僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood 作:マーベルチョコ
File.62 近づく期末試験!
授業参観が終わり、いよいよ期末試験が近づいてきた。
皆が1学期の総まとめなど色々と準備をしている中、血界も準備をしていた。
「お願いします。勉強を教えてください」
「………」
血界は後世に語り継がれるくらいに綺麗な土下座をして耳郎に頼み込んでいた。
しかも場所は朝の教室だ。
まだ全員が来てないとは言え人目があり、何事かと目を向けてくる。
一方で頼まれた耳郎は周りの視線が集まって来たのを感じて、慌てて血界を立ち上がらせる。
「いいから立ちなって!………はぁ、またなの?」
『また』と言うのは中学時代からテストがある度に勉強を教えてほしいと頼まれたのだ。
中学時代は喧嘩のせいで勉強が疎かになっていたが、高校生になってからは予習、復習をちゃんとすると約束したが結局ダメだったようだ。
「せめて1学期は頑張ると思ったんだけどね」
「……色々とイベント事があって手付かずになってしまいました」
「言い訳は言わない」
「ハイ………」
項垂れる血界を見て耳郎は仕方ない、とため息を吐いた。
「勉強を教えるのは良いけどウチだってわからないところはあるからね?」
「ありがとう!耳郎!!」
なんやかんやで勉強を教える自分も血界に甘いな、と思う耳郎だった。
所詮惚れた弱みと言ったものだろう。
すると血界が耳郎の手を握り、感謝した。
突然手を握られた耳郎は血界の体温を感じとり、徐々に顔を赤らめていく。
手を握っただけで顔を赤くするとはどんだけ乙女なんだ。
「わっ、わかったから!手離して……」
声をしぼめてしまい、血界には何を言っているか分からず手を握ったままの状態になる。
そこに恋の予感をした芦戸と面白そうだからと上鳴が寄ってきた。
「ヒューヒュー!お熱いねお二人さん!」
「なんの話してんのー?」
茶化す芦戸と呑気に聞いてくる上鳴に血界が答えた。
「期末試験の勉強を教えて貰おうって思ってよ」
それを聞いた瞬間、2人はわかりやすく落ち込んだ。
「その話すんなよ……」
「せっかく忘れてたのに……」
上鳴 電気 、A組成績ランキング第21位。
芦戸 三奈、同じく第20位。
クラスでも最下層の成績を持つ2人はうなだれてしまう。
「そんな落ち込むなよ。どうせやらなきゃいけないんだ。頑張っていこうぜ」
血界が励ますが2人は血界を睨む。
「何上から言ってんだ!お前も同じなんだからな!!」
血界・V・ラインヘルツ、成績ランキング第19位。
「血界も私たちと同じ最下層なんだからね!」
「という訳で!俺たちも教えてください!」
耳郎に向かって綺麗なお辞儀をする上鳴と芦戸に耳郎はまたため息を吐いた。
「別にいいけど……ウチだってわからないところが多いからそんなに教えられないかも」
少し困った様子を見せる耳郎に八百万が声をかけてきた。
「あの……よろしければ私が教えましょうか?」
八百万 百、成績ランキング第1位。
「マジで!ありがとー!」
「いえ、勉強はできても実力は無いでしょうから……」
八百万が落ち込んだ様子で呟いた。
「どうした?」
「大丈夫ヤオモモ?」
血界と耳郎が心配して声をかけたが、八百万は気にしないでと返した。
○
その日のヒーロー基礎学を終え、それぞれの更衣室で着替えていると峰田が血界に声をかけた。
「おい!血界!こっち来い!」
「なんだよ?」
峰田が手招きして見せたのは壁に空いた小さな穴だった。
「見ろよこの穴!女子更衣室に繋がってる違いねぇぜ!」
「そうだな………ん?」
峰田の言っていることが少しわからなかった血界は首を傾けるが峰田は力説する。
「だから!ここからなら女子更衣室が覗けるだろうが!!」
「な、なるほど……!」
峰田の剣幕に少し圧される血界は頷く。
「お前も一緒に覗こうぜ!」
「……いいぜ!」
すかさず無駄にいい笑顔で了承した血界は親指を立てる。
2人は早速覗こうとするがそこに委員長の飯田が2人を注意する。
「やめないか君達!女性を貶める言動は慎みたまえ!!」
委員長としてその行為は許されることではなく、怒りの様相で詰め寄るが血界はまるで悟ったかのような顔つきになり、飯田の肩に手を置く。
「飯田……、お前のことは本当に凄いと思ってるよ。委員長なんて面倒くさい仕事をやってクラスの規律を守っている。そんなことは誰でもできることじゃない。お前は正しくヒーローだよ」
「血界君……!」
血界の言葉に感動してしまう飯田。
わかってくれたのかと安心したが、血界は言葉を続ける。
「だけどな……こういうのも青春だと思うんだ!というわけで覗こうぜ!峰田!」
「おうよ!」
「血界くーーーーん!!」
飯田の言葉は虚しくも、馬鹿な血界の本能には勝てなかった。
飯田の悲痛な叫びを無視して2人は穴に顔を近づける。
「さぁさぁ!行こうぜ!桃源郷へ!!八百万のヤオヨロッパイ!麗日の麗らかボディ!蛙水の意外っパイ!」
「普段から馬鹿にしやがって!耳郎のスレンダーボディを見尽くしてやるよ!!」
「はっ、あんな貧相な体見ても何も興奮しないね」
峰田がそう言うと血界は峰田を見た。
「何言ってんだよ。あーゆー身体こそそそるもんだろ?」
「何言ってんだよ?おんなはやっぱり胸だぜ!」
すると血界はわかりやすくため息を吐いた。
「はぁー、お前何もわかってないな。胸はよぉ誰にでもあるだろうが、身体全体のバランスが取れてないと気持ち悪いぞ」
その言葉にカチンと来た峰田は血界を睨む。
「わかってないのはお前だろうがよ。多少体系が崩れてたとしても胸が大きけりゃそれは豊満ボディとして許容できるだろうが。オッパイは全てを救うんだよ」
「俺も胸を否定するわけじゃないけどさ。あんまり胸にそそられないのよ。やっぱりプロポーションだろ」
「それこそオッパイが重要になってくるだろうが!!いいか?オッパイってのはな……」
2人の性的趣向の会話は白熱していき、周りの男子たちはそれを遠目で見ていた。
「なんて……酷い会話だ」
「こんなにも熱弁してんのに全然男らしくねぇ……」
緑谷と切島が引きながらそう呟き、全員が頷く。
「見損なったぜ!血界!お前は同士だと思ってたのによぉ!!やっぱり彼女持ちは彼女しか見えなくなくなるんだな!!」
「彼女?誰が?」
峰田の言葉にまたも首を傾げる血界にいよいよ苛立ちが溜まった峰田が爆発した。
「耳郎のことだろうがよおぉぉぉぉっ!!!あんなにイチャイチャしてたらそら思うだろうが!!!」
その言葉に血界は不思議そうにしていた。
「俺と耳郎かが?上鳴、そんな風に見えてたか?」
「うぇ?俺に聞くの?うーん、まぁ仲良くは見えるわな」
上鳴の意見を聞いて初めて血界は自分と耳郎の関係がどう見えているか理解した。
「そうか……そんな風に見えていたのか。だけど俺と耳郎は付き合っていないぞ」
「ンなわけねぇだろうが!!じゃあ何か?お前はちっぱいに興奮しねぇのか!!?」
もはや血涙を流す勢いの峰田に血界は平然と答えた。
「いや、普通に興奮する。めちゃくちゃタイプだし」
「おぉぅ……普通に答えるんだな」
あっさりと答える血界に上鳴は驚いた。
「じゃあ付き合わねーの?」
切島が質問すると血界は有り得ないと言わんばかりに笑う。
「耳郎と俺じゃ釣り合わねーよ。アイツも俺なんかじゃ嫌だろ?」
その言葉に全員がため息を吐き、上鳴が可哀想な奴を見るような目で血界を見て肩にそっと手を置いた。
「血界……今時、鈍感系は流行んねーぞ」
「は?」
訳がわからんと言った顔をする血界だった。
因みに血界が話している隙に覗こうとした峰田は穴から出てきた少し
○
その頃女子更衣室ではと言うと、
「最低だね!」
「まったく、抜け目が有りませんわ」
「塞がないとね!」
女子達に僅かながら血界達の会話が聞こえてたらしく憤っていた。
「ありがとうね、耳郎ちゃん………耳郎ちゃん?」
蛙水が耳郎にお礼を言うが耳郎は答えず、何かブツブツと呟いていた。
「血界がウチに興奮してる……?ってことはウチのこと女として見てるってことだよね?」
「どうしたの?」
「わっ!顔真っ赤だ!」
その日は耳郎は血界のことをまともに見ることができなかったそうだ。