僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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お久しぶりです。



File.67 氷麗:ライジング

ヴラドは腕を組み、相手の出方を待っていた。

ふと時間を確かめると残り時間は10分を切っていた。

 

(このまま何もしてこないわけではないと思うが……)

 

気配を感じ、前に目を向けると血界が立っていた。

 

「1人で来たのか?無謀だな」

 

「無謀かどうかはやってみなきゃわかんねぇだろ!!」

 

絋輝はナックルガードを装着して勢い良くヴラドに向かって突っ込む。

 

「さっきの戦いで実力差はハッキリした。パワーはお前の方が上だろうが、技術がない」

 

ヴラドは拳の連打を全て捌き、血界の脇腹に強烈な一撃をぶつける。

 

「ぅご……!?」

 

「多少のフェイントを混ぜようが付け焼き刃では実力者には効かん」

 

倒れそうになる体を踏ん張って、再び攻撃しようとするがヴラドは腕に血を凝結させ、金槌のような形にし血界に振り下ろした。

 

「何度立ち上がろうが無駄だ!」

 

「がっ…!」

 

振り下ろした拳は血界を地面に叩き潰した。

血界が戦闘不能になったと感じたヴラドは腕を上げようとすると、血界はその腕に脚をかけて締め固めた。

 

「ヌッ!?」

 

「ヘヘッ、やっと捕まえた」

 

血界は血塗れになった顔をニヤリと歪ませながら、腕を締め付ける力を強める。

すると、建物の死角から氷麗が走り出て来て、真っ直ぐにヴラドに向かって行く。

迎撃しようとするが更に力を込めた血界のせいで腕が動かしづらい。

ヴラドはそれに慌てることなく、血を腕に集結させ、特性のガントレットから血が溢れる。

溢れた血は血界を飲み込み、氷麗に迫ろうとする。

氷麗は一旦脚を止めようとしたが、血界の向かって行く姿を思い出し、更に踏み込む。

 

(前へッ!!)

 

(突っ込んでくるか!?……いいぞ!受けて立ってやる!!)

 

氷麗らしからぬ行動に驚きはするものの、すぐに教え子の成長を喜んだ。

 

(今までにない行動を見せたな!いいぞ!困難に立ち向かってこい!)

 

迫り来る操血に氷麗は臆すことなく向かって行く。

衝突する寸前にしゃがみこんで、滑り込んだ。

 

(滑り込んだ?狙うのは……ゲートか!?)

 

背後に立つゲートに向かって来てると考えたヴラドは血を操作し、背後に待機させる。

その瞬間、拘束していた血が薄くなり、身動きが取れらようになった血界は技を発動する。

 

ブレングリード流血闘術……!」

 

「甘い!」

 

すぐ足元に迫っていた氷麗に向かって拘束していた血界をぶつける。

 

「ぐあっ!」

 

「きゃあ!」

 

2人は巻き込まれて吹き飛ばされ、ヴラドは失った血を補給しようと腰のホルスターに手を伸ばし、造血剤が無くなっていることに気づいた。

 

「やったわよ」

 

「ナイスだ!」

 

氷麗の手にはヴラドが使用していた造血剤のケースが握られていた。

氷麗が蓋を開けると血界に差し出す。

 

「やっぱりアンタが使って。私より血界の方がいい」

 

「……」

 

血界は錠剤と氷麗を見るとニッと笑い、ケースを氷麗に押し戻した。

 

「俺とヴラドキングじゃ相性が悪い。氷麗がやるんだ」

 

「でも、私の個性じゃ……」

 

「“Plus Ultra”だろ?超えていこうぜ」

 

血界は立ち上がり、自信の篭った目でヴラドを見据える。

氷麗は造血剤を見て、何かを考え込む。

 

「そうみすみすと攻撃させると思うか!!」

 

初めてヴラドは前に出て血界達を攻撃しようとし、血界は構えて迎え撃とうとすると氷麗が声をかけた。

 

「血界。少しだけ時間を稼いで、そして私が合図したら後ろに下がるのよ」

 

「どのくらい稼げばいい?」

 

「出来るだけ」

 

「任せろ!」

 

血界は走りだし、ヴラドと激突する。

ヴラドの一撃は血で強化されており、超人的な身体能力を持つ血界であっても重い一撃だった。

 

(ぐっ……!一撃が重い。それに動きが速い!技を使う暇がねえ……!)

 

「どうした?お前の便りはあの技だけなのか!?」

 

ヴラドに挑発された血界は一旦距離を取ると構える。

 

「そんなわけないですよ!!」

 

ジャブ、ストレート、フック、アッパー、ボディと様々なコンビネーションを個性を纏わせてヴラドに攻撃するが全て防がれてしまう。

2人の攻防は拮抗しているように見えたが血界にはいくつか攻撃をもらってしまっている。

 

(やべぇ……手数出してるのに押し切られる!)

 

やはりプロヒーローの壁は高く、血界といえど苦戦してしまう。

 

「血界!下がって!」

 

声と共に氷麗はヴラドに勢いを付けた飛び蹴りを放ち、ゲート近くまで押し通すがヴラドは力で受け止めた。

 

「思い切りはいいがそれだけでは押し通すことなどできん!」

 

ヴラドが氷麗の足を掴んだ瞬間、氷麗は全身の血を掴まれている足に集中させ一気に解き放つ。

 

エスメルダ式血凍道 絶対零度の銀世界

 

静かな呟きと共に足から解き放たれた冷気はヴラドの腕を瞬時に凍らせる。

 

「ヌウッ!?(一点集中型の技ではなく、広範囲型の技で動き封じる気か!)」

 

血界や氷麗が今まで使ってきた技ではヴラドの技術によって防がれてしまうため、氷麗は防ぐことが難しい技を使った。

ヴラドは慌てて手を放し、氷麗と距離を取るがヴラドを覆う氷の勢いは止まらず、全身を覆っていく。

 

「だが!この程度の練度じゃ意味がないぞ!」

 

しただでやられるヴラドではなく血を全身に回すと体が一回り膨れ上がり、氷を剥がした。

 

「っ!?」

 

自分が使える技の中で最も強力な技だが過去に使ったのは一度だけで、ぶっつけ本番の技だった。

操作が甘く、ヴラドを凍死させないようにと手加減したのが裏目に出てしまった。

驚いて動きが遅れた氷麗にヴラドは再び攻撃しようとする。

 

「しまっ……!」

 

「止まるな!突き進め!」

 

氷麗の横から血界は飛び出して、ヴラドに突撃する。

ナックルガードを構えて技を発動しようとするのをヴラドは血で防ごうとするが、その瞬間血界は技を出さずヴラドの体に抱き着き、身動きを取れなくした。

 

「俺ごとやれ!氷麗!ヒーローになれ!」

 

血界は氷麗に向かって叫ぶと氷麗はハッとし立ち上がって2人に向かって駆け出す。

 

「自己犠牲も大概にしておけよ、ラインヘルツ!」

 

ヴラドが手を組んで血を纏わせ、血界に振り下ろして背中にぶつけるも血界に凄まじい衝撃が走るが血界は歯を食いしばって耐える。

 

「俺がやらなきゃ……!いけないんだっ!」

 

「む?」

 

身動きを取れない2人に氷麗は脚を振りかぶる。

 

(本当にパートナーごと攻撃するつもりか?それをしたらお前にヒーローになる資格はなくなるぞ!スターフェイズ!)

 

危惧していた氷麗の行動が試される場面でヴラドは血を操作して氷麗を封じ込めようとするが、氷麗はそれを分かっていたかのように直前で足の向きを変えた

 

エスメルダ式血凍道 絶対零度の戟槍

 

足から放たれた巨大な氷の槍はヴラドだけを捉えてテナントに押し潰した。

 

「はぁ…!はぁ…!はあぁ……」

 

大きく息を吐いた氷麗に血界はポカンとした顔で見ていた。

 

「何よ?」

 

「いや……俺ごと倒すと思ったから」

 

それを聞いた氷麗は少し照れくさそうにそっぽを向いて呟いた。

 

「だって……ヒーローになるなら仲間を大切にしなきゃいけないでしょ」

 

それを聞いた血界は一瞬驚いた表情になるが嬉しそうに笑う。

 

「そうだよな!仲間は大切にしないとな」

 

「さっ、ゲートを通って試験を終わらせましょう」

 

氷麗はゲートに向かおうとするが大技を2回連続で使用して疲労が溜まってしまったのかバランスを崩してコケそうになったところを血界が抱きとめる。

 

「手伝ってやる」

 

「…………ありがと

 

小さく呟いた言葉だが血界にはしっかりと聞こえており、血界は嬉しそうにしながら共にゲートを通った。

 

『ラインヘルツ・スターフェイズチーム 試験クリア』

 

アナウンスと共に試験終了の合図が鳴り、血界達の期末試験は終わった。

 

 

ヴラドが突っ込んだテナントでは巨大な血の塊が壁にめり込んでおり、崩壊すると中からヴラドが現れた。

 

「ふう……何とか合格したか」

 

『ヴラドキング、無事かい?」

 

「ええ、無事です」

 

モニター室から試験の様子を監視していたリカバリーガールから通信が入り、応える。

 

『アンタが懸念していたことがなくて良かったじゃないか』

 

「はい、全くです」

 

ヴラドは氷麗がもしクリア条件を達成してもその行動が独り善がりの行動だったならば不合格にするつもりだった。

しかし、氷麗はヒーローらしく、人らしく血界のことを思いやり行動ができた。

ヴラドはそれが満足で、笑みを零す。

 

『ラインヘルツの方はイレイザーが言っていた通りに自己犠牲に走ってしまったようだけどね』

 

「ムゥ……」

 

ヴラドはそのことに唸りながら、職員会議後の相澤との会話を思い出す。

 

『ヴラド、ラインヘルツについてなんだが少し話がある』

 

『どうした?』

 

『アイツは自分を犠牲にして助けようとするきらいが強い。USJ、体育祭、保須でそれは確かだ。今回はそこを見てくれると助かる。アイツの何がそうさせているのか、試験中に探って欲しい』

 

『それは担任であるお前が調べることだろう?』

 

『俺は俺で調べる。できればでいい頼む』

 

そう言って頭を下げた相澤に頼まれて了承したが中々探るのは難しかったが、気になる言葉を聞いた。

 

『俺がやらなきゃ……!いけないんだっ!』

 

「何がお前をそうさせる?」

 

ヴラドの疑問は頭の中に残っており、相澤に報告しようと決めた。

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