僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.59 一瞬の救出劇

血界達の方では緑谷が作戦を伝えていたが騒がしくなっていた。

 

「なんで俺がデクの作戦に乗らなきゃいけねんだよ!!」

 

「それが一番確実だろうが!今はくだらない意地より、助けるのが優先だろ!!」

 

「ウルセェ!!俺に指図すんな!!」

 

爆豪と血界が言い争っていた。

それを見た爆豪の母親と楓は不安そうにした。

 

「ったく……!あのバカは!」

 

「チーくん……」

 

そして、それを同じく見ていた監督役の敵も不審に思った。

 

(何故争っている?……あぁ、そういうことか)

 

敵は相手からは目が見えないマスクから血界達の様子を伺い、何かに気づいた。

なおも言い争いを続ける血界達に敵は無機質な声をかけた。

 

「茶番ハソレクライ二シテオケ」

 

その一言に血界達の動きが止まり、敵は血界達から少し離れた地面を指差す。

 

「ソコニ隠レテイルダロウ。ワザト目立ツヨウニシテ隠レタ奴ガ本命カ」

 

そう言われた血界達は顔には出さないが失敗したと言った空気を出した。

 

「バレちゃった……」

 

麗日の個性で宙に浮き、八百万特製の地面の色にカモフラージュされた強力なスタンガンを持った葉隠が悔しそうに呟いた。

 

「浅ハカナ考エダ。ヴィランヲ退ケタト言ッテモ所詮子供ダ。本当ノ悪ノ前デハ何モデキナイ」

 

敵はそう言いながら懐からライターを取り出し、火を点ける。

それに気づいた緑谷たちが止めるように叫ぶ。

 

「やめろ!!」

 

「ソウ叫ブダケデ君タチ二何ガデキル?ヒーローデモナイ君タチガ」

 

「ヒーローであろうとなかろうと困っている人がいれば助け出すのは当たり前だろうが!!」

 

血界がそう叫ぶが、敵の心には届かない。

 

「ソレハ君ノ傲慢ダ。勝手二助ケテ貰ッテ嬉シイカ?自分ノ欲デ助ケル事ガ本当二ヒーロー足リエルノカ?ソレハ暴走シタ欲デ動クヴィラント何ラ変ワリガナイ」

 

敵の勝手な言い分に腹がたつ血界たちだが、敵は続けて飯田に話しかけた。

 

「君ハドウナンダイ?家族デアル『インゲニウム』ヲ傷ツケラレ、腹ガ立ッタロウ、憎ンダダロウ。ソシテ君ハドウシタイト思ッタ?許セナイ、殺シテヤリタイト思ッタダロウ?」

 

それを言われた飯田は口を固く結び、拳に力を込める。

それを敵目敏く見ていた。

 

「図星カ。私情デ敵ヲ倒ソウト思ッタ瞬間二ソコニハ正義ハナイ、君ハヒーロー失格ダナ」

 

まるで全てを見据えているかのような口調に誰も言い返せない。

それだけではなくマスクから見据える視線がまるでこちらを拘束しているかのように感じたのだ。

しかし、この男は違った。

 

「けっ!結局はそれもお前の考えだろうがァ。誰が何と言おうが俺を突き通すだけだ!!この雑魚が!!」

 

手から爆発を起こしながらいつでも動き出せるような体勢をとる爆豪が不敵な笑みを浮かべながらそう言ってのけた。

彼は悪い意味でも良い意味でも自分に絶対の自信がある。

故に敵の言葉で揺らいだりなどしない。

それに続けて言われた当の本人である飯田が一歩前に出て、決意を込めた目で敵を見る。

 

「確かに僕は私情に走って傷つけようとした。それは相手がヴィランであっても許されないことだ。だが!それを間違っていると教えてくれた友がいる!そしてそんな僕を応援してくれる家族がいる!その人たちのために僕は間違いを糧にして兄のような立派なヒーローになると決めたんだ!!」

 

そう力強く宣言した飯田に事件に関わった緑谷と血界は笑顔になる。

 

「天哉……!」

 

それを聞いた飯田母も息子の成長に感動して、口を押さえ目から一筋の涙が溢れる。

 

「ソウカ、立派ナコトダ。ダガコレダケハ変ワラナイ。オ前タチガ親ヲ殺シタンダ」

 

檻からライターをガソリンに投げ入れる。

その瞬間、火の海が広がるかと思われたがライターが何か硬いものに落ちる音が響いた。

 

「何……!?」

 

敵がガソリンの方に目を向けると何と辺り一面が凍っていた。

 

「何とか間に合ったか……」

 

敵の背後から声が聞こえ、振り向くと轟が離れた所から氷を走らせ、ガソリンを凍らせたのだ。

ガソリンの凝固点は90度以上、それを気付かれずに行うのは至難の技だったが血界達の喧嘩と飯田の宣言により上手く意識を持っていかれた敵は気づくことがなかった。

 

(二段構えか……よくやるな)

 

素直に感心していると、血界が叫ぶ。

 

「麗日!緑谷!」

 

「はい!」

 

「うん!」

 

血界が合図を出すと麗日が血界に触れ体を軽くし、緑谷が血界の体を掴み、自身の個性で血界を檻に向かって投げた。

 

「行くぜオラァッ!!」

 

「もう間違わないために僕は走り続ける!レシプロ……バーストッ!!!」

 

それと同時に爆豪が空中から飯田がレシプロバーストで檻に向かっていく。

 

「麗日!解除!」

 

「解除!」

 

麗日に向かって合図を出し、個性が解除されると重力に従って地面に落ちるがだいぶと檻に近づいた。

転がりながら態勢を整え、技を放つ。

 

「ブレングリード流血闘術……!『32式 電速刺尖撃』!!」

 

堀を飛び越え、檻から血の槍を敵に向かって打ち出す。

高速で打ち出された槍は敵の肩に突き刺さり、端の方に追いやった。

そして空中から爆豪が敵の服を引っ張り上げ押さえつける。

 

「動くなよ?動いたら火傷じゃ済まねェぞ!!」

 

もはやヴィランの台詞だが、これで敵は迂闊に動けなくなった。

さらにそこに飯田がレシプロバーストで檻が立つ地面に到着する。

 

「母さん!」

 

「天哉!!」

 

飯田はまず自身の母親に近づき、安否を確認して安心した。

 

「怪我がなくて良かった……」

 

「おいメガネ!さっさとしろや!!」

 

「飯田!早く指示を出してくれ!」

 

両方向から敵を押さえつけている2人が催促されると、すぐに意識を全員を救出するための方に向ける。

 

「ここから脱出します!落ち着いて!僕の指示に従ってください!!」

 

持ち前のセンスで保護者を統率して檻から脱出を試みる。

堀の向こう側にいる緑谷たちに飯田は合図を出すと皆が救出しようと動き出す。

しかし、それと同時に沈黙していた敵も僅かに身動きをした。

 

「動くなって言ってんだろうが!!」

 

爆豪が怒鳴るがそれを全く意に返さない声色で周りに聞こえるように話し出す。

 

「二段構エナノハ君タチダケダト思ウカ?」

 

その言葉と同時に敵から何かスイッチを押す音が聞こえ、堀から爆発が起こった。

 

「なっ!?」

 

爆発の炎は幸いにも檻には届かなかったが周りは火の海となった。

 

「しまった!退路が!」

 

「テメェッ!!」

 

爆豪が怒りで爆破をお見舞いしてやろうとしたが突然檻がガクンと衝撃が走る。

下を見ると爆発の余波で檻があった地面に罅が入り、崩れ落ちていく。

 

「まずい!」

 

「チィッ!!」

 

血界は敵を押さえつけていた槍を消し、火の海に落ちていく。

 

「チーくん!?」

 

「ブレングリード流血闘術!!『39式 血楔防壁陣』!!」

 

地面に向かって血の十字架を打ち出し、足場を作る。

血界はそこに立ち、滑り落ちてくる檻を待ち構える。

 

「皆さん!しっかりと檻に捕まってください!!」

 

血界のやろうとしたことがわかった飯田は保護者にそう伝え、自分も檻に捕まる。

檻は重力に従って砕けた地面を滑り落ちてくる。

血界はそれをしっかりと受け止めた。

 

「うぐっ!?」

 

なんとか持ちこたえる血界だが、大人数十人分と檻の重さを1人で支えるのは、いくら驚異的な身体能力を持つ血界でも厳しい。

さらに背後から炎が迫ってきて、その熱さが血界の身を焦がす。

 

「あっち……!」

 

「血界!!」

 

轟が氷結で炎を消火しようと試みるがガソリンに引火した炎の勢いが強く、消すことが難しい。

さらには血界達も炎の中にいるため大規模な氷結を行うことができない。

まさに万事休すの状態だった。

この状況の中、血界達は切り抜けることができるのか?

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