僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood 作:マーベルチョコ
自分的に耳郎が凄く好きなので、彼女が強くなるところを書きたいと思います。
File.48 Jazz
職業体験で耳郎は血界と同じ職場、346プロヒーロー事務所を訪れた。
そこで彼女の担当は自身が憧れているジャズになり、共に行動することになった。
耳郎は現在ジャズとともにヒーロー業がどういったものなのか教えてもらいながらパトロールをしていたが、彼女のファンが押し掛け、人の波に飲み込まれそうになっていた。
「キャー!ジャズー!!」
「サインください!」
「握手してください!」
「あの…ファンです!この前出したCD買いました!がんばってください!」
多くの人がジャズに詰め寄っていた。
「ありがとう。これからも頑張るよ。はい、これサインね」
ジャズは多くの人に詰め寄られながらも笑顔で接しており、次々と人を捌いていっている。
それを少し離れていたところから耳郎は呆気にとられていた。
「ジャズさんってここまで人気だったんだ」
最近人気の若手だとは知っていたがここまで人気だとは知らなかった。
すると耳郎に話しかける者もいた。
「君って、この前の雄英体育祭の子だろ?」
「何々?もうヒーロー活動してるの?」
「ヒーロー名は!?」
質問攻めされる耳郎はたじろぐ。
「えっ、ちょっと待って!」
段々と追い詰められる耳郎をジャズが助け出した。
「その子は職業体験で来てくれたの。あまり困らせないであげて」
ジャズが耳郎の腕を引っ張り、自分の方に寄せて彼女を守りながら、群衆の中から出た。
「助けてくれてありがとうございました」
「いいのよ。人に知られてくるとこう言ったことなんてザラにあるから、どうやって上手く切り抜けるのかも知っておいたほうがいいわ。私は10分間だけファンにサービスするって決めてるしね」
そう言いながらも応援してくれるファンには手を振ったりとちゃんと答えている。
「さて、大まかなヒーロー活動については説明したから今度は私独自のことを話すわ」
「はい!」
「そんなに固くならなくていいのよ?緊張しすぎると見えるものも見逃しちゃうわ」
途中で飲み物を買ったジャズは耳郎にも飲み物を渡し、その場で話す。
「主に私たちは市街地での活動が多いわ。特に人が多い歓楽街とかね」
「ここら辺も歓楽街ですよね」
「そうね。歓楽街だと昼夜問わず犯罪が多くなるわ。特に夜が多いけど、それはまた今度ね」
そう言った瞬間に、後ろの方が騒がしくなる。
「なんだろ?」
「イヤホン=ジャック!行くわよ!」
「え?は、はい!」
突然走り出したジャズを追いかける耳郎。
彼女たちが向かう先では2人のチンピラが喧嘩をしていた。
「なんだ、テメー!!」
「お前が俺の女とったんだろうが!!」
1人はゴミ箱からゴミを吸い上げて口の中に貯める。
もう1人は異形型なのか身体が2m近くある。
ジャズは群衆を掻き分け、2人の前に出る。
「やめなさい!往来で喧嘩なんて何考えているの!」
「なんだ。このアマァ!?」
「邪魔すんな!!」
「私はヒーローよ。もし手を出したら貴方達を無理矢理でも止めないといけなくなる」
ゴミを吸い上げた男はヒーローと聞いて、一瞬たじろぐが異形型の男は怒りが収まらないのか拳を振り上げた。
「うるせえェェッ!!」
「仕方ないわね」
相手がこっちに危害をくわえるとわかった瞬間、ジャズの動きは速かった。
持っていた空き缶を男に目掛けて投げ、顔面に命中させ目を閉じた瞬間にジャズは伸びてきた腕を利用して男の頭まで飛び上がり顎を蹴った。
「がはっ!?」
男は頭を揺らされ、動けなくなった。
「貴方もやる?」
「い、イエ!結構です!!」
ゴミを貯めていた男は姿勢を正し、ジャズに敬礼した。
「すご……」
事件解決の手際の良さに耳郎は舌を巻いていた。
するとすぐ近くでジャズのファンが少し残念そうに話していた。
「あー、やっぱり個性は使わなかったかー。俺、ジャズの演奏が聴けるの楽しみでほぼ毎日ここにいるのになー」
「CDで聴けばいいんじゃないの?」
「バカッ!オメー、生で聴くとマジで痺れるからな!CDとは全く違うんだよ!」
「ふーん、そんなに違うんだ。彼女って確か元々ジャズ演奏者なんだよね。どうしてヒーローになったんだろ?」
その話を聞いていた耳郎はその話を初耳だった。
(ジャズさんって元々楽器やってたんだ……)
両親が音楽関係の仕事をしているからか耳郎も音楽には並々ならない情熱がある。
ジャズとの不思議な繋がりがあることに少し嬉しくなる耳郎だった。
○
その後、喧嘩をしようとしていた2人には厳重注意と警察に引き継ぎをした。
そしてまたパトロールを始めると耳郎がジャズに質問した。
「あの…ジャズさんって元々ジャズ演奏者なんですよね?」
「そうよ。よく知ってるわね?」
「さっき話を聞きまして……それで、ジャズ演奏者だったのになんでヒーローになろうって思ったんですか?」
「そうね……」
ジャズは少し考えるそぶりを見せて、口を開いた。
「私ね。元々人が喜ぶ姿を見るのが好きだったの。勿論ジャズを演奏するのも好きだったのもあるわ。私の演奏を聞いてくれて喜んでくれる人を見て嬉しかった」
笑顔で話してくれるジャズを見て、それが本心だということは耳郎にもよくわかった。
しかし、笑顔から一転顔が曇る。
「だけど昔ある事件でそれが少し変わったの。私がヴィランに捕まってヒーローに助けて貰えたんだけど、その時の人を助けるヒーローたちの姿に憧れてね。音楽学校に行く予定だったけどヒーロー科の学校に変えたわ。『人を幸せにしたい』、それが私の原点(オリジン)かしら」
「原点(オリジン………」
耳郎は確かめるように呟く。
「それに自分の好きなことで人を助けれるなんて素敵じゃない?」
ジャズのその言葉に耳郎はハッと何かに気づく。
耳郎は今回の職業体験で自分の成長に繋がる何かを見つけたいと思っていた。
それに気づけそうになった耳郎はジャズに話そうとしたが、その時2人が装着していたインカムから連絡が入る。
『ジャズさん、近くでヴィランが暴れているみたいです。向かってください。場所は○○○です』
「了解。行くわよ、イヤホン=ジャック!」
「は、はい!」
ヴィランが暴れている現場に到着すると人だかりの先に1人のヴィランと複数のヒーローが対峙していたが、ヒーロー達はヴィランと対峙するだけで動いていない。
人混みを抜け、ジャズが現場に来ていたデステゴロに話しかける。
「デステゴロさん。どういう状況ですか?」
「ジャズか!どうやら薬物をやっていたみたいでな……生半可な攻撃じゃ効きそうにもない。下手に攻撃を加えて暴れられたら状況が悪化する」
周りの建物を見ると破壊された跡があり、酷い状況だ。
「……わかりました。私がやります。デステゴロさん達は市民を安全なところまで下がらせてください」
「頼むぞ!」
ジャズが皆の前に出てヴィランと対峙する。
ヴィランは腕から刃物を伸ばして、まるで翼のようになっている。
「ジャズさん!」
「イヤホン=ジャックはデステゴロさん達と協力しながら、後ろで見てなさい」
耳郎はジャズに言われた通りにデステゴロたちと共に市民を安全なところまで下げる。
ジャズはゆっくりヴィランに近づいていく。
「俺オレオレ?俺はあはは!ううゔっ!!」
ヴィランは薬物のせいで何を言っているかわからず、さらに自身を抱きしめるようにしているせいか体に傷付いている。
「ねぇ。ちょっと私の声聞こえる?少しお話ししない?」
ジャズは優しくヴィランに話しかける。
するとヴィランはジャズを見ると一瞬動きが止まる。
動きが止まったと思った瞬間、ヴィランは腕を振るいジャズに刃物を投げた。
ジャズは向かってくる刃物に対し、腰から金色に装飾された管のようなものが付いた少し大きめの銃を抜き、弾丸で弾いた。
「フッ…!」
続けてヴィランに向かって撃とうとするが、それより早くヴィランが薬の影響か凄まじい跳躍力でジャズに襲いかかる。
ジャズは寸前のところで避けるが態勢を崩してしまい倒れてしまう。
ヴィランは倒れたジャズに刃物を振り下ろすが、ジャズは転がって避け、銃を向け発砲する。
全弾命中するがヴィランは痛がる様子はなく、血走った目でジャズを睨みつける。
「効いてない!?」
「薬の影響で痛覚が麻痺してるんだろう。撃たれても平然としているなんて強力な薬だ」
ヴィランは再びジャズに襲いかかり、斬りかかるがジャズは銃を盾にして吹き飛ばされた。
「キャアッ!」
「ジャズさん!」
「待て嬢ちゃん!もう仕込みは終わった!」
「仕込み……?」
耳郎がその言葉に不思議に思うとジャズは立ち上がり、ベルトのホルスターに下げてある手の平サイズの円盤を取り、銃口に装着して前に伸ばすと銃からトランペットに変形した。
「トランペット?」
その瞬間、戦いを見守っていた人たちが沸き立った。
「待ってましたー!!」
「素敵な曲、お願いします!」
さっきまでの不安な表情とは打って変わって全員が色めき立つ。
「曲って…まさか!」
耳郎はジャズがお気に入りのヒーローであるため、勿論彼女の活躍を見たことはある。
そしてその中で最も印象が残っていたのがヴィランを倒すところだ。
ジャズはトランペットを演奏すると攻撃してこようとしていたヴィランの動きが止まり苦しみだす。
「ガッ……アァッ!?」
ジャズの演奏は力強く、そしてどこか上品さがある。
聞いている人たちはやがて戦いを見守るのではなく、ジャズの演奏に耳を傾け始める。
演奏がクライマックスに差し掛かるとヴィランの苦しみ様も激しくなる。
そして徐々にだがヴィランの体から波動のようなものが目に見えてくる。
「アアアァァァァァッ!!?」
最後に高くトランペットを吹くとヴィランは叫び声を上げて倒れた。
そして周りからは拍手と歓声が上がる。
その時、野次馬はジャズの演奏を聴きに来た観客となっていた。
耳郎は拍手を送られてお辞儀して答えるジャズを見て、自分の中で思う。
自分もあんな風になりたいと、自分の好きなもので人を助けるジャズに憧れた。