僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.45 血染めの意思

ステインを撃破したライトニングは縄をゴミ箱から見つけ出し、縛って動けなくした。

 

「色々と勝手な行動して言いたいことはあるが、とりあえずは生きててよかった」

 

苦言を呈しながらもライトニングの言葉に漸く血界たちは安心した。

 

「すいません。ライトニングさん……プロの俺がしっかりしていないといけなかったのに……ずっと足を引っ張ってしまって」

 

「いえ、ステインとの1対1は分が悪すぎます。強すぎる……それにステインの個性はよくわからないことが多過ぎです。まるで2つの個性を持っているような……」

 

緑谷の鋭い分析が始まろうとしたが、ライトニングが無理矢理止めた。

 

「ほら、とりあえず応急手当だ。それから他のヒーローたちと合流して、ステインを警察に引き渡すぞ」

 

ライトニングがそう言った直後、エンデヴァーのサイドキック含む他のヒーローたちも駆けつけた。

 

「応援に来ました!ってステイン!?まさか、ライトニングさんが!?」

 

「まぁな」

 

「凄いわ……ずっと捕まえられなかったステインを」

 

「流石です!」

 

駆けつけたヒーローがライトニングを褒める。

 

「敵わないよな……俺たちがしたことって言えばステインから時間稼ぎしたくらいだもんな……」

 

「そうだね……」

 

血界の言葉に緑谷は少し悔しそうにする。

もしステインが最初からあの炎の個性を使っていたら、とうの昔に自分たちは殺されていた。

かつてオールマイトの師匠でもあったグラントリノの元で戦闘訓練を行い、僅かでも強くなった感覚はあり、戦えるようになったと思ったが、結果は自分どころか友達も重傷を負ってしまった。

オールマイトのようなヒーローを目指しているのにもかかわらず、この体たらくであることに緑谷は悔しかった。

悔しいのは緑谷だけでなく、血界たちもだった。

そこにライトニングが話しかけてきた。

 

「お前たち、よくやったな」

 

「え?でも俺たち……」

 

結局はライトニングに助けられたと言おうとしたが、ライトニングが遮る。

 

「お前たちがいなかったらネイティブは死んでいた。お前らは命を救ったんだ。立派なヒーローとしての活動さ」

 

ライトニングにそう褒められ、血界たちは喜んだ。

トップヒーローに認められたのだ。

 

「まっ、この後全員叱られると思うから今のうちに褒めておこうと思ったんだけどな」

 

その一言に血界は喜んでいたが固まった。

ライトニングも完全に気を抜いてしまった。

そのため後ろからやってくる脳無に気づくのが遅れてしまった。

 

「っ!チカイ!」

 

「うわっ!?」

 

ライトニングが血界を捕まえ、羽根が生えた脳無の攻撃をかわすことはできたが、緑谷は捕まってしまった。

 

「えっ、ちょ、わああぁぁ!!」

 

「しまった!」

 

「早く、助けないと!」

 

「バカ!攻撃が当たるぞ!」

 

ライトニングはすぐに銃を抜き、弾丸を脳無の頭に命中させようとしたがその時、ステインの口が開いた。

 

「『斗流血法・カグツチ』……」

 

「っ!ステインを抑えろ!!」

 

ライトニングの指示が届く前にステインは縛っていた縄を切り裂き、脳無に向かって走り出していた。

 

「『刃身ノ弐・空斬糸』!!」

 

空斬糸を脳無に伸ばして捕まえる。

 

「オオオォォォッ!!!」

 

あらんばかりの力で脳無を引っ張り、地面に叩き落とした。

 

「わっ!?」

 

緑谷も落ちるが脳無が良いクッションになってくれた。

ステインは脳無に飛び乗り、焔丸で緑谷を掴んでいた腕を切断し、緑谷を捕まえて放り投げ、脳無の頭に焔丸を突き刺した。

 

「ァッ!!」

 

「『七獄』!」

 

突き刺した焔丸から炎が発生し、燃え移る脳無。

炎に悲鳴を上げて苦しむがステインは逃さんとばかりに足で抑えつける。

 

「偽者が蔓延るこの社会も、いたずらに力を振りまく犯罪者も…粛清対象だ…。はぁ…全ては正しき社会の為に…!」

 

その目には異常と言える執着心が近くにいた緑谷にはありありと見えた。

やがて動かなくなった脳無を見て、ステインは足をどける。

 

「子どもを助けた…?」

 

「馬鹿、人質を取ったんだ!」

 

「脳無を躊躇なく殺しやがった…どういう事だ?仲間じゃ無かったのか…?」

 

「いいから戦闘態勢をとれ!とりあえず!」

 

エンデヴァーのサイドキックたちが困惑しながらも戦闘態勢をとる。

ライトニングは負傷している血界たちを背に守る態勢になる。

 

「こっちだぞ!エンデヴァー!って小僧!?ここで何しとる!?」

 

「お前たち何をひと塊りになって呆けている!!……むっ?ステイン!!」

 

グラントリノとエンデヴァーが現れ、ステインに気づいた。

そしてステインはエンデヴァーが目に入るとその目を大きく開いた。

 

「エンデヴァー……!!」

 

その時、歴戦の戦士であるグラントリノ、数々の修羅場をくぐってきたライトニングはいち早くステインから発せられる威圧感に気づいた。

 

「何をしておる!捕縛から抜け出しているではないか!!ふん、まぁ良かろう。次は俺が相手に――」

 

「待て!炎司!!」

 

ステインと戦うべく、威勢良く一歩前に踏み出そうとしたエンデヴァーだが、ライトニングが止めた。

人質がいるから気をつけろと注意するためではなく、ステインから発せられる異様なオーラからだ。

 

「エンデヴァー…!贋物…!正さねば――…誰かが血に染まらねば…!『英雄』を取り戻さねば!」

 

ステインの言葉と共に燃えていた脳無の炎が大きく燃え上がる。

 

「この世界は『闇』に染まる!させてたまるか!『奴ら』にさせてたまるか!」

 

その炎はまるで自分の怒りを、意思を表すかのように大きくなる。

 

「来い、来てみろ贋物ども!俺を殺していいのは『本物の英雄』たちだけだ!!」

 

殺気とともにエンデヴァーたちに乗せて口に出す。

その余りの気迫に女性ヒーローは尻もちをついてしまう。

ライトニングたちも冷や汗を流し、動けなくなる。

相手は重傷でとうに動ける状態ではないはずなのに、こちらの方が数も戦力も多いはずなのに追い込まれている自分たちだ。

それほどまでにステインの気迫は強く、大きい。

そして、その意識は倒れてライトニングに守られている血界に向く。

 

「お前は……!お前だけは……!ここで殺す!必ずコロス!!」

 

焔丸を向けて、一歩ずつ血界に向かって進めていく。

 

「破壊者の系譜!お前はこの世界を破壊する……『闇』そのものだ!!」

 

痛みと貧血で朧気な意識の中、殺意だけは血界に向ける。

血界は向けられた殺意に冷や汗が止まらなくなる。

滅茶苦茶な言い分だと頭ではわかるのに、向けられる殺意に体と心が完全に怯えている。

ステインの気迫に当てられても動けるライトニング、エンデヴァー、グラントリノは即座に血界を守るようにステインに立ち塞がる。

対峙する両者だが、ステインは焔丸をこっちに向けて動く気配がない。

 

「………気絶してる?」

 

誰かが言った通り、ステインは立ったまま気絶してしまった。

 

「確保だ!」

 

エンデヴァーの指示で漸く動き出したサイドキックたちだが、先のステインの気迫に当てられ気絶したステインを確保するの手間を取っていた。

こうして後に『保須事件』と名付けられた事件は幕を下ろした。

 

 

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