僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.40 ヒーローの仕事

保須に着いた血界たちの目に映ったのは、辺りで煙と炎が立ち上る街だった。

 

「酷いな……」

 

「ここまでだったか、派手にやってくれるな」

 

血界はその光景に呟き、ライトニングは眉を潜めた。

すると路地裏から数人の民間人が飛び出してきて、その後ろからUSJを襲った脳無に似たヴィランが追いかけてきた。

 

「脳無!?」

 

驚く血界だが、ライトニングは脳無が現れた瞬間マグナムを抜き、胴体に2発当て脳無の動きを止めた。

 

「チカイ!市民を逃せ!俺がアイツらの相手をする!」

 

「はい!でも、アイツらって……」

 

今いる脳無は一体だけのはずだが、と思っているとその路地から十数体の脳無が溢れるように出てきた。

 

「分身か、分裂の個性か?」

 

分身体脳無は一斉にライトニングに飛びかかる。

 

「ライトニングさん!」

 

しかし、その直後十数回の発砲音が鳴り響き、脳無は倒れた。

 

「は?一瞬で?」

 

ライトニングは目にも止まらぬ速さで引金を引き、リロードを行い、全ての脳無を鎮圧してみせたのだ。

 

「いつ抜いたかも分からなかった」

 

ライトニングの早業に驚く血界の背後から分身体の一体が襲いかかってきた。

 

「ちっ!」

 

振り返り、迎撃しようとする血界だがすぐにライトニングの弾丸が脳無に命中する。

 

「気を抜くな。まだ本体を倒していない」

 

ライトニングが倒した脳無たちは泡となり消えていった。

しかし、それでも周りからは爆発音や悲鳴が絶えない。

 

「思った以上に被害が酷いな。チカイ!お前は避難誘導が終わったら一緒に避難しとけ!」

 

「そんな!俺も戦えます!」

 

追って来ようとする血界のほうを振り向き、悟すように叱る。

 

「………血界、お前は戦士になりたいのか?違うだろう。ヒーローになりたいんだろうが。周りを見ろ」

 

周りには助けを求める人が多くいる。

 

「自分が何になりたいかよく考えて行動しろ」

 

血界にインカムを渡し、ライトニングは被害が酷いほうに走って行った。

 

「……たく、こういうのは慣れないな」

 

「ライトニングさん!」

 

血界がライトニングを呼ぶがライトニングは無視して行ってしまった。

 

「なりたい自分が何か……」

 

ここまで被害が広がっているのに何もせずに避難するのに、血界は歯痒い思いだった。

自分も戦える、奴らに勝てるとさっきまでは頭の中ではその考えで埋め尽くされていた。

しかし、ライトニングの言葉に頭が一気に晴れた血界はさっきまでの自分に反省する。

轟にも言ったことなのに自分がそれを言われ恥ずかしくなる。

 

「今は俺ができることを……」

 

ライトニングの言葉を思い出し、血界が周りを見て、逃げ遅れた人がいないか確認していると血界の後ろで女の子の泣き声が聞こえた。

 

「ママ〜…どこ〜……」

 

泣いている女の子を放っておいてヒーローを名乗れるはずがない。

すぐさま血界は女の子の元に行き、膝を下ろして目線を合わせる。

 

「大丈夫か?お母さんと離れたのか?」

 

「グスッ……うん」

 

「たぶん避難所にいるはずだから一緒に行こう」

 

血界は女の子を連れて、避難所に向かった。

避難所は近くの学校で、多くの人が避難していた。

周りを警護していたのは警察官だが、現場が混乱しているのかその数は少なかった。

避難した皆が一様に不安そうな顔をしている。

血界が女の子の母親を探していると女の子が指をさし、声を上げた。

 

「ママだ!」

 

「美咲ぃ!!」

 

涙を流しながら駆け寄る母親は娘に抱きついて、血界にお礼を言った。

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

「ありがとうお兄ちゃん!お兄ちゃんってヒーローなの?」

 

美咲という名の女の子が質問すると血界は笑顔で答えた。

 

「おう!って言ってもまだ卵なんだけどな」

 

すると突然悲鳴が上がった。

 

「ヴィランだー!!」

 

「キャー!!」

 

悲鳴の方から分身体と同じ形の脳無が血界のほうに向かってきていた。

避難所を守っていた警察官はすでに行動不能になっていた。

血界がそれに気づいた瞬間、脳無が血界に突撃した。

母親は娘を抱きしめ、脳無に背を向けるようにし、娘だけでも守ろうとするが、いつまで経っても痛みが来ない。

恐る恐る後ろを向くと血界が脳無を抑えていた。

 

「お兄ちゃん!」

 

「ぐぐ……!早く逃げろ!」

 

「ァー?」

 

脳無と組み合う形で動きを封じたが、徐々に押され始める。

 

(こいつ…!USJのときほどじゃないけど力が強え!このままじゃ……)

 

「ァっ!」

 

「うわっ!?」

 

次の瞬間、脳無は血界と手を組んだまま、持ち上げ地面に叩きつけ、放り投げた。

 

「がっ……!」

 

倒れた血界を見た脳無は怯える市民を見て嗤った。

 

「ぁー」

 

その嗤う姿を見て、市民はもうダメだと思った瞬間、脳無の後ろから紅い光が輝く。

 

「ブレングリード流血闘術……!」

 

一瞬で脳無の頭上に移動した血界はナックルガードを装着した右拳を振り下ろす。

 

「『32式 電速刺尖撃』!!」

 

「ァッー!!」

 

血の槍が脳無に突き刺さり、動かなくなった。

 

「やっちまった……」

 

ヴィランとは言え、未だに免許を持っていない血界が個性で倒してしまった。

失敗したと思ったが、次の瞬間歓声が上がった。

 

「ありがとう!」

 

「助かったよ!」

 

「君って体育祭の決勝で戦っていた子だろ?やっぱり強いな!」

 

皆が一様に喜んでくれて、血界はこれが守る、ヒーローの仕事なんだと初めて実感できた。

 

 

○

脳無は動かなくなり、応援に来た警察に連行されて行った。

血界は警察から少しお小言をいただいたが、最後はよくやったと褒められた。

引き続き、避難所で避難の誘導をしていると緑谷からクラス全体のグループにラインが来た。

そこは保須のどこかの位置情報だった。

 

「緑谷?アイツも保須に来てたのか」

 

血界は訳が分からなかったが、保須の現状を知っている血界は只事ではないと直感した。

 

「すいません、メディスさん。……メディスさん?」

 

とりあえずメディスからライトニングに取り次いでもらおうとインカムで連絡を取るが応答がない。

インカムを外すと壊れていた。

どうやら脳無に地面に叩きつけられた時に壊れてしまったようだ。

 

「仕方ない、ラインで連絡だけ入れてこう」

 

血界はラインでライトニングに連絡を入れておき、位置情報の場所に向かった。

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