僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood 作:マーベルチョコ
授業参観までほぼ1ヶ月余っており、血界たちは親たちへの感謝の手紙の内容を考えながらヒーローへの勉学に励んでいた。
そんな中、血界と耳郎は凛がバックダンサーとして大きなステージに立つため、それを見るためにライブ会場近くの駅で待ち合わせをしていた。
耳郎は先に着いたようで待っているが、ソワソワと落ち着かない様子だった。
(思えば、2人っきりで出かけるなんて初めてだな……)
今回は氷麗、クロと待ち合わせをしてから会場に向かう予定だったが気を利かせた氷麗が土壇場で用事が入ったと嘘をついてクロも説得し、血界と2人っきりで待ち合わせするようにした。
2人っきりで待ち合わせするなど今までにないことだったので耳郎は緊張してソワソワとしてしまう。
凛の初舞台がメインだとわかっているのにどうしても血界とのデート紛いなことに意識してしまう。
(氷麗め……わざとだな)
自分が血界のことを気にしているのを知っている氷麗に恨めしく思いながら、本心は良くやった礼を言いたい耳郎だった。
服と髪をいじっておかしくないかと耳郎はさっきから忙しなく確認する。
(大丈夫だよね?)
服はお気に入りのものを選んできたし、身だしなみもいつも以上に気をつけ、軽く化粧もしてきた。
意識しないようにしてもどうしても意識してしまう乙女だった。
「悪い悪い!ちょっと遅れた」
そこに走って血界もやって来た。
血界の格好はシックな白のシャツに黒のジャケットと大人びた感じだが、血界は背が高く、よく似合っていた。
「う、うん」
「じゃあ、行くか」
耳郎は気になる男子と2人っきりと過ごすことにいつものように振る舞うべく、気をつけていた。
しかしそれは血界も同じだった。
(まずい……いつもは氷麗がいたからそんなに意識しなかったけど、なんか……なんか、恥ずかしいな)
いつもなら氷麗、耳郎、血界、凛、クロと5人で遊ぶことが多く、こうして2人っきりで遊ぶなんてことはすることがなかった。
そのため変に意識してしまい血界も緊張していた。
「それでさ、まずどこ行く?」
「うぇっ!?な、何?」
「いや、どこ行こうかなって……」
「あ、あぁ……どこ行くかの話か。ちょっと気になる店があるからそこ行ってもいいか?」
「オッケー」
血界はいつも通りにするぞ、と心の中で決心するが目的の場所に向かう途中一切話さなかった。
((気まずいっ!!))
2人は変に意識してしまい、何を話せば良いかわからなくなってしまっていた。
そしてそのまま何も話すことがなく、2人は目的の店に着いてしまった。
「ここだ」
「店ってCDショップじゃん」
やってきたのは全国にチェーン店があるCDショップだった。
(ここなら話題が作れるかも)
自他ともに音楽好きと認められている。
ここなら話題が見つかると思いながら、ふと目に入ったCDを手にとって血界に見せる。
「ね、ねぇ血界。このバンド知って……」
「見ろよ耳郎!限定版のアルバムだぞ!欲しかったんだよ!」
勇気を持って話しかけたが、当の本人は欲しかったCDを手に取って子供のようにはしゃいでいた。
それを見た耳郎はさっきまで緊張していたのが馬鹿らしく思い、笑ってしまった。
「はぁ〜……」
「どうした?ため息なんかついて」
「いや、何か緊張してた自分が馬鹿らしく思えちゃって」
疲れた表情を見せる耳郎に血界も同じだと答えた。
「俺もだ。2人っきりって中々ないから変に緊張しちまったけど、やっぱりいつも通りが1番だよな」
血界のその言葉に耳郎は血界も自分に意識してくれたのか?、と考えた。
「それって……」
「あー、なんか緊張が解けたら腹が減ったな。飯行かないか?」
「う、うん」
結局血界が自分のことをどう思っているのかは気になったが、とにかく変な緊張もなくなりいつも通りの関係に戻った。
しかし、血界も緊張してたということは少なくとも自分のを意識していたということではないかと思い、耳郎は嬉しく思っていた。
○
入場まで残り1時間となった時、会場に向かう途中涙目で周りを見渡している子供がいた。
周りの大人は忙しなく動いているためか、気づかない。
「あれって迷子?って、あれ血界?」
子供に気づいた耳郎は血界にどうするか話しかけるが、気づいた時にはもう血界は子供に話し掛けていた。
「大丈夫か?親はどうした?」
目線を子供に合わせて話しかける血界だが、血界の目つきが怖く子供は血界を怖がってしまう。
「ひっ……!」
「心配しなくて大丈夫だぞ。お兄ちゃんが親を探してやるからな」
なるべく笑顔で話しかける血界だが、その笑顔が人相の悪さで凶悪に見えて、子供が余計怖がってしまう。
「アンタに怖がってるんだよ」
「うっ」
見てられなくなった耳郎は血界の頭をプラグで叩いて、代わって子供に話しかける。
「大丈夫?迷子?」
「……うん。ママとはぐれちゃった」
「じゃあ、ウチと一緒に迷子センターに行こうか?」
「うん」
血界たちは迷子センターに向かうと丁度迷子センターに探しに来ていた母親と出会った。
「ありがとうございました」
「ありがとう!お姉ちゃん!お兄ちゃん!」
「うん、良かったね」
「もう、逸れるなよー」
女の子が親と出会えて、嬉しく思いながら2人は今度こそ会場に向かうが、その途中で耳郎が血界に話しかけてきた。
「血界ってさ、昔から考えなしに突っ走るよね」
「なんだよ急に?」
「保須やさっきのだって、体が動いていたって感じでしょ?」
そう言われると確かにと思う。
いつも考えるより体が衝動的に動いてしまう。
「何か見ててヒヤヒヤするんだよね。いつかとんでもないことになるんじゃないかって」
「大丈夫だって!俺怪我してもすぐ治るし」
「そういうことじゃないっての」
笑って答える血界に真剣な表情でそう言った耳郎に血界は気まずそうにする。
USJ、体育祭、保須と大きな戦いで傷つく血界に毎回心配で仕方なかった。
耳郎は気まずそうな血界を見て少しため息を吐いてから言葉を続ける。
「だけど、そんな姿をカッコいいと思ってるウチも相当なんだろうなぁ……」
耳郎も困ったように呟く。
血にまみれても挑み続ける姿に心配する気持ちもあるが、憧れる気持ちもあった。
「血まみれになっても誰かのために戦う姿はかっこいいと思う」
「お、おう……」
手放しで褒められ嬉しいが、照れてしまう。
いつも心配したと小言を言われるが今回は褒められてしまった。
「だからヒーロー名さ、血にまみれた拳で戦うのとそんな風に戦うなって戒めを込めて、『ブラッド・フィスト』ってのはどう?」
「『ブラッド・フィスト』かぁ……いいな!カッコよくて覚えやすいし」
「だからって本当に血まみれにならないでよ」
「わかってるって!」
血界のヒーロー名を考えていた耳郎は血界の技、戦う姿に想いを馳せてこの名前を思いついた。
自分のヒーロー名が決まってテンションが上がっている血界を見て、名前を喜んでくれてよかったと思った。
○
その後、2人はライブ会場に着き用意された二回席に行くとクロと氷麗が座っていた。
「来たわね」
「久しぶり2人とも」
血界たちが来たことに気づいた2人が話しかけてくる。
「クロか!久しぶりだな!連絡よこさないからどうしたか気になったぞ」
血界は久しぶり会うクロの肩を叩き、テンションが上がっていた。
血界とクロは中学時代から耳郎たちのグループで特に仲が良く、まさに親友同士だった。
やはり男同士だから仲が良いんだろうなと思った耳郎に氷麗が血界とクロち聞こえないように話しかけてくる。
「それで?デートはどうだったの?」
デートと言われた耳郎はドキッとしながら平静を装った。
「デートって……ただ2人でショッピングしてご飯食べに行っただけじゃん」
「それを世間ではデートって言うんだよ」
それを言われた耳郎は頬を染めて、そっぽを向いた。
「ねぇねぇ、どうだったの?」
ニヤニヤした顔で見てくる氷麗にイラッとしたが、今日は楽しかったのは事実でデートを思い出し、自然と笑顔になる。
「あっ、ニヤついてる。そんなに良かったんだ」
「ちょっ…!ニヤついてないって」