僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood 作:マーベルチョコ
保須事件から一夜経ち、血界たちは保須市の病院に入院していた。
その中で血界は医者から診断されていたが、医者は困惑していた。
「えーとね……単刀直入に言わせてもらうけど、君、本当に人間?」
「先生、俺、医者って患者の心もケアするもんだと思うすよ。今のは傷ついたわー」
「だってね〜……」
医者は血界のカルテを見ながら頭を抱える。
「君の個性、攻撃系のものでしょ?なのにこんなに治りが早いなんて異常だよ。もう斬られたところが完治しているし、過去に自己再生の個性持ちもいたらしいけどそれとは異なるからね」
医者は血界のカルテを見て、そうぼやいた。
血界の個性は色々と不明なことが多い個性だ。
攻撃に特化したものなのか、自身の体に影響するものなのか、それすらわからない。
「あ、あとちゃんと個性欄のところに名前は書いといてね。役所にはある程度どんなものか書けばオッケーかもしれないけど、他の所じゃ名前書かないといけないから」
そう言われて個性の登録書を渡され、診察室を出て行った。
「ンなこと言われてもなぁ……」
頭を掻きながら、自分の個性のことを考えた。
ふと、その時ステインが自分に叫んでいたことを思い出した。
『破壊者の系譜!お前はこの世界を破壊する……『闇』そのものだ!!』
恨みと殺意を込めた叫びに血界は恐怖を感じた。
あそこまでの気迫を血界どころか日常で受けることなんてない。
それにステインはどうやら血界のことを知っていたような口調だった。
自分が知らない自分のことを知っているステインが気に入らず、それに加えて勝手に殺されかけるのは気に入らなかった。
「なんだよ。たくっ……」
血界に暗い気持ちが募っていく。
すると血界のスマホに着信があった。
表示を見ると耳郎だった。
「耳郎か?」
『あっ、出てくれた!ちょっと大丈夫!?ライトニングさんから聞いたんだけど斬られたって!』
「ああ、まあな……」
血界は耳郎の言葉にも曖昧に答える。
ステインのことで頭がいっぱいだからだ。
『怪我はどうなの!?痛みとかは!?』
「もう傷も塞がってる。痛みは少しだけあるかな?」
『そう……もう、心配したんだから……』
耳郎の言葉には心配する声色が明らかにあった。
『アンタさ、よく1人でなんでもやろうとして抱え込むんだから。今回のことも何か考えてるんじゃないの?』
耳郎の言葉通りで、図星だなと思いながら血界は苦笑いを浮かべてしまう。
『何かあったんだったら相談してよ。頼ってよ。……血界はウチにとって、その……し、親友なんだから』
耳郎の自分を心配してくれる言葉に心に暖かいものが広がる。
「相談して」、「頼って」など言われたのは初めてだった。
「ありがとうな。わかった、何かあったら頼るよ」
『うん……じゃあ、ウチこれから職業体験の続きだから』
「おう、頑張れよ」
電話を切った血界の顔には先までの険しさが消え、笑みを浮かべていた。
最近は耳郎と話していると前向きな気分になれる。
血界にとって良いことだった。
緑谷たちと同じ病室に戻るとそこには同じく入院していた緑谷たちとは別の人物達がいた。
「む?君が血界・V・ラインヘルツ君だワンね?」
「い、犬!?」
顔が完全に犬の男性が血界に話しかけたが、血界は後ずさる。
「私は保須警察署署長の面構犬嗣だワン」
「ちょっ……まっ、近づかなで!?」
「どうしたんだ?ラインヘルツの小僧は?」
「あの……血界くん、犬が苦手なんです」
「なんだ。そんなことか情けない」
血界の様子がおかしいことに不思議に思ったグラントリノに緑谷が付け加えた。
「んんっ!さっそく今回のことについて話したいワン」
署長から説明されたのは血界たちの今回の処分だ。
ステインは骨折、裂傷と重傷で相手がヴィランとは言え危害を加えた血界たちは資格なしなので、立派な規則違反だ。
血界たち4名と彼らを教育していたライトニング、エンデヴァー、マニュアル、グラントリノには厳正な処分を下さらなければいけない。
それに血界と轟が食ってかかる。
自分たちがステインと戦わなきゃ今ごろ、飯田たちは死んでいた。
それなのに規則を守って見殺しにするべきだったのか、と。
人を救けるのがヒーローの仕事だ、署長に向かって抗議した。
しかし、それでも署長は違反だと言うが、ここまでは警察としての建前だ。
公表すれば血界たちは世間から褒め称えられるが、処罰されなければいけないが、公表しなければライトニングたちが功労者として擁立できる。
しかし血界たちの英断と功績も誰にも知られない。
つまり、血界たちには何もお咎めは無しだということだ。
血界たちはこれを承諾した。
「大人のズルで君たちが受けていたのであろう賞賛の声はなくなってしまうが……せめてともに平和を守る人間として……ありがとう!」
署長は頭を下げ、血界たちに礼を言った。
血界たちにはそれだけで報われた気がした。
○
入院から2日後には血界だけは退院した。
緑谷たちは血界の回復速度に驚き、医者は驚き呆れていた。
一部の医者は是非細胞の一部をと、動き出そうとしていたが血界は慌てて逃げた。
その後はライトニングから説教と注意をされたが、最後には心配したと労ってくれた。
そして残りの期間、ライトニングは血界にヒーロー業のことを教えてくれた。
やはりトップ10入りしてるからにはプロらしく、流石の手腕だった。
そして最終日、血界とライトニングは346プロの地下トレーニング室にて、対峙していた。
「もう一度確認だ。俺からの課題は自分の弱点を見つけて新しいスタイルを確立すること。そして最終日に俺と戦って1発でも当てればいい」
ライトニングはタバコを吸いながら、マグナムに弾を込めていく。
「クリアすれば俺が知りたいことを教えてくれる。職業体験で知りたいことが増えすぎだ」
血界はナックルガードを装着して、ライトニングを見据える。
「期待してるぜ。俺はお前の新スタイルを見てないんだからな」
「度肝抜かしてやりますよ」
血界の挑戦にライトニングは笑みを浮かべ、血界もそれにつられて笑みを浮かべた。
血界はBOXスタイルを構え、ライトニングもマグナムを構える。
「スタートだ」