングはいなくなり、今朝の親バカに戻っていた。

 

「美嘉!美嘉は疲れてないかい!?」

 

「レッスンしたんだから疲れてるに決まってんじゃん」

 

「そうなのかい!?じゃあ今すぐ休もう!」

 

「もう!鬱陶しいって!」

 

「美嘉〜……」

 

美嘉はライトニングに邪険に扱い、1人離れていく。

皆はそれがいつものことのようで苦笑いする。

すると最初にライトニングに挨拶した川島瑞樹が血界に気づいた。

 

「あら?貴方は……?」

 

「あ、どうも初めまして。雄英から職業体験に来ました血界・V・ラインヘルツです」

 

「あっ!貴方ケイトさんの甥っ子さんね!私は川島瑞樹。ケイトさんとは昔から仲良くさせてもらってるわ。この前の体育祭見たわよ。凄かったわね」

 

「瑞樹さん知り合いなんですか?」

 

「まゆちゃん、ほら雄英生よ。チーフさんの甥っ子さん」

 

「チーフさんの!……初めまして、佐久間まゆと申します。『今後』ともよろしくお願いします」

 

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

何故か含みがある言葉に血界は首を傾けるが深くは聞いてはいけない気がした。

他にもいたアイドルたちに挨拶と質問責めされるが、血界はライトニングと美嘉の関係が気になった。

 

「あの、あれ大丈夫なんですか?」

 

「あれ?ああ、美嘉ちゃんね。あれはライトさん限定の反抗期だから大丈夫よ。普段はとってもいい子だから」

 

その一言にとりあえずは納得するがライトニングのギャップを見てしまって、複雑な心境だ。

 

「とにかく!私もう帰るから!」

 

「じゃあ車で送るよ!夜道は危ないから!」

 

「茜たちと一緒に帰るからいらない!行こ!」

 

「それじゃあ!皆さん!お疲れ様でした!!」

 

「お疲れ様です。血界さん、また今度チーフさんのこと教えてくださいね」

 

「お疲れ様でした」

 

美嘉は茜、まゆ、小日向美穂とともにレッスン場を出て行った。

 

「美嘉〜……」

 

「パパ大丈夫?」

 

「うん、ありがとう。莉嘉もお姉ちゃんと一緒に帰りな。パパはもう少し仕事してから帰るから」

 

「……わかった!先に帰ってるね!じゃあね瑞樹さん、ヒーローのお兄さん!」

 

莉嘉は手を振って美嘉たちを追いかけて行った。

 

「よし、さっそく訓練をするぞ」

 

「切り替えはやっ」

 

「ハハ……私も帰るわ。この後楓ちゃんたちと呑みに行くけどライトさんはどうする?血界くんも一緒に?」

 

「いや、少しだけ教えたら俺も帰るから、今回は遠慮しとく」

 

「そう、じゃあまた今度ね。それじゃあ、血界くんも頑張ってね」

 

「はい!ありがとうございます」

 

瑞樹は血界に笑顔を向けて、レッスン場を出た。

 

「じゃあ訓練内容だ」

 

「あっ、進めるんだ。あ、いやすいません、なんでもないっす」

 

一瞬ライトニングの眉尻が上がり、血界は慌てて謝る。

ライトニングは血界から離れ、マグナムを抜く。

 

「今日で自分の弱点が浮き彫りになっているはずだが、もう一度確認する。そのためにこれから15分間……」

 

マグナムの弾丸を入れ替え、スナップしてシリンダーを戻す。

 

「俺と戦え」

 

日本で6番目の実力を持つ男と戦うことになった。

 

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