僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.47 個性の名は

先に動き出したのは血界だ。

血界はまっすぐ走ってライトニングに向かっていき、最初はジャブを繰り出す。

 

「速いな」

 

ライトニングはそうは言いながらも全ての攻撃をかわしていく。

懐に入り込み、銃口を血界の腹に押し付け、引き金を引く。

 

「ぐあっ!?」

 

凄まじい衝撃と痛みが腹に走り、吹き飛ばされる。

ライトニングの強みは強力な個性、銃の技術もあるが最も大きいのはその観察眼だ。

瞬時に相手の動きを読み、攻撃をかわし反撃に転じる。

銃を持つ者の弱点とされている近接戦にもこの観察眼で不利になることはない。

 

「どうした?変わったのは動きだけか?」

 

「まだまだ……!」

 

血界は再び、突撃するが今度はライトニングは血界に銃を向ける。

 

(さぁ、どうかわす?)

 

数発の弾丸が放たれ、血界を襲う。

 

「『ブレングリード流血闘術 117式 絶対不破血十字盾』!!」

 

盾を出し、銃弾を防ぐが数発は体を掠ってしまう。

血界は痛みで顔をしかめながらもライトニングに向かっていき、拳を振るう。

 

「何度やっても同じだぞ」

 

ライトニングにまたかわされ、さっきとと同じ光景だ。

またライトニングは銃を構え、撃とうとした瞬間を見計らって血界は動いた。

マグナムに向かってストレートを放つ。

 

「オラァ!!」

 

放たれた弾丸とナックルガードがぶつかり、火花が散る。

 

「っ!」

 

「フッ!」

 

一瞬動きを止めたライトニングに血界は弾丸との反動を利用したジャブを放つが、これをライトニングは避ける。

 

(普通弾丸に向かってストレートなんか放つかね?)

 

常人ではまずやろうとは思わないことを挑んでくる血界に冷や汗を流す。

ライトニングが一旦距離を取ろうとするが、血界はそれを追って接近戦をやめない。

しかし、接近戦になってもライトニングにとっては関係なく、弾丸を撃ち続ける。

だが、血界も向かってくる弾丸をギリギリのところでかわし、体に擦り傷ができていく。

 

(少しは怯えろよ…!)

 

掠れているとはいえ、至近距離で撃たれているにもかかわらず血界の攻めは勢いが衰える様子はない。

 

(あともうちょっと……!)

 

血界はあと少しで当たりそうだが、なかなか攻撃が通じないことに焦り始める。

するとライトニングは突然しゃがみ、血界の足を払った。

 

「うわっ」

 

「『BBA Electric laser.44』」

 

雷のレーザーが血界に放たれる。

血界は寸前で腕をクロスして体に直撃するのを防ぐが、遠くまで倒し飛ばされた。

 

「さぁ、振り出しに戻ったぞ。どうする?」

 

「そんなの……攻撃あるのみ!」

 

血界は再び突撃する。

 

「ワンパターンだ、『BBA Thunder Ricochets .44』」

 

四方八方に跳弾する弾丸が血界の前に立ち塞がる。

 

「どうする?突っ込めば弾丸の嵐をくらうぞ?」

 

血界は銃弾の壁を前に深呼吸をして、その先にいるライトニングを見据えた。

 

「ンなの関係あるか!」

 

血界は再び腕をクロスして弾丸の嵐の中を駆け抜ける。

数多の弾丸が血界を襲うが、血界は構わず走り続ける。

跳弾の嵐から抜け出した血界は体と頭を守った腕から血を流して、体がフラついて、倒れそうになる。

 

(ここまでか?)

 

倒れそうになる血界を見たライトニングがそう思った瞬間、血界は倒れる体を足で踏ん張り、ジャブを放った。

 

「『ブレングリード流血闘術 5式 単式血十字小銃』!」

 

ジャブと同時に小型の尖った十字架が放たれ、ライトニングに向かっていく。

意表を突かれたライトニングは寸前のところで避けるが、その瞬間ライトニングの注意は血界から逸れてしまった。

それを見逃さなかった血界はライトニングの懐に入り込み、右拳に力を込める。

 

「『ブレングリード流血闘術 211式 単発式紅蓮血獄撃』!!」

 

至近距離から技に完全に血界は当たる、と思った。

 

「『BBA Thunder Motion』」

 

しかし、その瞬間ライトニングの動きは雷のように急速に早くなり、血界の拳を避けた。

 

「なっ!?」

 

驚く血界に背後に回ったライトニングは背中に1発放ち、血界を吹き飛ばした。

 

「うあぁっ!?」

 

ゴミ箱に吹き飛ばされた血界はゴミに埋もれるてしまう。

 

「ってぇ、もう一回……!」

 

「もう終了だ」

 

ライトニングは銃をしまい、戦闘を終了した。

血界に背を向け、出口に向かっていく。

 

「は!?なんで!?俺はまだやれます!」

 

血界は慌てて立ち上がり、引き止める。

 

「そうじゃない。お前の勝ちだ」

 

「はあ!?」

 

ライトニングが振り返ると彼のコートの右肩部分に燃えたような傷ができていた。

 

「ったく、結構気に入っていたんだがなぁ……また、新しく作らせるか」

 

コートを脱ぎ、そう呟いた。

 

「この傷はお前がつけた。お前の勝ちだ」

 

血界の最後の攻撃がライトニングに掠ったのだ。

掠ったとしても攻撃は当たっている。

血界は掠ってしかいない攻撃に納得がいっていないのか頭を悩ませていた。

 

 

○

ライトニングはヒーロースーツから私服に着替えようとすると右肩に鈍痛が響いた。

 

「っつぅ……」

 

右肩を見ると青黒く腫れており、折れている可能性もあった。

 

(掠っただけでこれか、老いたな)

 

若い頃なら、あれくらいの攻撃をくらっても自然に回復していたが今では色々と頼らなくてはいけない。

自分の老いを感じながら、血界の力について考えていた。

 

(僅かに触れていたとはいえ、破壊の力がここまで出るか。『血の力』はもしかしたらヴァン以上かもな)

 

ライトニングはその時、血界が自分の父親について知りたがっていたこととと、勝負に勝ったらなんでも話すと約束したのを思い出した。

 

「さて、何を説明されるのやら」

 

ライトニングは少し疲れた表情で言った。

 

 

○

ライトニングとの勝負が終わり、制服に着替えた血界は346プロ内にあるカフェでライトニングと待ち合わせをしていた。

するとそこにメイド服を着たウサ耳が生えた女性が注文を聞きに来た。

 

「あのー、注文は……」

 

「まだ連れが来てないんで」

 

「菜々ちゃん、俺にはコーヒーをこいつにはオレンジジュースを」

 

「「ライトニングさん!」」

 

私服でやってきたライトニングは血界と同じ席に着く。

 

「じゃあ、お前が知りたいことを話そうか」

 

「えっーと、聞きたいことは……父親のこと、父親の個性のことです」

 

「お前の父親か……」

 

ライトニングは少し思い悩む。

 

「どうしたんですか?」

 

「いや……逆に聞くがお前は自分の父親のことをどこまで知ってるんだ?」

 

ライトニングが血界に質問すると血界は少し言いにくそうにする。

 

「実はその……俺、5年前からの記憶が無くて家族のことは何も知らないんです。気づいたら父さんの葬式でした」

 

血界には5年前の父親が死んだ時から前の記憶が一切なかった。

目を覚ましたら自分の父親と思わしき人の葬式が始まっていたのだ。

自分のことも周りも全く知らない状況で当時の血界は過ごしていた。

その時、出会ったのが血糸と出会い、親戚だと言ってくれて一緒に生活するようになったのだ。

血界がヒーローを目指す理由は自分の父親のことを知りたいという願いが多少あった。

血糸から父親はヒーローだったと教えられたからだ。

 

「そうか……俺が知ってるのは仕事面のことがほとんどだ。プライベートのことはアイツはほとんど話さなかったからな」

 

「父さんの仕事振りってどうだったんですか?」

 

「あー……一言で言っちまえば淡々と敵を倒すターミネーターみたいな奴だったな」

 

「え?」

 

自分が想像していたイメージと違って驚く。

 

「ヴィランを過剰に攻撃してよく警察に注意されてたなぁ」

 

「そ、そっすか……」

 

懐かしむように話すライトニングに血界は衝撃を隠せずにいた。

自分のイメージではオールマイトのような人から好かれるヒーローだと思っていた。

それがまさかの厳つい殺人マシーンみたいだったと言われてしまったのだ。

 

「でも、家族のことはとても大切にしていた。よくお前とお母さんの写真を眺めていたよ」

 

ライトニングが思い起こすのは普段は表情を変えないヴァンが写真を見て微笑んでいる姿だった。

 

「そうなんですか……なんか、意外でしたけどそれを聞けて安心しました」

 

血界はそれを聞いて少し嬉しそうだった。

 

「あと個性のことだったな。お前の個性はヴァンとよく似ているよ。というよりヴァンの個性そのもの見たいだったな」

 

「父さんの個性ってなんだったんですか?」

 

「アイツの個性は『滅獄血』。破壊の力が宿った血の個性だ」

 

「『滅獄血』……」

 

血界は自分の手を見て、確かめるように呟く。

 

「お前まだ個性に名前をつけてないんだろ?ヴ親父さんの名前貰っちまえよ」

 

「はい、そうします」

 

血界は顔しか知らない父親との繋がりを感じ、嬉しかった。

 

 

○

そして、職業体験が終わり、別れの挨拶となった。

 

「これからも大変だろうけど頑張れよ。お前ならいいヒーローになれるよ」

 

「ありがとうございます!」

 

「次会うときはヒーロー名を決めとけよ」

 

「うっ……はい。でも、次会うってそんなのいつになるか……」

 

「そんなに遅くないと思うぞ」

 

「?」

 

血界が346プロから出ていくのを眺めながら、ライトニングは後ろに話しかける。

 

「あんな感じで良かったのか?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

ライトニングの背後にある柱から現れたのは血糸だった。

 

「いいのか?本当のことを話さなくて?」

 

「……真実を話すのはまだ早いと思います。アイツが耐えられるとは思えない」

 

血糸は辛そうにそう言う。

 

「俺が話してもいいんだぞ?」

 

それを見たライトニングがそう提案するが血糸は首を横に振る。

 

「それはアイツの家族として、ヴァンさんの最後の頼みを任された俺の役目です」

 

血糸の目には覚悟が宿っていた。

 

「そうかい……まっ、頑張れよ」

 

ライトニングはそう言って、自分の仕事に戻った。

彼らが言っていた真実とは一体何なのか。

それを血界が知るのはもう少し先だ。

しかし、今言えることは、それを知った時に血界には大きな運命が待ち受けているということだ。

 

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