僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood 作:マーベルチョコ
居酒屋で少し面倒事が起きた翌日、耳郎は1人で346プロ内にある庭園で待機していたが、顔は赤く、それを隠すように手で覆っていた。
(う、ウチ……!昨日、血界に……!)
「あああぁぁっ〜〜!!!」
1人で顔を隠しながら足をバタバタさせて奇声をあげる姿は他の人が見ればヤバイ奴だが、そうなるのは訳がある。
昨夜、酔っ払ってしまった耳郎は用意された部屋に運ばれたが、抜け出して血界に会いに行き、普段では絶対言わないことや大胆なことをしでかしてしまったのだ。
しかも、バッチリと記憶に残っていた。
(ど、どうしよう…!?次、血界に会った時にどんなふうに話しかければいいか……!?)
耳郎はその後、今日の担当だったバンブルビーが呼びに来るまでずっと悩んでいた。
その後、たまたま見回りで通りかかった所で血界と会うのだが、女の子に囲まれてチヤホヤされている血界を見ていきなり暴力を振るってしまい、結局話すことができなかった。
○
3日目はメディスからヒーロー事務所の事務仕事や、事務所からのサポートなどを教えてもらっており、突然無線に受け答えしていたメディスが焦り出し、急遽教育を中断された。
そして、その後テレビで保須事件のことを知った。
そして4日目はジャズに連れられ、346プロのある場所に連れて来てもらっていたが血界達のこと気になっていた。
「やっぱり心配?血界くんのこと」
「えっ、あ、すいません」
「いいのよ。心配するのは仕方ないわ。昨日あまり寝てないでしょ?少し顔色が悪いわよ」
「すいません……」
少し恥ずかしそうにする耳郎だが、やはり保須事件で重傷を負った血界が心配なようで浮かない表情をしている。
「ライトニングさんから聞いたのだけど、重傷だけど命の危険は無いみたいよ」
「本当ですか!よかった……」
血界の状態を聞いて安心した表情になる耳郎を見て、ジャズも一安心する。
「じゃあ、今日は気分転換も兼ねていい所に連れて行ってあげる」
そう言われて連れて来られたのは様々な楽器を使うことができる演奏部屋だ。
「さあ、入って」
ジャズに促され中に入ると防音の壁で囲まれた部屋に様々な楽器が置かれていた。
管楽器、弦楽器、打楽器などが置かれている中心で1人の女性が音響機械をいじって音を調節していた。
「夏樹、お待たせ」
「カレンさん。とりあえずは準備をしといたよ」
立ち上がった前髪が特徴的な女性は木村 夏樹、346プロのアイドルの1人だ。
ジャズとは音楽関係で親交があり、異なる音楽だが時折セッションしている。
「これは……」
「耳郎さん、私の戦い方を真似したいって言ってたでしょう。なら、最初はどの楽器がいいか選ばないと」
そう言われた耳郎は並べられてある楽器を一つ一つ見て、その中でギターを手に取った。
「弾いて見せて」
ジャズに促され耳郎はチューニングをしてから、ゆっくりと弾き始める。
すると段々とペースが早くなって、激し目のロックを奏で出す。
それに合わせてジャズと木村夏樹がセッションを始める。
即興の演奏だというのに3人はとても息が合った音を奏でる。
それと同時に耳郎のさっきまでの暗い顔が笑顔になっていく。
やがて弾き終わると耳郎は満面のの笑みを浮かべていた。
「はぁ…はぁ……」
「どうだった?」
「最っ高でした!」
明るい表情になった耳郎を見て、ジャズも嬉しそうにする。
「これで貴女の武器は決まりね」
耳郎は手に取ったギターを見て、自分でもそう思った。
これで人を助けれるなら素敵なことだと思うからだ。
「後の細かいところは後で決めましょう。とりあえず今日は思う存分演奏しましょう」
「はい!」
「そうこなくっちゃ!私は木村夏樹。アンタのギター最高だったよ」
「ウチは耳郎響香。そっちこそ」
2人は早速意気投合し、ロックについて熱く語り始める。
それを横目にジャズは部屋から出て、スマホを取り出し、ある所に電話をかける。
『はい、こちらI・アイランド総合受付センターです。ご用件は何でしょうか?』
「アーク博士に繋いでもらってもいいですか?」
好きなもので人を救う。
耳郎の新たな成長が始まった。