僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.63 大きな壁の期末試験

期末試験に向けて血界達は八百万の家に訪れて、その豪邸に驚いたり、頭から煙を出すほど勉強したりと備えていた。

そして期末試験まで近くなったある日の昼休み、血界達は緑谷たちと食堂で食事を取っていた。

 

「血界くん、勉強の方はどうなの?」

 

「なんとかいけそうだなぁ……赤点は免れないと林間合宿が無くなっちまう」

 

先日ホームルームで相澤が夏休みに行なう林間合宿を知らせてくれた。

青春の1ページを刻む林間合宿に生徒達は大いに楽しみにしていた。

しかし、期末試験で赤点を取った者には林間合宿中、学校に居残りとして補修を受けなくてはいけなくなってしまい、皆必死になった。

 

「血界さんは先日の模試テストで赤点を回避しましたし、このまま行けば林間合宿に行けますわね」

 

「赤点ギリギリだったけどな……」

 

肩を落とす血界を見かねた耳郎からフォローを入れた。

 

「まぁ、アンタは実技の方は大丈夫でしょ」

 

「そうだけど具体的な内容がわからないから何とも言えないんだよなぁ」

 

テスト勉強続きで少々ネガティブな思考になっていた血界は昼飯の超大盛りカレーのスプーンを咥えながら椅子にもたれ、そうボヤく。

そうしていると突然頭に何かがぶつかった。

 

「いてっ」

 

「ああ、ごめん。派手な頭なのに気づけなかったよ」

 

ぶつかってきたのはB組の物間だった。

 

「何だテメェ?」

 

「B組の物間くん!」

 

面識がない血界は嫌みたらしく謝ってくる物間を睨み、緑谷は突然のことに驚く。

そんなことを気にしない物間はさらに血界達を煽ってくる。

 

「君らヒーロー殺しに遭遇したんだってね。体育祭に続いて注目を浴びる要素ばかり増えてくよね、A組って。ただその注目って決して期待値とかじゃなくてトラブルを引きつける的なものだよね」

 

確かにA組はトラブル続きだがそれは偶然としか言いようがない。

物間の言葉に全員が怒りを覚えたが、ここで言い争いをする程馬鹿ではない。

しかし、1人その馬鹿がいた。

 

「もう一回言ってみろ」

 

(あぁ!やっぱり!)

 

血界は椅子から立ち上がり、物間に詰め寄る。

耳郎は短気な血界が物間にキレてしまうのではないかとヒヤヒヤしていたがやはりキレてしまった。

 

「おぉ!怖い!やっぱりA組はトラブルの種だね!いつか君達が呼ぶトラブルに巻き込まれて僕らにまで被害が及ぶかもしれないなあ!ああ怖……」

 

物間がさらに煽り、血界の眉間に皺がより増してくると、物間の太ももに鋭い蹴りが打ち込まれた。

 

「あ"ーーっ!!?」

 

とてもかん高い音と共に絶叫しながら崩れ落ちる物間に突然何が起こったと驚く血界達。

崩れ落ちた物間の背後には足を振り抜いた氷麗が立っており、痛みに悶える物間を見下ろしていた。

 

「このバカは何を言っているのかしら?」

 

「す、スターフェイズ……」

 

「飯田のこと知らないの?洒落にならん」

 

「拳藤もか……」

 

氷麗の横には物間の昼食をいつのまにか持っていた拳藤が立っていた。

 

「ごめんな。こいつ心がちょっとあれなんだ」

 

(心がアレ?)

 

すかさず物間のフォローを入れる拳藤に血界は怒りを抑える。

流石はB組の姉御である。

 

「響香ー」

 

「ぐえっ!?」

 

氷麗は物間の頭を踏んで、耳郎に駆け寄り頭に抱きついた。

その時、耳郎の顔に氷麗のメロンが押し付けられ嫌でもその大きさと感触を感じ取ってしまう。

それを見た血界以外の男子は顔を赤くして顔を晒す。

 

「くっ……!」

 

耳郎は悔しそうにしながら顔を晒すがそれでも顔に纏わりついてくる柔らかさは消えず、怒りが増す。

それを見ていた拳藤は苦笑いしながら血界達に話しかける。

 

「ハハハッ……お詫びって訳じゃないんだけどさ。さっきの話ちょっと聞いたんだけど期末の実技試験の内容、ロボット実戦らしいよ」

 

拳藤は知り合いに先輩がいるらしく、その先輩から聞いた期末試験は毎年ロボット実戦だったらしい。

それを聞いた血界達は少し肩の荷が降りた。

 

「拳藤、何故A組の連中に話したんだ……!せっかく差がついたのに……!」

 

「差とかどうでもいいだろ」

 

拳藤が物間に手刀を叩き込んで黙らせてから引きずってその場を後にした。

それについて行く氷麗に血界が声をかける。

 

「おい、その話って本当なんだよな?」

 

「………」

 

確認のために声をかけた血界だが氷麗は少し血界の方を見るとプイッとそっぽを向いて拳藤達に付いて行った。

いつもなら憎まれ口を叩いてきてもおかしくない氷麗だが、今日は少しおかしかった。

 

「よかったじゃん。実技の方は楽そうでさ」

 

「まぁな……」

 

耳郎が血界に声をかけるが氷麗のあの態度が気になり、空返事を返すだけだった。

 

 

その後、A組の皆に実技試験のことは伝えられ、幾分か試験のプレッシャーが和らぎ、筆記試験に集中することができた。

そして試験当日、筆記試験では最底辺の3人は何とか乗り切ることができ、八百万に感謝した。

そして実技試験当日となり、全員がヒーロースーツを着てバスが置いてある駐車場にやってくるとそこにはA組担任の相澤だけではなく、多くの教師達が待っていた。

 

「何であんなに先生達が……?」

 

緑谷が不思議そうに呟くと相澤が説明を行なう。

 

「これから期末試験の実技を行なう。内容は……」

 

「ロボット実戦だろ!やってやるぜー!!」

 

「キャンプー!カレー!肝試ー!」

 

相澤が説明を行おうとすると一番の山場を超えた上鳴と芦戸が意気揚々と答えるがそこに待ったをかけられた。

 

「残念!今年から内容は変わるのさ!」

 

相澤のマフラーから現れた校長の根津が宣言し、2人のテンションの急上昇が止められた。

 

「変わる?一体どのような内容に……」

 

八百万が質問すると根津は相澤の肩から降りて説明を始める。

 

「昨今のヴィランの組織化からヒーロー個人の戦闘力が重視されてね。ロボット実戦の試験では適さないとのことになったのさ。そこで……」

 

先まで静観していた教師陣が一斉に前に出て、生徒達の前に並ぶ。

 

「ここにいる教師達で対人戦闘・活動を見据えた、より実戦に近い教えを重視するのさ!というわけで、諸君にはこれから2人一組で、ここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!」

 

その言葉に生徒達は驚きを隠せない。

根津に続き、相澤が説明する。

 

「尚、ペアの組と対戦する教師は、既に決定済み。動きの傾向や成績、親密度……諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表してくぞ。……まず轟と八百万がチームで俺とだ」

 

相澤は名指しした2人を不敵な笑みを浮かべて見る。

 

「そして緑谷と爆豪がチーム」

 

相澤の次のチームの発表に呼ばれた2人は驚愕する。

つい先日、険悪な仲か更に悪くなった2人がチームを組むのは皆も驚いていた。

 

「で、相手は……」

 

「私が、する!」

 

緑谷と爆豪の前に立ちはだかったのはNo.1ヒーロー、オールマイト。

その威圧感に2人に緊張が走る。

 

そして各々のチームが決まり、対戦する教師が決まると血界が手を挙げた。

 

「あの、俺まだチームも対戦する教師も決まってないです」

 

A組は21人の奇数だ。

1人あぶれるのはわかっていた。

 

「ラインヘルツのチームと対戦相手も決まっている。こっちに来てくれ」

 

相澤が合図をすると1人やってきた。

 

「今回お前とチームを組むB組の氷麗・A・スターフェイズだ」

 

現れたのは青色のバトルスーツにスパッツとスカート、そして純白で十字架があしらわれたブーツを履いた氷麗だった。

 

「氷麗が!?」

 

「………」

 

(氷麗?)

 

驚く血界を他所に氷麗は冷たい表情で血界を見つめる。

その様子に耳郎はいつもの氷麗とは違った雰囲気に気づいた。

 

「そして、お前たちの対戦相手はこの私だ」

 

氷麗の背後から現れたのは大柄な影だ。

髪を逆立て、吸血鬼のような犬歯を持ち、筋骨隆々な男、B組担任のヴラドだった。

 

「今回は人数の都合により、ラインヘルツにはスターフェイズと組んでもらう。よろしく頼むぞ」

 

「は、はい……」

 

自分の担任とは明らかに異なる態度の担任教師のヴラドに血界は自分の教師はやっぱりおかしいと思い、戸惑いながら返事をする。

 

「全員のチーム、対戦相手が決まったな。速やかにそれぞれの試験場に向かって試験を行え。詳しい説明は試験場で担当教師がしてくれる。移動は学内バスだ。時間がもったいない、速やかに乗れ」

 

こうして1年最初の期末試験が始まった。

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