僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood 作:マーベルチョコ
突然のライトニングの発案に血界は驚いてしまう。
「え、いきなりですか?」
「そうだ。パトリック!場所を作ってくれ」
ライトニングが天井に向かって叫ぶとスピーカーもないのに声が響く。
『オウよ!条件はあるかい?』
「え?だれ?」
「市街地だ。周りはビルで路地裏での戦闘だ」
『了解、こんな感じかい?』
すると血界たちの足元がせり上がり建物を形成していく。
それだけでなく、ゴミ箱、看板などあらゆる障害物も現れる。
さらに車の走る音、人の声などの本当に市街地にある光景になる。
「スゲー…」
「サンキューな」
『いいってことよ』
血界はすぐに作られた路地裏の光景に驚いてしまう。
「すごいだろ。ウチのメカニックが作ったんだ」
「今の声ですか?」
「ああ、パトリックって言うんだ。あとで会ってやってくれ」
ライトニングは銃を持ち、血界を見据える。
「今から15分、俺と戦ってもらう。お前の勝利条件は一つ、俺に一撃でも当てればいい」
「舐めすぎじゃないですか?」
流石の血界もその条件に血界は怒りを覚える。
そこらのヴィランと1対1でも勝つと自負している。
USJ、体育祭での経験がより自分を育てたと思っている。
「流石になんの条件も無しだと俺も一筋縄ではいかないからな。今回は条件付きだ。周りの建物を壊すな。ある一定の破壊なら許すが倒壊させるようなものだとお前の反則負けだ。いいな」
「……うっす」
「それじゃあ、かかってきな」
そう言ったライトニングは構えることもせずに片手に銃を持ったままの自然体だ。
(とりあえずは近づく!)
殴るのが主体の血界に距離が空いていることは致命的だ。
そう思い、いつでも防御ができるように力は込めて置きながらライトニングに向かって走るがライトニングは銃を構えず、タバコに火をつけ始めた。
(舐めてるのか!)
ライトニングに向かって拳を振るうが、体を少しズラすだけで全ての攻撃が交わされてしまう。
「一撃で倒そうと考えすぎだ」
攻撃をかわしたのを利用し、血界の腹に回し蹴りを放つと吹っ飛んでしまう。
「がっ!?」
「また距離が空いたぞ。どうする?」
「なら!ブレングリード流血闘術……!」
「お、それか」
「『32式 電速刺尖撃』!!」
高速移動に乗せた血の槍での攻撃、しかしそれもライトニングは体をズラすことでかわす。
しかも血界が向かってくる場所がわかっていたのか、足を置いており、血界はその足に引っかかって転んでしまう。
「うわっ!?」
高速移動も相まって盛大に転んで、ゴミ箱に突っ込む。
「どうした?バナナの皮でも踏んだか?」
「クッソ……!」
揶揄うように笑うライトニングに血界は苛立ちを隠せない。
(強い攻撃を使いたいけど、周りの建物も壊しちまうかもしれない。迂闊に使えねえ)
「強い攻撃を使いたいが建物が邪魔だとか考えてるだろ?」
ライトニングに今まさに考えていたことを言われ、ドキッとしてしまう。
「攻撃がワンパターンなんだよ。そろそろいくぞ」
ライトニングはタバコの吸い殻を捨て、血界にマグナムを向ける。
血界は今は距離が空いているため、身を隠そうと動こうとするが横道に入ろうとした瞬間、そのことがわかっていたのか血界の目の前を弾丸がかすり通る。
「アブネッ!」
「そら、どんどん追い込んでいくぞ」
連続で3発打ち込むがそれのどれもが血界が動こうとして箇所に向かっての攻撃だ。
(動きが読まれてる!?)
徐々に追い込まれていく血界は打って出ることにした。
「ブレングリード流血闘術……!」
血の盾を出来るだけ最小限の大きさにし、ライトニングに向かって振るう。
「『117式 絶対不破血十字盾』!!」
血の盾はライトニングに向かっていくが、またかわされる。
しかし、そのすぐ後ろを血界は走って、ライトニングに近づく。
右拳に力を込め、ライトニングの顔面に向かって振るう。
しかし、
「大振りだな」
拳はかわされ、懐に入ってきたライトニングに顎に銃を突きつけられ、動けなくなったのと同時に勝負もついた。
「俺の勝ちだ」
「……参りました」
ライトニングのその言葉に血界は悔しそうにしながら負けを認めた。
○
市街地から普通のレッスン場に戻ったが、血界の気分は晴れない。
(もっと広いところなら……)
そんな負け惜しみみたいなことを考えていると、ライトニングに話しかけられる。
「今、広いところで戦ったらもっと上手くやれたとか考えてただろ」
「えっ」
(なんで考えがわかるんだよ?)
ライトニングはタバコに火をつける。
「広いところで戦ったとしても俺は勝つ自信がある。さっきのはお前が自分の弱点に気づいてもらうためにステージの条件をつけたがな」
一回煙を吐いてから話を続ける。
「体育祭でも見させてもらったが、確かにお前は強い。同世代ではダントツでだろう。決勝だって怪我がなければ優勝していた。だけどそれは同世代での話だ。格上、未知との戦いとなったら今のスタイルじゃ負けるぞ」
「今のスタイルって……」
「右の大振りでの一撃必殺。それがだいぶ目立った。格闘技は誰にも習ってないんだろ?殴り方が喧嘩スタイルだ」
「はい……」
血界は喧嘩していたことが知られて少し恥ずかしそうだ。
「そう恥ずかしそうにするな。逆に喧嘩スタイルでよくあそこまで強くなったと思うけどな。さっきも言ったが大技狙いの喧嘩スタイルじゃこれから行き詰まる。だからこれからの課題は『ボクシング』だ」
「ぼ、ボクシング?」
「左の牽制と右の必殺、言ってしまえば体育祭の決勝で見せたそれに攻撃を加えるんだ。それだけでも劇的に変わるぞ。ニュースタイルを手に入れたお前はもっと強くなれる」
ライトニングの絶対的な自信を見せるその一言に血界は身震いする。
これほどまで強くなれると言ってくれる人なんて今までいなかった。
その感動が血界に走る。
「とりあえず基本的な構えと打ち方を教えてやる」
「わかるんですか?」
「これでもガキの頃はボクシングやってたんだ。体に染み付いている」
基本的なボクシングの構えとジャブ、ストレートの打ち方を教える。
「まっ、こんなとこだな。パトリック!ヴィランドローンを数体出してくれ」
するとレッスン場の小穴からソフトボールほどの大きさのドローンが出てきた。
「これはヴィランドローンって言ってな。的打ちには丁度いい。これが縦横無尽に飛び続けるから、まずはジャブだけでやってみろ」
「うっす!」
ドローンは一斉に血界に向かっていき、彼の周りを飛び続ける。
「最初はなかなか当たらないもんだ。焦らず、しっかりと感覚を掴むことが……」
ライトニングが言葉を続けようとするが彼の横を殴り飛ばされたドローンが通り過ぎた。
「当たった!」
「もうかよ」
血界は嬉しそうにするがそのひまを与えようとせず、ドローンは血界に向かっていく。
しかし、その全てが血界に殴り潰される。
血界のフォームはデタラメなものではなく、しっかりとしたものだった。
(元々体は出来上がっているから、飲み込みは早いと思ったがここまで早いか。喧嘩で殴るのは慣れているとしても異常だぞ)
血界のフォームを見て、ライトニングはそう考えた。
「もういい。思った以上に飲み込みが早いな。これなら次に行ける」
「次?」
「ワンツーコンボのストレートの時、個性を使ってみろ」
「技ってことですか?」
「いや、ただ発動させるだけでいい」
血界はワンツーコンボに個性を発動させると血のように赤いエネルギーを纏った両腕はさっきよりもスピードは速くなり、拳圧だけでも風が巻き起こるほど力強い。
「おお!さっきより強い」
「技が個性だと思い込んでいたみたいだからな。実はそうじゃない。あくまで技は技。それがお前の個性だ」
「これが……あの俺の個性の名前って知ってますか?」
「なんだ知らないのか?ケイトから聞いてると思ってたが」
「おじさんから?」
血糸は知らないと言っていたがライトニングは知っていると言うことに首を傾げる。
「まぁ、いい。じゃあお前が課題にクリアできたらそれも含めて教えてやるよ」
「そういや課題ってなんですか?」
「1週間後、つまり職業体験最終日に俺ともう一度戦ってもらう。それが課題だ。そん時にさっきの条件で勝てたら教えてやるよ。たった1週間で俺を驚かせてみやがれ」
「上等ッ!」
1週間後また挑戦ができる。
今回は何もできなかったが、1週間後は勝ってやるとヤル気が高ぶる。
ここから血界のニュースタイルへの特訓が始まった。