僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.41 BOX!!!

時間は遡り、血界が避難所に向かっているころ。

ライトニングは分身する個性を持つ脳無の鎮圧を続けていた。

 

(一体一体は雑魚だが数が多い……ゲーセンにあるゾンビゲームみたいだな)

 

そんな能天気なことを考えながらも四方八方から襲ってくる脳無に、ライトニングが撃った弾は全て急所付近に命中しており、倒していく。

するとライトニングの背後から景色から突然現れたように脳無が現れる。

ライトニングを襲おうとするが、顔面にマグナムを突きつけられる。

 

「気づいてるよ」

 

引き金を引こうとした瞬間、その脳無は横からの炎に包まれた。

 

「アッチ!」

 

ライトニングは慌てて離れると炎が出てきた方向から声が聞こえてくる。

 

「チッ、蚊トンボみたいに沢山いるな。だが、安心しろ。この『エンデヴァー』がいる」

 

現れたのは体から炎を滾らせる男、エンデヴァー。

轟の父親であり、日本ヒーロー界でNo.2の男である。

 

「何カッコつけてんだよ!炎司!危うくコッチに火がつくところだったわ!」

 

「むっ、ライトニングか……助けて損をしたわ。それとヒーロー活動中はヒーロー名で呼べとあれほど言っただろう。言ったことすら守れんのかお前は」

 

「あー、そういうこと言うんだ。全くお硬い奴なことで。だから息子に嫌われるンだよ」

 

その一言にエンデヴァーの火がついた。

 

「嫌われておらんわ!あれは一時的な反抗期だ!!」

 

「いいや、嫌われてるね。バリバリ嫌われてるね」

 

「それを言うなら貴様も娘に嫌われとるではないか!!」

 

「嫌われてねーし!あれこそ反抗期だし!!」

 

「フン、娘が彼氏を連れてきたら絶対に反対するタイプだなお前は」

 

「許しませンー、美嘉と莉嘉はずっと俺の娘として生きますー。そういうお前だって息子さんが彼女連れてきたらどうすンだよ?」

 

「焦凍の嫁は俺が決める!!」

 

「そういうところが嫌われるンだよ!!」

 

やいやいと言い合う2人を後から駆けつけたエンデヴァーのところのサイドキックたちがどうするか話し合っている。

 

「あれ、どうする?」

 

「止めに入ったらコッチに被害が来るって、触らぬ神に祟りなしだな」

 

「でも、まだヴィランが……」

 

すると言い合っている2人の横から倒れていたステルスの個性を持つ脳無が起き上がり、2人を襲おうとする。

 

「危な……!!」

 

「「邪魔だ!」」

 

2人に呼びかけようとした瞬間、ライトニングとエンデヴァーは脳無に向かって雷の弾丸と炎を浴びせ、再起不能にした。

 

「よーし、じゃあどっちがこの事態を早く治められるか勝負と行こうぜ。それで美嘉の可愛さを証明してやるよ!」

 

「馬鹿を言うな!………焦凍のほうが優秀に決まっておろうが!」

 

何故かわからないが自分の娘、息子がどちらが良いか勝負することになった。

 

「もー、なんでいっつもライトニングさんと関わるとこうなるんですかー」

 

「仕方ない諦めよう……これで事態が早く治るわけだし」

 

ライトニングとエンデヴァーは同世代であり、何かと衝突するが息のあった優秀なコンビでもあった。

一時期はチームを組むのではないかと言われたほどだ。

いつもは会えば口喧嘩するほどだが、2人に1つだけ共通していることがある。

それは『親バカ』だ。

 

「美嘉のほうが可愛い!」

 

「焦凍のほうが優秀だ!」

 

この時サイドキックたちは息子さんがこの場にいなくてよかったと思った。

 

 

保須市でヒーロー活動をしている『マニュアル』の下に職業体験に来ていた飯田にはある一つの目的があった。

それは彼の兄、ステインに襲われたターボヒーロー『インゲニウム』である飯田 天晴の仇だ。

インゲニウムはステインによって重傷を負わされてしまった。

ライトニングが助けたため、命は助かり、足の後遺症も下半身不随のところまではいかなかったが、もういつものヒーロー活動はできない状態で、実質引退だ。

飯田にとって兄は緑谷がオールマイトに憧れるのと同じで憧れの存在である。

それを穢された飯田はステインを許すことができなかった。

そして脳無が暴れ回っている中、ヒーローを襲うステインを見つけ、対峙したが飯田は倒され、怨敵であるステインにヒーローとはなんたるかを説法された。

仇であるステインに自分が目指しているヒーローがなんたるかを言われるのは悔しさがこみ上げてくる。

それに激昂した飯田はステインが掲げるヒーロー像にそぐわず、粛清の対象であり、殺さなければいけないらしい。

刃を飯田に振り下ろそうとした瞬間、飯田と仲が良く、彼の動向がいつもと違っておかしいことに気づいた緑谷が駆けつけたのだ。

その後も轟が加勢したがステインの実力が高く、個性によって動けるのは轟だけになってしまった。

 

「チッ!こいつ強え!」

 

「終わりだ。お前とお前は見込みがある。ここでは殺しはしない。だがお前たちは粛清対象だ!」

 

ステインは飯田とその奥にいるヒーローを睨む。

 

「動けよ……!」

 

緑谷が立ち上がろうとするがステインの個性『凝血』により身動きが一切取れない。

轟が氷をステインに向けて、氷の壁を作ろうとするがステインはそれを切り捨て、轟に刀を向ける。

 

「まずはお前だ」

 

「しまっ……!」

 

あまりの速さ、身のこなしに轟は反応が遅れてしまう。

斬られると思った瞬間、ステインと轟の間に人が割って入ってきて、ステインの斬撃を防いだ。

 

「あっぶねー」

 

2人の間に割り込んできた血界はナックルガードを盾にしてステインの斬撃を防いだ。

 

「また子供か」

 

「テメェ誰だ?」

 

「血界!そいつがステインだ!」

 

轟がその言葉に血界は驚く。

 

「こいつがか!」

 

「実力は見ての通りだ。俺たちより全然強い。逃げたいところだが後ろの3人が動けねぇ」

 

「つまり、コイツを倒さなきゃ無理ってことだな」

 

血界は笑みを浮かべ、拳を構える。

 

「お前はなぜここに来た?」

 

「は?」

 

ステインが血界に向けて、そう質問し、血界は少し考える。

 

「俺ここに来る前にさ。担当のヒーローからヒーローになるなら、それを考えて行動しろって叱られたんだよ。俺がなりたいヒーローは助ける奴がいるなら何があったって助けるヒーローなんだ。だから、助ける!理由なんかそんなもんだ!」

 

血界はステインを睨むが、睨まれた本人は笑みを浮かべた。

 

「お前もいいな!」

 

刀を構え、獣のように姿勢を低くしたステインは笑みを浮かべながらもその獰猛な目を血界たちに向ける。

 

「お前たち3人は合格だ!生かす価値がある!だが、後ろのメガネとヒーローはダメだ。ここで消す!」

 

ステインが飛び出すのと同時に血界もステインに向かって駆け出し、右腕を後ろに引く。

 

(右の大振り……まだまだ実力はないな……)

 

ステインは冷静に分析し、右の攻撃を避けてから斬ると考えた瞬間、左からの攻撃がステインの頬を捉えた。

 

「っ!?」

 

一瞬何が起きたかわからなかったが、血界から伸びる左腕が見えた。

 

(当たった!)

 

血界は自分の拳が当たったことに驚いた。

なんせ左の攻撃は力を捨てた拳なのだ。

 

 

ライトニングが修行に付き合ってくれた時に教えてくれた。

 

「ボクシングで重要とされているのはなんだと思う?」

 

「素人だからなんとも言えないですけど……やっぱり必殺のストレート?」

 

「そうか、俺は違うな」

 

あっさりと否定するライトニングに血界は怪訝な顔になる。

 

「じゃあ何なんですか?」

 

「力を捨て、ただ速さを追い求めた拳……『ジャブ』だ」

 

「ジャブ?」

 

「格闘技において、わかっていても必ず当たってしまう技だ。なんでだと思う?ただ『速い』からだ」

 

ライトニングが拳を構え、血界の顔に向かって放つ。

風を切る音が鳴り、血界の髪が拳圧で揺れる。

しかし、血界はただ見てるだけ防ぐことができなかった。

 

「こんな風にな」

 

「………」

 

改めてされてみると実感できた。

 

「右のストレートは必殺に温存しておけ、一気に決めようとせず、まずはジャブで自分の流れを作れ。そうすればお前は劇的に強くなる」

 

 

血界はこのニュースタイルを師であるライトニングが使う道具で例えた。

 

(左のマシンガンに、右のマグナム……これが俺のニュースタイル!)

 

 

『BOXスタイル』!!!

 

 

左を前に、右を自分の顎に置いた基本的なボクシングのスタイルを構える。

しかし血界がそれをするだけで堅牢な守りと強烈な攻撃を放つ要塞のようだ。

しかもこの要塞は、動く。

ジャブを受け、体を仰け反らせるステインに血界はステップで近づき、連続のジャブを放ち、ステインを追い込む。

 

(近い!剣が振れん!)

 

ステインは一旦後ろに大きく跳び、距離を取ろうとするがすぐに血界はステインに詰め寄る。

 

「チッ!」

 

「ラァッ!」

 

ステインが舌打ちした瞬間、右のストレートがステインに向かって放たれた。

ステインは腕を立て防ぐが、吹き飛ばされ、に痺れが残る。

 

「すごい……!ステインを追い込んでいる!」

 

「緑谷、無事か?」

 

「轟くん。うん、体は動かないけど……」

 

「そうか。……血界の奴、戦い方が綺麗になってるな」

 

「うん、前みたいな危なっかしい戦い方じゃない」

 

緑谷は前々から血界の戦い方は自分の体を犠牲にする戦い方だと分析していた。

なんせ前まで自分も同じような戦闘スタイルだったからだ。

しかし、その認識も変わった。

2人は自分たちが一方的にやられていたステインを追い込む血界を見て、感嘆する。

 

「シャアッ!!」

 

ステインを吹き飛ばし、血界はガッツポーズを取る。

吹き飛ばされたステインはゆっくりと起き上がり、いつの間にか持っていたナイフを口元に持っていく。

 

「調子に乗るなよ……」

 

まだ、ステインの脅威は去っていない。

 

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